ガルパン短篇集   作:はるたか㌠

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大洗の秋山殿誕生日会、楽しそうでしたね。
行けなかったのですが、せめてお誕生日祝いを……と思っていたら仕事でドハマりして遅くなってしまい遅刻になりました。

ほとんど一発書きなのですが、よろしければ。
おめでとう、秋山殿!


7/1改訂
やはりラストが気になりましたので書き直しました。


優花里のBirthday

 今日は六月六日。

 私、秋山優花里の誕生日であります。

 毎年の事ですが、格別何かがある訳ではありません。

 両親は勿論祝ってくれますし、それはそれで嬉しいのですけれどね。

 そう思っていたら、スマホにメールが届いたようです。

 一体どなたでしょう?

 おや、ケイ殿からですね……何事でしょう?

 ……窓を開けて空を見ろ、と書かれていますね。

 ターボプロップエンジンの音が近づいてくるようです。

 ……あれは。

 C-130J(スーパーハーキュリーズ)

 世界最高の輸送機とも言われる名機が、何故ここに?

 そう思っていると、誰かが機体からダイブしました。

 勿論パラシュートは背負っているようですが……まさか?

 私は部屋を飛び出し、階段を駆け下りました。

 

「優花里? 危ないから階段は駆け下りちゃダメよ?」

「ゴメン! 急いでるから!」

 

 母の窘める声に返事をし、私は靴を履いて外に飛び出しました。

 その間にも、パラシュートはゆらゆらと降りてきます。

 学園艦の上とは言え、造りは陸上の街と変わりません。

 電線も張り巡らされていますし、それに海上だから風の影響も受けます。

 そう思いながら追いかけてみると、どうやら学園のグラウンドに向かっているようです。

 あれぐらいなら、私もペースを落としても良さそうです。

 日々装填手としての体力づくりを兼ねて鍛えてはいますが、準備運動もしないでの全力疾走は楽ではありませんから。

 

「あれ? ゆかりん?」

 

 と、武部殿とばったり出会いました。

 

「どうしたの、そんなに急いで?」

「実は、ケイ殿に呼ばれまして」

「ケイさんに? でも何処に?」

「……たぶん、あれです」

 

 私は、グラウンドに降りようとしているパラシュートを指さしました。

 

「……え? まさか、空から降りてきたの?」

「どうもそのようであります」

「やる事が豪快よねぇ。サンダース大付属の校風なのかな?」

「わかりませんが、兎に角行ってみようかと。武部殿はどちらへ?」

「うん、ちょっと買い物に。でも、それなら一緒に行こうかな?」

「宜しいのでありますか?」

「別にいいよ。ゆかりん、友達だし」

 

 さり気なく仰せになる武部殿。

 でも、それがどんなに嬉しい事か。

 本当に、この学園に来て良かったです。

 

「あ、着陸したみたい。行ってみよ?」

「了解であります!」

 

 

 

 グラウンドに着いてみると、ちょうどパラシュートを外している最中でした。

 

「ハーイ、オッドボール!」

「ケイ殿!」

 

 私の姿を認めると、ケイ殿は手を振りながら駆け寄ってきました。

 そして、勢い良く抱きつかれました。

 

「ハッピーバースデー、オッドボール!」

「あ、ありがとうございますっ!」

 

 そんな気はしていましたが、やはりその為にわざわざ来て下さったようです。

 

「え? ゆかりん、今日誕生日なの?」

 

 私達を見て呆然としていた武部殿ですが、ケイ殿の言葉で我に返ったようです。

 

「はい」

「もー、なんで言ってくれなかったのよ!」

「いえ、何だか恥ずかしくて……。それに、今までは祝ってくれる人もいませんでしたし」

「それはそれ! ああもう、こうしちゃいられないじゃない!」

 

 そして、武部殿は慌ただしく電話をかけ始めました。

 

「それにしてもケイ殿も無茶をしますね」

「そう? あのくらい普通よ?」

「いや、空挺部隊じゃないんですから」

「あ、そうそう。これ、プレゼントよ!」

 

 そう言って、ケイ殿は一冊の本を差し出しました。

 

「い、いいのでありますか?」

「言ったでしょ、プレゼントだって」

「あ、ありがとうございます!」

 

 お礼を言い、本を受け取りました。

 どうやら、何かの写真集のようですが……。

 

「これは……。ファイヤフライとナオミ殿の写真集でありますか?」

「オフコース。オッドボールなら喜んでくれるかな、って」

「勿論であります! 発売されたら真っ先に買うつもりでしたから!」

「あはは、それはナオミも喜ぶわよきっと。ナオミー!」

 

 上空に、先ほどのC-130J(スーパーハーキュリーズ)が戻ってきました。

 そして、ロックウィングを始めました。

 

「ケイ殿? もしや、あのC-130J(スーパーハーキュリーズ)はナオミ殿が?」

「そうよ、ホラ!」

 

 いくら名機とは言え、輸送機でアクロバット飛行は大丈夫なのでしょうか?

