クズマとウィズがあの終わた世界から来るそうですよ? 作:そ?
どうも~
今回は長く作りました。
10000 文字は越えました(笑)
お気に入り登録者数も増えたり感想貰ったんで
長く作りました。
原作道理ですが十六夜の所はカットしました。
やって欲しがったら言ってください。
理由はーーー後程。
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~前回の続き~
「ジン坊っちゃーン!新しい方を連れてきましたよー!」
「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性三人が?」
「はいな、こちらの御五人様が―――」
クルリ、と振り返る黒ウサギ。だが四人のうち、一人欠けていることに気づき、カチン、と黒ウサギは固まる。
「………え、あれ?もう二人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪く、口がかなり悪い、全身から〝俺問題児!〟ってオーラを放っていた殿方と優しくてちょっと弱そうな長いコートを着ている殿方が」
「ああ、十六夜君とカズマ君のこと?十六夜君なら〝ちょっと世界の果てを見てくるぜ!〟と言って駆け出して行ったわ。あっちの方に。カズマ君は、消えたわ。ぶつぶつ独り言を言ったら急に消えたわ。コミュニティを乗っとるか作ってくるとか。十六夜君はあっちよ」
久遠飛鳥が指さす先は―――上空4000mから見えた断崖絶壁。
呆然とした黒ウサギは、はっとして我に返ると、ウサ耳を逆立てて問い質した。
「な、なんで止めてくれなかったんですか!」
「〝止めてくれるなよ〟と言われたもの」
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
「〝黒ウサギには言うなよ〟と言われたから」
「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん!」
「「うん」」
ガクリ、とへたれる黒うさぎ。
「良いでは無いですか?旅は楽しいですよ。」
「楽しい楽しくないの問題じゃないですよお馬鹿様ッ!!」
「い、痛いですよ~」
ウィズの言葉に盛大にツッコミを入れた。
だがそんな黒ウサギとは対照的に、ジンは蒼白になって叫ぶ。
「た、大変です!〝世界の果て〟にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」
「「幻獣?」」
「幻獣?ドラゴンやペガサスとかの事?」
「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に〝世界の果て〟付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」
「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?………斬新?」
「冗談を言っている場合じゃありません!」
ジンは必死に訴えるが、二人は叱られても肩を竦めるだけ。彼はもう手遅れだと諦めているのか。
黒ウサギは溜め息を吐きつつ立ち上がる。
「はあ………ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御三人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「わかった。黒ウサギはどうする?」
「問題児を捕まえに参ります。事の序でに―――〝箱庭の貴族〟と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」
「カズマさんはどうするの?」
「何処に行ったか分からない以上後回しです......‼」
黒ウサギは怒りのオーラを全身から噴出させると、艶のある黒い髪を淡い緋色に染め上げる。外門めがけて空中高く跳び上がった黒ウサギは外門の脇にあった彫像を次々と駆け上がって、外門の柱に水平に張り付き、
「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」
淡い緋色の髪を戦慄かせ踏み締めた門柱に亀裂を入れる。全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去り、あっという間に四人の視界から消え去っていった。
巻き上がる風から髪の毛を庇う様に押さえていた飛鳥が呟く。
「………箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」
「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが………」
