八咫の聖人〜最強のはぐれ悪魔祓い〜   作:赤嶺

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第三話

はぐれ3

 

黒歌はルシウスの匂いを辿り、ルシウスの泊まっているホテルの目指す。

 

脇目も振らず全速力で。

 

久々の再会なのだ。

 

黒歌がルシウスの使い魔になったのはルシウスが『特務機関イスカリオテ』に入団してすぐであったため付き合いはアーシアに継ぎ、2番目だが、はぐれ悪魔ということもあって常に一緒にいることができなかった。

 

ルシウスも教会から離れたことにより一緒にいられるようになったが、ルシウスの命によりここ2週間ルシウスよりも先にこの駒王町に向けて黒歌たちの拠点であるドイツを離れ兄妹を殺した大司祭の行方を捜していたのだ。

 

だから、会うのは2週間ぶり。

 

黒歌はもともと甘えたがりなのだ。

 

そんな黒歌が2週間も大好きなルシウスと離れて行動したのだ。

 

その反動は計り知れない。

 

実際黒歌は匂いを辿りながらこれからルシウスにしてもらいたいことをピックアップしていっていた。

 

「(まず帰ったらただいまのハグでしょ。そのあとにハグをしながらチューをしてもらって。ベットまではお姫様抱っこでつれていってもらうにゃん♪それからそれから……)」

 

黒歌はルシウスにしてもらうことをつきつぎにピックアップしていっているとどうやらルシウスの泊まっているホテルに着いたようだ。

 

ホテル内に入りフロントに向かう。

 

フロントで黒歌は自分の名前を出し、ルシウスの泊まっている部屋番号を聞くとこのホテルの最上階、スイートルームに泊まっているらしい。

 

宿泊費に一泊で100万円以上らしく、相変わらず金銭感覚が狂っていた。

 

ルシウスは小さい頃から悪魔祓いとして行動していたため収入が多かった。

 

また、悪魔祓いとして一人前でもまだ子供だったのだ。

 

ものの価値を知らないルシウスはどんなに高かろうと次々に欲しいものを買っていった。

 

大人たちはルシウスが異質で敬遠していたため、教えもしない。

 

黒歌もここ2年ほど注意してきたがなかなか治らない。

 

まぁどんなに使おうとまだまだ底を突くことはないのだが。

 

ルシウスは黒歌と2人で宿泊するつもりだったらしく黒歌の名前を聞いたホテルマンは黒歌をスイートルームまで案内をする。

 

黒歌がホテルマンの後ろを着いていっているとロビーの1箇所に多くの女性が集まっているところがあった。

 

あそこにいそう、と黒歌はホテルマンに断りを入れ近づいて行くと、予想通りルシウスは椅子に座り、瞑想しているのか目を閉じていた。

 

着ている服のこともあってルシウスはどこぞの本から引っ張ってきた王子様のようで、女性たちはうっとりとみつめていた。

 

白を基調とした司祭服に所々に散りばめられた宝石。宝石には様々な効果が宿っている。

 

これはとある天使によって手がけられた司祭服で、耐熱性、耐寒性、耐魔術性等様々な耐性を備えたもので最上級クラスの化け物で無いと破くことができない。

 

また破かれても光の力を流すことにより再生するとある天使渾身の一品。

 

ルシウスを思い三日三晩徹夜で作り出したこの司祭服をルシウスは珍しく笑顔で受け取り、その天使は嬉しさのあまり涙をながし主に感謝したほどだ。

 

ルシウスはそれをほぼ毎日着込んでおり、たとえ汚れてもルシウスの神器によって汚れは祓われる。

 

『聖騎士(パラディン)』と呼ばれるのにもこれも要因の一つとなっている。

 

黒歌はルシウスに群がる女性たちを押しのけて行きながらルシウスの前に立った。

 

「久しぶりにゃんルシウス!」

 

ルシウスに抱きつき甘えるようにルシウスの胸に頬をすりすりする。

 

その様子は猫が飼い主に甘えているようで微笑ましい光景だが、突然現れた女が目の前の王子様に甘えているのは面白くないと女性たちは黒歌に嫉妬する。

 

女性たちが声をかけようとすると、その前にルシウスが黒かを抱きしめた。

 

「おかえり、黒姉」

 

ルシウスが微笑を浮かべ、黒歌の頭を撫でる。

 

