そして5年…熊は圧倒的な知能を手に入れKUMAとなっていた。
初投稿故、誤字脱字文法表現のおかしさなどありましたら報告お願いします。
この作品は小説家になろう様にも投稿させていただいております。
金太郎と出会ったのは俺がまだ20代、猟師になったばかりのころだった。
山での猟に慣れてきたばかりのころ、子連れの熊に出会った、俺が狩ってたのは鳥や猪なんかで、熊なんて初めて出会ったもんだから俺は驚いて無我夢中で銃を撃った、結果鉛玉は親熊の眉間を貫き、子熊の頬にかすった、当然ながら親熊は死に、子熊は俺が驚いて腰を抜かしているうちに逃げていった、その時の子熊が金太郎だ。
このときは悪いことをしたと思った、金太郎はまだ一才か二才くらいで小さかった、親を失えば生きては行けない。
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それから4年くらい経った頃、俺は金太郎に再会した。
「痛てて、こりゃ折れちまってんなぁ」
俺は山でこけて足を骨折し、その場で動けなくなっていた、しかし携帯で仲間を呼んだから安心して気を抜いていた、そんなとき金太郎が現れた、もっともこのときはまだ金太郎なんて名前つけちゃいなかったが。
「ガウッ」
「うおわあ!」
現れた熊の頬は一部が傷跡のように剥げていて、その傷跡があの時に弾が掠めた位置と同じだったからすぐに昔親を殺してしまった子熊だと気付いた、向こうは親を殺した俺の事を覚えていたようで、低い声で唸りながらゆっくりとこちらに迫ってきた。
当然ながら足を折って動けない状況で熊なんて相手できるわけがない、とっさに銃を構えたが、弾を込めていなかったから脅しにしかならないし、そもそも銃なんてわからない熊には意味がない。
「グルルルルル……」
しかし、銃を見るなりこいつはゆっくりと下がり始めた、熊は意外と賢いと聞く、サトウキビとか果物の味を覚えるとその味に執着し、畑を荒らすのがその例だ、こいつは親熊が死んだときのことを覚えているのかもしれない。
「おい大丈夫か!」
仲間の声が響く、金太郎はその声を聞き、急いでその場から離れていった、足は完治に半年かかったが無事に家に帰ることができた。
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それから一年、足も治り、体力も元に戻ってきた。
或る秋の日。食欲の秋、豊穣の秋と言うが、この日はやたらと獲物に出くわす日だった。
山の入ってすぐ猪に出会い、湖の近くに行けば鴨に出くわし、獲物にはならないが狸には三回遭遇した。
とは言っても獲物に遭遇したからって必ず仕留められるわけもなく、今日の獲物はまだ鴨が一匹といったところ、俺はもともと罠をメインに狩りをやってるから銃の方はそこまで上手くなく、それなのに獲物はどんどん出てくるもんだから銃の玉も残り少なくなっていた、あと二、三発といったところか。
「しっかし、獲物が出てくるのはありがたいが、罠の方にも少しくらいかかってくれりゃあいいものを、出てくる獲物も大抵気が立ってておっかなかったしよ…」
猪なんかは大抵切羽詰まったように走り回っていたし、三回出会った狸のうち一匹は向こうから俺に飛び掛かってきた、秋だから食べ物もたくさんあるだろうし、そもそも人を襲うほど凶暴な動物でも無いはずなんだが。
「っと、そろそろ最後の罠か、猪が掛かってくれてればいいんだがな、もう狸はこりごりだ」
いた、最後の罠に猪は掛かってくれていた、結構大きいサイズだ、しかしどうしたものだろうか、罠と言っても籠のようなものではなく、地面にワイヤーの輪を埋めておき、猪が踏んだら猪の足を縛るタイプの罠だ、イノシシ君は罠が仕掛けてある木の周りを元気に駆け回っている、気が立っていてすごく危ない。