 

「ゆかりん」

「武部殿。電話は終わりましたか?」

「終わったわよ。ゆかりんが水臭いから、あまり繋がらなかったけどね」

「……あまり? もしや武部殿……」

「そうよ。折角だもの、戦車道やってるみんなに連絡してみたのよ」

「ええーっ? は、恥ずかしいですよ!」

「隠すゆかりんが悪いんだからね。とりあえずみぽりん達は連絡ついたから」

「に、西住殿もですか?」

「当然じゃない。私達、チームだよ? ケイさんもそう思いません?」

「うんうん、いい事言うじゃない!」

 

 ど、どうしたらいいのでしょう?

 ケイ殿に祝っていただけただけでも十分過ぎますけど、その上西住殿にまで。

 あああ、どのような顔をしてお会いすれば良いのでしょう。

 

「じゃ、私の家に行きましょ。ケイさんも良かったらどうですか?」

「リアリー? それなら是非行かせて貰うわ。ナオミもいいかしら?」

「え、ええ。でも、どうやって?」

「着陸させて貰うからノープロブレムよ、場所はGPSで追跡してくればいいから。じゃ、ゴーアヘッド!」

「わ、わっ! 押さないで下さいよ!」

「あははは、オッドボール覚悟!」

 

 すっかりノリノリなケイ殿であります。

 静かに過ぎると思っていた誕生日ですが、とんでもない事になってきてしまいました……。

 

 

 

「お邪魔しま~す」

「こんにちは」

「来たぞ」

 

 西住殿に五十鈴殿、そして冷泉殿がやって来ました。

 

「あがってあがって~。華、頼んだ物買ってきてくれた?」

「勿論です」

「あ、沙織さん。混ざりたいって人がいるんだけど……一緒にあがって貰ってもいい?」

「いいけど、ナオミさん?」

「ううん。大洗の人」

「誰だろう?」

 

 武部殿の後ろから覗き込むと、見覚えのある帽子が見えました。

 

「……エルヴィン殿?」

「邪魔するぞ。グデーリアン、今日は誕生日だそうだな。私にも祝わせてくれないか?」

「あ、ありがとうございますっ!」

 

 そしてナオミ殿もすぐに到着。

 ……私、夢でも見ているのでしょうか?

 誕生日を祝っていただけるというだけでも驚きなのに、この顔ぶれ……。

 

「急いで作ったから軽い物ばかりだけど、食べて食べて~」

 

 テーブルの上に、武部殿心尽くしの料理が並べられて行きます。

 

「ケーキ、買ってきましたよ。文字とかは間に合いませんでしたけど……」

「フライドチキンとポテトだ。冷めてしまったがレンジアップすれば割とイケるぞ?」

「バームクーヘンも買ってきたぞ」

 

 五十鈴殿にナオミ殿、そしてエルヴィン殿までも。

 ……なんだか、視界がぼやけてきました。

 

「どうした、秋山さん」

「優花里さん?」

 

 冷泉殿と西住殿が、私の顔を覗き込んできました。

 ……いつの間にか、泣いてしまっていたようです。

 

「す、すみません……。嬉しくって、その……」

「オッドボールに涙は似合わないわよ? ほら、スマイルスマイル!」

「うんうん。あ、ケーキにロウソク立てて火をつけるね?」

 

 丸いケーキの上に、武部殿がロウソクを立てて行きます。

 ……いつもなら、両親が用意してくれていました。

 そして、その全てに火がつけられました。

 

「さ、優花里さん。火を吹き消して下さい」

「華。その前に、歌おうよ。せーの」

 

 武部殿の合図で、皆さんが歌い始めました。

 

「ハッピバースデートゥー・ユー、ハッピバースデートゥー・ユー。ハッピバースデーディア優花里さ~ん。ハッピバースデートゥー・ユー!」

「あ、ありがとうございますっ!」

「あはは、いいから火を吹き消して?」

「り、了解であります!」

 

 西住殿に言われ、私は息を吸い込みました。

 見事に火は消え、一斉に拍手が巻き起こりました。

 と、パンパンと乾いた音が鳴り響きます。

 どうやら、ケイ殿がクラッカーを鳴らしたようです。

 これは、夢なのでしょうか。

 ……頬をつねってみましたが、しっかりと痛みがありました。

 

「皆さん……。重ねてありがとうございます!」

「それよりケーキを食べないか?」

「もう、麻子さんったら」

 

 笑いが巻き起こります。

 賑やかな誕生日とは、こんなに楽しいものだったとは。

 秋山優花里、感激しっぱなしであります。

 

 

 

「優花里、起きなさい!」

「……はっ?」

 

 母の声で飛び起きました。

 

「朝ごはんできてるから、起きて着替えなさい」

「あ、うん」

 

 夢、だったのでしょうか……。

 そう思い、部屋を見渡すと。

 部屋の一角に、見慣れない箱や袋が集めてありました。

 昨日いただいた、プレゼントの数々。

 ……やはり、夢ではないようであります。

 思わず、顔がニヤけてしまいます。

 

「優花里?」

「……ハッ? い、今行くから」

「早くしなさいね」

 

 母は苦笑しながら、ドアを閉じました。

 さて、学校に行くとしますか。

 私の、大好きな大洗女子学園に。




来年こそは行きたいですね、お誕生日会。
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