遊戯王GXR   作:女神

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第十話 ヒーローVS機械竜

第十話 ヒーローVS機械竜

 

十代と分かれて数時間が経過したとき十代よりPDAで連絡があり、翔が姿を晦ましたと。

すぐに十代たちと合流して事の顛末を聞く。

要するに

 

十代と翔が訓練デュエルする→翔が十代に説教される?→翔逃亡。

 

うん全体的に翔がおかしいのでは?と思うがそれを言うと話がややこしくなるだろうから言わずに、まず翔を探そう。

世話の焼ける奴だ。

 

「で、なんで僕まで呼び出されたの」

 

俺の後ろから非常に不満そうな声と視線を俺に浴びせてくる玲治。どうやらこれから晩ご飯を食べようとしていたらしい。俺に呼び出されたせいで食べ損じたので機嫌が悪いのだ。

後で何か強要されそうで怖い。

仕方ないけど。十代と翔に責任を取ってもらおう。うん、そうしよう。

 

「頼むよ玲治。十代のためだと思って、な?」

 

「・・・仕方ない。代金は、遊に支払ってもらおう」

 

「げっ!?マジで?」

 

「マジで」

 

玲治は、俺に対してそう言い放つ。今度の制裁デュエルまで俺は無事で居られるだろうか。俺は、男とはしたくないのに。

翔、マジ恨むぜ。

 

「それで、翔は見つかったの?」

 

「それを今から探すんだよ」

 

「ほっとけば?」

 

「十代が探してほしいだってよ」

 

「良し探しに行こう!」

 

さっき「ほっとけば」と言っていたのに変わり身はえーな玲治。

そう思いながら俺は、歩き始めている玲治の後を追い森に入って行く。

 

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見つけました。

丸藤翔を見つけました。

十代と一緒に海水浴楽しんでいる模様。

憎き敵、丸藤翔。お前のせいで俺の節操は玲治によって崩される。

くそ~。

 

「遊、口に出てるよ」

 

「えっ!?」

 

ふいに俺の隣で玲治が口を開く。

 

「遊の節操って言うのは知らないけど、あの二人は海水浴してるの?」

 

「えっあっあぁ」

 

「ふ~ん、僕には溺れている様に見えるけど」

 

「あの辺は、膝下あたりが海面だから普通あんな所で溺れねぇよ」

 

「そうなの?あっ本当だ、コアラ(前田隼人)の膝下ぐらいしかない」

 

「だろ?」

 

そんな事を言っていると崖下の方で何やら言い合いをしている。

 

「アニキには、僕みたいな臆病者の気持ち分かるはずないよ!」

 

「翔」

 

そんなやり取りを聞いていると、隣に立っていた玲治の顔は険しいものになっていた。

 

「どうした。怖い顔して」

 

「ん?いや、今の翔の発言が癇に障って」

 

「なに?」

 

「臆病者の気持ちって言っていたけど、翔は、臆病者だろうか?勿論、勝てない戦いを避ける行為や負けない様に逃げる行為は、臆病者と呼ばれるかもしれない。しかしそれは戦略的であって勝つための手段の一つだ。当然、責任もある。臆病者と罵倒されるかもしれないがそれは甘んじて受ける。戦わなければならない時は、戦う。それが臆病者だと僕は思う」

 

「・・・」

 

「しかし翔は、どうだろう?事の発端は、十代なので制裁デュエルを受けたくないと言うのであればその旨を学園側に親告すべきだろう。せめて十代の新しいタックパートナーを見つける事ぐらいはするべきだと思う。仮にも自身の意志で廃寮に侵入しんだからさ。彼の今の行動は、身勝手で卑怯だろ」

 

「臆病者じゃなくて卑怯者ってことか」

 

「少なくても僕はそう思うよ」

 

なかなか翔に厳しい意見を言う玲治。まぁ俺も無責任だと思うけど。

そんな感じのやり取りをしていると翔の実兄、カイザーこと丸藤亮と天上院明日香が十代たちの前に現れる。

 

「・・・お兄さん」

 

「逃げ出すのか翔・・・それもいいだろう」

 

「・・・」

 

