幻物語   作:K66提督

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こんにちわ。K66提督です。
いつもより早く投稿できました!
なんか嬉しいです(笑)

今回は戦闘よりも会話の方が多い回になりました。
その場の雰囲気が上手く伝わっているといいなと思います!
それでは、『幻物語 弐拾ㇳ玖』をお楽しみ下さい!


幻物語 弐拾ㇳ玖

115

 

 

「暦!奴だ!奴が出た!!」

 

戦闘訓練の休憩で木陰で談笑していた所に、魔理沙が血相を変えて

飛び込んできた。

 

「ま、魔理沙!?お前パチュリー達と魔界に行ったんじゃ……」

 

「あぁ、アリスの母親がウザいから逃げてきた。それよりも奴だ!

とうとう姿を現しやがった」

 

「遂に最終決戦ってことね……私達にケンカを売ったこと、今度こそ後悔させてやるわ」

 

「それで魔理沙あいつはどこに?」

 

「地底だよ。アイツ等地底に隠れてやがった」

 

アイツ“ら“?

 

「なぁ魔理沙、複数系なのはどういう意味だ?」

 

「規模が大きくなってやがる。鬼人正邪って指名手配犯と手を結んで、

善悪の判別が付かない低級な付喪神を従えて軍を作ったんだ」

 

「一人でも厄介なのに仲間を作ったってことか……」

 

「霊夢と萃香、妹紅達が先に向かってる。お前達もすぐに準備してくれ!」

 

「わかった。僕はすぐに行けるけど、、レミィ達は?」

 

「うーん、そうね。本当なら全員でパチェの弔い合戦といきたい所なんだけど」

 

「死んでねぇよ」

 

「流石に紅魔館を完全に留守にするのも心配ね、火事場泥棒を企む輩も出るかもしれないし。そうねぇ……じゃあ美鈴と咲夜、アナタ達暦について行ってあげなさい。

留守は私とフランが預かるわ。」

 

「「「えっ!!?」」」

 

レミィの言葉に忍を除く、その場の全員が驚きの声をあげる。

 

「何よ」

 

「い、いや……てっきりレミィは絶対自分が行くって譲らないと思ってたから……」

 

「てっきり留守番は私だと思ってました……」

 

眼をまんまるにして驚く美鈴さん。

 

「お嬢様、よろしいのですか?私共としても、もちろんお嬢様方が戦場に出向かない方が

心配事がなくてよいのですが……」

 

「嫌だ!私は行く!!お留守番はお姉様だけでしてればいいじゃない!」

 

「駄々をこねるな、フランドール。レミリアも考えがあっての事じゃろ」

 

駄々をこねるフランを諭し、珍しくレミリアをフォローする忍。

 

「力が抑えられている忍ならまだしも、私達があの男と対峙するのは不都合な事が

多い。この間と違って今回はこちらから攻め込むわけだし、気づかない所からいきなり

襲われて力を奪われる、何てこともあるかもしれない。となると対処のしにくい能力を持っている私達は行くべきではないのよ」

 

「ま、そういう事じゃな。しかし今の儂の吸血鬼性はスペルカード無しでは復元できない。

つまりは奪われる力がそもそも無いということじゃな」

 

「僕はできれば忍もここに残って欲しかったりするんだけど……」

 

吸血鬼性が薄いってことはつまり殺されれば死んでしまうってわけで……

 

「やだ」

 

「だよなぁ……」

 

知ってた。

 

「むー……!!っじゃあこの前のお兄ちゃんのやつ!す、すい……ほう?あれなら

人間の女の子と同じぐらいになるんでしょ!?」

 

「そんなの余計に行かせられないわよ。人間が旧地獄なんかに行ったらそのまま帰ってこられなくなるじゃない。」

 

そりゃそうだ。

 

「いくら吸血鬼性が薄いっていってもやっぱり人間とは違うから忍は大丈夫なんだよ。

帰ってきたら僕がうんと遊んでやるから」

 

「ほんとっ!?絶対だからね!約束守らないとキュッとしちゃうからね!?」

 

これは……早まったかな……?

 

「えっと……ちなみに何で遊ぶつもり?」

 

「せんとーくんれん!咲夜達とやってたやつ!!」

 

それ約束守ってもキュッとされちゃいません……?

