遊戯王GXR   作:女神

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第八話 派閥争い

第八話 派閥争い

 

デュエルアカデミア本校舎。

 

「退学!?」

 

ある一室から十代の声が響く。

 

「遊城十代、丸藤翔。両名は、昨日侵入禁止の旧ブルー寮に入った事が確認されている。言い逃れは出来ん」

 

巨大モニターに映る女性が十代たちを睨みながらそお言い切る。

 

「だから!不審者がいたんだって!」

 

十代が必死に昨日あった事を説明をするがクロノス教諭の反論にあい合えなく撃沈。

これ以上は、十代たちの処分が決定しかねないので査問委員会の部屋に入る遊。

 

「なんだ貴様は!」

 

モニターに映る女性がこちらを睨みながら怒声を上げる。

 

「今は、査問委員会中なの~ネ。速やかに退室する~ノシニョール遊」

 

クロノス教諭がそう言うも退室する気配がない遊

 

「よかった。ここが査問委員会であっていましたか。いや道に迷っちゃって」

 

遊が頭を掻きながら十代に近づく

 

「だからさっさと退室しろ!」

 

「それは出来ません」

 

遊が毅然と拒否する。その答えに女性の顔がさらに怒りに満ちていく

 

「俺も昨日、旧ブルー寮の敷地内に入りました。十代がその件で退学になるのなら俺も退学にされるべきです」

 

「なっ!?」

 

「他にも【オベリスクブルー】の天上院明日香や【オシリスレッド】の前田隼人も寮内に入りました。理由だってあります」

 

遊の発言に驚くモニター内の面々。特にクロノス教諭は驚いた表情をしていた。

 

「不審者ですか」

 

「はい。昨日の夜、廃寮近くで明日香が攫われたのを助けるために寮内に侵入しました」

 

「(あれ?俺らが入ってから攫われたんじゃ・・・)」

 

「(細かい事は気にするな十代)退学にするなら5人全員を退学にするべきでは?」

 

「・・・」

 

「不審者が居たと言う証拠は?」

 

女性委員が食い下がる

遊は、そんな女性委員を睨みながら応える

 

「そもそも、どうして十代と翔だけで俺たちの事は気付かなかったので。本当に調査したのですか、どんな調査をしたら5人中3人も見落とすんですか?教えて下さいよ」

 

遊が嫌みたらしく言うと女性委員の顔が眼に見えて歪む

 

「なっ!貴様!我々を愚弄する気か!!」

 

声を荒げる女性委員

 

「碌に調査もしてねぇのに偉そうにすんな!『不審者がいた証拠』?そんなモノ自分たちで調査しろよ!学園の治安の維持はあんたらの仕事だろ!そもそも廃寮に入ったら退学って生徒手帳に書いてました?書いてなかったと思うんですけどそれでいきなり退学ってどんな高校ですか?訴えますよマジで」

 

「きっ貴様!!」

 

「まぁまぁそう怒られますな」

 

そう言って女性委員を制したのは鮫島校長であった。

 

「桐谷君の意見にも一理あります。しっかりと調査し精査した上で採決は、行われるべきだと私も思います」

 

「くっしかし廃寮に侵入したのは事実です!」

 

「もちろん不審者がいたにせよ、入ったのも事実。罰は、受けます」

 

「まっ待ってくれ遊。明日香は、攫われて入ったんだからノーカンだろ!」

 

「・・・それもそうか」

 

十代、自分がヤバい状況でも明日香を気遣うか。

やっぱお前は、いい奴だよ

 

「分かりました。ではこうしましょう。君たち三人には、制裁デュエルを受けてもらいましょう」

 

「「えっ!?」」

 

「なっ!?」

 

「それは、いいの~ネ(ドロップアウトはともかくシニョール桐谷は【オベリスクブルー】なの~ネ。退学なんてさせる訳にはいかないの~ネ)あっでした~ら、シニョール遊城とシニョール丸藤はタッグデュエル。シニョール桐谷はシングルデュエルを行ってもらいましょう」

 

「俺は、それで構いません」

 

「俺も」

 

「・・・」

 

「丸藤くん?」

 

「あっ僕も・・構いません」

 

「仮に負けた場合は、デュエル理論レポート20枚提出という事で。本来であれば退学処分ですが今回は大目に見ましょう」

 

「・・・」

 

「では、これで解散とします」

 

「くっ」

 

「シニョール前田はどうします~ノ」

 

「・・・彼は、もういいでしょう」

 

えっ、いいの?それで。あっモニターが消えた。

女の委員は何か不服そうだったけど

まぁいいか。終わったし

 

「あっ!十代、この後少しいいか?」

 

「うん?あぁいいぜ。翔は先に帰っておいてくれ」

 

「う・・うん」

 

「大丈夫か?翔の奴」

 

翔の奴は大分落ち込んでいる様だ。まぁ仕方ないわな、いきなり退学だもんな。信じられないなこの学園。いきなり退学って・・・まぁ違うからいいけど

その後、俺と十代はブルー寮の俺の部屋に向った

 

