幻物語   作:K66提督

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暑中見舞い申し上げますK66提督です。
いやぁ暑いですね、暑い。
皆さまは体調をくずされたりしていませんでしょうか、私は外にでないので(おい)
大丈夫なのですが、暑いなか、元気に外で遊ばれてらっしゃる方はくれぐれも熱中症にはお気をつけください。
吸血鬼でなくともアイツ(日光)は我々の敵です。

ではでは、ぜひ涼しい快適な空間で『幻物語 拾ㇳ陸』をお楽しみください!


幻物語 拾ㇳ陸

063

 

「「「ごちそうさまでした!」」」

 

「はいはい、お粗末様でした。」

 

「よし、それじゃあそろそろ帰ろうか、チルノ、大妖精。」

 

「ん、もう帰っちゃうのか?まだ7時半だし、もう少しゆっくりしていけばいいのに。」

 

「居候の分際で偉そうな事言ってんじゃないわよ。でもまぁ、ホントに少しくらいゆっくりしてってもいいのよ?」

 

「そうしたいのは山々だが……明日は授業があるからな、妖精二人も早く寝ないとな。特にチルノ。お前は授業中に寝過ぎだ。」

 

「う、いや、ほら、アタイってば天才だから?授業聞いてなくてもわかっちゃうし……」

 

「授業くらい聞いてないと試験で点数とれないぞ?チルノ。」

 

実体験だから、間違いない。

僕もひたぎと羽川がいなかったらどうなってたことか……

 

「あ、いや、阿良々木君。実はチルノは試験では満点以外とったことないんだ。」

 

「…………」

 

慧音先生の一言に部屋が静まりかえる。

 

「ん?どうした皆?」

 

「はあああああああああ!!!?」

 

最初に叫び声をあげたのは霊夢だ。

 

「このバカ妖精が毎回満点!!?教師が嘘つくなんてどういう事よ慧音!?」

 

「じ、実はうちの寺子屋の試験はすべて語群抜きか選択問題なんだが、どういうわけかチルノは全問外したことないんだ。」

 

「へへん!やっぱアタイってば天才ね!」

 

「いやもうそれホントに天才級だよ……」

 

なんという豪運……

 

「チルノちゃ……ん……ダメだ……よ……ちゃんとお勉強……しなきゃ……」

 

「おや、大妖精がもう限界みたいだな、よしじゃあ帰るか。チルノ、私がおぶっていくから大妖精の家教えてくれるか?」

 

「わかった!」

 

「それじゃあお邪魔しました。」

 

「気をつけて帰りなさいよ」

 

「そうだ阿良々木君、明日よかったら人里の寺子屋に遊びにきてくれ。生徒の中には妖精たちも何人かいるから君が安全な者だと紹介できる。」

 

「それはありがたいけど……いいのか?」

 

「そうよ、こんな変態を小さい子に会わせて大丈夫?」

 

「どういう意味だ。」

 

「はっはっは!大丈夫!もし生徒に手を出そうものなら………アトカタモノコラナイヨウコロス。」

 

目のハイライトを消し、角を幻視するほどの迫力で慧音先生は宣言する

 

「……大丈夫そうね。」

 

「元々問題なんてないけど、そうだな……」

 

「せんせーまだー?」

 

「あぁ、すまない、今行く。それじゃあそういうことで。」

 

「うん、また明日。チルノも、また明日な」

 

「ん?明日?明日も暦と会うのか?」

 

「明日は僕もチルノたちの寺子屋まで行くんだ。」

 

「おぉ!そうか!わかった、待ってるな!」

 

「ん、おやすみ。」

 

「霊夢、お邪魔しました。」

 

「はいよー」

 

「暦!明日お前にリベンジするからな!覚悟しとけ!」

 

「ははは……わかったわかった」

 

064

 

「小うるさい妖精がいなくなると一気に静かになるわねぇ……」

 

「ん?さみしいのか?霊夢。」

 

「はぁ、あんた妖精のバカがうつったの?んなわけないでしょ」

 

「あははは、なんだ霊夢~そうだったのか~?おいで~私と一杯やろうよぉ」

 

「だから違うって…………呑むけどさ」

 

「あれ、霊夢ってもう二十歳超えてたの?」

 

「は?失礼ね、私まだ十七なんだけど」

 

「じゃあ飲めないだろ。『お酒はハタチになってから』だ。」

 

「何それ。外の世界のルールか何か?そんなのココじゃ無視よ、無視。よそはよそ、うちはうち。」

 

「うーん……郷に入っては郷に従えか……」

 

「そういう事。何ならアンタも呑む?」

 

「あ、いや、僕は遠慮しとくよ、アルコールはどうも苦手で」

 

「ちっ、御神酒で浄化してやろうと思ったのに」

 

「怖っ!?隙あらば滅しようとするのやめて!?」

 

「だって仕事だし」

 

「おい巫女。あんまり儂の主様をいじめるのはやめてもらおうか。そんなんでも儂の運命共同体じゃ」

 

「お兄ちゃんただいまー」

 

「おかえり。どうだった?」

 

晩ご飯の最中ずっとフランに絡まれて、というか絡みつかれていた忍がとうとう折れ、食事が終わってから今までずっと外で具現化能力の練習をしていたのだ。

 

「うん!ばっちり!」

 

「ま、ぼちぼちじゃな。モノの具現化程度ならできるようにはなった。」

 

「へぇ。あ、今着てる服さっきまでと違うけどそれって……」

 

「うん!私が作ったの!可愛い?」

 

「可愛い。異論は認めない。」

 

