今回はシリアスゼロの完全ギャグ回となっております。
厨二病の次は、妄想回ということで、僕の中の『かわいい女の子』像がこれでもかと
出没しておりますのでドン引きしながらお楽しみください。
014
「さて、忍、これからどうしようか。」
「吸血鬼的にはこれからが絶好調といったところなんじゃがのう。流石の儂も疲れたわ。」
「だよなぁ。」
現在、僕らは霊夢たちと別れ、暗い森の中をさまよっていた。
「でも知らない土地でいきなり野宿するわけにもなぁ。ましてや森の中だし。」
当然霊夢と魔理沙の家に泊めてもらえないか頼んだのだが、
『うちにはもう鬼が一匹住み着いてるから、これ以上増えたらたまったもんじゃないわ』
とか、
『ば、馬鹿言うんじゃないぜ!誰がお前なんか泊めるか!それに、ま、まだそんな仲じゃ…と、とにかくダメだ!ダメったらダメだ!』
というように断られてしまった。
ちなみに紫さんは気づいたらいなくなっていた。
「あーぁ、どっかに吸血鬼を受け入れてくれる立派なお屋敷とかないかなー。」
「そんなもん、あるわけないじゃろうが。あっても古城とかでその辺で寝るのと変わらんわい」
「いや忍、こういう発言をすることによってフラグが立つかもしれないぞ?」
「お前様に立つのは死亡フラグだけじゃろ。」
などと、うろうろしながらうだうだやっている僕らの目の前に新たな刺客が!
ということもなく、もはやお馴染みの『くらやみ』が待ち受けていた。
「いやいや、お前様、馴染んじゃだめじゃろ、これ。またかなりヤバいことにまっておるじゃろ。」
「そうだよね。逃げよう。」
吸血コンビは逃げ出した!
しかし回り込まれてしまった!
『アナタハタベテモイイニンゲン?』
「キェァァァァァァァ!!?シャベッタァァァァ!!?」
『くらやみ』って喋れたの!?ここまでで一番の驚きなんだけど!?
『ってあれ、こいつ人間じゃない?』
「え?」
「なんだー。人間じゃないならもっと分かりやすい恰好してくれよー」
と。『くらやみ』の姿は女の子に変わってしまった。
「く、くらやみって女の子だったのか!」
「お前様、こやつどうも儂らの知っておる『くらやみ』とは別種のようじゃぞ。」
「あ、やっぱり?どうりで喋ったりしたわけだ。」
くらやみだった女の子は忍と同じくらいの背丈で、頭に大きな赤いリボンをつけていた。
「えっと、ところでお嬢ちゃんはいったい?」
「私?私はルーミア。人喰い妖怪だよ。」
「人喰い…」
今の僕に彼女をせめる権利はない。僕だってそちら側の存在となったのだから。
「僕の名前は阿良々木暦。吸血鬼だ。」
「ドラララララギ?」
「ルーミア、さっそく僕の名前をJOJO第四部の主人公の掛け声のように間違えるな、僕の名前は阿良々木だ。」
「へぇー、そーなのかー。」
「……。」
「……?」
おかしいな、会話が続かないぞ。
「じゃあ私はお腹が減ったから行くね、じゃあね阿良々木。」
「あ、うん…」
なんだったんだあの子…
「お前様、儂もう無理、限界、おんぶ。」
「おんぶって…お前時間がたつにつれてだんだん幼くなってってないか?抱っこさせて。」
僕はしぶしぶ忍を抱っこして森を進んでいった。
「とにかくこの森を出ないことにはどうするかも決められないからなぁ。」
『あら、懐かしい気配がしたから出てきてみれば。また随分とちんちくりんになったものね、ハートアンダーブレード。』
血の色よりも紅い月に照らされた少女からは、僕らと似た雰囲気が漂っていた。
015
「し、忍、あの娘、吸血鬼だよな。なんかお前の名前知ってるみたいだけど何者なんだ?」
「ふふ、そこの男はあなたの下僕かしら。あの時は下僕なんて絶対に作らないと言っていたのに、どういった心変わりかしらね。」
「いや、誰じゃお前。」
「……。」
「……。」
