幻物語   作:K66提督

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お久しぶりです!K66提督です!

前回の投稿から約半月が経ってしまいました……
大変申し訳ないです。

物語も大体半分かもう折り返したかなという所で、内容を考えるのが
めちゃくちゃ大変でした。
本文の内容が意味不明になっていたらすみません……

『あぁ、こいつ迷走してんな』といった感じで楽しんでいただければ幸いです!

それでは!『幻物語 弐拾ㇳ弐』をどうぞ!!



幻物語 弐拾ㇳ弐

087

 

「数が数だ。本気で行くぞ!忍!!」

 

『怪異・キスショットアセロラオリオンハートアンダーブレード』!!

 

自分も戦えるぐらいの余力を残して忍を全盛期の二つ手前くらいまで

パワーアップさせる。

 

「かかっ、珍しく思い切りがいいの!お前様よ!」

 

「すまん!全盛期まではパワーアップできなかった!」

 

『妖刀・心渡』『偽剣・レーヴァテイン・レプリカ』

 

「ここまで力が上がれば上等じゃ!!」

 

高速で接近する天狗の小部隊を忍が二刀流で迎撃する。

 

「く、後方部隊!砲撃準備!」

 

『天符・ボレアス』!!

『風符・空斬』!!

『宝具・羽団扇』!!

 

「げ、」

 

スペルカードの一斉射撃!?

 

「放て!!」

 

『ドゥッ!!』

 

「お前様!」

 

「分かってる!」

 

『扇符・愚か者には相応なる修正を』!

 

閉じた扇子から撃ちだした『くらやみ』が敵の弾幕を打ち消す。

若干卑怯な気もするが、大勢に囲まれているので容赦してもらいたい。

 

「なっ!?」

 

そして弾幕を一瞬のうちに消滅させられ呆けているところに……!

 

「忍!」

 

「任せておけ!」

 

『偽槍・スピア・ザ・グングニル・レプリカ』

 

『キィン――――……』

 

『ぐあぁぁぁ!!!』

 

真紅の槍は空気を切り裂き、軍勢の一角を戦闘不能にする。

 

「……っ!やはり吸血鬼相手では無理がありますか……!もう十分です!各自負傷者を連れて退避しなさい!!」

 

最初に戦いを仕掛けて来た鴉天狗の少女(文さんだったか?)が号令をかけると、

大勢の天狗達が徐々に撤退を始める。

 

「なんじゃ、逃げていきよるわい。威勢のわりには大したことなかったのぅ。」

 

「でもまだ、文さんって人が残ってる。」

 

「かかっ、それもそうじゃな。気を引き締めていかんと――

 

「忍!?」

 

なんだ!?忍が一瞬でふっ飛ばされた……!?

 

「大したことない、ですか。まぁ確かにアナタ達のような吸血鬼の真祖に比べたら下位の天狗なんて足元にも及ばないでしょうね。」

 

どうなってる……!?文さんがやったのか……!?

 

「『加速・アクセル 1st』。河童と共同開発した、自身の能力を半分に抑えることができるスペルカードです。能ある天狗は団扇を隠すってやつです。」

 

それを言うなら鷹と爪では?

 

「元々相手を殺さずに捕らえるために使用するものですが、吸血鬼相手に力を隠しても意味がありませんね!!」

 

『加速・アクセル 2nd』、

『加速・アクセル 3rd』、

『加速・アクセル 4th』!

 

「なっ……!!?」

 

「スペルカード一枚につき、力は半分に。そして私が使用していたカードは4枚。

後はまぁ、お分かりでしょう。」

 

「16倍の……力……」

 

「……正直、私も貴方が犯人だとはいません。

早苗さんをかばって戦場から遠ざけるような人が悪人とは思えませんから。」

 

「そんなっ、じゃあ何で!!?」

 

「こうみえても私、天狗政界ではなかなかの立場――

人間でいうと中間管理職と言ったところでしょうか?