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【オベリスクブルー】の寮の近くの道

その場所を複数人で歩いているのは、【オベリスクブルー】の制服を着ている男子生徒、司玲治である。

彼の後ろには、3人のブルー生が付いて来ている。

今や玲治は、度重なる”ブルー狩り”と”追い剥ぎ”等の影響があり学内では【オベリスクブルー】の【大王】と呼ばれる様になっていた。

 

現在この学園のブルー生内では、大きく分けて4つの派閥が存在する。

まずは、学園最強にして【カイザー】の異名を持つ丸藤亮を筆頭にするサイバー流。学園内最大規模の派閥で1~3年生の生徒が所属している。

二つ目は少数派閥と言われる存在。

数人ないし数十人程度の派閥で複数存在している。万丈目の派閥もこの一つである。

三つ目は無所属と言われる存在。

基本的に一人で行動している者たちで、中に凄腕のデュエリストもいるらしい

そして四つ目が大王派と呼ばれる新興勢力である。

すでにその規模は、少数派閥を次々に飲み込みサイバー流に近づく程。その派閥のリーダーこそが司玲治なのである。

 

基本的に玲治は暴君である。

派閥内部の者は、彼と会うたびに御菓子をせびられ、ジュースをせびられ、派閥外の者のデータを収集させられる。見返りは、デッキ構築を手伝ってくれる。

遊城十代の事を馬鹿にすると激高し明日香に手を出そうとするとデュエルでワンキルされるので派閥内タブーとなっている。

何故十代と明日香に拘るのかは不明

 

ちなみにブルー女子内では、三大女王と呼ばれている人物たちが居る。

それは、天上院明日香 藤原雪乃 そして海堂あかり。

この三人が三大女王と呼ばれている。

 

ただこう云った派閥が多数存在すると起きるのが派閥間闘争である。

そして今、玲治たちの前に立ち塞がっているのはサイバー流の生徒であった。

 

「おい一年。道を譲れ」

 

「おや、先輩はご存知ない?デュエルアカデミアは実力主義である事を」

 

「だから、一年が二年に勝てる分けないだろ」

 

「おやおや、年上だからといって負けない理由になりませんよ。現に僕、先輩より強い自信ありますよ」

 

「なっ!?ふっいいだろう。ならここで俺が貴様を倒して格の違いを教えてやろう!!」

 

「それは、面白い。では、ご教授願います。先輩」

 

玲治    LP4000

ブルー二年 LP4000

 

「「デュエル」」

 

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「ジャイアントオークでダイレクトアタック」

 

「ぐあぁあ!!」

 

ブルー二年生 LP0

 

「馬鹿な、俺が一年如きに」

 

「この程度か。ありがとうデッキ返すよ」

 

玲治は膝を付くブルー生を一瞥するとすぐに振り返り自身の取り巻きの一人にデッキを返す。

 

「なっ!他人のデッキでデュエルしていたのか!」

 

こちらを見ていたもう一人のサイバー流ブルー生が食って掛かってくる。

そんなブルー生を冷えた眼で見る玲治

 

「だって雑魚相手に自分のデッキを使うよりさっき組んだ彼のデッキの回し方を見せた方が僕らに取って得でしょ?」

 

「舐めやがって!一年が!!」

 

ブルー生が玲治に詰め寄ろうとした時

 

「そこまでだ」

 

唐突に声がする。そちらを見るとそこにはブルーの制服を着た男女が立っていた。

それは、学園内最大派閥のサイバー流免許皆伝者【カイザー】こと”丸藤亮”と【オベリスクブルー女子】の女王の一人”天上院明日香”であった。

 

「お前たちデュエリストならデュエルで語れ。それ以外は、デュエリストの恥だ!」

 

カイザーに見つかった事でブルー二年生は、トボトボとその場を後にした。

その様子を見送ったカイザーは、玲治に近づく

 

「これはこれは、このような場所でお会い出来るなんて、カイザー亮」

 

玲治は笑みを絶やさずカイザーに言う。

 

「あなたこんな所で何しているの」

 

「いやぁ、ただのお遊びだよ。【オベリスクブルー】の生徒は無駄にプライドが高いから」

 

「俺の所の者が迷惑を掛けて済まない」

 

カイザーは、玲治に軽く頭を下げる。その様子を見た玲治は、驚いたような顔を一瞬したがすぐにいつもの和やか笑みを浮かべる

 

「でしたら今度デュエルの御相手でもして下さい」

 

「あぁ、俺も君のデュエルに興味があるからな。また今度デュエルしよう。ではこれで失礼する」

 

「じゃぁね~」

 

玲治は、去り行く明日香とカイザーに笑顔で手を振る。

そして玲治は、何も言わずにその場を後にした。

その顔は、何かを企んでいる悪い笑みを含んでいた。

 




次話「遊VS十代」

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