アナザーワールド   作:クレシアン

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高校も3年となればさすがに忙しいですね……
いや社会人になればもっと苦しくなりますかね……


究極の選択──攻略推奨Lv.10

 

 周囲が吹き飛ぶ。

 螺旋状の衝撃波が空気をビリビリと鳴らし数十メートルは離れているであろう俺の場所まで届いた。

 

(なんて威力だ! クソ、屋根に掴まらなければ)

 

 

 

 

 数秒、ルノーにとってはより長く感じたが数秒感でその衝撃は収まった。

 

 

 

「!!」

 

 

 目の前に広がる血溜まり、ルノーが数分掛けて討伐したオークをあの青年は一瞬で散らせた。

 それも数が桁違いである。

 

 

(ゲームでも威力の高さは充分評価していたがまさかここまでとは……!)

 

 

 現実でもそうだが槍という武器は1人を狙い撃ちするものだ。

 が、もはや現代殺戮兵器と比較しても見劣りしないグングニルは通常の槍とは全く別の次元のものだ。

 

 

 

 神の遺産。

 

 

 アナザーワールドには神話や伝説上の武器が存在する──まあそれもほんの少し程度だが。

 そのほんの少しでも一応3つの分類がある。

 

 神の遺産、魔の遺産、地の遺産。

 

 神の遺産、魔の遺産は名の通り残した者が神か天使か、はたまた悪魔かそれに次ぐ何か。地の遺産は残した者が人間の場合だ。

 

 

 話が逸れたが結論から言うならば間違いなくあいつは神にすら選ばれた存在と言うべきだ。

 

 

 そして、

 

 

「さて、こそこそして無いで姿を見せたらどうだい? 重力を操る少年」

 

 

 今の俺はピンチなのか……?

 

 

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

「がっはっはっは!! そうか、家出中に死んだか、それは災難だったなあ」

 

「は、はあ……」

 

 煙草を吸いながら男は俺の頭をボンボン叩く。

 敵対する意思も無い俺は正直に全てを伝えた、そして現在に至る。

 

 

「……にしても初日から能力に目覚めるとは、更にこの世界を知る者ときた。素晴らしき事でしょうな」

 

 グングニルの装備者であるもう1人の男が話す。

 

「そんなにこの槍が気になるかい、少年よ」

 

 どうやら目線に気づかれた様だ。

 

 

「グングニル……だよな、気にならない訳がないな」

 

「ほう、やはりこの槍の事も存じ上げていましたか」

 

「安心しろよ少年、あんたもこの世界を知るならわかるはずだ。あんたにも必ず遺産が手に入る」

 

 

 それは知っている。3つの遺産を扱う条件、それはこの世界を既に知る事だ。だからこそ俺がグングニルに選ばれたかったが。

 

 さらに遺産は適合者じゃないと扱えない、例え遺産を手に入れようとも無用の長物になってしまう。

 

 

「さすがによく理解してんじゃねえか」

 

 あ、声に出てたか。

 

 

「質問していいか? あんたらは何者なんだ?」

 

 もはや遠慮などない、一番の疑問をぶつける。

 

「何者……ねぇ、お前さんなら軍についてピンときてる筈だが」

 

「その内容だけ覚えていない……という訳では無さそうでしょうな、物語に大きく関わっていますから」

 

 んん……? 物語に大きく関わっている、それなら俺が知らない筈はない。

 

「俺達の目標はわかるよな? 元の世界に帰る為に……」

 

「ああ、それはわかる。 遺産を全て集める事だ」

 

「その機関の者なんだが……」

 

 

 んん??

 

「まさかギルドの事か?」

 

「ぎるど? なんだそりゃ」

「私も知りませんな」

 

 

 あ、

 

 

「あああ! なるほど、そういう事か」

 

 

 わかったわかった。 恐らくこの2人が知っているのは書籍版だ、あの時代の人にもわかりやすい様に『軍』と記されていた訳か。

 

 

「悪い悪い、少しど忘れしたみたいだ。思い出したよ」

 

「ふーむ? それならいいが」

 

 

 アナザーワールドへと来た人間はランダムに飛ばされて現界する。

 しかし周囲はオークの他にいろいろなエネミーがうじゃうじゃ存在しさすがに一般市民は暮らし辛い。

 だから主人公を含む始まりの6人と呼ばれるメンバーが奮闘しギルド……軍が制作された。

 

 

(こいつらを見る限り軍とやらはとうの昔に存在している様子、つまり時間軸は第3章あたりか?)

 

 

 エネミーが突然変異により暴走や狂化し始め、それをギルドが抑える。そんな話だ。

 

 

「なるほど……だからオークがここまで来たのか」

 

 

「察しがいいねえ。ま、そんなところだ」

 

 男は煙草に火をつけ、一服し再び話す。

 

「んでもって君に頼みだ、俺達と一緒にこの村を守ってほしい」

 

「この村を? いや、そもそもあんたらなら余裕じゃないのか?」

 

「それがそうでもねえんだ、これを見てくれ……神居」

「了解です」

 

 

 槍持ちの男が地図を出す。

 

「まあなんとなくわかると思うがこの村は東北東に位置し、北部から定期的に魔物が進軍して来やがる」

 

(魔物……オークの事だな)

 

「ここら一帯の村はだいたい襲撃されてやがる。……今日みたいに被害も出始めてる」

 

「なるほどな……」

 

 それなら協力しない理由は無い。正義の味方とまではいかないが俺だって普通の人間だ、これ以上人が死ぬのは嫌だ。

 

「別に構わないが何をすればいいんだ?」

 

 

「グングニルは確かに協力だが数百秒のインターバルがある。普段なら俺の遺産でその間は守る事ができるが今回は敵が分散して来やがる」

 

「つまりそのインターバルの間、俺がオークを凌げばいいんだな?」

 

「その通りだ、できるか?」

 

 

「……まだ俺は能力に慣れていない、わからないな」

 

「そうか、オークのさらなる襲撃は明日だそれまでに決めてくれ。

 これは強制じゃない、敗北は死に直結するからな」

 

 

 煙草の先端を削りながら男は言った。その雰囲気から本気が伝わる。

 

 

 

 さあ、どうするんだ俺は?

 

 

 

 





能力……アナザーワールドにいる生物に現れる特殊な力。生前の未練や後悔に関するものが多い。

遺産…生前にアナザーワールドを知るものが使用できる特殊な武器。その威力や性能は目を見張るものがあるが遺産の適合者でなければ扱えない。
遺産には神、魔、地の3種類がある。
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