カイザーに情けないと言わんばかりの顔で翔を見ていた。そしてその言葉には、失望の色が感じ取れる。

そんな兄の態度に下を向く翔。

 

「行っちまうってよ!あんたの弟!」

 

そんな翔の姿を見て十代がカイザーに言う。しかしカイザーは、十代の言葉にも顔色一つ変えずに仕方ないと言う。

さすがに驚きを見せる明日香。

 

「ならせめて餞別でも上げてやらねーか!俺とあんたのデュエルで!」

 

十代の提案に驚く面々。

 

「君とデュエル、いいだろう上がって来たまえ遊城十代」

 

カイザーが未だ海の中に足を入れている十代に上がってくる様促すと一行は一旦互いにデュエルディスクを取りに寮へ戻り、夜の港で再び落ち合う事になった。

 

「僕たちは、どうする?二人のデュエル見に行く?」

 

「俺は、行くつもりだけど、玲治は来なくてもいいぞ」

 

「いやいや、僕も見に行くよ。遊に今回の分の代金を貰わなきゃ」

 

「なっ!?何もしてねぇだろ!!」

 

「僕の時間を消費したからね。その分の代金はキッチリ貰うよ」

 

玲治は、そう言うと怪しい笑みを浮かべる。

その感じに遊は悪寒を感じずにはいられなかった。

 

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夜の港

その場所には、遊・玲治・十代・カイザー・明日香・隼人そして翔が居る。

十代とカイザーが向かい合いデュエルディスクを構え今二人のデュエルが始まる

そんな二人の事を不安そうに見つめる翔。

 

「「デュエル」」

 

十代   LP4000 5枚 先攻

カイザー LP4000 5枚

 

「俺の先攻ドロー!俺は、[E・HEROエアーマン]を攻撃表示で召還!」

 

E・HEROエアーマン A1800/D300

 

「エアーマン」

 

カイザーが怪訝そうに十代のヒーローを見る。

 

「エアーマンの効果を発動!デッキから[HERO]モンスター一体を手札に加える。俺は[E・HEROキャプテンゴールド]を手札に加える。さらにキャプテンゴールドの効果を発動!このカードを手札から墓地に送りデッキから[摩天楼ースカイスクレイパー]を手札に加え発動!!」

 

十代がフィールド魔法を発動すると辺り一帯に超高層建築物が並立して行く。

 

「俺は、カードを二枚伏せてターンエンド」

 

十代  LP4000 手札3 場4

 

「俺のターン、ドロー。俺は、[サイバードラゴン]を攻撃表示で特殊召還!」

 

サイバードラゴン A2100/D1600

 

「なっ!?レベル5のモンスターを生け贄なしで召還だと!?」

 

十代が驚いた様子でカイザーのサイバードラゴンを見ている。

 

「[サイバードラゴン]の効果だ。サイバードラゴンは、君の場にモンスターが存在し俺の場にモンスターが存在しない場合手札から特殊召還出来る。」

 

カイザーの説明を聞きすげぇと羨望の眼差しを向ける十代。

心なしかサイバードラゴンが誇らしげな顔をしている様に見える。

 

「俺は、手札から速攻魔法[禁じられた聖槍]をエアーマンに発動!この効果によりこのターンエアーマンは、攻撃力が700ポイントダウンしこのカード以外のカード効果を受けない!」

 

E・HEROエアーマン A1800→1100

 

「何!?」

 

「これによりエアーマンは、スカイスクレイパーの効果を受けなくなる。サイバードラゴンでエアーマンを攻撃!エボリューションバースト!!」

 

サイバードラゴンの攻撃により十代の場のエアーマンは、消滅する。

 

十代  LP3000

 

「くっ、だが俺はトラップカード[ヒーロー逆襲]を発動!自分フィールドのE・HEROが戦闘で破壊された時、自分の手札から相手は、一枚を選択し選択したカードがE・HEROモンスターであった場合そのモンスターを特殊召還し相手フィールドのモンスター一体を破壊する。さぁあ、カードを選べ!カイザー!!」

 

「真ん中のカードだ」

 

カイザーは、少し考え真ん中のカードを選択した。

 

「よっしゃ!あんたが選んだのはコイツだ!来い![E・HEROバーストレディー]!」

 