――とにかくそのせいで大天狗様が殺害された件の、犯人捜しとそれへの制裁の統帥を任されてしまったわけです。しかし、私としては重傷を負った白狼天狗の友人の見舞いにいち早く駆けつけたいわけなんです。」

 

「それで、僕を犯人に仕立て上げて、事件を解決したことにしようってわけかよ。」

 

「申し訳ないんですがね。ちょうどいい所に不死能力の持ち主がいましたから。

人助け、いや、天狗助けだと思って一度でいいんで死んではくれませんかね?」

 

「……それだと、僕はこれからの生涯を太陽だけじゃなくて天狗からも隠れて

生きていかなくちゃいけないんじゃないのか。」

 

「その点は問題ありませんよ。そもそも誰も犯人に恨みを持ったりしていないんですから。」

 

「恨みが、無い……?自分達の長が殺されたっていうのにか?」

 

「ええ。今も恐らく、里では次の長を決めるために年寄り達とその取り巻きが

大口論を繰り広げていることでしょう。」

 

「そ、そんな……それじゃあまるで、殺された方が都合がいいみたいじゃないか!」

 

「都合がいいんですよ、少なくとも長の後釜を狙っている年寄り共にはね。」

 

「冗談だろ……?」

 

「見もしない誰かのために、そこまで感情的になれる優しい貴方とは違って、

天狗はずる賢いんです。」

 

――本当に、嫌気がさす。

 

まるで自分自身を罵倒するかのように、彼女は悲しそうな顔でそう言った。

 

「現に私も自らの都合で、何の関係もない貴方を殺そうとしている。

そしてその事に何の負い目も感じない。風よりも、音よりも早く殺します。

痛みを感じる暇もないので安心して下さい。では、『さようなら。』」

 

『キュィ―――――ッ』

 

天狗による本気の突進攻撃。

それは音速を超える少女の翼は一筋の黒い線を引き、僕の体を何の抵抗もなく消し飛ばす。

 

――ことはなかった。

 

「ごめんなさい、阿良々木さん。忍ちゃんが私のところまで飛ばされてきて、居ても立っても居られなくなってしまいました。忍ちゃんは安全な所に寝かせてありますから、安心してください。」

 

「……ははっ、変わっていないのは君もだな。早苗ちゃん。」

 

さっき言っていた現人神としての能力なのだろう。

風の壁を作り、文さんの攻撃を防いでくれた。

 

「か、変わってないことないですよ!?ほら、胸だってこんなに成長しましたし!?」

 

ふむ……そう言われると確かに。

この胸は羽川と比べてもいい勝負ができるかもしれない。

 

「東風谷早苗さん。ここで彼に手を貸すという事は、貴女も我々天狗に敵対するということ

になりますが、承知の上ということでよろしいのですか?」

 

「そちらこそ、私達守谷の恩人である阿良々木さんに手を出すという事は、

守谷との全面戦争を望んでいると取りますが?」

 

マズい……ここで彼女達が争い合うだなんて、それこそ何の意味もない……!

 

「さな――

 

「おいおい、キスショットの気配がしたと思って驚いて戻ってきたら、何だよこれ。」

 

聞き覚えのある声が側にある大きな杉の樹から聞こえ、僕たちの視線がそちらに集まる。

 

「な、『何』だ、お前……!?」

 

そこにいる男は、僕と同じ身長で、僕と同じ髪の色で、僕と同じ声色で、

不気味な笑みを浮かべて、確かにこう言った。

 

「『何』と聞かれたら……そりゃまぁ、『阿良々木暦』だよ。吸血鬼。」

 

088

 

「黒髪に男性平均くらいの身長……そして種族は、『人間』……!」

 

「あれ?天狗じゃん。犬っころ天狗しかいないって思ってたけど、カラスもいたのか。」

 

「っ!!貴様がっ、真犯人か……!!」

 

「はぁ、真犯人って……証拠も無いのにそんな事言われてもなぁ……

それよりこっちの吸血鬼の方が犯人っぽくない?僕だって怪異の専門家なんだから、

無差別に退治したりしないって。」

 

「専門家?専門家だって?」

 

ってことは、忍野の伝言の『後輩』ってまさか……

 

「僕……つまりはパラレルワールドの『阿良々木暦』だっていうのか……?」

 

「『僕』、とかさぁ、お前なんかと同じ目線で僕を語るんじゃねぇよ。『化物』。

お前は『元』阿良々木暦のただの吸血鬼であって、『人間』の僕からしたらただの偽物で、

化物なんだよ、っ!っと。だから僕が大天狗を殺したって証拠はないんだから、

不意打ち必殺みたいな事するの、やめてくれよ。」

 

「大天狗様が殺害された事を知っている時点で、貴様が犯人であることは決定事項だ!!」

 

「しまった。失言失言。えっと……んで?誰が殺されたんだって?(笑)」

 

「貴様ァァァ!!」

 

