「お~い!もみちゃ~ん!いるか~?」
「誰がもみちゃんだ~!!」
剣を振るう白髪ケモ耳尻尾の少女。名前を犬走
しかし、龍が動くよりも早くレイヴンがそれを受け止める。
「私が戦う!!龍にとらせるもんか!」
「別に俺は戦いたくないよ!?」
レイヴンはそのまま椛を押し返して、拳を振るい、椛もそれを受け流しながら反撃していく。
「貴方……何者ですか!?」
「それは自分で考えて!!」
レイヴンが右拳を振るい――――
ドゴォッと音をたてて地面に顔から突っ込む。
「あやや。なんか踏んじゃいました?」
黒髪のセミロングにカラスのように黒い羽。赤い山伏風の帽子をかぶった少女がレイヴンを踏んでいた。
その少女の名前は射命丸文。自称清く正しいらしい。
「おぉぅ…あやや…何してるのさ?」
「龍さん。貴方こそなんでここに?」
「ん~…散歩?」
「おぉ、守谷神社に用じゃないんですね。珍しい……何かしたんですか?」
「なんで俺が悪いことをした前提なんだよ!?」
「龍さんですし」
「龍だしね」
「そうなのか?龍」
「一体何をしたんですか?ちゃんと悪いことをしたなら言わないとですよ?」
「嘘…俺の信用…無さすぎ……!?」
愕然とする龍。だがまぁ仕方ない。いつも遊び続けているのが悪いのだ。
「はぁ…文。いい加減そこを退いた方が良いぞ?下のレイヴンがキレる」
「レイヴン…?カラスですか?まぁ、踏んだのは事実ですし、龍さんを盾にしましょうか」
「え!?は!?」
文はすかさず龍の背後に隠れ、それと同時にレイヴンが起き上がる。
「どっちも倒す!!」
「倒さんで良いわ!!」
反射的にレイヴンを拘束する龍。この間約二秒。
「ったく……そもそも、椛が俺を襲わなかったら何もなかっただろうに」
「そもそも龍が私を挑発しなければ良かったんじゃ?」
「なにをぅ!?可愛いじゃないか!もみちゃん!良い響きだ!」
「うぐっ……か、可愛くなんか無い!」
「え~?可愛いよなぁ?」
「あり……か?」
「良いんじゃないですか?」
「パーフェクトだよ!それでいこう!」
「いやああぁぁぁ!私に似合わないからぁ!」
本気で叫びながら縮こまる椛。
「……仕方ない。嫌がることは出来ないからな」
龍がそう言うと、表情を明るくし、
「ここは妥協してもみもみで良いだろ」
「悪化してるじゃないですか!」
スパーン!と綺麗な音が響き、龍は地面に頭をぶつけるのだった。
* * *
「……照れ隠しってこえぇな」
「首飛ばすつもりだったんですけどね…」
「驚きの事実!地味に殺されかけてた!!」
龍の寝ている布団の隣に座っている椛が言う。
ちなみにここは文の家だ。ここまで龍を運んできたのはフェンリルだったりする。そのフェンリルは隣で寝ているが。
レイヴンは現在外で天狗と戦っている。目指せ百人狩りだそうだ。
「青龍と仁は?」
「いますよ」
「しっかりついてきた」
「それならいいや」
少し離れたところでお茶を飲んでた。茶菓子もある。羨ましいことこの上無しだ。
「んで、家主のあややは?」
「なんであやや何ですか。文で良いでしょう?」
文は机に向かって仕事をしているようだった。
「ありゃ、仕事か?」
「まだ終わってませんからね。というか、龍さんたちに会ったのは帰り道ですよ」
「ほぅほぅ…それはどんなネタだったんです?」
「あなたが『です』って言うとゾッとするんですが…まぁ、間欠泉の付近。最近有毒だとかである意味有名になったところに人がいたらしいんですよね。そこを取材してきただけです。まぁ、赤い布しか見つけられなかったんですけどね…」
「どんな感じの布?」
「服の切れ端のようにも見えたのですが…ちょっとわかりません。近くに同じような赤い布を巻いた人のようなのがいたので、今日はそれを大まかに書いて、明日は河童から道具を借りて探索しようかと」
それを聞いて、仁がピクリと反応する。
「ふぅ~ん…あの辺りに赤装束人間か~…っていうか、なんで見つけたのに追わなかったのさ」
「追おうとしたときにはすでにいなくなってましたから…」
「へぇ…文が見失ったのか…珍しいな。そんな速いのがいるのか」
「いえ、見失ったというより、忽然と消えられた感じです。霧のようにって奴ですね。萃香さんが一番近いでしょうか…」
「ふぅん…じゃあ、今から確かめに行くか。文も行く?」
「え…い、行くんですか?というか、毒とかどうするんです?」
「まぁそこは、清花がなんとかしてくれるでしょ」
「え~?龍がやれば良いじゃん。能力使って良いからさ」
「許可が出たから大丈夫だ。問題は無くなった」
「むしろそれなら龍さんを取材する方が得策かもしれません」
「ありゃ?矛先がこっちに向いたぜ」
「いえいえ……幻想郷に来てから何度か会いましたけど、たったの一回も能力を教えてもらってませんからね……どんなのか教えてくださいよ…!」
じりじりと迫ってくる文。
「ちょ、いや、教えないからな?」
「そんなこと言わずに……やぁあ!」
「ぎゃああああ!」
龍はその後、フェンリルが起きるまで文から逃げていた。