「そう。………まあ黒ウサギも堪能くださいと言っていたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方が?」
「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。三人の名前は?」
「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」
「春日部耀」
「そして私はウィズ。これでもリッ......いえ、何でもありません。」
なざリッチーと言わないか。バレるのが嫌だからだろう。今さら気にするウィズであった。
各々簡単な自己紹介をする三人。自己紹介を終え、飛鳥がジンに笑いかける。
「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ。それとウィズさん。カズマ君の居るところ分からないかしら?」
「すいません良く分かりません。ですが直ぐに戻ってくると思いますよ。」
「そっ、其なら良いのだけれど」
――――――――――
「いらっしゃいませー。御注文はどうしますか?」
「えーと、紅茶を二つと緑茶を一つ。あと軽食にコレとコレと………ウィズさんは何を飲む?」
「私は紅茶をお願いします」
『ネコマンマを!』
「はいはーい。ティーセット三つと紅茶1つにネコマンマですね」
ん?と飛鳥とジンが不可解そうに首を傾げる。だがそれ以上に驚いた耀は、信じられない物を見るような眼で猫耳店員に問い質す。
「三毛猫の言葉、分かるの?」
「そりゃ分かりますよー私は猫族なんですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスもさせてもらいますよー」
『ねーちゃんも可愛い猫耳に鉤尻尾やな。今度機会があったら甘噛みしに行くわ』
「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」
猫耳娘は長い鉤尻尾をフリフリと揺らしながら店内に戻っていった。
その後ろ姿を見送った耀は嬉しそうに笑って三毛猫を撫でた。
「………箱庭ってすごいね、三毛猫。私以外に三毛猫の言葉が分かる人がいたよ」
『来てよかったなぁお嬢』
「ちょ、ちょっと待って。貴女もしかして猫と会話ができるの?」
「………うん、そうだよ」
「もしかして猫以外にも意
思疏通は可能ですか?」
「うん。生きているなら誰とでも話は出来る」
「それは素敵ね。じゃあそこに飛び交う野鳥とも会話が?」
「うん、きっと出来………る?ええと、鳥で話したことがあるのはスズメやサギやホトトギスぐらいだけど………ペンギンがいけたからきっとだいじょ」
「ペンギン!?」
「う、うん。水族館で知り合った。他にもイルカ達とも友達」
耀の声を遮るように飛鳥とジンが声を上げた。ペンギンと話す機会があったことに驚いたのだろう。
「し、しかし全ての種と会話が可能なら心強いギフトですね。この箱庭において幻獣との言語の壁というのはとても大きいですから」
「ふぅん、そうなんだ」
「はい。一部の猫族やウサギのように神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意思疏通は可能ですけど、幻獣達はそれそのものが独立した種の一つです。同一種か相応のギフトがなければ意思疏通は難しいというのが一般です。箱庭の創始者の眷属に当たる黒ウサギでも、全ての種とコミュニティをとることはできないはずですし」
「そう………春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ。―――それで、先程から黙々と紅茶に舌鼓を打っているウィズさんはどんなギフトを持っているのかしら?」
飛鳥が耀に笑いかけた後、若干不機嫌そうな声音でウィズに問う。
猫耳店員に入れてもらった紅茶を優雅に飲むウィズは、ん?と飛鳥の声に気づいて聞き返す。
「………何の話でしょうか?私は猫耳店員が入れてくれた紅茶に夢中だったから全く聞いてませんでした」
「そう。紅茶に夢中になるのもいいけれど、少しは人の話を聞いてほしいものね」
「あら、それはごめんなさい。でも此処の店員が入れた珈琲が予想外に美味しくて」
ウットリとした表情で紅茶の入ったカップを見つめるウィズ。飛鳥は不機嫌な表情から一転して呆れような顔をした。
耀とジンも唖然としてウィズを見ていると、三毛猫が耀の腕の中からスルリ、と降りるや否や、睨みつけて言う。
『オイワレ、小娘の分際でお嬢の話を無視するとはどういう了見だコラ!全身毛玉だらけにするで!?』
「三毛猫、そんなこと言っちゃ―――」
