幻物語   作:K66提督

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初心者投稿、第弐投目となります。
謎の急速展開が発生しておりますのでお気を付けください。
それでは、ぜひとも気軽にお楽しみください。


幻物語 弐

005

 

 

幻想郷。それは日本列島のどこかに存在するといわれている、小さくも大きくもない土地。

結界を管理しているのは博麗神社の巫女、また、幻想郷ができたきっかけとなった大妖怪『八雲紫』とその式神たちである。ここには人と妖怪が共に存在しており、なかには人と友好的な関係をもつ者もいる。

そして、そんな幻想郷に新たな住人が足を踏み入れた。

それは、幻想郷を騒がすささやかな異変の始まりだった。

 

 

006

 

 

少し肌寒い午後3時、博麗神社

 

「…何か来たわね。」

 

楽園の(貧乏で)素敵な(鬼)巫女。博麗霊夢。

 

「何かってなんなのぜ?」

 

普通の魔法使い。霧雨魔理沙。

 

「この感じは…人間じゃないわね、妖怪よ。それも大妖怪クラスの大物ね。」

 

「へぇ、んじゃあ久々の異変ってわけか、腕がなるな。」

 

「いや、それはないわね。少なくともここに害をなすのが目的ではないわ。」

 

「そんなの、なにを根拠に、」

 

「巫女の勘よ。博麗の勘に間違いはないわ。」

 

「んん…あ、でもさ、本人たちにその気がなくてもってことがあるかもじゃないか?

それに今回のはなんだか面白いことになる気がするんだ。」

 

「乙女の勘かしら?」

 

「魔女の勘だぜ!どうせ今日も暇なんだろ?様子だけでも見にいこうぜ!な!」

 

「はぁ、あんた巫女の仕事をなんだと思ってるのよ。まぁいいわ。確かに事前に防ぐのも大切だしね、どんな目的で来たかぐらいは聞いておいた方がいいだろうし」

 

「それじゃあ決まりだな!じゃあ私は先に行ってるぜ!」

 

「あ、ちょっと魔理沙!待ちなさい!…まったく!」

 

まんざらでもなさそうな霊夢であった。

 

 

007

 

 

熱い、体が焼けるように熱い、まるでじりじりと闇の住人を消そうとする太陽の光を浴びている時のようだ。

 

「ってマジで日なたじゃねぇか!熱い熱い熱い!」

 

すぐそばにあった岩陰に飛び込んだ瞬間、僕の体は何事もなかったように回復していた。

 

「そうだ!忍は!忍は大丈夫なのか!?」

 

僕が慌てて周囲を見渡すと、いた。木の陰ですやすやと寝息をたてている。

コイツ…僕が死ぬ寸前だってときに幸せそうな顔して寝やがって…

 

チューしてやろうか!

 

「お前様、それは事を起こす前に言うべきセリフじゃと思うんじゃがのう。」

 

「なにをいっているんだ忍、僕はお前を心配して人工呼吸をしただけでチューなんていやらしいこと、これっぽちもやってないぞ。」

 

「舌を入れる人口呼吸なぞ聞いたことがないんじゃが。」

 

「とにかく安心したぜ忍。無事でよかった。」

 

「寝起きを変態に襲われた今の状況を無事というのならまぁ、無事じゃな。少なくとも『くらやみ』に呑み込まれて消滅、ということにはなっていないようじゃな。」

 

そうだ。僕たちが『くらやみ』に呑まれそうになったとき一体何がおこったんだ?

 

「たしか間一髪のところで『くらやみ』自体がなにかに呑み込まれたんだよな。」

 

「あれは恐らく『スキマ』じゃろうな」

 

「『スキマ』?なんだよそれ、なにか心あたりでもあるのか?」

 

「心あたりというか、まぁあのアロハ小僧が言っておった怪異譚のひとつなんじゃがの」

 

「まだあいつの話してたことなんて覚えてたのか?お前が?」

 

たしか蜂の件の時はほとんど聞き流してたとか言ってたよな?

 

「なに、奴の話の中でもひときわ異彩を放っておる話じゃった。それだけのことじゃ。」

 

あとはたまたま儂の機嫌がよかった。とかもあるがの。と忍がうっとりした顔をうかべる。

十中八九ドーナツのことを考えているのだろう。よだれ垂れてる。

 

「スキマ女。

 

「様々な境界を操る能力を持っており、神隠しの招待ともいわれておる。

 

「なに?

