ISでアーマードライダーになるんだ 作:Professor灰猫
「……疲れたな」
俺は今……ヘルヘイムの森にいる。朝早く起きて、ここに来たのだ……眠い。
そういや今日起きて、急に莫大な情報量が頭の中に入ってきた為に、凄い頭痛もする。ちなみに生前の記憶は全て消えてしまい、何も思い出せない。あいつ……猫神のせいか。
俺が高校生というのは誤認だったらしく、実際にはもう卒業しているようだ。束やちーちゃんも一緒に高校を卒業している。全員20歳だ……ちなみに職業は俺が独立の研究員(兼フリーター)、束がフリーター、そしてちーちゃんこと千冬がユグドラシルの社員……ユグドラシルとは何処かで聞いたことがあるが、多分生前の記憶だから厄介な所ではありそうだ。束は前は俺と同じく、独立の研究員をしていた様だが辞めている……理由は分からん。
……さて俺がここに何しに来ていたかというと、勿論ロックシードの回収に決まっている。あの馬鹿猫がリンゴロックシードをくれたからな……それを束か千冬が持ち帰ったのだ。使われては身体が心配過ぎる。
俺が来たのは確か午前5時頃だった。そして今は午前10時頃だろうか……この5時間で、DランクからAランクのロックシード14種が全部集まった所だ。あ……あとサクラハリケーンとダンデライナーが1つずつだな。インベスは勿論いたが、敵ではなかった。取り敢えず今日はもう帰りたいのだが……。
「こんにちは。凌太朗くん♪2日目はどうかにゃ?」
来た……この笑顔、能天気な馬鹿猫だ。木の陰から来やがった。1日に1回は必ず来ると思っていたからな。俺は今、苦い顔をしている。
「別にどうって事ない。帰れ」
「まぁまぁすぐ帰るつもりだから、これを見て欲しいにゃ」
そう言うと馬鹿猫は白いタブレット端末を操作する。そして、その画面を俺に見せてきた。
「……!おい!」
そこにはリンゴアームズを装着したアーマードライダー……恐らく束だ。そしてもう1人、青い鎧武者……アーマードライダー鎧武……!
そして束達の目の前には……巨大化したシカインベスが、腕を振り回し暴れ回っていた。
「どういう事だ……猫神!何故あの2つ以外の戦極ドライバーが存在する……!そしてあのシカインベス……あれはロックシードを食わんとあんな姿にならんぞ!何故流通している!」
「さぁ……猫神さんには分からないにゃ♪」
そう馬鹿猫は、わざとらしく笑いながら言う。戦極ドライバーは可能性として、俺以外の誰かが作っていても……可笑しくない事は無いが、そう考えることも出来る。
だが、ロックシードについてはもう言い訳がつかないだろう。最低限昨日まではインベスゲームは無く、ロックシードの流通もしていなかった。それを1日で流行らせる人間離れした技を持つのは……この馬鹿猫神ぐらいだ。
「貴様……何がしたい!」
「だーかーらー!猫神さんは何も知らないってば♪」
ムカつく。この笑顔……ぶん殴りたい。
だが今はそんな事してる暇など、俺には無い。今すぐにでも束を助けに行かなければ……束はあのロックシードに
「貴様が何を考えているか知らんが……ヘルヘイムは俺が潰す。貴様は黙って見ているがいい!」
「そっか。じゃあ行ってらっしゃーい♪」
俺は怒りを顕にすると、ローズアタッカーに跨りエンジンをかけて、走り出す。束達を護る為に……ヘルヘイムの森を潰す為に。メーターがMAXになると、桜の花弁の隧道が現れて、その先にクラックが開かれる。そしてバイクは回転し、クラックの中に飛び込む。そして現実世界に戻って行った。
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「……自分の大切だった人を
その猫神……
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「いっく……ん……!?」
私は先程見た広場に駆けつけた。だが……私は言葉を失った。
そのいっくんが変身した青い鎧武者は、インベスゲームで戦っていた筈の金髪女を庇っていた……巨大な異型から。
それは元はシカインベスだったものだろうと思う……だが身体は膨れ上がり巨大化し、腕にはとんでもない程の筋肉。そして凶暴化しており、問答無用に暴れ回る。いっくんと思わしき鎧武者は、その攻撃から金髪女を守っていた。
「早く……逃げろセルシア!」
「は、はい……!」
そう鎧武者が言うと、金髪女は恐怖の顔を浮かべて後ろに下がっていく。