 

冷や汗をにじませる僕の肩に優しく手がのせられる。

 

「お前様……」

 

「忍……?」

 

忍が普段見せない笑顔をにっこりと僕に向けていた。

 

「何回か死ぬと思うけど、頑張ってね?」

 

「こういう時お前とリンク切れてる事が心底悔しいよ!」

 

 

116

 

 

僕の命と引き換えに、紅魔館に残る事を了解してくれたフランとレミリアを残し、

魔理沙の案内で僕達は地底へと向かった。

 

「よし、ここだ」

 

妖怪の山のふもと、箒から飛び降りる魔理沙の後を追い、僕達も大きな岩の目の前に降り立つ。

 

「岩……?まさかここが入口だったとか言わないよな?これじゃあ完全に崩れちゃったんじゃないか?」

 

「そういう風に見せてるだけさ。射命丸が多くの実力者を呼ぶために幻想郷各地に

報道してるからな。多分霊夢が面白半分のやつ等まで集まってこないように偽装の結界を張ってるんだ」

 

そう言って魔理沙は岩をすり抜けて奥に入っていく。

 

「きゃぁ!!?」

 

「っ!?魔理沙!!?」

 

岩の向こうから悲鳴が聞こえたので慌てて僕も岩の奥へ飛び込んだ。

 

「えっと……随分可愛い悲鳴だったね」

 

「……うっさい」

 

洞窟内に入ると、岩の足場が湿っていたからだろうか、金髪の魔法使いさんがひっくり返っていた。

 

「魔理沙さん大丈夫ですか、っとと。苔とか結構滑りますねここ……」

 

「なら浮かんでればいいじゃないの。律儀に歩く必要なんてないわ」

 

「『飛べよ』は禁句中の禁句ですよ咲夜さん……」

 

「うぬら……ここは既に敵地なんじゃから少しは緊張感を……ほれ、お出ましじゃ」

 

『――――ッ!!!』

 

現れたソイツの咆哮が洞窟内で反響し、空気を震わせる。

 

「な、なんだコイツ!?」

 

「付喪神、を狂化させて傀儡にしてるな……ちっ、えげつない事するぜ」

 

「思った通り、簡単には辿り着かせてくれないってわけか……!」

 

「いや、こいつらには悪いがこんな所で時間をくってられないからな。

ちょっと荒いけど通してもらうぜ」

 

『恋符――

 

「ちょっ、魔理沙、こんな狭い所で……!」

 

――マスタースパーク』!!

 

『――ッ!!』

 

付喪神の断末魔と共に、洞窟が崩壊した。

 

 

117

 

 

「バカ!魔理沙のバカ!何だってこんな岩だらけの洞窟の中でスペルカードなんて使うんだよ!崩れるに決まってるだろ!!」

 

崩壊し、降ってくる大岩から逃げ走りながら僕と魔理沙が取っ組み合いを繰り広げる。

 

「いいから走れよバカ!そうやって絡んでくると私まで潰されるだろこのバカ!!」

 

「バカって言う方がバカだろバカ!バーカバーカ!」

 

「くだらん事やっとらんで早う走れ!道がなくなってしまっては辿り着くものも辿り着けん!」

 

「もうすこし先に縦穴がある!そこから落ちれば旧都はすぐだ!そこで霊夢達と合流する!何があるかわからないし、念のため戦う準備もしておいてくれ!」

 

まるで洞窟までもが僕達を狙っているかのように、先ほどよりも強い勢いで

岩が迫ってくる。

 

「飛び込めぇぇぇぇえ!!」

 

自由落下。

僕達一行は、文字通り地獄へ落ちていった。

 

 

気がついたのはそれから大体20分ぐらい後だろうか、僕の半身は土に埋まっていた。

 

「あ、気がつきました?暦さん」

 

気絶して僕に気をまわしてくれたのだろう。

美鈴さんが膝枕をしてくれていた。

あと何故か咲夜さんが凄い睨んでる。

 

「イテテ……魔理沙のせいで余計なダメージを……」

 

「女々っちい奴だなぁ、男ならいつまでもうじうじ言うなよ」

 

「暦さん、目が覚めたならもういいでしょう。美鈴も、いつまでものんびりしないで」

 