E・HEROバーストレディー A1200

 

「そして[ヒーロー逆襲]のもう一つの効果によりサイバードラゴンを破壊!!」

 

カイザーの場に居たサイバードラゴンはヒーロー逆襲のカードから放たれる光に当たり爆散する。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

カイザー  LP4000 手札3 場1

 

「俺のターンドロー![E・HEROプリズマー]を召還!プリズマーの効果でデッキから[E・HEROクレイマン]を墓地に送る」

 

E・HEROプリズマー A1700

 

「良し!プリズマーとバーストレディーで『トラップ発動![威嚇する咆哮]』なっ!?くっ、ターンエンド」

 

十代 LP3000 手札2 場4

 

「くぅうう!楽しいぜ!こんなワクワクするデュエル!!」

 

「ふっ、俺もだ」

 

十代がデュエルの感想を言うとカイザーもそれに同意を示す。

そんな兄の顔を見て翔は、何かに驚いている様だ

 

「お兄さんがアニキを認めている」

 

翔が呟いている事に本人たちは気付いていない

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード[強欲な壷]を発動。デッキから二枚ドロー。魔法カード[大嵐]、フィールド上の魔法・罠カードをすべて破壊する」

 

カイザーの発動した大嵐によって十代の場の伏せカードとフィールド魔法が破壊される。その様子に十代も危機感を感じているようで冷や汗をかいている。

 

「そして魔法カード[融合]を発動。手札の[サイバードラゴン]二体を融合![サイバーツインドラゴン]を融合召還!!」

 

サイバーツインドラゴン A2800/2100

 

「なっ!攻撃力2800!」

 

「それだけではない。サイバーツインドラゴンは、一度のバトルフェイズに二回攻撃が出来る」

 

「二回攻撃!!」

 

「そんな事が!?」

 

サイバーツインドラゴンの効果を聞き驚きを隠さない隼人と翔。明日香もさすがにまずい状況だと感じては居るが十代ならと思っている節が若干見られる。

 

「サイバーツインドラゴンでプリズマーとバーストレディーを攻撃!エボリューションツインバースト!!」

 

「ぐぅあ!」

 

サイバーツインドラゴンの連続攻撃により十代の場がら空き状態になる。

 

十代  LP300

 

「ターンエンド」

 

カイザー  LP4000 手札1 場1

 

「俺のターン、ドロー![E・HEROバブルマン]を召還。バブルマンの効果、召喚時に自分フィールドがこのカードのみの場合デッキから二枚ドローできる。魔法カード[天使の施し]を発動してデッキから三枚ドローし二枚手札を捨てる。そして魔法カード[戦士の生還]を発動!墓地から[E・HEROクレイマン]を手札に加える。魔法カード[融合]を発動!手札のバブルマンと場のクレイマンを融合![E・HEROマッドボールマン]を守備表示で融合召還!」

 

E・HEROマッドボールマン A1900/D3000

 

「よし!守備力3000ならそう簡単に越えられないんだな!!」

 

「俺は、カードを二枚伏せてターンエンド」

 

十代  LP300 手札0 場3

 

「俺のターン、ドロー」

 

カイザーは、ドローカードを確認すると一瞬口元緩めすぐに十代に目線を向ける。

 

「遊城十代。君のデュエルに敬意を示し俺も全力で君を倒しに行こう」

 

カイザーの言葉を聞き、十代は苦笑いを浮かべながらカイザーを見ている。そしてカイザーの言葉に最も反応を示したのはカイザーの弟、翔であった。

翔は、二人のデュエルで何かを感じたらしく先程までのおどおどした様子は無くなりまっすぐ二人を見ている。

 

「俺は、魔法カード[天よりの宝札]を発動!互いのプレイヤーは、手札が6枚になる様にドローする。魔法カード[死者蘇生]を発動!墓地の[サイバードラゴン]を特殊召還!さらに魔法カード[リミッター解除]を発動!このカードの発動時に自分フィールドに存在した機械族モンスターの攻撃力をエンドフェイズまで二倍にする」

 

サイバーツインドラゴン A5600/D2100

サイバードラゴン    A4200/D1600

 

「攻撃力5600と4200!?」

 