「まあ、この距離なら俺の腕でも当たるだろう」
俺は銃を構え、猪を撃つ、三発とも外れた、もう銃は持たないほうがいいかもしれない。
仕方ない。正直危ないが、鉈を使って止めを刺すしかない、そう思って腰の鉈に手をかけたその時だった。
「グオオオオオッ」
「なっ!?」
大きな熊が俺に襲い掛かってきた、熊の太く力強い腕が頭上から振るわれる
「うおおおおおおっ」
咄嗟に鉈で防ぐ、うまいこと受け止め熊の鋭い爪に引き裂かれずには済んだが、熊の力は人とは比べ物にならない、俺は大きく吹き飛ばされ、背中を強く木に打ちつけた。
「つうっっ!!」
俺を吹き飛ばした熊の方を見る、頬の傷、間違いない金太郎だ。
「く、来るな!」
俺は銃を構える、こいつは銃の恐ろしさを知ってる、引き下がらなくても警戒くらいはするはずだ。
しかし、こいつは銃に怯えたそぶりは一切見せず、こちらにゆっくりと近づいてきた。
俺はあることに気づき、
「くそったれ!熊公ごときに殺されてたまるか!」
俺は銃を熊に向けて突き出す、しかし刃物でもないただの金属の塊である銃では熊の強靭な毛皮には刺さらない、すぐに跳ね除けられ、熊の爪が再び俺を襲う、また鉈を盾にしたが今度は弾き飛ばされてしまった。
「ガウルルルルルル……」
「くっ……」
武器となるものを失った俺にじりじりと熊が近づく、こいつは思っていた以上に賢い、そして執念深い、まだ子熊のころに親を奪った俺を
熊が俺の前に立ち、ゆっくりと右腕を
右腕が落ちてくる、なぜか視界がゆっくりと動いて、熊の腕の毛の一本に至るまではっきりと見えた、しかし体は動かない、別に俺が
ここで、死ぬのか…?
「プギッ」
突然、脇から猪が突進してきた、罠にかかっていたあのイノシシ君だ、足に括りついていたワイヤーが切れている、さっき飛ばされた鉈が偶然ワイヤーを切断したようだ、
イノシシ君の突進により、重たい熊の体が僅かにずれ、俺の頭を叩き潰すはずだった剛腕は当たらず、鋭い爪が俺の右目を掠めていった。
「ぐうあっ!」
鋭いような鈍いような痛みが走る、今すぐここでのたうち回りたくなるような痛みだが、そんなことをすれば熊は俺を逃さないだろう。
痛みを堪こらえ、全力で山を駆け降りる、命は守れたが俺は右目の視力を失った……。
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それから八年ほど経った、右目を失い狩人業をやめるかどうかの瀬戸際まで追い詰められた俺だったが、もとよりこの身は高校中退、まともな仕事に就けるほどの学もなく、右目の傷があっては接客のアルバイトもできない、仕方なく俺は猟師を続けていた。
「ふう、銀世界ってやつか……」
この日はよく晴れた冬の寒い日だった、真っ白に染まった山の中を歩く、右目を失って以来、運がいいのか悪いのかあの熊にはあっていない、別に復讐ってわけじゃないが、あの熊には銃弾の一発でも撃ち込んでやりたい、俺もあいつの親を奪っているし、あいつは俺の右目を奪った、今はあいこってとこだろう、もう八年も経つがあの熊が死んでいるなんてことはありえないだろう。
ヒグマの寿命は野生でも二十五年はある、ギリシャの動物園では五十年も生きた個体だっていたそうだ、奴はいま十二~十四歳くらい、まだまだ十年は生きるだろう、それにあの賢さだ、野生で五十年生きたって俺は驚かない、まあ今は冬眠していて会うこともないだろうが。
「ん?」
低い大きな音とともに突然あたりが暗くなった、いったいなんだ?