『止マレ。』

 

「えっ!?っ!!?」

 

文さんが男に殴りかかろうとしたと同時に男は何かをつぶやき、

瞬間、文さんの動きがそこで止まってしまう。

 

「『天狗に対する絶対命令権』。こんな便利なものを大天狗が持ってたとは……

棚からぼた餅ってところかな。」

 

「やはり、大天狗様を……!我らが父を……、よくも、お父さんを……!!」

 

両眼から大粒の涙をこぼしながら文さんは男をにらみつけるが、天狗という種族の

血に刻まれた掟がその憎しみを行動に起こす事を許すことはなかった。

 

『堕チロ。』

 

「ぁ―――」

 

「文さん!!」

 

命令に従い、気を失った文さんはそのまま地面へ向かい、自由落下を始める。

……が、僕よりも反応の速かった早苗ちゃんが文さんを寸での所で受け止めた。

 

「あ、ミスったな。お前達を殺させてから自殺させればよかった、

眼が怖過ぎて焦っちゃったぜ。」

 

「この野郎……!」

 

「そんな怖い顔すんなよ、吸血鬼。あの天狗に狙われてたんだろ?

なら僕はお前の命の恩人じゃないか。」

 

「ふざけんな!!」

 

『バシィ!!』

 

「なっ!!?」

 

吸血鬼のフルパワーで殴ったのに、片手で、しっかりと受け止められた。

 

「落ち着けって。血の気が多いなぁ。何かやなことでもあったのか?

僕が聞いてやるから、話してみろよ。」

 

「お前……人間じゃなかったのかよ。何のためにここまで来た!!」

 

「無視かよ。あれ?お前も知ってんだろ?忍野メメ。ほら、あのアロハの……」

 

「答えろよ!!」

 

ノラリクラリとした態度に腹が立つ。

忍野に似ているようで、全く違う、こいつは人の神経を逆なですることを楽しんでいるのだ。

 

「はいはい、ったくうるせぇな。人間だよ、人間。銃に撃たれれば死ぬし、

包丁に刺されれば死ぬ。水や食物を摂らなければ死ぬし、

高い所から死ぬ。あ、でも今のところ寿命では死んでないなぁ。」

 

今のところ……?こいつ、一体何を言って……?

 

「んで……あと何だっけ?あぁ、ここに来た理由だっけ?何てことないさ。

『アイツ』を――いや、お前は知ってるのか。

『キスショットアセロラオリオンハートアンダーブレード』を救うため、僕はここに来た。

お前もアイツに情があるというのなら僕の邪魔はしない事だな、吸血鬼。」

 

そう言い残し、豪風と共に人間、『阿良々木暦』は姿を消してしまった。

 

089

 

「キスショットを、救う?だって……?あいつは……あの『阿良々木暦』は……?」

 

救うも何も、キスショットは……

 

「っ!!そうだ、忍!!それに早苗ちゃん達も!!」

 

早苗ちゃんの言っていたように、忍は少し離れた木陰で眠っていた。

ここ最近、忍は特に眠っていることが多いな……

僕とは違い、常に吸血鬼性を抑えている忍には日中の行動は疲れてしまうのだろうか。

まぁ特に目立った傷などもないので、きっと大丈夫だろう。

僕は忍を静かに影の中に落とし、早苗ちゃん達も元へ向かった。

 

「あっ、阿良々木さん!!さっきのもう一人の阿良々木さんは!?」

 

「どっかに行っちゃったよ。わけわかんないこと言って。それより文さんは?大丈夫?」

 

「はい……気絶しているだけみたいなんですが……」

 

「気絶したままじゃどうしても天狗に狙われるだけだよな……」

 

「はい。博麗神社や守谷に連れていけば誘拐、天狗の里に連れていくか、この場に置いていこうなら宣戦布告と取られるでしょうね……」

 

どうしたものか……

 

「おーい!暦ー!守谷のー!どこだー?」

 

声のした方に目を向けると、嫌に曇った空に小さな鬼の影が一つあった。

 

「す、萃香!?」

 

「おー、いたいた。どうやら少し遅かったかな?いやぁ、ごめんごめん。

暦達二人の力が急に膨れ上がったもんだから、人里の皆やら妖精が大騒ぎでさ。

人の渦に霊夢が呑み込まれそうになってたから私が代わりに駆けつけたんだ。

……それで、何があった?」

 

「えっと……」

 