「しかもサイバーツインドラゴンは、一度のバトルフェイズに二回攻撃出来る!亮はこのターンで決めに行くつもりね」

 

驚く隼人と明日香、しかし遊と玲治は表情一つ変えずまっすぐ二人のデュエルを見ている。

 

「行くぞ遊城十代!サイバーツインドラゴンでマッドボールマンを攻撃!」

 

「トラップ発動![ヒーローバリア]一度だけ攻撃を無効にする!」

 

「だがサイバーツインドラゴンはもう一度攻撃出来る!行け!エボリューションツインバースト!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法[融合解除]!!」

 

マッドボールマンの融合が解除されバブルマンとクレマンが表側守備表示で特殊召還される。

 

「ならばサイバードラゴンでクレイマンを攻撃!エボリューションバースト!!」

 

サイバードラゴンの攻撃でクレマンが破壊される。

 

「くっ!だが耐えたぜカイザー!!」

 

「まだだ!十代!速攻魔法[融合解除]!サイバーツインドラゴンの融合を解除する。来い[サイバードラゴン]!!」

 

サイバードラゴン  A2100/D1600

サイバードラゴン  A2100/D1600

 

カイザーの場にサイバードラゴン二体が特殊召還される。

 

「そんな!?」

 

「すごいタクティクスなんだな!」

 

「お兄さんは本気で!」

 

上から明日香、隼人、翔である。凄まじい攻防が続くデュエルを目の当たりにし呆然と見ている三人。

 

「こんなデュエルなかなか見れないね」

 

「あぁ、お互い全力を出しているからなのかね」

 

玲治と遊は二人のデュエルを見て感嘆していた。

 

「行け!サイバードラゴン!バーストレディーを攻撃!!エボリューションバースト!!」

 

「くっ!」

 

「もう一体のサイバードラゴンで十代にダイレクトアタック!」

 

「まだまだ!墓地の[ネクロガードナー]の効果を発動!このカードをゲームから除外して一度だけ戦闘を無効に出来る!」

 

十代の前にネクロガードナーの影が現れサイバードラゴンの攻撃から十代を守る。

 

「すごいんだな!十代!!」

 

「さっきの天使の施しの時に墓地に送っていたのね」

 

「アニキ!」

 

十代のタクティクスに感嘆する3人。

しかしそれで終わらないのがカイザーである。

 

「俺は、速攻魔法[瞬間融合]を発動!俺の場の[サイバードラゴン]三体を融合![サイバーエンドドラゴン]を融合召還!」

 

サイバーエンドドラゴン A4000/D2800

 

それは、先程のサイバーツインドラゴンを上回る大きさの三つ首の機械竜であった。

 

「マジかよ!」

 

十代は、驚いていた。今の攻防は、今までの自分の中でも最高の出来だった。しかしカイザーは、それを上回るタクティクスを見せつけて来たのだ。

悔しさを通り越して愉快にすら感じる。

そんな状況で十代は、まっすぐカイザーを見据えていた。

 

「これで終だ!サイバーエンドドラゴンの攻撃エターナルエボリューションバースト!!」

 

サイバーエンドドラゴンの攻撃に十代の僅かなLPは0になる。

デュエルに勝利したカイザーは、何も言わずにその場を後にしたがその顔は満足した様子であった。

 

「アニキ!」

 

「十代!!」

 

翔と隼人は十代に駆け寄る。明日香は、その場を後にしたカイザーを追って行った。

 

「どうだった?学園最強の実力は」

 

「うん?まぁさすがって感じだよな」

 

玲治の質問に遊は、すこし考えて応える。

 

「まぁ、でも翔が何かを掴んだっぽいからそれで十分」

 

「ふ~ん」

 

玲治は、そう言いながらその場を後にした。

遊も十代たちを見やった後、玲治の後を追いブルー寮に戻って行った。

この時、先に行った玲治が怪しい笑みを浮かべている事を遊は知る由もなかった。

 

 




次話「制裁デュエル ()」

前編、後編に分けるかどうか決めかねているので()付けときます。

昨日からゴールデンウィークと言う方も多いかと思いますがどうかお体に気をつけて御過ごしください。
コメントをくださった皆様ありがとうございます
今後は、この場でお礼申し上げます

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