ふと、山頂の方を見上げる、そこには白い大波がこちらに向かっていた、そう、
「うわああああああああ!!!」
もう十年以上猟師をやってきて、あの熊以外の動物なら相手にできる自信があったが
俺は為す術なく、雪の
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「ハッ!」
薄暗い空間で目を覚ました、どうやら雪でできた洞窟のようだ、洞窟とはいっても明かりが奥のほうから差し込んできているから、すぐに出られそうだ。
「痛っ!」
立ち上がろうとしたが、足に痛みが走った、どうやら雪崩に巻き込まれたときに捻ったらしい、が折れてはいない、一日くらい休めば動けるようになるだろう、荷物も銃や鉈は無くなっていたが、背中のリュックサックの食料などは無事だった、リュックサックの中には薬や包帯なども入っているから応急手当も可能だ。
にしても運がいい、普通、雪崩に巻き込まれれば上に積み重なった雪の重みで動くことはできず、急激に体温を奪われて死んでしまう、こんな風に雪崩で洞窟ができるなんて聞いたこともないが、とにかく助かった、周囲は雪に囲まれ少し寒いが、そのうちかまくらのように温まってくるはず、動けるようになるまではここで休んでおこう。
「こんなもんか……」
足に包帯を巻き終わり、一息ついたそのときだった、自分に都合よく考えすぎていた、思えば雪崩に巻き込まれ、こんな状態で助かるなんてことあるはずがない、それこそテレビの番組にでもできるくらいの奇跡だ。
つまり、俺をここまで運んできた誰かがいるということ、そして獲物の少ない冬の山に入る猟師はほとんどいない、腹も減っていないから行方不明になった俺を探しに来たなんてことも無いだろう、つまり俺を運んだのは……。
「ガウッ」
そう、山の食料の少なくなる冬、熊が俺なんて見つけたら、でかい肉だ、喜んで食い物としてその場で食いつくだろう、いや、俺が死んでないってことは保存食ってのもあり得るか、なんにせよこの洞窟の持ち主は帰ってきてしまった、武器となる銃や鉈はなく、足も動かず逃げることはできない、まさしく絶体絶命だ。
「お前か……、いいぜ、親の仇で貴重な冬の食糧だ、そりゃ喜んで持ち帰るわな、介錯は一瞬で頼むぜ、生きたまま食われるなんて地獄だしよ……」
俺を運んできたのは、頬に傷のある熊、俺と奇妙に縁があるアイツだった。
「グルルルルルルル……」
熊が低く唸りながら俺に近づく、食うつもりだろうか?それとも一思いに殺す気だろうか?どちらにせよ、動けない俺に選択肢はない、ここまで来たらもう、受け入れるだけだ。
「好きにしろよ、思えばお前みたいな賢い熊に二度も襲われてよく生き延びたもんだ」
熊が近づく、俺は不思議と落ち着いていた、熊がもう俺の目の前にまで来た、そして…
「えっ?」
熊は俺を襲わず、寄り添うように寝転がった。
「おいおい、なんの冗談だ?これは夢か?」
「ガウ……」
熊が俺の頭に腕を乗せた、潰されるのかと思い、背筋が寒くなる、しかしかつて俺の右目を引き裂いた熊の腕は俺に危害を与えることはなく、安心させるようにポンポンと軽くたたくだけだった。
「ははっ、休戦ってやつか」
「ガウ」
本当に賢いし、どこか人間臭い熊だ、いや、人間で親を殺した奴を助けてやれる奴なんてどれくらいいるだろうか、まあ、俺の勘違いかもしれないが……。
「まさか、お前に助けられる日が来るとは思わなかったよ」
「……ガウ」
「お前も俺を助ける日が来るとは思わなかったってか?ははははは」
「ガウ」
「おおすげぇ、話通じてんな」
命の取り合いをする関係だってのに、友達ができたみたいだ、思えば俺に友達と呼べる存在が何人いただろうか…いや考えるのはよそう。
しかし、友達だってんなら……。
「少なくともこれから一晩は一緒にいる仲だ、いつまでも熊やお前じゃなんだしよ、名前つけてやるよ」
「ガウッ!」
「安心しな、いい名前つけてやるよ」
「ガウ」
「う~ん、そうだなぁ」
熊といえば何があっただろうか…そうだ
「金太郎、うん、これでいこう、よろしくな金太郎!」
「グルルルルルル……ガウッ!」
「痛でえぇぇぇぇ!!!」
金太郎が鋭い爪を俺の頭に立ててきた、どうやら金太郎は気に入らなっかったらしい
この後、俺は一晩中、金太郎と語り合った、とはいっても金太郎は「ガウ」としか返せねぇし、通じ合ってたのかはわからないがこれだけは言える、奴は金太郎と呼ぶと明らかにキレていた、いい名前だと思うんだがなぁ。
山から無事下山し、知り合いの猟師にこの話をしたがそんなことあるわけねえと笑われた、まあいい、俺と金太郎だけの思い出だ……。