女性たちはルシウスの笑みをみて頬を赤くし、頭を撫でられている黒歌にまたしても嫉妬して睨みつける。

 

姉という単語を聞いて私もまだ仲良くなるチャンスがあるかも!と盛り上がっていく。

 

だが、女性たちはどうやって切り出そうかと考えている間にルシウスたちの姿は消えていて、王子様との夢のような生活は儚き夢となった。

 

 

 

ルシウスに連れられスイートルームに入るとそこは黒歌が泊まっていたビジネスホテルとは違いとても広く豪華だった。

 

黒歌がビジネスホテルに泊まっていたのは別にルシウスがケチったわけではない。

 

むしろ2週間ほどであればルシウスと同じようなホテルに泊まれるだけのお金は渡していた。

 

しかし黒歌はいたずら大好きダメなお姉ちゃん猫。

 

駒王町に来るまでに遊園地にいったりカジノにいったりと遊び呆けていた。

 

渡されたお金は遊びとショッピングでほとんど使い切り、残った僅かなお金で今日までやってきたのだ。

 

ルシウスと2週間ぶりに会えたのも嬉しいがあの硬いベットではなくこのフワフワのベットで寝れると思うと飛び上がりたくなるほどだった。

 

窓を覗けばこの町を一望でき猫の妖怪である黒歌はますます機嫌をよくする。

 

その様子をルシウスは微笑ましそうに見ていた。

 

スイートルームがどんな部屋なのか黒歌はあらかた見て回り、夕食をとった。

 

さすが一流のレストランなだけあって料理も美味しい。

 

久々のご馳走に黒歌は次々に食べていく。

 

その食べっぷりにルシウスは苦笑いを浮かべ自分の分の食事を譲った。

 

そんなルシウスの気遣いにようやく自分がどんな風に食べていたのか自覚し、顔を赤くしながら返すがルシウスが食べて、とお願いしてきたので仕方なく、本当に仕方なく完食してあげた。

 

夕食をとったので部屋に戻り、この2週間の成果を離す。

 

ルシウスの怨敵バルパー・ガリレイは確かにこの地に潜伏していること。

 

バルパー・ガリレイが堕天使幹部コカビエルと手を組み何かをやろうとしていること。

 

カトリック、プロテスタント、正教会からエクスカリバーが奪われそれを盗んだのがバルパーであること。

 

エクスカリバーを取り戻すために教会からエクスカリバー使い、ゼノヴィア、紫藤イリナその他悪魔祓い数名が派遣されてきて、ゼノヴィアとイリナ以外が殺されたこと。

 

そして、

 

「これが一番伝えたかったこと。アーシアはこの駒王町にいるにゃん」

 

アーシアのこと。

 

「そ、それは本当⁉︎よかった……アーシアは無事だったんだ……。よし!会いに行こう!黒姉、案内して!」

 

案の定ルシウスは飛び上がり喜び、いますぐ会いに行こうとした。

 

だけど、

 

「待って欲しいにゃん」

 

まだ伝えてないことがあるから。

 

「どうして⁉︎アーシアがいるんだよ!僕の、僕の愛しいアーシアが!」

 

「……アーシアはもう、人間じゃない」

 

「……え……?」

 

「アーシアは、悪魔になってた」

 

「……そ、そんな……」

 

アーシアが悪魔になっていたということを聞いてルシウスは崩れ落ちる。

 

「いまはグレモリー家の次期当主、リアス・グレモリーの『僧侶(ビショップ)』としていきているにゃん」

 

ルシウスがグレモリーの名を聞いてピクリと反応する。

 

「……グレモリー家って確か現ルシファーを輩出したところだったよね?」

 

「そうにゃ」

 

それがどうしたのと首を傾げる黒歌。

 

ルシウスは起き上がりながらため息をつく。

 

「アーシアの主が現魔王の家系のものじゃなかったら殺して迎えに行けたんだけど……」

 

ルシウスは心底残念そうに言った。

 

そんなルシウスを見て黒歌は相変わらずだと思う。

 

前にも似たようなことがあったから。

 

黒歌がルシウスの使い魔になってまだ間もない頃、悪魔側からおってが来たことがあった。

 

そのとき黒歌の隣にはルシウスがいて、黒歌を守ってくれたのだ。

 