 

「あぁ、境界というのは書いて字の如くじゃよ。

 

「例えば男と女の境界。例えば生と死の境界。例えば人と怪異の境界。例えばあの世とこの世の境界。

 

「と言った所じゃ。

 

「これだけでは只の神隠しの怪異じゃが異彩を放っておったのはそこではない。

 

「この怪異が並の怪異とかけ離れておる所。それは――

 

――多数の世界を保有しておる。いうことじゃ。」

 

 

008

 

 

「随分と詳しく知られているのね。この場合は光栄と言ったほうがいいのかしら。怪異殺しの怪異の王、熱血にして鉄血にして冷血の吸血鬼。キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードさん?」

 

「…生憎それは昔の名じゃ、その名を有する吸血鬼はもうこの世にはおらんよ。」

 

「な、い、一体どこから!?」

 

何もなかったはずの場所から『くらやみ』を呑み込んだと思われる『スキマ』と、

あの時僕たちに微笑みかけた、絶世の美女が、そこにはいた。

 

「あら、そうだったわね。今は阿良々木暦さんの奴隷の、忍野忍さん―だったかしら?」

 

「…あなたは、一体何者ですか、なぜ僕たちの事をしっているんですか。」

 

「ふふっ、『わたしは何でも知っているお姉さんだよ。』だったかしら?あの娘の口癖は、」

 

「!?」

 

この人、臥煙さんの知り合いなのか?でも『あの娘』って、どういうことだ?

 

「あの娘は自分を信じすぎる娘だったわね、でも私はそこまでは言わないわ。」

 

「私の名は八雲紫、少なくとも阿良々木暦という男のことなら何でも知っている十八歳の麗しの乙女よ。」

 

「…………?」

 

「お前様、どこをどう見てもあの女が十八つには見えんのじゃが。どれだけ低く見積もっても三十後はn…」

 

「ばか忍、お前だってその見た目で七百近いだろうが。あの人だって怪異なんだろ?

なら見た目で歳を判断しちゃだめだ。」

 

「お前様、世界にはどうやってもごまかしきることが出来ないことが存在するんじゃ。

それを認めないものが『くらやみ』に呑まれてしまうんじゃ。」

 

「そ、そろそろその失礼な口を閉じていただいてもよろしいかしら?」

 

「あ、ごめんなさい。で、なんでしたっけ。」

 

「はぁ、ゴホン。では改めて。阿良々木暦さん、忍野忍さん。」

 

「――ようこそこの地へ、幻想郷はあなた達のすべてを受け入れますわ。」

 

 

009

 

 

「は、はぁ…」

 

「ちょおっと待ったぁ!!」

 

と、僕らがいまいち話についていけないでいると、頭上から物凄い速さでなにかが落下してきた。

 

「こ、今度はなんだ!?隕石!?」

 

「ごほっ、ごほっ、イテテ…少しとばし過ぎたのぜ…」

 

土煙から姿を現したのは白黒の服を着た…女の子?え?

 

お、親方!空から女の子が!!

 

「お前様、さすがにジ○リはまずいじゃろう。」

 

「あら、誰かと思えば魔理沙じゃない。なんのようかしら」

 

「その二人の幻想入り、私は認めないぜ!」

 

「私も、その二人がここに住むというには賛成しかねるわね。」

 

後ろから新たな声が聞こえたので振り向いてみるとそこには紅白の巫女衣装を着た少女がただならぬ形相で立っていた。

 

「すげぇ、忍、生の巫女さんだぜ?僕初めてみたよ。」

 

「この状況でそのリアクションをとれるお前様の方がよっぽどすげぇわい。」

 

「よせやい照れるぜ。」

 

「それで。」

 

紅白の巫女さんが紫さんをにらみつけて続けた。

 

「この二人を幻想郷が受け入れるっていうのはどういうことかしら?紫?ちゃんと納得のいく説明ができるんでしょうね。」

 

「どういうこともなにも、この二人を知っている者があの世界にはいなくなった。だからこちら側にご招待したのよ。」

 