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このときから山で金太郎と出会う回数が増えていった、友情みたいなものを築いた俺たちだがやはり立場は人と熊、猟師と獲物である、金太郎は親の仇ってのもある、向こうはさらに洗練された作戦でこちらに襲い掛かってくるし、俺も負けじと交戦した、狩る側と狩られる側が逆転している気もしたが、まあ自然を相手にするってのはそういうものだ、金太郎は相変わらず金太郎と呼ぶとキレる、いい名前なんだがなぁ。
一度、金太郎が仕留めようとした猪を横から撃ち抜き、横取りしたことがあった、あの後のことは今でも思い出したくない……。
最近獲れる獲物が少なくなってきた、見かけることには見かけるのだがなんか動きがおかしい。
猪なんかは罠にかかることなんてまず無くなったし、銃で撃とうにもこちらに気付いた瞬間、猪突猛進という言葉を真っ向から否定するようにジグザグに走り逃げていくのだ、中には真っ直ぐこちらに突っ込んできたかと思いきや直前で華麗にフェイントを決めて抜き去っていく猛者までいた、あの時の猪は見えなかったが絶対にドヤ顔していたと思う。
鳥なんかも仲間との連携が非常に上手くなり、最小限の犠牲で逃げ切るようになってきた
昔、骨折したときに俺を助けてくれた仲間の猟師は「こんなん普通の山じゃねぇよ、もうYAMAだよ!」と言って猟師を辞めていった。
しかし俺は諦めなかった、金太郎とのよくわからない友情から離れられなかったのが一割、俺をサッカーのワールドカップのプロ選手ばりの技術で抜き去っていったあのイノシシを撃ち殺してやりたいのが九割だ。
「くそっ、また抜き去りやがった…」
そして今日もイノシシに突破された、しかも今日は五匹ウリ坊を連れたイノシシに子連れで抜かれた、とくに俺の頭上を飛び越えたムーンサルトは思わず目を見張るものがあり、見てるうちにウリ坊にも逃げられていた、もう三ヶ月くらい鳥以外獲れていない、しかも前述のとおり最低限の犠牲で逃げるもんだから利益も少ない。
「にしても一体全体どうなってんだこの山は…」
今日の収穫は鳥二匹で終わった、そして山を下りていたその時、その光景を見て愕然とした。
「ガウッ」
「ブヒッ」
「フゴッブヒッ」
猪達が熊相手にフェイントの練習をしていたのである、そして相手の熊の頬には傷があり、すぐに金太郎だと分かった。
そして練習が終わると猪たちは金太郎にどこから捕ってきたのか魚などを差し出し去っていった、そして金太郎はその魚をうまそうに食べていた。
ここで俺は驚きから立ち直り、静かに銃を構えた。
間違いない、最近の山の様子がおかしかったのはこいつが原因だ、こいつを倒さない限り山の動物たちの知能はどんどん強化されてゆき、いずれどこぞのジャングル大帝のように人間に立ち向かってくるかもしれない……。
というか、獲物を横取りされたからって獲物自体を獲られないように強化するとは思いもしなかったぜ、大人げねえな……畜生……。
さすがの金太郎もやりすぎたと思ったのか、三年も経つとYAMAから元の山へと戻った、フェイントをかけてくるあの猪は無事に仕留めることができたとだけは記しておく……。
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「金太郎と出会ってからもう四十年も立つのか、早いもんだ」
或る年、秋も終わり、寒さが厳しくなってきたころ、俺はもう六十歳、金太郎は三十九~四十一歳ってところだろうか、あいつもよく生きてるもんだ。
俺は崖の上辺りを歩いていた、猟師として四十年間山を駆けていたため山はもう庭みたいなもんだったが、もう年だったということだろう、脆くなっていた地面に気付かず、崖の上から落ちてしまった。
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「ぐっ、痛え……」
崖下で目を覚ます、結構高さのある崖だったが、幸いそのままポックリ逝ってしまうことは避けれたようだ、足も動く、荷物もいくらか無くなっているが、銃は無事だ、しかし落ちてくる途中か落ちた時に腹あたりを強く打ったようだ、出血は無いが、感覚がおかしい、内臓をやられたのかもしれない、早く下山し病院へ行かなければ命はないだろう、しかし体は動かない。
意外なものだ、死ぬときは絶対に金太郎に負けた時だと思っていた……。
「そうじゃッ、ねえだろうッッ!!」
諦めてたまるか、死ぬときは金太郎にやられたとき?
違う、金太郎が寿命で逝っちまう前に金太郎に勝って、心残りなく逝くべきだろう!