これから眠るつもりなのだろう、黒色の猫耳フードのパジャマ(尻尾付き)を身にまとったフラン。可愛すぎるぞなんてことしてくれたんだ忍。本当にありがとうございます。

 

「齢百年を超えた大樹のように安定した気持ち悪さじゃなお前様よ」

 

「あのね、お兄ちゃん!私特訓のおかげで新しい弾幕も使えるようになったんだ!だから明日!私と弾幕ごっこしよ?!」

 

「え”っ!!?あ、で、でも明日は人里に行く約束が……あはは……」

 

「人里!?人里に行くの!?」

 

「え?うん……慧音先生の所に……」

 

「ほう、慧音か。普段は教師をやっているんだったかの」

 

よっぽど印象に残ったみたいだな、そこまで覚えてるのか。

こいつも変わってきてるのかなぁ。

 

「そうそう。だからその授業の見学をね。どう?」

 

「行く行く!私人里ってずっと行ってみたかったの!」

 

「まぁこんな神域にずっといたんじゃ窮屈じゃしのぅ、たまには結界の外にも出たいの。」

 

「じゃあ決定だな。霊夢、いいよな?」

 

「別にかまわないけど問題とか起こさないでよねー、あ、あと白菜と白滝、豆腐と……なんか鍋に入りそうな美味しそうなの買ってきて」

 

「え?鍋?」

 

「そ、鍋。最近寒くなってきたし」

 

「いいねぇ、ついでにお酒も頼むよ」

 

「お酒は慧音先生から貰うんじゃなかったか?」

 

「それはそれだよ、美味いモノは多いに越したことないからね」

 

「あー、はいはい。じゃあもう寝るよ、また明日霊夢に日光で殺されかけてもたまんないし」

 

「あっそ、おやすみ。せいぜい寝坊しないことねー」

 

部屋を出て寝室へと向かう途中、僕はふと月を見上げた。

 

「満月か……」

 

昼に起きて、夜に眠る。

人間だった、ひたぎが生きていたころは普通だったそんな習慣。

 

「まさかまたこんな日の光を浴びながら……はおかしいな、日の光を避けながら生活する日々がくるなんて、考えもしなかったなぁ。」

 

明日は我慢してほんの少しだけ、日光を浴びてみるのもいいかもな……

 

065

 

夢をみている。そんな自覚ができる夢。なんといっただろうか。

 

「それは明晰夢、だね。阿良々木君。」

 

忍野。

 

「でも本当に夢なのかい?本当はこちらが現実で、向こうの世界のほうが夢なのかもしれないよ?」

 

今どきの異世界物が夢オチでした。

で済むと思うなよ

 

「はっはー、そうだね、そりゃそうだ。……でもさ、阿良々木君。君が今居る世界。幻想郷だったかな?そこが現実だという根拠もどこにもないよ。それは全て幻で、くらやみに呑まれた君が『無』の世界で見ている夢かもしれない」

 

お前、いきなり人の夢に出てきて何を『中学2年生が初めて本気で悩む哲学』みたいなこと言ってんだ。寝られなくなるやつだろうが、それ。

せっかくの明晰夢なんだからひたぎとか羽川とか、みんなが出てきてくれればよかったのに。

 

「そうつれない事言わないでくれよ阿良々木君。それで、君にとってのこの世界。どう思っているんだい?」

 

幻かどうかって話か?

―――本物だよ、どれも。

ここに来て間もないのに出会ったみんな僕を遠ざけたりしなかった。

みんな態度に違いはあれど段々僕をここの住人として認めていってくれている気がする。仮にこの世界が幻だったとしても、もうみんな僕の心の一部として刻まれている。

まだそんなに時間がたったわけじゃないけど、僕はこの幻想郷が好きになったよ。

 

「そう。それならいいんだ。―――君ならきっとこの場所を守れるだろう。」

 

は?何を言って……?

 

 

 

―――しかし僕が覚えている会話はそこで途切れてしまった。

 

 

066

 

霜月一日。妖怪の山山頂、守谷神社。

 

「おかえりなさいませ。神奈子様、諏訪子様。」

 

「うむ、神社の番、ご苦労だった。」

 

「ただいま早苗ー、元気だったかい?」

 

現人神、東風谷早苗。

山神、八坂神奈子。

土着神、洩矢諏訪子。

 

それぞれ、この守谷神社を守護する神である。

 

「それで早苗、私がいない間何か変わったことは?」

 

「あ、はい、えっとですね、外来から新しく幻想入りした方が二人。なんでも吸血鬼だそうです。」

 

「ふむ、吸血鬼か。おい、やはりここに来てるみたいだぞ。」

 

早苗の話に頷き、後方のもう一つの影に話かける。

 

「……?神奈子様、そちらは……?」

 

「あぁ、まだ紹介してなかったな。最近知り合った外界の神でな、なんでも蛇神を喰らって神になったらしい。」

 

「へ、蛇神様を、ですか……」

 

「まぁ対して強く力を持っているわけでもない、せいぜい人の潜在意識に潜り込む程度のことしかできないような神だったみたいだけどな。」

 

「そうなのですか。えっと、東風谷早苗と申します。ここ守谷神社の巫女と現人神をやらせていただいております。失礼ですがお名前をお伺いしても……?」

 

「これは失礼、初めて会った方に自己紹介を忘れるなんてなんたる不覚。それでは失礼して。ここ数十年、外の世界の小さな町で道標の神様、みたいな事をやらせてもらってます。

 

 

「私の名前は『八九寺』、『八九寺真宵』と言います。」

 

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