場が沈黙に包まれる。この言い方だと本当に知らないのか忘れているのか…
「ふ、ふふ、まぁあれからかなりの時がたっているから、あなた如きの記憶力じゃあ覚えていられないのも無理ないかしら。いいわ、思い出させてあげる。」
「おい、頭かき回してでも思い出してやれよ。ちょっと涙目になってるじゃねぇか。」
「なんで儂が見ず知らずの小娘のためなんぞに必殺記憶術を使わなならんのじゃ。」
いや、だから見ず知らずじゃないんだって…少なくともあっちからは。
「わ、私の名はレミリア・スカーレット。スカーレットデビルの名で恐れられる高貴なエリート吸血鬼よ。」
「あー、思い出した思い出した。食べ残しの血で口の周り真っ赤かなかりちゅま(笑)吸血鬼のダメリアか。まだそんなチビだったのか。」
「か、かりちゅまとかダメリアとか言うな!!それに身長だって、あれから五センチも伸びたんだぞ!」
「三百年で五センチか、先は長そうじゃの。」
「お、おい忍、流石にそろそろやめてやったほうが…」
「う、うううううう!もおぉぉぉぉ!!さ、咲夜ぁぁぁ!!」
ほら、泣いちゃった。
「お呼びでしょうか、お嬢様。」
「うわっ、」
この女の人、一体今どこから…?
「貴様がダメリアの下僕か?小娘。」
「ふふん、咲夜は私の従者よ。下僕なんて下品なもの、私が作るわけないじゃない。」
「十六夜咲夜と申します。ダ…レミリアお嬢様のメイドを務めさせていただいております。」
「ねぇ、咲夜?今あなたまでダメリアって言いかけなかった?」
「気のせいですわ、お嬢様。」
「そ、そう。」
「しかしダメリア、貴様にしてはなかなか空気の読めた登場じゃったな。見直したぞ。」
「そ、そう?そうでしょ?ふふん、もっと私を褒め称えなさい。」
「いやー、すごい都合のいいタイミングの登場じゃなー、流石はかりすまお嬢様じゃー。」
人工音声もびっくりの棒読みである。
「ふふふ、やっと私の凄さがわかったようね。」
…なんだか不憫な娘だなぁ。
「ところでハートアンダーブレード様。『都合のいい』というのはどういう事なのでしょうか。」
「あ、実は僕たちこの森で迷子になっておりまして…」
「…?あなたは…?」
「この男はしたたかにして高らかにして愚かな吸血鬼。阿良々木暦。我が主様じゃ。」
「は、はぁ!?あんたの、主!?下僕じゃなくて!?」
驚きの声をあげたのはレミリアお嬢様だ。そりゃ怪異の王とまで言われていた忍を知っているものなら、こんな冴えない男の手下だなんて言われて、信じるほうがおかしいのだろう。
「ま、いろいろとの、あったんじゃ。」
「ふ、ふうん。あ、あなたが、『あの』ハートアンダーブレードを従えるほどの力を…」
レミリアお嬢様が少しおびえたような様子で僕を見上げてくる。
従えるなんて、とんでもない。僕が勝手にキスショットをこんな存在にまで引きずり降ろしてしまっただけだ。
「そうでしたか、失礼いたしました。暦様。」
「あ、いえいえ。そんな、やめてください。そんな『様』なんてつけられるほどの奴じゃないですから。」
「ふふ、そうですか。では『暦さん』と、呼ばせていだたきますね。私のことは咲夜、とお呼びください。」
「あ、じゃあ僕も、『咲夜さん』で…」
まずい、僕の苦手なできるお姉さんタイプだ。こういう人を前にすると羽川や臥煙さんを思い出してあまり逆らえなくなる。
「随分とご機嫌じゃない?咲夜。」
「い、いえ、そんなことありませんわ。」
「ふうん、ま、いいけれど。それで?ハートアンダーブレード、あんた達は私に何を求めているのかしら?」
「儂は忍野忍。今となってはその名は過去のものじゃ、何、貴様の屋敷に儂らの寝床を用意しろと、それだけのことじゃ。」
「お前、少しは頼む側の態度ってものをわきまえろよ…ええと、ダメかな?レミリア・スカーレットお嬢様。」
