書き溜めたストックを使いきってしまい、色々と試行錯誤していたせいで一日空いてしまって、もうしわけないです。
しかし、時間をかけたおかげか私のなかの厨二病がいい感じに発散できた内容となっております。
ご都合にご都合を重ねた厨二病乙な内容になっておりますので是非苦笑いでお楽しみ下さい。
010
「十、九、」
やれやれ、こんな所忍野のやつに見られたら絶対『元気いいなぁ、なにかいいことでもあったのかい?』とか皮肉をいわれるんだろうなぁ。
「五、四、」
さて、八九寺で鍛えた僕のクラウチングスタートを見せてやるとするか。
「二!一!」
女の子相手に戦うなんて僕の主義に反するんだけどなぁ、はぁーあ、用意。
「ぜr、」
「魔女っ子ちゃああああああああああああああああああああああんんん‼」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああ!!?」
「はぁっ、はぁっ、ああもうずっとツッコミたかったんだ!ねぇねぇなんでこんなひと昔前の魔女服みたいなのきてるの?なんで語尾に『ぜ』とかつけてるの?男言葉意識してるの?ねぇねぇ!あぁ、かわいいなぁ!あ、こら!暴れるな!スカートを脱がせにくいだろうが!」
はっはっは、この僕のシリアスがそう長く続くとでも思ったか!
え?運命のテンカウント?シリアス?なにそれ?そんなもん牛乳かけて食っちまったぜ!
「そりゃシリアルじゃろ、お前様。」
「ぎゃあああああああああ!うわああああああああああああああああああ!!」
「ちょっと!あんたなにやってんのよ!はなれなs…!!」
巫女さんの頬を忍の爪がギリギリのところで空振りしてゆく。
「かかっ、今のを避けるか、腋巫女。どうやら口がでかいだけのほら吹きじゃあないみたいじゃの。」
「当然よ。馬鹿にしないでくれる?」
「くそッ、中々しぶといぞこの娘、おい抵抗するな!おとなしくスカートの中身を見せろ!」
「み、見せるわけないだろうがこの変態があああああああああああああああ!!!」
『恋符・マスタースパーク』!!
「消えなさい!」
『霊符・夢想封印』!
「ちッ、少しかすったか、お前様!大丈夫か!」
「ぐぅぅわぁぁぁ!ばかなぁぁ!この、この私がこのような小娘にィィィィ!!おのれぇぇぇぇ!!」
「…大丈夫そうじゃな。」
「なっ!?」
「私たちのスペルカードが効いてない!?」
「いや、ばっちり効いておるじゃろ、あれ。」
「んぁぁぁあ!痛ぇぇぇえ…!」
「『アレ』はともかくあんたは…っ」
「かかっ、儂か?儂にはこれがあるからのう。」
と忍が掲げたのは、鞘の無い、一振りの太刀だった。
「『スペルカード』と言ったのう、そうじゃな、貴様らの作法に従うのなら、」
『妖刀・心渡り』
「かのう。そのまんまじゃが。」
かかっ、と忍は鋭い牙をむき出しにして凄惨に笑う。
「スペルカードがだめなら弾幕で叩き落とすまでよ!」
「くらえ変態!!」
「お前様よ、そろそろ真面目にやってはくれんかのぅ、流石の儂も一人で二人を相手するのはちと面倒なんじゃが。」
「わかってるよ。お遊びはここまでだ。」
ひたぎが死に、ここにくるまでの半年間、ずっと平和に隠居していたかというとそうでもない。むしろ旧キスショットと元眷属が完全吸血鬼化したと聞きつけた大勢のヴァンパイアハンターが僕たちの前に現れ(中には影縫さんもいたような気もするが、気のせいだと信じたい。)、毎日が死闘の連続だった。そのせいかおかげか、僕は吸血鬼の能力を完全に使いこなしていた。
僕はゆっくりと告げる。
『怪異・おもし蟹』。
かつて僕とひたぎが出会うきっかけとなった怪異の名を、
目の前の少女たちに語りかけるように。
011
『怪異・おもし蟹』
「え、」
「あ、あれ、なんで。」
二人の少女は訳のわからないといった様子で膝を落とした。
「おもし蟹。他には重石蟹、思いし神という名前もある怪異だよ。」
かつて、忍野のやつに聞いた知識を僕はそのまま口にする。