SS級はぐれ悪魔であった黒歌をだ。

 

守られる側ではなく奪う側である黒歌を。

 

「僕の黒歌に手をだすな!」って言って守ってくれて。

 

どうして私を守ってくれたのかと聞いたとき「黒姉は僕の大切な家族だから」と言ってくれて。

 

ルシウスは自分の大切な存在を奪おうとする奴は何があっても殺す。

 

感情を感じさせない表情で。

 

人形のように。

 

機械のように。

 

大切な存在が壊されてしまう前に。

 

きっと今回は奪い返そうとしたのだろう。

 

ルシウスにとって最も大切な存在。

 

アーシアを。

 

きっとアーシアの主が現ルシファーの妹でなかったら殺しにいっていただろう。

 

でも、しない。

 

いまは。

 

それはルシファーの妹だから。

 

でももしアーシアがひどい思いをしていたなら。

 

たとえ悪魔すべてと殺し合いになろうともリアス・グレモリーを殺すだろう。

 

「……はあぁぁ。それにしてもゼノヴィアとイリナもこの町にいるんだね。元気にしてるかなぁ」

 

「見た感じ元気そうだったにゃん♪」

 

グレモリー眷属と笑いながら戦うくらいには元気そうだった。

 

と、黒歌は思い出しながら答える。

 

「そっか。じゃあ同じ町にいるんだし、昔のよしみで手伝ってあげよっかな?バルパー・ガリレイも絡んでるみたいだし」

 

「そうするといいにゃん。私は近づけないけど」

 

「どうして?」

 

「だって悪魔側からしたら私はまだはぐれ悪魔だから」

 

「僕の使い魔って言えばいいのに」

 

「いまはダメにゃん。私がはぐれじゃなくならないと。迷惑かけちゃう」

 

黒歌は迷惑をかけるからとルシウスの意見に反対する。

 

「べつにかけてもいいと思うよ?僕だって黒姉にいっぱいかけてるしね」

 

「ルシウスは義弟だからいいの!私はお義姉ちゃんだから」

 

黒歌はルシウスの言葉に嬉しくてつい大きな声で返す。

 

顔はルシウスに見えないよう後ろを向いているが尻尾がだらしなく垂れていててれていることがわかる。

 

「そ、それよりも他に伝えたいことがあったのよ」

 

黒歌は話をそらすことにした。

 

このままだとなんとなくからかわれてしまいそうだったから。

 

「伝えたいこと?」

 

「これは私の妹も関係あるんだけどアーシアのことにゃん」

 

「アーシアの……」

 

ルシウスは真剣な顔で黒歌の顔を見て言葉を待つ。

 

「グレモリー眷属の中に『|赤龍帝の籠手《ブーステッド・ギア』をもつ奴がいるにゃん」

 

「『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)、『赤龍帝』か……随分と珍しい『神器(セイクリッド・ギア)』をもつ奴を眷属にできたね。それでアーシアと『赤龍帝』に何かあったの?」

 

黒歌は少し間を開けて口を開いた。

 

「『赤龍帝』のエロガキが私の白音とアーシアの服を奇妙な魔法で破き飛ばし裸にしたの!」

 

最後に近づくにつれ怒気が入り最後には黒歌は叫んでいた。

 

ルシウスはピクリとも動かなくなり目からは光が失われていく。

 

ようやく再起動しはじめたルシウスだが目の光は戻ってこない。

 

「ふーん、そっか。アーシアは今代の『赤龍帝』に無理やり服を破られ穢されたのか。さらに黒姉の妹ちゃんにもしたと。……うん。わかった。殺そう。もうグレモリー眷属に手を出したことによって命を狙われてもいいや。だってアーシアが穢されたんだもん。仕方ないよね。リアス・グレモリーも可哀想に。明日、眷属が2人いなくなるなんて」

 

『赤龍帝』を殺しに行くと言ったルシウスを黒歌はもちろん止めるはずもなく。

 

むしろ嬉々として同調する。

 

白音を穢したのだ。

 

死ぬくらい、白音の受けたことに比べればどうってことないよねって。

 

2人は『赤龍帝』殺害に向け、装備を整えていく。

 

彼らの意識からバルパー・ガリレイのことは消え去っていた。

 

残っているのは一つだけ。

 

『赤龍帝』殺す!

 

それだけなのだ。

 

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