「ふっ……くっ……」
重い脚を動かし、崖の壁沿いに山を下る、視界が霞み、思うように歩けない、もう一時間くらい経ったような気がするが進めた距離はせいぜい500mくらい、これは本当に危ないかもしれない……。
ふと、低い唸り声が聞こえた、重い頭を上げて声の方を見た。
「ははは、ほんっと奇妙なもんだなぁ、なあ金太郎よ……」
「グルルルルル……」
「まだ気に入らねえのか、もう最期だろ、受け取ってくれや……」
目線の先には金太郎が仰向けに倒れていた、奇遇なものだ、金太郎も崖から落ちたのだろう、左腕は変な方向に曲がり、左足には尖った岩が突き刺さり、右足に至ってはおそらく潰れている。
「お前も運がねえなあ……」
「……ガウ」
足を引き摺り金太郎に近づき、金太郎の前に座りこむ、そろそろ限界か……。
金太郎も俺の様子がおかしいことに気づいたのだろう、無言でこちらを見つめてくる、こいつは賢い、それに俺よりも多くの動物の死を見てきた、俺がもう長くないと判断したのだろう、折れている左腕で無理矢理起き上がり、右腕をゆっくりと上に上げる。
「いっちょまえに介錯してやろうってか?ははは、俺は人間だぜ?携帯電話って便利なものがある、とっくに助けを呼んだわ!介錯がいるのはどう見てもお前の方だろう金太郎」
「ガウルルルル……」
嘘だ、崖から落ちたときに携帯電話は壊れていた、金太郎もそんなことは気付いてるみたいだが、静かに腕を降ろした、そしてやっぱり名前は気に入らないようだ
「どっちにせよもうこれで最期なんだからよ、意地張るんじゃねえよ、熊のお前に俺がやれるものなんて名前か鉛弾くらいなもんなんだからよ……」
「ガウッ、グルルルルル……」
「何が気に入らねえ……」
金太郎が何を言いたいのかなんて分からねえ、熊と人だ、言葉は通じない……ん?
「あっはっはっは!わりいわりい、そういうことか、賢いお前のことだ、分かっててもおかしくねぇ、なら金太郎なんて名前気に入らないわな!」
「ガウ」
熊のくせしてやたら賢く人間らしいこいつだが、そこまで賢いとは思わなかった。
「だが、所詮熊だろお前、
「ガウ」
「ん、気にするのか…女の知り合いなんて母ちゃんしかいねぇしよ、よくわからねえや」
「……ガウ」
「なんだよ、その可哀想なものを見るような目はよ」
目が腹立つが時間も無い、名前を考えねぇとな…金太郎は性別的に駄目か、ならどんなんがいいかなぁ……。
「そうだ…シオンなんてどうだ?」
「ガウッ」
「はっはっは!そりゃよかった!……コフッ」
「ガウ?」
口から血が出てきやがった、もうお迎えが来やがったか…
「介錯はいらねえぜシオン、言ったろ助けを呼んだって」
「……ガウ……」
「……やっぱ気付いてるか……、気にすんじゃねえよ、それよりなまじ丈夫な分お前の方がきついだろ、このまま行くとシオン、お前の死因餓死だぜ」
「ガウッ!?」
「ははははは」
ほんっと人間らしい奴だ……。
「餓死ってのは辛いし寂しいだろうぜ、だからよ……」
俺は背中の猟銃を構える。
「俺が送ってやるよ……今までさんざん手こずらせやがって、獲物は大人しく撃たれとけ……」
「……ガウ」
「ははは、獲物扱いするなら泣くなってか?仕方ねえだろダチをこの手で殺るんだからよ、かってに流れて来やがる」
「ガウ……」
シオンが右腕を俺の頭に乗せた、正直重いがそんなこと気にしねえ、ダチの慰めだ、きちんと受け取らねえと……。
「いくら銃が下手な俺でも流石に銃口当ててりゃ外さねえ、きっちり送ってやる、安心しな、俺もすぐ行くからよ……もしあの世や来世なんてものがあったらよ……まあ、一緒に飲もうや……」
「ガウ……」
シオンが頭をこちらに差し出す、俺はその額に静かに銃口を添えた……。
「思えば長い付き合いだ、今まで楽しかったぜ……またなシオン、あの世か来世でよろしくな……」
「ガウ!」
熊の表情なんて分からねえが、最期にシオンは、確かに笑っていた……。
辺りに銃声が響き渡り、その音が消えると同時に、俺の意識も消えていった。
本当に、俺には勿体無いくらい、いいダチに出逢えたもんだ……。
シオンは中国、北京語で熊のことです、まあ正確にはシォン(xiong)ですが
まず初めに、この駄文を最後まで読んでいただきありがとうございました。
人生初作品かつ仲間内であみだくじを作り、小説のテーマ『熊』『介錯』を決めたため、至らぬところも多いと思いますがよろしければ批評をよろしくお願いします。
それでは縁があればまたお会いしましょう