「ぐ……このままじゃ力負け……!ぐあっ……!?」
「グゥォアァァァァァ!」
シカインベスの凶暴化した異型は、鎧武者を横薙ぎで振り払う。鎧武者は壁に強く衝突してしまった。
「……!やめやがれぇぇぇぇぇ!」
私は昔の事を思い出して怒りが込み上げてくる。そして専用IS[
「グァァァァ!」
「なっ……いぎっ……!?」
だが……ISはインベスには効かなかった。シカインベスは私を振り落とす。身体に強い衝撃が走り、地面に激突するとさらに衝撃が増し、全身が砕けるような痛みが走る。挙句の果てにシールドエネルギーは一気に0となり、武装が解除されてしまった。
「っ……これは流石にキツい……」
「ね、姉さん……!」
「束!」
余りにも強烈な攻撃だったために、私は膝を付いてしまった……。そして声のする方を見る。そこには箒ちゃんやちーちゃんの姿もあった。そしてシカインベスはそちらの方を向く。
「グルルルル……!」
「嫌っ……!?」
「ふざけんなッ……この野郎!」
そして箒ちゃんに襲いかかろうとする……そのシカインベス見て私は立ち上がった。
昔、私がISを作った頃……この沢芽島に、
実際は何発か討ち漏らしが出てしまい、死者が出てしまったのを知っている……私は出来なかった。ちーちゃんと一緒に戦う事が……!人の命を護る事が出来なかった……!
さらにはこのIS……最悪の兵器を全世界に知らしめた……いや、知らしめてしまった。私はこれを後悔している……当たり前だろう。世界は人の命を護る為なんて考えてない……人の命を奪い、戦う為に使っている……世界も私もクズだ……!ISも私が生み出したものだが、私はISが大ッ嫌いだ!
私はそれから……人はクズしかいないと決めつけてしまった。私も、テロリストも、クソ政府も……。だけど……いっくんや箒ちゃん、そして……ちーちゃんとりょーくんだけは……!
今……箒ちゃんの命を護らなければならない……。だが、りょーくんはいない……それなら……!私は戦極ドライバーをつけて、このリンゴロックシードを握りしめる。
「束さんが……箒ちゃんを護る……!それがせめてもの償いだ……!変身!」
『リンゴ!』
「リ、リンゴか……?」
私は顔の横で、リンゴロックシードを解錠する。すると私の頭上に、クラックが開いてリンゴの鎧が降りてきた。箒ちゃんがきょとんとした顔で、そんな事を言うが気にせず、リンゴロックシードを戦極ドライバーに右手で押し込むように施錠する。
『ロックオン!』
すると洋風のファンファーレがその場に鳴り響いた。この音楽が……自分を変えて……いや、償いの1歩を踏み出せるように聞こえた。そしてカッティングブレードを左手で下ろした。
『カモン!リンゴアームズ!デザイア・フォビドゥン・フルーツ!』
そしてリンゴの鎧が私に装着される。さらに身体が白いスーツで覆われ、頭は赤い仮面に覆われていく。そして鎧が展開されて、素顔が映し出される。右手には、大盾のアップルリフレクターとそれに刺さった剣のソードブリンガーが握られていた。
「束さんが……この世界を蝕む、腐った果実を取り除く……!」
私はそう叫ぶと、シカインベスに向かって走り出した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
私は自分の姉の姿に……驚いてしまった。
自分の姉────篠ノ之束があんな目をして……顔をして戦っていくのを初めて見た。
今まで、何も考えずに生きていくような姉かと思っていたからだ。子供っぽい様な性格で、他人には無関心の人間。私からしてみれば────イメージは最悪だった。
だが……今、目の前にいる姉は全然違う人間に見えた。誰かのために戦う……そんな姉がいたからだ。
「……ふん。これが、こいつの強さという物か」
今────そんな男の声が聞こえた気がしたが、振り向けば誰もいなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「うらぁぁぁぁぁ!」
「グ……グォォォォォ!?」
束はシカインベスの背中に乗り、ソードブリンガーを突き刺した。シカインベスは激痛で、咆哮を上げている。
実は束の使っているリンゴロックシードの能力は[クラックの展開]や[ヘルヘイムの蔦を操る]などがある強力なロックシードだ。束はクラックの展開で、一気にシカインベスの背中に飛び乗ることが出来たのだ。
「す……すげぇ……」
