第二話 接触
入学試験から数日が経ち今現在俺たちは、デュエルアカデミアへ向かう船の中で過ごしている。
船に乗船してから数時間が経った頃俺は、船の船首付近で遠くの海を見ながら今までの事、そしてこれからの事を考えていた。
遊戯王の世界に転生したという事は、この世界ではデュエルがすべてなのだ。
ここ数日この世界で生活して分かった。この世界では、揉め事が起きれば殴り合いなどせずに何でもデュエルで解決しようとするのだ。警察でさえ犯罪者をデュエルで逮捕しようとするのだ。
前の世界では、あり得ない・・・うん。あり得ないよな。
国の三界と言えば、経済界、政界、カード界って言う程の世界に来てしまった自分が何とも言えぬ気持ちになってしまう。
こんな世界なら戦争とかも起きないだろうなと思いきやこの世界でも戦車などを使った戦争や紛争は起きている。・・・・何でや!?
戦争なんかせずに国のトップ同士デュエルで解決すればいいのに・・・。
話がそれたな・・・。
この世界が俺の知っている遊戯王の世界ならまだシンクロ、エクシーズ、ペンデュラム召還は実在していないだろう。
という事は、俺も使わない方がいいかもしれない。
・・・何かあったら使うけど。
そんな事を考えていたら急に肩を誰かに叩かれたので驚いて振り向くとそこには茶髪の少年と眼鏡を掛けた水色の髪色の少年、そして筆記試験1番の男が立っていた。
「なぁ お前だろう実技試験で絵札の三銃士を出してワンターンキルした奴って」
茶髪の少年は、そう言うと目をキラキラさせながら顔をこちらに突き出し聞いてくる。
「・・・」
「なぁ!なぁ!?」
こちらが言い淀んでいると少年はさらにグイグイ聞いてくる。
「十代くん!まずは自己紹介から」
眼鏡の少年にそう言われ茶髪の少年は渋々ながら顔を引っ込める。
この二人の事は知っている。遊戯王gxの主人公”遊城十代”とその腰巾着”丸藤翔”だ。そして後ろにいる一番君は【ラーイエロー】の”三沢大地”。
「俺は、遊城十代。よろしくな!」
「僕は、丸藤翔っす。よろしく」
「俺は、三沢大地。よろしく!」
三人が順番に簡単な自己紹介をする。そしてこちらを見ている。
「俺は、”桐谷遊”。よろしく」
「遊って言うのか!よろしくな遊!」
十代はそう言うと俺の前に手を出してきた。俺はその手を取ってよろしくと返す
内心では、結構興奮している俺。何せ漫画の中だけのキャラクターと話しているのだから。それに結構好きなキャラクターだったし、これは仲良くなるチャンスではと思っていると
「なぁ遊!さっきの質問だけど遊が絵札の三銃士で試験官を倒したのか?」
十代は、聞きたくてしょうがないのだろう。再び目をキラキラ輝かせながら聞いてくる。
「そうだぜ」
十代にそう答えるとマジかすげぇ〜と笑っている。
「じゃぁさ じゃぁさ、俺とデュエルしよぜ遊!」
Σ(゚Д゚)
どうしてそうなる!?
この世界では、本当によくそうなる。挨拶をした後にごく自然にデュエルを行う様をこの世界に転生してから本当によく目にする。
十代も例に漏れない様だと内心で思いながら答える。
「よし!じゃぁ島に着いたらデュエルしようぜ!」
「よっしゃぁ!約束だぜ遊!島に着いたらデュエルしよう!」
十代は、本当に嬉しそうに俺の返答に反応している。そのはしゃぎようは、まるで誕生日プレゼントを貰って喜んでいる子どもの様だ。
「ほぅこれは見物だな。方や伝説の絵札の三銃士でワンターンキルをした男と方や試験官の[古代の機械巨人]を倒し逆転勝利を納めたミラクルボーイ。どちらが勝つか」
三沢は、そう言いながら遊と十代を交互に見やる。
すると船体の方から声が聞こえる