「え、ちょっ、ちょっと待って下さい、紫さん。僕たちを知っている者がいなくなった?それが僕たちがここにきた理由なんですか?」

 

「ええ、そうよ。ここは幻想郷。語られることのなくなった者たちがたどり着く楽園。そして、これからあなた達が生きてゆく世界よ。」

 

「なるほどの。」

 

「忍?」

 

「これで全部合点がいった。小僧のいっておったスキマ女の正体は紛れもなく貴様。神隠しがおきたことが語れていても誰も神隠しにあった者が誰かわからない。それは既に全てに忘れられた者だったから。そういうことじゃな。」

 

「ま、待てよ忍。それじゃ僕たちも誰にも意識すらされてないってことか?それって怪異としてかなりヤバイことなんじゃないのか?」

 

「じゃから完全に消滅してしまう前に保護するのがこの女の目的なんじゃろ。」

 

「そういうことよ、暦さん。ご理解いただけました?」

 

「で、でも八九寺は?八九寺は僕のことをちゃんと覚えてるはずだ。」

 

「条件が満たされた時、八九寺はあの世界にはいなかったんじゃよ、お前様。」

 

「あ、」

 

そうか…神無月の宴会…

 

「これで納得してもらえたかしら霊夢?」

 

「そうね、確かにその二人が正規ルートでこの世界にきたことは理解したわ。」

でもね、と再び少女の眼光は鋭くなる。

 

「いくら正しいルートで入ってきたとしても、そんな大きな力を秘めた妖怪をおいそれとここに住まわせるわけにはいかないのよ。」

 

「異変を起こす前に潰してやるぜ!」

 

白黒の魔法使いが目にシイタケを作り、箒を突き付けてきた。

 

「はぁ、そういうこと。暦さん、忍さん。ちょうどいい機会なのでここ幻想郷での最大のルールをお教えいたしますわ。チュートリアルと言った所ですわね。」

 

「ルール?」

 

「はい、幻想郷の基本は弱肉強食。勝者のみが望む結果を得ることができるのです。しかしそれでは人間に勝ち目はなくなってしまう。そこで人と妖怪のパワーバランスを保つために生み出されたのが、」

 

「弾幕ごっこ。」

 

紅白の巫女さん(霊夢さんといったか?)が紫さんの言葉を続く。

 

「対戦者は己の『残機』というものを『命』として扱い、敵の弾幕によって『残機』を失ったほうの負け。」

理解が曖昧な僕が紫さんに助けを求める視線を送ると

 

「単純にいってしまえばそんな感じですわ。頑張ってください。」

 

「えっ、」

 

「さぁどうするんだ?このままここを出ていくか私たちと勝負するか。どちらか選べよ。」

 

金髪の魔女っ子が不敵な笑みを浮かべて言った。

 

「出てくってもなぁ、」

 

「多分ここを出た瞬間儂らは消滅するじゃろうな。へたすると『くらやみ』が待ち受けておるかもしれんし。」

 

「じゃあやるしかないわけか…」

 

「へへッそうこなくっちゃな!こっちも暇してたんだ。せいぜい避けてみろよな!」

 

「魔理沙、目的が変わってるわよ。ま、勝つのは決まってるから別にどうだっていいけど。」

 

「えっと紫さん、これって思いっきりやってもケガとかってしないんですよね。」

 

「ええ、どれだけの攻撃を受けても最悪心に傷を負うくらいよ。」

 

「それって結構大丈夫じゃないですよね…」

 

「あら、始まる前からケガの心配かしら、大丈夫よ。ちゃんと手加減ぐらいはするから。」

 

「さすがは巫女さん。優しい人っぽくてよかった。」

 

「今だけだぜ、今だけ。」

 

「え?」

 

「よし!じゃあ始めようぜ!私と霊夢対あんた達二人のタッグ戦だ。」

 

「私たちが勝ったら幻想郷から出ていってもらう。」

 

「…ありえないだろうけどアンタたちが勝ったら些細な願いの一つぐらいはきいてあげるわ。」

 

「わかった。忍もそれでいいよな?」

 

「さすがはお前様。上げて落としていくテクニックかのう?」

 

「そんなことないさ。」

 

「それじゃあ、テンカウントで勝負開始するぜ。」

 

運命のテンカウントが、始まる。

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