それを見ていた一夏は、ただただ驚いているしかなかった。あんな超人技は自分には出来ない……昨日、鎧武者になったばかりの自分には出来ないと思っている。何故ならリンゴロックシードの能力を知らないからだ。
「あの……!一夏さんでいいのかしら……?」
「何だ?セシリア」
そう言って一夏に話してきたのは……敵対していた筈のセシリア・オルコットだった。彼女の顔は先程とは違って、心配そうな眼差しを向けていた。
「えっと……これをお使い下さい!」
「これは……!ありがとな!」
『パイン!』『ロックオン!』
一夏はパインロックシードを解錠して、戦極ドライバーに施錠した。和風の音楽が流れ出て、頭上にはパイナップルの鎧が現れる。そして、カッティングブレードを下ろした。
『ソイヤッ!』『パインアームズ!粉砕・デストロイ!』
パイナップルの鎧が装着され、アームズチェンジが完了した。そして自らの右手には、鎖付きハンマーのパインアイアンが握られている。
「うぉー……おりゃぁー!」
「グギゥゥゥゥゥ!?」
「うぉい!?」
その握られたパインアイアンで、シカインベスを吹き飛ばす。その上に乗った束の事をすっかり忘れており、束もバランスを崩して落ちてしまった。だが束はしっかり両足で着地する事が出来て、一夏の方に顔を向ける。
「びっくりしたじゃないか!いっくん!」
「あ……すみません、束さん……」
「ウォォォォ!」
「うぉっと!?」
シカインベスが怒りの咆哮を上げて、束と一夏に体当たりを仕掛けてくる。いち早く察した束は、クラックを開きシカインベスの後ろに回って足を切り裂いた。一夏は避けるので精一杯だったが。
シカインベスはバランスを崩して前に倒れ込むが、すぐ起き上がって箒達を襲いかかろうとする。
「させねぇ!おらぁ!」
「っ……!さっき箒ちゃんに手ぇ出したら束さんが怒るって分かんなかったかなぁ!?この能無しがぁ!」
「グォァァァァァ!」
だが一夏がパインアイアンを、シカインベスの腕に巻き付けて動きを止める。そして頭の血管が切れた束がまたシカインベスの背中に飛び乗りソードブリンガーで滅多切りにし、シカインベスは激痛で叫ぶ。それを見て一夏は少々恐怖を覚えた。
「……よし!これで終わりだ!」
「このインベス……ぶっ飛ばしてやる!」
『ソイヤッ!』『パインスカッシュ!』
『カモン!』『リンゴスパーキング!』
まず一夏がカッティングブレードを1回倒す。そしてパインアイアンをシカインベスの頭に投げると、パインアイアンの先端が大きくなり、シカインベスの顔にすっぽりはまってしまった。そして足に果実のエネルギーが充填された後、飛び上がりシカインベスに向かってキックをする。
それと同時に束が1回ジャンプして、カッティングブレードを3回倒す。束も足に果実のエネルギーが充填された後、飛び上がりシカインベスに向かって一夏の反対側からキックをする。
そしてそれが見事にシカインベスを貫き、シカインベスは果実のマークが浮かび上がった後に爆散した。周りからは歓喜の声が上がった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
頼む……間に合ってくれ!俺はそう願いながらローズアタッカーで走り続けるしかなかった。
「っ……!束!」
「凌太朗!束が……束ねがぁ……」
束とちーちゃんは先陰の広場から、少し離れた道にいた。束はうつ伏せになって倒れており、ちーちゃんは涙を流している。俺はかなり焦ってしまった。
「おい!束の家は何処だ!」
「し、篠ノ之道場を出てからは私も知らない……」
ちっ……あの馬鹿猫が!情報を頭に流し込むなら全部流せって言うんだよ!
「取り敢えず俺の家に運ぶぞ!いいな!」
「あ、あぁ……私も走って行く……」
そして俺は束をローズアタッカーに乗せ、そこに俺が覆いかぶさるように乗ると、急いでローズアタッカーで家に向かった。束が助かるようにと……強く願いながら。
悪役じみたセリフ言ってますけど、綺麗な束さんですね。
細胞からしてオーバースペックな束さんもを苦しめる……リンゴロックシード怖い。
実を言うと白騎士事件やISを作った理由、束のちょっとした性格は原作とは異なります(ヘルヘイムの森の関与等で)。
そしてちょっと本性を表した黒猫神さんですね。ありがとうございます。
この子は本当に悪い子なのか悪い子じゃないのか……。
そして箒の聞いた声の持ち主は……?