「へぇなんか面白そうな話しているね」
そう言いながらこちらに近づいてくる少年は、和やかに微笑みながら黒のシャツに黒のズボンというシンプルな格好をしている。
「誰だ?」
俺がそう呟くと答えは三沢が教えてくれた
「彼は、受験番号7番。実技試験では、遊同様に試験官をワンターンキルした俺の同僚になる男だ」
三沢の話を聞きへぇとなる俺。十代は、どうやらこの7番にも興味を持ったらしく自らさっき俺にした様に自己紹介を仕始めた
「俺は、”遊城十代”。よろしくな!・・・えぇと」
「僕の名前は”司玲治”。そこの彼と同じ【ラーイエロー】だよ。これからよろしく」
「玲治か。よろしく。まぁ俺は、【オシリスレッド】だけどさ」
「僕は、”丸藤翔”っす。十代くんと同じく【オシリスレッド】なんだ」
「俺は、”三沢大地”。よろしく同僚」
俺以外の面々が自己紹介したので残るは俺だけになったので俺も挨拶しておこう
「俺は、”桐谷遊”。俺も三沢や玲治と同じ【ラーイエロー】だ。これからよろしく」
俺がそう言うと玲治は、ニコニコしながらこちらを見ている。何だろう。訊こうとした時、俺より先に十代が話し始めた
「なぁ玲治も島に着いたら一緒にデュエルしようぜ!」
「へぇ面白そうだね。いいよやろう!」
玲治は、十代の提案を快諾し言葉をつなぐ
「[古代の機械巨人]を倒したミラクルボーイと伝説の絵札の三銃士の力を見てみたいしね」
「よっしゃ!決まりだな」
十代は、デュエル出来る事が本当に嬉しい様だ。
「十代くん、本当にデュエル好きっすね」
「まったくだ」
翔と三沢がそんな十代の様子を見て苦笑いしていた。
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新1年生たちが来た場所は、太平洋にある南国気候の孤島【デュエルアカデミア】である。
生徒たちは、まず大講義室で目の前にある巨大モニターに映る学校長のお祝いの言葉を聞いている。
その中には、当然十代や翔、三沢、そして俺も入っている。すでに十代は立ちながら寝ている。器用な奴だ
その後解散となり俺は、同じ【ラーイエロー】の三沢と玲治と共にイエロー寮に向かった。
イエロー寮は、【オベリスクブルー】のブルー寮程ではないが一人部屋で一般的な場所の様だ。
部屋に持って来た荷物を置いていると誰かが扉を叩く音がした
「誰だ?」
扉の前でそう訊ねると玲治だと答えた。何だ玲治かと思い扉を開き彼を向い入れる。
「どうした?」
俺が玲治に訊ねるとこれから十代の所に行ってデュエルしないと言う提案だった。そう言えばこの島に来る前の船の中でそう言う約束をしていたなと思い俺は、それを了承し十代にPDAで連絡を入れたところすぐにしようと返信があった。
そうして集合場所の校舎前に集まった俺たちは、どこかデュエルできる場所を探していた
「どっか広い場所ないかな〜」
「人目の付きにくい場所がいい」
「どこでもいいから早くデュエルしよぜ!」
「アニキ・・・」
上から玲治、俺、十代、翔の順に喋っている。俺と玲治は、基本的に人前でデュエルしたくない部類らしい。
俺は、単純に恥ずかしい気持ちと何より下手にデュエルをすると自分の存在がばれる可能性がある様な感じがするからである。
シンクロ召還やエクシーズ召還なんかは、この世界ではまだ使えない。しかしペンデュラム召還にいたってはデュエルディスクが対応していないのでまぁ問題ないだろう。
玲治は、男の嫉妬は醜いからねと答えになっていない様な返しだったのであまり深くは聞かなかった。
「うん?」
「十代どうした?」
十代が急に立ち止まり何やら考えている。どうしたのだろう?