「…はぇ?お嬢…あ、そうね。そうよ!あなた、ハートアンダーブレードの身内にしてはなかなか礼儀がなっているじゃない。いいわ、泊めてあげる。ハートアンダーブレード、寛大なこの私とあんたの主様にせいぜい感謝することね!」
結構チョロいんだな、この子…。…将来が不安になるな。
「あー、はいはい、わかったわかった。感謝するぞーお前様ー。」
「ちょっと!私には!?」
「それでは、ご案内いたしますね。忍様。暦さん。こちらへ。」
「あ、どうも。」
「無視しないでよー!!」
なんというか、やっぱり不憫な娘だなぁと思った。
016
「で、でかい…!」
「悪趣味な色しとるのう。」
「ふふ、素晴らしいでしょ。これが我が屋敷、その名も『紅魔館』よ!!」
咲夜さんに案内してもらうこと三十分。僕らはついにレミィの屋敷にたどり着いた。
ちなみに今、僕は忍を抱っこしつつ、レミィをおんぶしている。
ここにくるまでの間、忍に無視され続けるレミィの相手をしていたら、すっかり懐かれてしまったようだ。
『暦!私のことはレミィと呼びなさい!』と、あだ名で呼ぶことさえ許可されてしまった。
「ようこそいらっしゃいました。暦さん、忍様。紅魔館一同、あなた方お二人を大切なお客様として歓迎いたしますわ。」
「はい。お世話になります。」
「咲夜、まずは二人を来客用の部屋に案内してあげなさい。私はパチェの所に顔を出してくるから、ディナーの準備ができたら、呼びにきて頂戴。」
「かしこまりました。お嬢様。」
「それじゃあ、暦、キスショット、また後で。」
「じゃからその名は…もういいわい、好きに呼べ。」
「うん、また後で。レミィ。」
そのままレミィは館のほうへ飛んで行ってしまった。
そこでふと、紅魔館に立ちふさがる巨大な門に違和感を感じた。
「あれ?レミィの話だと門番さんがいるんですよね?今日はお休みなんですか?」
「この時間ですと館の中ですね。魔の力が高まるこの時間に紅魔館に侵入しようとする輩なんていませんから。」
「あぁなるほど。納得です。」
確かに、ただでさえ吸血鬼の館という時点で近寄りがたいのに真夜中に忍び込もうとする死にたがりなんていないだろうな。
「それでは客室までご案内いたしますね。」
「はい、お願いします。」
しかし、僕の足は門の前で止まってしまう。
「…?暦さん?」
「えっと、すみません咲夜さん。『入ってもいいですか』?」
「あ、ごめんなさい、そうでしたね。『どうぞ、お入り下さい。』」
『吸血鬼は初めてくる家には招いてもらわないと入れない』という吸血鬼の特徴で、実に面倒な制約の一つだ。
最も、全盛期の忍ならそんな弱点だって無視できるのだろうが、まだ僕はそんな高みまで達していない。
ともあれ無事、咲夜さんに許可をもらった僕は紅魔館に足を踏み入れた。
017
「あ、おかえりなさい、咲夜さん。そちらの方は…?なんだかただならない妖気を感じますが。」
「レミリアお嬢様のご友人の忍野忍様と、その主の阿良々木暦様よ。お嬢様が紅魔館のお客様としてお招きしたの。」
「様はやめてくださいって咲夜さん…えっと、阿良々木暦といいます。よろしくどうぞ。」
「これはどうもご丁寧に。私は紅魔館で門番をさせてもらってます、紅美鈴といいます。お気軽に美鈴とお呼びください。」
「門番とか中国とかでいいですよ暦さん。門番といっても大体いつも居眠りしてるサボり魔ですから。」
「そ、そうなんですか…?」
「い、いやぁ、あはは…だってここの門番なんて暇なものですよ。みんな怖い所だっていうのを知ってますからね。」
「即刻辞めてもらってもいいのよ、美鈴。」
「さ、咲夜さん!?それだけはご勘弁を…」
「冗談よ。さぁ、暦さん。馬鹿は放っておいて行きましょう。美鈴、この後夕食だからあまり汚れないように。」
「は、はぁ…」
「了解です!」
元気いっぱいな美鈴さんだった。涎たれてますよ。