「この怪異は人の抱える『思い』と『しがらみ』を肩代わりし、代わりに支えてくれる神様なんだ。」
もっとも、この場合は僕の都合のいいように改良してあるが。
「『怪異を語り、伝える程度の能力』。」
紫さんが僕らの間に現れ、自信満々に語り始めた。
「したたかにして高らかにして愚かな吸血鬼、阿良々木暦。その能力は自身が見聞きし、体験した怪異を語り、相手にも経験させることのできる能力。」
「…でも、おもし蟹の話を、聞く限りじゃ、こんな風には、」
霊夢さんが額に汗をうかべ、きれぎれに言葉をつむぐ。
今、彼女たちには僕のおもし蟹にまつわる『思い』が『重み』として加わっているはずだ。
「それはまぁ、所詮は噂で伝わるような事だしねぇ、多少の変化は起こるでしょう。」
伝言ゲームみたいにね、と紫さん。
「さて、どうするかのぅ、儂らとしてはこのまま勝ってしまってもいいんじゃがのう。」
「へっ、冗談じゃないぜ、まだ私たちの残機は十分に余ってるんだ。満身創痍には早すぎる。」
「そういうことよ。私たちはまだ、負けてない。それに、」
『霊符・夢想封印』
『夢符・二重結界』
「『馬鹿にしないでくれる』ってさっきも言ったわよね。」
「おもし蟹が…?」
「かかっ、神を封印するとはの、神に仕える者のすることではないとおもうが?」
「大丈夫よ、神様は寛大だから。一発までなら誤射かもしれないじゃない。」
「巫女さん、それ以上いけない。」
「さて、」
ずり落ちかけたスカートを直しながら(ちっ)魔女っ娘ちゃんも立ち上がった。
「形勢逆転だな、変態野郎。」
012
「まずいぞ忍、」
「わかっておるわ。しかし儂らを閉じ込めておるこの結界を壊さんからにはどうにもならんじゃろ。」
「あ、いや、そうじゃなくて。魔女っ娘ちゃんの中で僕が完全に変態扱いされてるってことなんだけど。」
「変態じゃろ、お前様は。」
「え?」
「うん。」
「そうだったのか…いや、そんなはずは…」
「おふざけはそのくらいにしてもらえるかしら。」
巫女さんの凛とした声に僕と忍に緊張がはしる。
「これが弾幕ごっこじゃないならこのまま永久に封印してやるところなんだけどね、そういうわけにもいかないからさっさと負けを認めてこの地から去ってもらえないかしら。」
「私はまだ全然暴れたりないんだが。あの変態をボッコボコにしないと気が済まなそうなんだが。」
「…お前様よ、これはもう無理じゃろ。早めに諦めるべきじゃと儂は思うがのう。」
「い、いや、でも…」
「さぁ、どうするのかしら?あなた達に勝ち目はない。チェックメイト。詰みよ。」
「…はぁ、わかった、わかったよ。僕の負けだ。」
「ありゃ、ずいぶんといさぎいいんだな、もっとあがくと思ったが、拍子抜けだぜ。」
「おいおい。」
忍が肩をすくめる。
「いったい何を聞いとったんじゃ貴様は。負けたのはこの男で、儂じゃない。」
「は?」
「…あんまり暴れないでくれよ、忍。」
『怪異・キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード』。
「かかっ、それはまぁ、儂の気分しだいじゃな。まぁせいぜいそこで儂の勇姿を見とれ、我が従僕よ。見蕩れておってもいいがの。」
そこにはかつての力を取り戻し、見た者すべてを虜にする絶命の美女が立っていた。
僕の終わりと始まりの怪異、怪異殺しの怪異の王。
熱血にして鉄血にして冷血の吸血鬼、
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。
その力と姿を顕現させるには僕の持てる力全てを捧げなければいけないため、これは本当の本当に最後の手段なのだ。
今までこの力を使ったのは最初の一回のみだったのだが…
「詰みを覆すにはルールから逸脱した手が必要。仕方のないことじゃろ。」
動けない僕に全盛期に戻ってテンションMAXなお前ってのがやばすぎるんだよ…!
この後めちゃくちゃ~。の流れになるんだよ!