「あっちだ!」
「はっ!何が!?どこ行くんだよ十代!!」
急に十代が走り出したので俺たちは、急いでその後を追う
「こっちからデュエルの匂いがする!」
「デュエルの匂い?」
「そんな匂いするっすか?」
「いや、全く」
「そもそもデュエルに匂いなんてあるの?」
「本当だって!」
「おい!十代!!」
そうして付いた場所は、【オベリスク】の紋章が付いた扉の前。
十代曰くこの奥からでデュエルの匂いがするらしい。
本当にするのかよと疑問に思っているのはおそらく俺だけではないはず、しかし図らずも扉の奥では、現在誰かがデュエルしている様だ。
「よし入ろうぜ」
「お〜い勝手に入っていいのか」
十代が扉の中に入っていこうとするので玲治が静止するも十代は大丈夫だってと言い中に入っていってしまった。
そしてその後に続いて他の奴らも入って行った。
入って行くとすぐに眼鏡を掛けたいかにもモブキャラのような男に止められた。
どうやら此処は、【オベリスクブルー】専用のデュエル場らしい。
十代は納得いかない様だが・・・
「落ちこぼれのレッドと中途半端なイエローは、此処に入ってくんな!」
「そうだ!出て行け!」
モブキャラがそう言うと隣にいたもう一人のモブキャラがそれに呼応して言葉を発した。
そしてそれを聞いてカチンと気てしまった。
何か言い返してやろうと思って口を開きかけた時、デュエル場で大きな爆発が起きた。見るとそこには、倒れている男とそれに近づいて行く男の二人がいた。制服を見る限りどちらも【オベリスクブルー】の様だ。
男は、倒れているもう一人の男からデッキを奪い品定めをするかの様にデッキの中身を一瞥しその中から一枚を取り出した。
「約束通り、このカードは俺が貰って行く」
男は、そう言いながら倒れている男を見下ろしている。いや見下している。
そしてその男がこちらに気付いたようでこっちに歩いてくる。
「こんな所で何をしている。此処は貴様らが規定居場所ではないぞ。分かったらさっさと出て行け」
男は、こちらを見下ろしながらそう言って来た。
「何だよ!お前!?」
「お前!?”万丈目”さんを知らないのか!?」
「この方は、中等部を首席で卒業され今や未来の決闘王になると言われている万丈目さんだ!!」
十代の問いにモブキャラ二人が大層な紹介をしている。
「へぇ。未来の決闘王とは、大げさな紹介だね。・・・くっくく」
どうやら玲治は、堪えきれずに笑ってしまっている。かくいう俺も笑いを抑えるのに必死だった。
高校1年生だったら誰でも未来の決闘王になれる可能性があるだろうに、さも自分だけがそうであるかの様なおかしな紹介は、あまりにもバカバカしい。
ただ【オベリスクブルー】の奴らはその反応がお気に召さなかった様だ。
「何がおかしい!!この落ちこぼれと中途半端どもが!!身の程をわきまえろ!」
眼鏡を掛けたモブキャラが声を荒げて反応している。万丈目自身も少し苛ついているようで方眉をヒクヒクさせている。
「うるせぇー!モブキャラ!!」
ついに言ってしまった。俺の口から・・・
それを聞いた玲治と十代は、爆笑し翔は、苦笑いを浮かべていた。そして言われた本人はというと
「何だと!!この中途半端!!もう一度言ってみろ!!」
どうやら憤慨のご様子。
というよりもさっきからそれしか言ってない。他の言葉を知らないのか?
「取巻!そう怒るな。」
そう言ったのは、彼らの後ろにいた万丈目である。
「万丈目さん?」
取巻は万丈目の方見やる。万丈目の顔は、何か悪巧みを考えている顔をしていた。
「そこのお前とお前。お前は入試の時に伝説の絵札の三銃士を使った奴、お前は入試でクロノス教諭を倒した奴だったな!?ならお前たちの実力この俺が見定めてやろう」
万丈目はこちらを指差しながらそう言った。
本当上から目線でやな奴だぜ。しかしちょうどいい散々俺らを痩けにしやがった借りは返させて貰えそうだ。
「いっ「いいぜそのデュエル受けて立つ!!」」
「俺の台詞取るなよ十代!!」
「あっごめんて。」
「いい度胸だ。なら上がってこい。まずは落ちこぼれのレッドからだ。」
万丈目は、そう言い十代が上に登ろうとする。
すると突然
「何しているの!?」
と声が響いた。声のする方を見るとそこには、金髪で整った顔と何ともグラマラスば身体をした女性が立っていた。制服を見るからに【オベリスクブルー】のようだ。
その女性を見るや否や万丈目たちは、慌てた様子で弁明をしている。
「もうすぐ歓迎会の時間だから、もう帰りなさい」
女性がそう言うと万丈目たちは、渋々帰っていた。
「あなたたちもあいつらとは、関わらない方がいいわ。あいつら碌でもない奴らだから」
女性の言葉を聞きうんうんと納得している玲治と何でそんなに教えてくれるのだろうと思う十代。
「お前、なんでそんなに俺らに教えてくれるんだ?ひょっとして俺に一目惚れか」
「・・・ふっふふ」
十代の問いに笑ってしまった女性。その様子を見て何か恥ずかしい十代。面白い絵図らだ。
そんな事を考えていると女性がもう歓迎会が始まる時間だと言う。
「おっやっべ!!急いで寮に戻ろうぜ翔!!」
「俺らも戻るか玲治」
「そうだな」
「そう言えばお前!名前なんて言うの?」
「・・・明日香。天上院明日香」
「明日香か。じゃっ又今度な明日香!!」
「まってよ!アニキ〜」
俺たちは、慌ただしくその場を後にした。
「遊城十代。面白そうな奴」
そう明日香が呟いたことを俺たちは、知る由もなかった。
今回はデュエルがありませんでしたが次回はあります。
素人の作品で読みにくいとは思いますがどうぞよろしく御願いします。
次回
第三話 遊城十代とE・HERO