「魔理沙~?大丈夫?」
「ん?あ、あぁ、清花か…大丈夫だぜ」
「嘘はだめよ。もうフラフラじゃない。体調は?」
「あ~…ちょっと頭が痛いのと、熱っぽいくらい?」
そういう魔理沙は、大量の汗をかいていた。
「ありゃりゃ。もう攻撃受けてるじゃない。全く、病気の抗体くらいちゃんとつけてなさいよ」
「私はお前と違って人間なんだぜ…そんなに…持ってる…わけ…あ、もうだめだ。後は任せたぜ」
「ちょ、魔理沙!?」
突然力が抜けたように落ちていく魔理沙。咄嗟に清花は飛び出すと、魔理沙を捕まえ、霊力で箒を拾う。
「はぁ…『能力限定開放:浄化及び治癒系』『聖なる風よ。清らかなる風よ。混沌たる風を、猛毒たる風を喰らいて聖域となせ』『清き水よ。彼の者に害を与えし存在に鉄槌を。彼の者に安らぎを与え給え』」
煌めく風があたりの黒い空気を吹き飛ばし、その後現れた水が魔理沙に触れ、その水が黒くなっていくのと反比例して魔理沙の表情は和らいでいく。
「全く。無策で突っ込むのも良いけど、ちゃんと自分の状態くらい確認しておきなさい」
「め、面目ないんだぜ」
「なら反省を生かしてちゃんと完全装備で無策で突っ込みなさい」
「それ、反省してるように見えないんだぜ」
「え、まさか。そんなバカな!」
「……清花って、時々素で馬鹿なんじゃないかって思う時があるな」
「ぐぬぬ…クミュエルやサーヴェみたいなこと言って…でも、レベル上げて殴れば大体の敵はどうにかなるっていうのは自信あるわ!!」
「それを馬鹿だって言ってるんだぜ!?」
言われている原因を全く理解出来ていない清花。魔理沙が突っ込んだものの、やっぱり理解できていないだろう。
「…ねぇ、貴方達?いつまで私の前で遊び呆けているのかしら?」
声がかかり、振り返るとそこには先ほど遠くから見た少女がいた。
ボサボサに灰色の髪。光のない、黒と白が反転した奇妙な瞳の小柄な少女。常に蠢く黒が目立つ不気味な白装束を着ていた。
「律儀に待ってくれているあたり優しいわね。なんであんなアブナイのを出していたのかさっぱりだわ」
「いいえ?私は楽しみが増えるのを待っていたのよ?」
「…へぇ?楽しみ、ね。それはさっきの病気で人が苦しむのを見続ける楽しみかしら?」
「えぇ、そうよ?だって、面白いじゃない。人が苦しんで倒れてくのって」
「ん~…その気持ちは分からなくないけど、賛成は出来ないかな~?」
「そう。じゃあ私と貴方は相容れないわね。さようなら」
「それはこっちのセリフ」
少女が動くより早く速く動いた清花が踵落としを放つ。
目にもとまらぬ速度で地面に叩きつけられる少女。
「…別に、怒ってはいないわ。ただ、貴方が気に入らないだけ。ちゃんとその性格を叩き折ってあげるから覚悟しなさい」
「……ふざけないで」
飛び出した少女は清花に迫り――――
容赦なく叩き落される。
「後千年は修行しなさい。そうすれば一矢報いて死ぬくらいは出来るんじゃないかしら?」
「馬鹿に…しないでよ…!!」
病原菌をばらまく少女。しかし、清花は首元に手を当て、
「『消し飛べ』」
その一言で生み出した病原菌は死滅する。
「まだ、やる?」
「……化け物が…」
そう言って、少女は気を失った。
「全く。能力なんて使いたくないのに。レベル上げて物理が私の得意分野よ?」
「本当にね。貴方が能力使うなんて珍しすぎるわ。幽々子の能力にすら殴って終わりだったのに」
呟きながら魔理沙を背負って来る霊夢。
「まぁね。っと、この子は私が回収しとくわ。誰に管理してもらおうかな」
「洗脳されて帰ってきそう。ちゃんと手加減してね?」
「私は何もしないわよ。周りが勝手にするだけ。私は何も悪くないわ」
「やらせてるのは貴方でしょうが」
「なんの事かしら~♪」
口笛を吹きながら清花は気絶している少女を抱える。
「さてと。じゃあもう少し飛び回りましょうか」
「はいはい。分かったわ」
そう言って彼女たちは特に目的も無く飛び始める。
* * *
霊夢と別行動をし、少女を一度自宅に置いてから人里に降りてきた清花は、一人の女性を見つけて飛んでいく。
「慧音~!おっひさ~!」
「清花…なんで来たんだ…」
心底嫌そうな表情で返事をする慧音。
「寺子屋は終わったんだからいいでしょ?それとも、だめだったの?」
「あぁ、いや、別に大きな問題は無い。が、ちょうど出来たばかりだという料理屋に行ってみようかと阿求と約束していたんだ。それで出かけようをした時に…はぁ、なんだってこんな目に合うんだ」
明らかに落ち込んだような声を上げる慧音。
「ぷぅ。私の何が悪いのよ!!私は暇をつぶしに来ただけよ!?」
「だったら少しはクミュエルを気遣ってやれ。可哀想だろう?」
「それは…全く思わないわね」
「お前ははっきりと分かる嫌な奴だな」
「そんな褒めても何も出ないわよ~」
「直球の嫌味を褒め言葉に変換できるお前はさすがだよ!」
ハクタクである彼女でも、さすがにこの反応は予想外だったらしい。
「全く…本当に何しに来たんだ?」
「え~?さっきのクミュエルの断末魔聞いたでしょ?それの解決よ。暇つぶしになりすらしないだろうから冒険中」
「もう少し真剣に部下を扱ってやれ。可哀想だ」
「ちゃんと休みはあるけど、私を働かせると悲惨な目にあるのが目に見えてるからねぇ…クミュエルも必死なのよ。それで、ストレス発散にこんなことやってるだけ。分かった?」
「あぁ、清花がとことんまで使えない、というのがよく分かったぞ」
「満面の笑みで言われるとさすがに心に突き刺さるものがあるんだけど…一応仕事は出来るのよ!?真面目にやらないだけで!」
「はいはい。そうだな、お前はやればできるよ。じゃ、私はもう行くぞ」
「え、ちょ、私もついて行くからね!?」
行ってしまう慧音を清花は追いかけるのだった。
あれ?そう言えば、少女の名前出てないような…す、すいません。次出てきたら名乗らせます!
慧音…お前、苦労してんだな。清花みたいなやつに関わるとろくな事ないもんな。
次回もお楽しみに!(`・ω・´)ゞ