(ああ、なんとなくわかってきたぞ)
ゲームならかなり序盤の説明だからつい忘れていた。
アナザーワールドは死後の世界、主に前世に
そしてその未練によってさらに一部の者は能力を得るのだ。
(俺は落下死したから重力か、なるほどな)
主人公とはまた違うがこれはこれで都合がいい。
ゲームの様なコマンドが無いかわりに頭に能力の用途や技名などがズンズンと入り込む。
「このまま建物の上にいたら壊して来ないか……? それなら──
ルノーは勢いをつけ屋根の上を跳び移っていく。
(重力操作によって身体が軽い、やろうと思えば飛行もできるだろうけど落ちた瞬間死ぬし)
案の定オークは寄って来た。
(このまま逃げるのもいいけど……)
ルノーの頭に兵士の遺体が思い浮かぶ。
「これ以上被害を出す訳にはいかない。しかし武器も無いし……」
とは言いつつも既にある場所へと足は向かっている。
(悪いが……借りるぜ)
急ぎ目に死亡した兵士から剣を取った。
「まともにやっても剣術だけじゃ勝てはしないからな、
「グガッ⁉︎」
通常の数倍の重力の負荷に耐えられないオークが地面に伏した。
(おおっ、便利だな)
「確かオークの弱点は……っと」
ルノーは頸に向け剣を振り下ろすが皮膚に当たる瞬間で剣にヒビが入った。
「硬ってえ! 」
腕がビリビリと痺れる。
「だめだこりゃ……武器の強度が足りて無いな……」
(頸は狙ったが……)
ルノーは気を緩めずに能力を維持する。しかし持久走をする様に少しずつ体力の限界を感じる。
(なんとなーく能力の残量?みたいなのを感じるな)
ふとルノーは伏せているオークの大剣を見つけた。
「ははん、なるほど」
人間の力ではとても扱えそうにない巨大な剣。
「
重力を和らげる。
「よしっ、軽い軽い。斬ると言うよりは叩き潰す感じになっちまうけど」
ルノーは大剣を振り下ろす。
(悪く思うなよ、こっちだって目の前で人殺されてんだ)
オークの悲鳴が響いた。
☆ ☆ ☆
「おいおいおい、オークから良く逃げ回ってると思ったら……あの小僧どういう事だ?」
1人の男は煙草をふかしながら双眼鏡で確認する。
「跳躍力に伏せさせる…これは大方圧力か重力か、動きはまだ固いですがな」
もう1人の男が淡々と解説する。
「服的に東部南部中央部出身では無さそうだしな〜、もしフリーだったら
「それは隊長である貴方が決める事でしょうな」
「ん〜じゃあ、話し合いの前に先ずはオークからだな、仮にあの小僧が邪魔すんなら始末していいぞ」
「了解です」
☆ ☆ ☆
「さて、被害を抑える為にもうひと踏ん張りだ」
ルノーは返り血を拭きながら大剣を握る。
(しかし何処にオークがいるかわかんないぞ)
軽く屋根に跳び移り、周囲を確認する。
「! なんだあれは!?」
街の南側、少し目を凝らすと大量のオークが集まっているのを確認した。40体、50体はいるだろうか。
(まずい、急がなくては!!)
屋根を次々急ぎ目に移動する、しかしたどり着いた所であの数のオークを倒せるのか、もはやその思考はルノーにはなかった。
(!?)
しかしオークの様子がおかしい、街へ入る素振りを見せずただ並ぶばかりである。
ルノーはもう少し目を凝らすと、並ぶオークの前に1人の青年が立っていた。
(あれは……危なくないか!? いやまて、オークを指揮する敵だとしたら……)
疑う心がルノーの足を止める。
しかしその瞬間、その感情は──
「おい、ありったけの敵をかき集めたぞ。あとはお前次第だぞ」
「さすがは囮の能力。隊長にしてはもったいない限りです」
「うるせえ! さっさと仕留めろ」
「承知致しました」
その武器によってかき消された。
「我が天の遺産よ、彼の者を貫け。故にこの一撃は必然であり、この結果は当然である」
(嘘だろ、この槍はまさか……)
アナザーワールドでトップクラスで手に入れ辛かった武器『絶対の槍』。
「これは天罰である。受けよ」
『グングニル』
作者「グングニルって確かゲームでルノーが使ってたよな」
ルノー「そーだよ、命中率がカンストしてるからもの凄い使いやすい。しかし先に装備者が居るとは……結構ショックだ」
作者「まあ簡単に主役だけ優遇する訳にはいかないからねー、もう少し辛抱しよう」
ルノー「そうだなあ……今後に期待するかな」
作者 (ちょろい)