「ははーん?さては咲夜さん、私に暦さんを取られて妬いてるんですね?なんなら譲りましょうか?膝枕」

 

「そそそそそ、そんなことないわよ!!?で、でもいい加減に起きてください暦さん!」

 

「「あ、はい」」

 

にやにやしていた僕と美鈴さんだったが、咲夜さんがナイフを光らせたのを見て、

一瞬で素に戻る。

 

「それで?落ちてきたはいいけど霊夢達とはどこで合流するんだ?」

 

大きな橋の向こうに、灯篭の光が見える。恐らくあれが旧都なのだろう。

 

「わからん。合流するとは言ったけど多分霊夢のことだからそのまま突っ込んでるだろうな」

 

「なんだよそれ……どうにかして霊夢と連絡はとれないのか?ちょっと前に万能便利アイテムを使ってたよな」

 

「陰陽玉の事か?今回は事態が急すぎたからな、預かってない」

 

「となると、わしらも先に進んで追いつくしかないってことじゃな」

 

「それなら早く行きましょう。今こうしてる間もあの男は計画を進めているに違いありません」

 

「そうだな、急ごう」

 

「……盛り上がってるところ悪いのだけれど、そのまま進んだらアナタ達死ぬわよ?」

 

「っ!!?」

 

背後にいきなり現れた気配に、その場の全員が臨戦態勢をとる。

 

「ってなんだ、パルスィか。珍しいなお前から話しかけてくるなんて」

 

金髪に翠色の瞳。そしてファンタジーの登場人物にいそうなエルフ耳。

またしてもとびきりの美少女の登場だ。

 

「別に。アナタ達が状況を弁えずに楽しそうにお喋りしてたのが妬ましかっただけよ」

 

「ふーん。ま、いいや。それで?何があったんだ?橋を渡っただけで死ぬなんて随分と物騒じゃないか」

 

「旧都は今戦場よ。既に半分以上が奴らの手に落ちてしまっている。戦況を知らないあなた達がのこのこ入って行っても無駄死にするだけでしょうね」

 

「は、半分以上……?旧都のゴロツキ達が低級付喪神なんかに圧されてるっていうのかよ」

 

「そのゴロツキ達が操られてる。よほど強い催眠にかけられているみたいね、

しかもそれがまだ伝染病みたいに広がっている。都が完全に落ちるのも時間の問題よ」

 

「嘘だろ……地獄の鬼を操るなんて……」

 

鬼を、操る……?

敵戦力は付喪神だけじゃないってのか……?

 

「一介の鬼ならそこまで手こずる事はないのだけどね……いくら何でも『あの子』は反則よ」

 

「パルスィ、まさか――」

 

「……星熊勇儀。旧都最強の怪力乱神が、敵軍に取り込まれたわ」

 

 

118

 

 

いけ好かない。

悪党である事は確実なのに、奴はそれを認め、反省し、後悔している。

排除すべき絶対悪。

それなのになぜか奴に攻撃を加えるこちらが罪悪感を感じている。

 

「はぁああああ!!」

 

「はっはー、何だ何だ?怪力乱神の力はこんなものかよ?名前負けしてんじゃねーの?」

 

「上等……!」

 

『剛力・音を置き去りにした拳』

 

「ぐっ……」

 

バァアン!!!

 

音速を超える拳により潰された空気が炸裂し、常人ならその振動のみで死に至るほどの

衝撃が起こる。

それをまともに身に受けた男は……

 

「痛って。折れた折れた。絶対折れたわこれ。ほら、なんか腫れてるもん」

 

「化物が……っ!」

 

「お前に言われたくねーよこの怪力乱ゴリラー。そのおっぱいも実は筋肉なんじゃねーの??」

 

「言わせておけば!!」

 

休むことなく全てが一撃必殺の拳を何度も打ち込む。

 

「チッ、痛てぇって……!」

 

『召喚・黒イ嫌ワレ者』

 

…………っ!

 

「スペルカード!?」

 

男が放った札から、とても数えきれない数の鴉が現れる。

 

「こんなもん!!」

 

しかし赤い眼をした鴉は拳の一振りでバラバラに霧散した。

 

「次にこうなるのはお前さんだ……!」

 

自分の使い魔が一瞬で消されたにも関わらず、気持ちの悪い笑みを浮かべている

男に更なる一撃を――!!

 

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