制限時間:一時間
「レイズ。300」
少女は左手に持った五枚の紙を眺めた後、自信満々にそう告げた。そして手元の赤いチップを三枚、テーブルの中心に投げた。
「……コール」
右隣に座っていた少女は、少し苦々しくそう告げ、同じように赤いチップを三枚、投げた。
カードの山の隣に無造作に投げられたチップの山を見て、三人目の少女は手札の五枚を伏せて置き、「フォールドよ」と一言告げた。
「じゃあ、ショーダウン……ストレートよ」
レイズを宣言した少女……赤い服を着た彼女は、自身ありげに五枚を晒す。クローバーの5、ダイヤの6、クローバーの7、ハートの8、スペードの9。典型的な9ハイストレートを見て、コールした少女……緑の服を着た少女は不敵に笑った。
「馬鹿ねぇ、そんな弱い役で。Aハイストレートフラッシュよ」
緑の少女が並べたのは、スペードの10、J、Q、K、A。ロイヤルストレートフラッシュ。最強の役だ。
それを見た赤い少女は「はぁ!?」と何度も目を凝らし、三人目の少女……黒い服の少女はやっぱり、と呆れた。
「どうなってんの!また私の負けじゃん!」
「
黒い服の少女はベットされたチップを緑の少女に押しやる。緑の少女はホクホク顔でそれを受け取り、赤の少女に嫌味ったらしい声で言う。
「これであんたは十五連敗。いつもお世話になってるわ」
「むー、弱くて悪かったわねぇ。でも、降りるのは性に合わないし……」
緑の少女が共有財布でチップを換金している間に、黒い少女は赤い少女に近づく。赤い少女が少し泣きそうになっているのに気付き、黒い少女はポケットの中でハンカチの準備をしながら口を開いた。
「あんた、賭け事に向いてないわよ。前にも言ったような気がするけど」
「知ってるわよ、そんな事。でもさ、負けっぱなしっていうのも嫌じゃない。私は勝つまでやるつもりだよ」
赤い少女はそう言って、緑の少女に抱きついていった。何だかんだで仲がいいのだから、あの子も勝つコツとか教えてやってもいいんじゃない、と提案した事は何度かあったが、帰ってきた答えは「私が勝てなくなったら面白くないじゃない」。普通に鬼畜だったが、赤い少女を妹のように思っている黒い少女はなんとも言い出せなかった。そういう話をしているときより、ポーカーをしているときが一番楽しそうなのだから。
「ねぇ、いつまで考えてんの!ご飯食べにいこーよ!」
底抜けに明るい赤い少女に呼ばれて、黒い少女の思考は浮かびあがる。確かに、本人が楽しそうなら部外者がどうこう言えることでもないし、あの少女がそんな簡単に諦めるわけも無かった。
「帰ってきたら、もっかいね!今度は私が毟り取ってやるんだから!」
「やってみなさい、できたらね」
「はいはい、その前に風呂はいるぞ、結構遅いんだから」
日の暮れた夜道を、姦しい三人娘が歩いていた。