「そんな、あんた達、いったい何者…」
「通りすがりの吸血鬼コンビじゃ、覚えておけるものなら覚えておけ。人間。」
そこから先は、気絶してしまい何も見ていない。見ていないったら見ていない。
金髪の爆乳吸血鬼お姉さんがいたいけな少女二人を惨殺し続けるところなんて絶対に見ていない。
ちなみにこの後キスショットにめちゃくちゃ弄ばれた。(性的な意味ではなく)
013
結局、勝負がついたのは日がすっかり落ちたころだった。
「私たちの負けね。」
「くそー、こんな変態に負けるなんて…あんなの反則だぜ!」
「かかっ、あそこまでやってまだ正気でいられるとはの、なかなかタフな奴らじゃ。」
「さて、無事勝った暦さん達は彼女たちにどんな命令をするのかしら。」
いや、命令って紫さん…そんな薄い本じゃないんだから。
「どんな目に会わされても私はお前みたいな変態に絶対に屈したりはしないからな!」
魔女っ子ちゃんからの僕の扱いがどんどんひどい方向に向かってゆく。薄い本かよ。
「うーん、そうだな。よし、それじゃあ…」
「えっちなのはダメだぞ!ダメだからな!」
…なんだろうこのイジメたくなる感じ。
「いやだなぁ、僕が初対面の女の子にいきなりセクハラするような奴に見えるのかい?」
「「「「そうにしか見えない」」」」
異口同音。満場一致である。
「そんなこと言ったりしないから!清く正しい阿良々木さんだから!」
「わかったわよ。で?キモくやらしいむららぎさんは一体どんな命令をするのかしら」
くっ、巫女さんめ、八九寺みたいな返しを…
この巫女さん、デキるっ!
「お前様、話が進まんからさっさとしてくれんかのう」
「あ、そうだそうだ。じゃあ二人とも、僕のささやかな願いとして、」
「願いとして?」
紫さんが興味深々といった様子で先をうながす。近い近い。
「え、えっと、僕と、友達になってくれ。」
「「は?」」
二人の少女のあきれ声がハモる。
「ぷふっ、」
「忍さん!?なぜ笑うんです!?」
「く、くく、いや、『友達なんていらない。人間強度が下がるから。(キリッ』とか言って本当に数え切れてしまうほどの友達しかおらんかったお前様の口から『友達になってくれ』とか、あー、お腹痛い。」
「に、人間強度っていってももう僕人間じゃなくなってるし、それに怪異としては自分を知っている存在は多いほうがいいだろ?」
「あー、はいはい。そうじゃな。」
なにその生暖かい目。
「友達、ねぇ。ま、あなた達と友好を結んでおいて損はなさそうだしね。異変が起きないよう監視もできるし、私は別になってあげてもいいわよ。」
「う、友達…こんな変態と…いや、でも言うこと聞くって約束だし…ぐぬぬ。」
「魔女っ娘、いや、魔理沙ちゃん。」
「あ?なんだよ変態。」
「僕としてはスキンシップのつもりでも君が不快な思いをしてしまったことには代わりはない。だから僕に責任をとらせてくれ。」
「は、はぁ!?せせせ、責任って、なな、何を…」
魔理沙ちゃんの顔が赤く染まってゆき、
「僕と結婚しよう。魔理沙。」
爆発した。
「だ、だれがお前なんきゃ、お前なんかとけ、け、けっ…こ、ん、なんかするか!お前なんかせいぜい一生友達とかだ!ばーか!ばーかばーかばーか!」
「じゃあそれで。」
「ふぇ!?あ、う、こ、このぉ…」
「じゃあ、改めて、僕の名前は阿良々木暦。人間から吸血鬼に、吸血鬼から半人半吸血鬼に、そして最後には完全な吸血鬼に成ったごく平凡な男だよ。」
「歩んできた過去が平凡じゃないわよ…えっと、それで…」
霊夢さんの目線が僕の斜め下方向に向けられる。
「あぁ、こいつは忍野忍。伝説の吸血鬼、キスショット(以下略)の…なんだろう。」
「略すな、呼び捨てならまだ許せるが略すな。…まぁ搾りかすでいいじゃろ、表現的にはの。」
「なるほど、それでその搾りかすに妖力をいっぱいまで流し込んだのがさっきのってわけ。」
「そんなとこじゃ。」
忍が普通に会話してるな…気に入ったのかな?
「さっきのあれは色々と良くない影響が出そうだから使うのは控えてもらいたいわね。どこで何が起こってもおかしくないくらいの妖力だったから。」
「あれはあくまで最終手段だから、大丈夫だよ。滅多なことがなければ、使ったりしないさ。」
「滅多なことが起こりうるのよ。ここでは。っと、こっちの自己紹介がまだだったわね。私は博麗霊夢。幻想郷の素敵な巫女よ。そうね、霊夢でいいわ。」
「…霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ。」
「え?なんだって?」
「っ~!!!」
また一層赤くなった。どこまで染まるんだろう。
「…はぁ、あんまりイジメないでくれる?結構な腐れ縁なのよ、そいつ。」
「そうなんだ。じゃあこれからよろしく。霊夢、魔理沙。」
「ま、ほどほどにね。」
「ふん、お断りだぜ。」
魔理沙はまだ顔を真っ赤にして怒っているようだ。嫌われたなぁ。