バイトやらなんやらの私用でなかなか書く時間が作れなくて…
いや!言い訳ですね!遅筆の本性がとうとう顔を出し始めただけです!
それでもまだ見放さずにいてくれる方がいらっしゃたら嬉しいです。
では、幻物語第陸話。お楽しみください!
022
霊夢達と別れる前、家への宿泊を断られた後、僕は一つ気になったことを霊夢に質問した。
「なぁ霊夢。」
「なによ」
「弾幕ごっこって妖怪と人間の力関係のバランスを保つためにあるんだよな。」
「えぇ、そうだけど。」
「でも『弾幕に当たって死んだら負け』ってルールだと、僕らみたいな不死身の妖怪は実質負けなしなんじゃないのか?」
「…ええっと、そうね、実は弾幕ごっこには『当たり判定』っていうのがあってね。」
「当たり判定?」
「そう。体の中心からある程度の範囲を当たり判定エリアっていって、そこに敵の弾幕が当たると死ぬ。って感じになってるの。」
「へぇ、ちなみに僕の当たり判定ってどのくらいまでなの?」
「あんた達吸血鬼の当たり判定はそうとう狭くてね。特にあんたらコンビの再生力なら心臓か頭が無事ならセーフでしょうね。」
「なにそのナメック星人」
「は?」
「いや、なんでもない。」
つまりは吸血鬼や不死身の妖怪にでも死が存在するのがこの弾幕ごっこってわけだ。
「そういうことよ。ま、弾幕ごっこじゃなかったら吸血鬼ぐらい一瞬で消滅させられるけど。」
どうやら楽園の巫女様の辞書には『容赦』という文字はないようだ。
023
「せっかくの特別なステージ、永久の夜をゆっくりと楽しみましょう。」
『神罰・スターオブダビデ』
レミィの周囲に六方星の描かれた魔法陣が展開し、レーザーと弾幕が発射される。
「まずは小手調べよ。あなたの力、存分に見せて頂戴。」
「っ!こんなの避けろってのかよ!」
霊夢がいうにはスペルカードには制限時間があり、避け続けていれば、いつかは必ず相手に隙が現れる。そこを狙うのだ。とのことだった。
「避けるったって限界があるだろっ!熱っ!くそっ、」
当たり判定が無いとはいえ、痛いものは痛いって!
『怪異・火虎』!
「燃やせっ!」
火虎。
かつて羽川が生み出した虎の怪異。僕が使う場合のコイツの性質は不安材料の除去。僕が危険と判断するであろうものをあらかじめ始末してしまう能力をもつ。
今回の場合、僕が避けきれないと思うであろう弾幕を火虎の炎が相殺するという結果になる。
「よし、これなら…!」
「あら、流石にぬるま湯すぎたかしらね。ならもっとすごいのをあげるわ。」
『神罰・幼きデーモンロード』
「う、お、な、なんじゃそりゃあ!?」
形状は先ほどのとは、さして差はないものの(強いて言うなら光輪が撃たれ始めたという所だろうか)、密度が尋常ではない。明らかに避けられる限界を超えている。
「ほらほら、あなたの力、こんなものじゃないはずよ。私は運命に縛られることのないあなたの真が見たい!見せなさい!あなたの選択を!」
『神槍・スピア・ザ・グングニル』!!