「………そうね。たしかに私は失礼な真似をしたわ。紅茶なんて暢気に飲んでる場合ではなかったわね、ごめんなさい三毛猫さん」
え?と三人が固まった。だがそんな彼らを余所目に三毛猫が話を続ける。
『フフン、わかればええで。―――そいでお嬢がワシ以外の全ての種と会話が可能なんや!スゴいやろ?』
「あら、彼女が?それは凄いわね!私見たいに魔法使いでは無いのに」
『何!?嬢ちゃんは魔法使いやったんか!?』
「え、ええっとアークウィザード、それが私の職業ね」
三毛猫は口をあんぐりと開けたまま驚愕した。しかし、それ以上に驚いた飛鳥達が問い質す。
「ま、魔法使いですって!?それにアークウィザードって………!」
「アークウィザード―――!何故そのような大物が最下層なんかに!?」
「え?ウィズも三毛猫の言葉、分かるの?」
は?と飛鳥とジンは思わず耀の顔を窺った。まさか "アークウィザード„"魔法使い„の単語をそっちのけで、意思疏通の話を持っていったことが不思議でならないんだろう。
「ええ、分かります。魔法の基礎ですから」
「そうなんだ………」
耀 飛鳥が呆けていると、耀が彼女の眼前に手を振って反応を確かめる。
「………久遠さんどうしたの?」
「………え?あ、ううん!何でもないわ。それに飛鳥でいいわ。よろしくね春日部さん」
「う、うん。飛鳥はどんな力を持っているの?」
「私?私の力は………まあ、酷いものよ。だって」
「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ〝名無しの権兵衛〟のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」
品の無い上品ぶった声がジンを呼ぶ。振り返ると、2mを超える巨体をピチピチのタキシードで包む変な男がいた。
「僕らのコミュニティは〝ノーネーム〟です。〝フォレス・ガロ〟のガルド=ガスパー」
「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ―――そう思わないかい、お嬢様方」
ガルドと呼ばれた大男のピチピチタキシードは四人が座るテーブルの空席に勢いよく腰を下ろす。ジンを除く三人に愛想笑いを向けるが、相手の失礼な態度に飛鳥と耀は冷ややかな態度で、ウィズは彼を無視して珈琲を飲み始めた。
「失礼ですけど、同席を求めるならばまず氏名を名乗ったのちに一言添えるのが礼儀ではないかしら?」
「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ〝六百六十六の獣〟の傘下である」
「烏合の衆の」
「コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧オォ!!!」
ジンに横槍を入れられ、ガルドの顔は怒鳴り声と共に激変。耳元まで大きく裂けた口にまるで肉食獣のような牙とギョロリと剥かれた瞳でジンを睨んだ。
「口慎めや小僧ォ………紳士で通っている俺にも聞き逃せねえ言葉はあるんだぜ………?」
「森の守護者だったころの貴方なら相応に礼儀で返していたでしょうが、今の貴方はこの付近を荒らす獣にしか見えません」
「ハッ、そういう貴様は過去の栄華にすがる亡霊と変わらんだろうがッ。自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解できてんのかい?」
「ハイ、ちょっとストップ」
険悪な二人を飛鳥が手を上げて遮った。
「事情はよくわからないけど、貴方達二人の仲が悪いことは承知したわ。それを踏まえたうえで質問したいのだけど―――ねえ、ジン君。ガルドさんが指摘している、私達のコミュニティが置かれている状況………というものを説明していただける?」
「そ、それは」
「貴方は自分のことをコミュニティのリーダーと名乗ったわ。なら黒ウサギと同様に、新たな同士として呼び出した私達にコミュニティとはどういうものなのかを説明する義務があるはずよ。違うかしら?」
ジンを責める飛鳥を見たガルドは獣顔を人に戻し、含みのある笑顔と上品ぶった声音で、
「レディ、貴女の言う通りだ。コミュニティの長として新たな同士に箱庭の世界のルールを教えるのは当選の義務。しかし彼はそれをしたがらないでしょう。よろしければ〝フォレス・ガロ〟のリーダーであるこの私が、コミュニティの重要性と小僧―――ではなく、ジン=ラッセル率いる〝ノーネーム〟のコミュニティを客観的に説明させていただきますが」
怪訝な顔でジンを一度だけ見る飛鳥。だがジンは黙り込んで俯いたままだ。
「………そうね。お願いするわ」
「承りました。まず―――
かくして、ガルドの長々とした説明が始まった。
コミュニティとは読んで字の如く複数名で作られる組織の総称。また幻獣は〝群れ〟とも言い換えられる。
コミュニティは活動する上で箱庭に〝名〟と〝旗印〟が必須であり、旗印はコミュニティの縄張りを主張する大事な物。
ガルドのコミュニティ〝フォレス・ガロ〟は両者合意で『ギフトゲーム』を仕掛け、縄張りを大きくした。
そして話はジン率いる〝ノーネーム〟の話になり、数年前まではこの東区画最大手のコミュニティだった。 そのコミュニティを率いた男は優秀で、ギフトゲームにおける戦績で人類最高の記録を持っていた、東区画最強のコミュニティだった。
東の他に南北の主軸コミュニティと親交が深く、南区画の幻獣王格や北区画の悪鬼羅刹が認め、箱庭上層に食い込むコミュニティだった。
しかし、彼らは箱庭の世界に於ける、唯一最大にして最悪の天災―――俗に〝魔王〟と呼ばれる物達に『ギフトゲーム』に強制参加を強いられ、敗北してたった一夜で滅ぼされてしまった。
〝魔王〟というのはこの世界で〝主催者権限〟という特権階級を振り回す神様etc.ジンのコミュニティは彼らの玩具として潰された。
名も、旗印も、主力陣の全てを失い、残ったのは膨大な居住区画と土地、親を失った子供達だけといった、まさに崖っぷちな状況に陥っていたのだった。
――――――――――
「………そう。事情は分かったわ。それでガルドさんは、どうして私達にそんな話を丁寧に話してくれるのかしら?」
飛鳥の問いに、察してガルドは笑う。
「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」
「な、何を言い出すんですガルド=ガスパー!?」
「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェが名と旗印を新しく改めていれば最低限の人材はコミュニティに残っていたはずだろうが。それを貴様の我が儘でコミュニティを追い込んでおきながら、どの顔で異世界から人材を呼び出した」
「そ………それは」
「何も知らない相手なら騙し通せるとでも思ったのか?その結果、黒ウサギと同じ苦労を背負わせるってんなら………こっちも箱庭の住人として通さなきゃならねえ仁義があるぜ」
ガルドの瞳に宿る鋭利な輝きに貫かれたジンは僅かに怯む。だがジンはガルドの言葉以上に、飛鳥達に対する後ろめたさと申し訳なさの胸中の濁りによるものだった。
それほど彼のコミュニティは崖っぷちにあるのだ。
「………で、どうですかレディ達。返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴女達には箱庭で三十日間の自由が約束されています。一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達〝フォレス・ガロ〟のコミュニティを視察し、十分に検討してから―――」
「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」
は?とジンとガルドは飛鳥の顔を窺う。
飛鳥は何事もなかったようにティーカップの紅茶を飲み干すと、耀に笑顔で話しかける。
「春日部さんは今の話をどう思う?」
「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだもの」
「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補していいかしら?私達って正反対だけど、意外と仲良くやっていけそうな気がするの」
「………うん。飛鳥は私の知る女の子とちょっと違うから大丈夫かも」
『よかったなお嬢………お嬢に友達ができてワシを涙が出るほど嬉しいわ』
ホロリと泣く三毛猫。そんな三毛猫にウィズが笑いかける。
「ふふ、よかったわね三毛猫さん。貴方の主に友達ができて」
『ああ!ホンマにワシは嬉しいわ』
ウィズの祝言に嬉々とした笑みで三毛猫が返す。耀も微笑を浮かべていると、飛鳥が笑顔のまま問いかける。
「ウィズさんはジン君のコミュニティとガルドさんのコミュニティ、どちらに入るのかしら?」
「私?ふふ、当然ジン君のコミュニティですね。私はカズマさんの所に行きますが。私は貴方たちと仲良くしたいですし、宜しくお願いできますか?」
「ええ、勿論よ。これからよろしくね?ウィズさん」
「うん。改めてよろしく、ウィズさん」
「―――あ、ありがとうございます!飛鳥さん!耀さん!こちらこそよろしくお願いします!」
二人にオッケーをもらったウィズは、一転して明るい表情となった。
飛鳥と耀は彼女が一瞬子供っぽい笑顔を見せたことに驚き、そしてニヤニヤと笑ってからかった。
「あら?貴女ってとても可愛らしいのね」
「え?」
「うん、そうだね。」
「………そ、そうですか?あ、ありがとうございます………」
からかうつもりが照れながら喜んでしまったウィズに、苦笑いを浮かべつつもニヤニヤと笑って眺める飛鳥と耀。
ガルドは全く相手にされず顔をひきつらせ、それでも何とか取り繕う様に咳払いして問う。
「失礼ですが、理由を教えてもらっても?」
「だから、間に合ってるのよ。春日部さんは聞いての通り友達を作りに来ただけだから、ジン君でもガルドさんでもどちらでも構わない。そうよね?」
「うん」
「次にウィズさんはジン君のコミュニティに協力する。それであってる?」
「ええ」
「そして私、久遠飛鳥は―――裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たのよ。それを小さな小さな一地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやる、などと慇懃無礼に言われて魅力的に感じるとでも思ったかしら。だとしたら自身の身の丈を知った上で出直して欲しいものね、このエセ虎紳士」
「お………お言葉ですがレデ...... 」
「黙りなさい」
ガチン!とガルドは不自然な形で、勢いよく口を閉じて黙り込んだ。
本人は混乱したように口を開閉させようともがいているが、全く声が出ない。
「………!?……………!??」
「私の話はまだ終わってないわ。貴女からはまだまだ聞き出さなければならないことがあるのだもの。貴方はそこに座って私の質問に答え続けなさい」
飛鳥の言葉に力が宿り、今度は椅子にヒビが入るほど勢いよく座り込む。
その様子に驚いた猫耳店員が急いで飛鳥達に駆け寄る。
「お、お客さん!当店でもめ事は控えてくださ―――」
「ちょうどいいわ。猫の店員さんも第三者として聞いていって欲しいの。多分、面白いことが聞けるはずよ」
首を傾げる猫耳店員を制し、飛鳥は続ける。
「貴方はこの地域のコミュニティに〝両者合意〟で勝負を挑み、そして勝利したと言っていたわ。だけど、私が聞いたギフトゲームの内容は少し違うの。コミュニティのゲームとは〝主催者〟とそれに挑戦する者が様々なチップを賭けて行う物のはず。………ねえ、ジン君。コミュニティそのもの
をチップにゲームをすることは、そうそうあることなの?」
「や、やむを得ない状況なら稀に。しかし、これはコミュニティの存続を賭けたかなりのレアケースです」
「そうよね。訪れたばかりの私達でさえそれぐらい分かるもの。そのコミュニティ同士の戦いに強制力を待つからこそ〝主催者権限〟を持つ者は魔王として恐れられているはず。その特権を持たない貴方がどうして強制的にコミュニティを賭けあうような大勝負を続けることができたのかしら。教えてくださる?」
「き、強制させる方法は様々だ。一番簡単なのは、相手のコミュニティの女子供を拐って脅迫すること。これに動じない相手は後回しにして、徐々に他のコミュニティを取り込んだ後、ゲームに乗らざるを得ない状況に圧迫していった」
「まあ、そんなところでしょう。貴方のような小者らしい堅実な手です。けどそんな違法で吸収した組織が貴方の下で従順に働いてくれるのかしら?」
「各コミュニティから、数人ずつ子供を人質に取ってある」
「………そう。ますます外道ね。それで、その子供達は何処に幽閉されているの?」
「もう殺した」
その場の空気が瞬時に凍りつく。
ジンも、店員も、耀も、飛鳥でさえ一瞬耳を疑って思考を停止させた。
そして、ガルドは命令されたまま続ける。
「初めてガキ共を連れてきた日、泣き声が頭にきて思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、父が恋しい母が愛しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それ以降、連れてきたガキは全部纏めてその日のうちに始末することにした。けど身内のコミュニティの人間を殺せば組織に亀裂が入る。始末したガキの遺体は証拠が残らないように腹心の部下が食
「黙れ」
ガチン!!とガルドの口が先ほど以上に勢いよく閉ざされた。
「素晴らしいわ。ここまで絵に描いたような外道とはそうそう出会えなくてよ。流石は人外魔境の箱庭の世界といったところかしら………ねえジン君?」
「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」
「そう?それはそれで残念。―――ところで、今の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるかしら?」
「厳しいです。吸収したコミュニティから人質をとったり、身内の仲間を殺すのは勿論違法ですが………裁かれるまでに彼が箱庭の外に逃げ出してしまえば、それまでです」
「そう。なら仕方がないわ」
苛立たしげに指をパチンと鳴らす。それが合図だったのか、ガルドを縛りつけていた力は霧散し、体に自由が戻る。怒り狂ったガルドはカフェテラスのテーブルを勢いよく砕き、
「こ………この小娘がァァァァァァァァ!!」
雄叫びと共にその体を激変させた。巨躯を包むタキシードは膨張する後背筋で弾け飛び、体毛は変色して黒と黄色のストライプ模様が浮かび上がる。
彼のギフトは人狼などに近い系譜を持つ。通称、ワータイガーと呼ばれる混在種だった。
「テメェ、どういうつもりか知らねえが………俺の上に誰が居るかわかってんだろうなァ!?箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!!俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!その意味が
「黙りなさい。私の話はまだ終わってないわ」
ガチン、とまた勢いよく黙る。しかし今の怒りはそれだけでは止まらない。ガルドは丸太のように太い剛腕を振り上げて飛鳥に襲いかかる。だが飛鳥を庇うように躍り出た春日部はその一撃を片手で容易く受け止めた。
「な!?」
「飛鳥に手は出させない。」
「私も本気をだしましょうか?」
ウィズは詠唱を開始した。その姿見を見たガルドは一転してウィズに恐怖し、驚愕の声を上げた。
「ぐ、な!?分かった分かったから止めろ。何で魔法使いがこんな最下層に居やがる!?テメェは上層の住人だろうが!!」
「へえ?そうだったのね。とはいえ上に行く気なんて更々ないですよ」
「ぐ………!」
ガルド彼女の正体を見抜き、瞬時に敵わないと悟ると、目の前の少女を睨みつけて歯噛みした。
飛鳥は唖然としていたが、耀に背中を押されてはっとしてガルドに言った。
「………さて、ガルドさん。私は貴方の上に誰が居ようと気にしません。それはきっとジン君も同じでしょう。だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した〝打倒魔王〟だもの」
「………はい。僕達の最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間達を取り戻すこと。今さらそんな脅しには屈しません」
「そういうこと。つまり貴方には破滅以外のどんな道も残されていないのよ」
「く………くそ……!なら今殺してやる...... 」
獣化したガルドが襲いかかる。
獣化したガルドの速度は早かった。それは命令も詠唱も間に合わない。ウィズが彼女らを守るために前に出た瞬間的に......
「おっと、間に合ったか?」
カズマが其処にいた。黒くボロいロングコートを揺らしながら何処からか現れた。
「遅いですよカズマさん。」
「悪りー悪りー。でもコミュニティは見つかった.....誰だこの怖そうな人?これヤバくね?」
「死ねぇーーーーー」
「え?ちょま、待てよ‼」
ガルドの攻撃を虫を払うような感覚で弾いた。
「そいつは人殺しで下手な理由を付けて私たちをコミュニティに入れようとした人よ」
「ほぅ、ウィズに手を出そうとしたと....... 死ぬか?」
「「なっ、」」
殺気。凄まじい殺気である。ガルドの意識が一瞬飛んだようだ。
「ほらっ、言いたいことがあるなら言っていいよ飛鳥さん。」
その一言で飛鳥は思い出したようだ。
「……私は貴方のコミュニティが瓦解する程度の事では満足できないの。貴方のような外道はズタボロになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきよ。―――そこで皆に提案なのだけれど―――――私達と『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の〝フォレス・ガロ〟存続と〝ノーネーム〟の誇りと魂を賭けて、ね」
そう。ギフトゲーム。其をさせるのが俺の目的。
「な、何をほざいて........ 」
ガルドが言おうとした瞬間、カズマが無造作に手を..... 下ろした。
「良いだろう。そのギフトゲーム受けて立とう。それじゃぁな。」
そう言って何事も無かったように立ち去った。
「「えっ?」」
何で此方を見る?何か付いているのか?
「ほら?ギフトゲームしたかったんだろ?此れで良いだろう。」
「えっ?ええ」
飛鳥は何が起きたのか分からない。無論飛鳥だけでは無いが。
「また力を使ったんですか?其を使うと... . 」
「それは秘密にしといてくれないか?」
「カズマさんらしいですね。」
「そうかなぁ~?折角だし紅茶でも頼もうかな。すいません、紅茶1つお願いします。」
さて、異世界の紅茶はどのような味がするのだろうか?
「え?あっ、はい。注文入りました~紅茶1つお願いしま~す。」
俺のしたことは後で話す事にしよう.....