近くにあった小岩に腰かけ、かくかくがしかじかでうんぬんかんぬんをあーだこーだったことを萃香に説明した。

 

「それじゃあメメの言っていた『後輩』っていうのは暦自身だったってことか……

そいつに大天狗と射命丸がねぇ……」

 

「僕……じゃなくてアイツが言うには僕達吸血鬼や怪異なんかと一緒にするなって話だったけどな。事あるごとに主張してた。『お前たち化物と違って僕は人間だ』って。」

 

「『化物』と、『人間』……それじゃあそっちの……えーっと、面倒だな。『偽暦』ってわけでもないし……『裏暦』にしとこうか。その『裏暦』は自称人間てわけかい?」

 

「いや……自称じゃなくて、あれは人間だったよ。少なくとも怪異の気配は感じなかった。」

 

「天狗を下し、吸血鬼の拳を片手で受け止める人間だって?笑えないねぇ。」

 

「『裏暦』さんは『キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード』を救うために来たって言ってたんですよね?」

 

「うん。でも早苗ちゃんも知ってるように、忍はここにいる。だからきっとあの『阿良々木暦』は僕とは違う世界、『パラレルワールドの阿良々木暦』なんだよ。」

 

「ぱ、ぱられ?何ですか?それ?」

 

「パラレルワールド、いわゆる並行世界って概念があって、今僕達が存在している世界に平行して、様々な世界が無限に広がっているんだ。」

 

「は、はぁ……?」

 

「例えば早苗ちゃんが幻想郷に来なかった世界。例えば僕と君が出会わなかった世界。

そもそも君の世界に僕がいないことだってあるかもしれない。つまりは僕達から見た『かもしれない』の世界がパラレルワールドってことかな。」

 

「ほえー。やっぱり物知りですね!阿良々木さん!!」

 

「いやぁ、伊達に百年以上生きてないさ」

 

そこには実体験と受け売りを得意げに語る吸血鬼がいた。

というか、僕だった。

 

「それじゃあ『裏暦』さんの世界には忍ちゃんがいないってことなんでしょうか……」

 

「わざわざ『キスショット』って呼んでたからな……もしかしたらそうかもしれない。」

 

「つまりは『裏暦』には果たすべき目的があってここに来たってわけか。

……おい、紫。あんたの事だ。そこにいるんだろう?盗み聞きしてないでさっさと説明したらどうだい。」

 

萃香は僕の後ろの『何か』を睨みつけ、鬱陶しそうに言い放った。

 

「ふふ、バレていました……って、あら?」

 

が、紫さんが姿を現したのは萃香の睨み付けていた所とは全く的外れな所だった。

 

「…………。」

 

酔った鬼さん真っ赤になった。

 

090

 

「確かに先ほど暦さんの仰っていたとおり、あの『阿良々木暦』さんは別の世界線の住人です。」

 

小さくなって隠れてしまった萃香を早苗さんに捜索してもらい、僕は紫にあの男についての話を聞かせてもらっていた。

 

「や、やっぱりアイツの事知ってるんですね!?」

 

「ふふ、最初にお会いした時にも言ったでしょう?『私は少なくとも、阿良々木暦という男のことなら何でも知っている』、と。それは例え別世界の『阿良々木暦』だったとしても例外ではありませんから。」

 

「知っているなら教えてください、紫さん。アイツの気配は完全に人間のモノだった。

それなのにアイツは吸血鬼の全力を片手で受け止めたんです。あれは、あの力は……?」

 

「……月の姫の伝説。金閣の屋根を持ち上げた怪力がその秘密ですわ。」

 

「月の……?」

 

「……残念ですが、これ以上は教えられません。」

 

「え、な、何で!?」

 

「これ以上はフェアではないですから。物語を破綻させてしまいます。」

 

「物語……?ぎ、犠牲者だって出てるんですよ!?冗談を言ってる場合じゃないでしょう!!」

 

「犠牲者だって出るでしょうね、全ては筋書き通り。

今更語りだした物語を放棄することは許されません。

阿良々木暦さん、物語を終わらせる事が出来るのは語り部である貴方しかいない。

それが物語に選ばれた主人公の義務であり、責任なのです。」

 

この世界に、この物語に、どうか相応しい結末を―――

 

意味不明な言葉を残し、紫さんは再びスキマの中に潜っていってしまった。

 

「物語の、結末………」

 

……そんなの、ハッピーエンドが良いに決まっているじゃないか。

 

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