レミィがスペル名を宣言し終わるころ、すでに真紅の槍は僕の手の届く距離にまで迫っていた。
避けられない。そう自覚したとき、一人の伝説の吸血鬼の姿が頭をよぎった。
いや、ダメだ。これは僕が勝手に関わった案件だ。忍を、キスショットを巻き込むわけにはいかない。僕がなんとかしないと、『僕』じゃないとダメなんだ。
そして、真紅の槍が僕の服を突き破り、そのまま心臓に――
たどりつくことはなかった。
誰かが槍を寸前で停止させたのだ。だぼだぼな萌え袖で、その真紅の槍をつかみ取った。
「まったく、あなたはいつまでたっても愚かですねぇ、阿良々木先輩。」
そういう君は、相変わらず先輩に対する敬意がまるでないな。
024
先ほどから何だか騒がしい。
こっちは慣れない土地で彷徨ったせいでくたくたなのだから休ませて欲しいのだが…
『ドゴォ!!!』
爆音と共に部屋が吹き飛び、それと一緒に金髪ロリ吸血鬼ももれなくふっ飛ばされる。
「あ、みーつけた!うふふ、やっぱりすごい殺気。ぞくぞくしちゃうなぁ、ねぇお前、ちょっと私と遊んでよ!」
血の滲んだような赤黒い目を輝かせる彼女に、覚えがあった。
「…貴様は、レミリアの妹娘じゃな。」
「そう!私フランドール・スカーレット!お前は?」
「忍野忍。一度だけじゃが、あったこともあるんじゃがのぅ、忘れたか?」
「えー?私にあって生きてる人でしょー、うーんとねー、あー!!キスショット!お前キスショットでしょ!あれー?でも今忍野って言ったよね?キスショットの偽物?」
「偽物というかなれのはてというか搾りかすというか、そんな感じじゃ。」
「ふーん、よくわかんないからどうでもいいや!」
「しかしダメリアの奴、まだこの狂気の塊を始末しておらんかったのか。」
「あははっ、ダメリアってもしかしてお姉様のこと?面白いね!今度言ってやろーっと!」
「あいかわらず会話がなりたっておるのかわからんやつじゃな。フランドール。」
「じゃあ遊ぼうよ!殺し合いごっこ!ルールは死んだら負けね!」
「儂はもう少し寝ていたいんじゃがのぅ、まぁいいわい。遊んでやる。死んでも恨むなよ、キチガイ。」
「それじゃあ、よーい、ドッカーン!」
巨大な爆発と同時に、吸血鬼同士のもう一つの死闘が始まった。
025
「やれやれ、あなたという人は、あ、あなたという鬼は、のほうがよかったですかね?」
阿良々木先輩。と、およそ七十年以上ぶりにその生意気で、かわいい後輩の声を聞いた。
「扇ちゃん…?なんで…」
扇ちゃんは直江津高校を卒業と同時に姿を消した。なんでも羽川に対抗して旅に出たらしいというのは神原から聞いていたのだが…
「何でも何も阿良々木先輩。私はもともと怪異ですから、忍野メメの姪としての人生をまっとうしたとしても、あなたが私を必要とするなら、私はどこにだって駆けつけ、罵倒してあげますよ。」
最後の一言がなかったらめちゃくちゃかっこよかったんだけどなぁ…
「なるほどね、あなたの運命が見られなかったのはそういうこと。『一人の運命を見ようとしていたのに実は二人分だった。』そりゃあ見えないわよね。」
「運命…?」
「彼女は相手の運命を見る能力を持っているんですよ、阿良々木先輩。もちろんご存じかと思いますが。」
「でも知れた。高が知れたわ。暦。もしかしたらと思ったけど、やはりあなたを『あの子』に会わせるわけにはいかない。」
『紅色の幻想郷』
「堕ちなさい。」
紅い。ただそれだけだった。レミィから放たれた弾幕は鮮やかな紅で空間を満たそうと広がってゆく。
「あらら、まずいですね、どうするんですか?阿良々木先輩。」
「えっ、この状況で扇ちゃんが来たってことは扇ちゃんが今回の切り札なんじゃないの?」
「いやだなぁ、そんなわけないじゃないですか。それとも阿良々木先輩は、いたいけな後輩をあんな恐ろしいものの中に放り込むっていうんですか?」
「そんなこと言わないけどさ。」
「まぁ、切り札とは言わないにしても、お助けキャラ程度にはなれますかね。」
「扇ちゃん?」
「時間もありません、いいですか、阿良々木先輩。その耳を貫通させるぐらいかっぽじってよく聞いてください。」
「わ、わかった。」
「阿良々木先輩、吸血鬼の能力とはなんですか?」
「えっと、再生力?」
「それから?」
「それから…並み外れた身体能力とか、具現化能力とか、変身能力とか…」
「それです、阿良々木先輩。」
「え?」
「吸血鬼の能力の中で最も阿良々木先輩に適しているもの。それは変身能力です。」
「変身能力?」
「はい。あなたが春休みの時、唯一使いこなしたのは変身能力ですから。現在、阿良々木先輩は怪異を具現化させて使役しているようですが、その時、阿良々木先輩は何を意識していますか?」
「何を…みんなとの思い出かなぁ。」
「それだけ。」
「え、うん。」
「ではもっと深くまで意識してみましょう。初めて吸血鬼の変身能力を使ったときのように、その怪異の姿。雰囲気。能力まではっきりと。そして成りきってください、子供のころ変身ヒーローになりきって遊んだように。」
あなたの中の『最強』に
『怪異譚・キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード』