黒森峰副隊長代行 逸見エリカ   作:秀吉組

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思い出

♪~~♪~~♪~~

 

 

「ん、んん……」

 

 

携帯のアラームの設定の着信音によって渋々起され、アラームを止めるとゆっくりと瞼を開けるとそこにはいつもの携帯の画像が現れていた

 

 

「……諦めにも似た希望を抱いてしまうのは私が諦めの悪い人間だってことなのかしらね」

 

 

その携帯の画像には三人の人物が写っていた

 

 

 

 

 

『思い出』

 

 

 

 

「それではミーティングを始める。 皆、どこでもいい。 自由にかけてくれ」

 

 

まほ隊長の一言で皆が各々好きなところに座る中、一人すばやく一番後ろの席に向かおうとする奴がいた

 

 

「おい。一体何処に行こうというのかしら? みほ?」

 

 

「エ、エリカさん……。 え、えーと、好きなところに座っていいって言われたから後ろの席に行こうかと……」

 

 

「アンタ副隊長でしょうが!? 前のほうに座りなさい!!」

 

 

「え、ええ~!?」

 

 

全くこの子は……。 放っておくと一番後ろの隅に座ろうとするんだから

 

 

「小梅、貴方はこの子の右に座って。 私は左に座るから」

 

 

「はい、了解~」

 

 

もはや毎回恒例になりつつあるみほの左右に私達が座る席が定位置になりつつあるのかそこだけは空席になっていた。 そこに座ると全員が座ったことを確認した隊長がミーティングを開始した

 

 

「ではこれより継続高校の対策ミーティングを始める。 副隊長、今回の作戦の内容を発表してくれ」

 

 

「は、はい。 今回の対継続高校戦では……」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ではこれで対策ミーティングを終了する。 解散!!」

 

 

まほ隊長のこの一言で各自がそれぞれ出て行った。 外をふと見ると青かった空はいつの間にか星空に変わっていた

 

 

「はぁ~~~~。終わった~」

 

 

緊張の糸が切れたのかへにゃ~と机にうつ伏せになっていた

 

 

「全く、この程度でそんなになってどうするのよ」

 

 

「まあまあ。 お疲れ様、みほさん」

 

 

今回の作戦立案はみほが立て、概ねその通りでいくことになった

 

 

「少しは様になってきたんじゃない? 普段はおどおどしてるくせに今日のミーティングじゃあ副隊長らしかったじゃない?」

 

 

私がそう言うとみほは逆に顔を横に振った

 

 

「ううん。 エリカさん、小梅さん、二人がそばにいてくれたから落ち着いてあの場に居られたの。 もし一人だったらきっといつもみたいに慌ててたと思う」

 

 

こう言われて嬉しい反面副隊長としてはまだ頼りなさがあり複雑な気持ちだ

 

 

「でも作戦の説明や質問に対してハキハキ答えられてたじゃない。 まほ隊長に似た感じだったわよ」

 

 

「そ、そんな!? お、お姉ちゃんとおなじ」

 

 

そんな時だった、ぐ~~っと可愛らしい音がこの場に鳴り響いた

 

 

「……私じゃないわよ」

 

 

「……私でもないですよ」

 

 

そんな訳で二人が向ける視線はひとつになり……。 そっちに目を向けるとまるで真っ赤なトマトのような顔をさせている奴がいた

 

 

「……どうやら身体だけじゃなく胃袋の緊張まで解けたみたいね?」

 

 

「あうう……。こ、これは、その、今日のミーティングの事で緊張しちゃって朝も昼もご飯食べてなくて……」

 

 

「なら何か食べに行きますか? でももう学食はもう閉まってますから外にでも行きますか?」

 

 

「あ、あの、私、門限があるので遅くまでは……」

 

 

あ、そっか、この子実家通いだっけ。 確かに門限とか厳しそうだな西住家は

 

 

「……はあ~、しょうがないわね。 何か作ってあげるわよ。 ここからなら寮はすぐそこだしね」

 

 

黒森峰には寮があり、部屋にはちょっと広めなキッチンスペースが設けられていた

 

 

「大丈夫ですよみほさん。 こう見えてエリカさんお料理上手なんですよ」

 

 

「……こう見えて、は余計よ! 小梅!!」

 

 

い、いや~、そのこれは言葉の綾で、と言い訳をする小梅を問い詰めながら横目で、チラッと隣を見るとクスクスと笑うみほの顔があった。今日初めて笑ったな……

 

 

「で、どうするの? 家で食べるなら無理にとは言わないけど」

 

 

「わ、私……、い、行きたいです!!」

 

 

「なら決まりね。 行きましょうか」

 

 

こうして寮の私の部屋に移動することになった。 私の部屋に案内するとみほが物珍しそうに周りを見ていた

 

 

「どうしたのよ? 何か珍しいものでもあった?」

 

 

「い、いえ、その私同い年の女の子の部屋に入ったの初めてだったから……」

 

 

「で? 初めて入った感想は?」

 

 

「はい、イメージと違って女の子の部屋なんだな~って」

 

 

「ほほ~う。 つまりアンタも小梅と同じで失礼なイメージを持っていたと?」

 

 

「へっ!? い、いや、あのこれは、そのって!? あははは!? ちょ、エリカさ、やめ、ハハハ」

 

 

「問答無用」 こちょこちょこちょ!!

 

 

失礼なみほに対し擽りの刑を存分にした後、早速料理に取り掛かった

 

 

「ところで今日は何を作るんですか?」

 

 

わ、脇が~、と苦しむみほを苦笑いで見ながら小梅が尋ねて来た

 

 

「ハンバーグよ。後、ご飯とサラダも。 ご飯はもう炊いてあるし、サラダは作り置きがあるし、ハンバーグのほうは種の作り置きがあるから後は焼くだけだからすぐ出来るわよ」

 

 

エプロンを着けて調理を始めようとしたとき、ふとみほの門限が頭をよぎった。一応連絡を入れておいたほうが良いのではないかと思い、みほに気づかれないように携帯で西住邸に連絡を入れた

 

 

「はい、西住です」

 

 

「夜分遅くすみません。黒森峰女学園の逸見と申しますが」

 

 

「うん? もしかしてエリカか? どうした」

 

 

「隊長でしたか。 みほの事なんですが、こちらから夕飯に誘ったので少し帰宅が遅れるかも知れないと思い連絡を入れておこうと思いまして」

 

 

「そうか、分かった。 お母様には私から伝えておくわ」

 

 

こうして向こうにも連絡を済ませて改めて調理を開始した。といっても焼くだけだったので時間はそんなに掛からなかった。 後は焼けた奴に予め作っておいたデミグラスソースを温めなおし、その上から掛け完成した

 

 

「ほい、出来たわよ」

 

 

「うわ~、美味しそう」

 

 

テーブルに三人分の料理を運ぶといただきますと食べ始めた

 

 

「…………」

 

 

「…おいしい?」

 

 

「うん、美味しい。 ……それに温かい」

 

 

「そりゃあ出来立てですし……」

 

 

「ううん、そういう意味じゃないの。心がね、とっても温かいの」

 

 

「……、ほら食べましょう。せっかく作ったのに冷めるわよ」

 

 

「そうですね!」

 

 

最近の流行の話や新しいボコの人形が出たなどで会話が盛り上がっていった

 

 

そんなこんなで食べ終わってしばらくすると疲れていたのか、みほはすうすうと眠ってしまった

 

 

「食べてすぐ寝ると牛になるって言葉知らないのかしらね?」

 

 

「あはは…。やっぱり無理してたんですね、みほさん」

 

 

相変わらずこの子は何でも一人で背負おうとする。 少しは私達を頼りなさいよ、このバカ……

 

 

「どうしますか? 起すのはなんだか忍びないですし……」

 

 

時計を見ると結構遅時間になっていた。この時間に一人で帰らすのもなんだしな……

 

 

「そうね……。 しょうがない、泊めるか」

 

 

「だったらこのまま三人でお泊り会しませんか? こんな機会そうそう無いですし」

 

 

「泊めるかどうかは隊長に聞いてからにしましょう。 小梅、悪いけどお風呂沸かしてくれる? 部屋の構造は一緒だから分かるでしょ?」

 

 

「了解です!!」

 

 

小梅に任せると再び西住邸に連絡を入れた

 

 

「どうしたエリカ? 何かあったのか?」

 

 

「ちょっと夕飯で時間取ってしまって遅い時間あの子一人で帰らすのもあれなんで今日はウチにみほを泊めようと思うんですが大丈夫でしょうか?」

 

 

「…………」

 

 

「隊長? やはり都合悪かったですか?」

 

 

「あ、ああ、すまない。 大丈夫だ、みほもその方がこっちより気が休まるだろう。 申し訳ないが一晩よろしく頼む」

 

 

隊長、どうかしたのだろうか? どうも歯切れが悪いというか……

 

 

「隊長、何かあったんですか?」

 

 

「…何かあったというかもう随分前からなんだが実家でもみほは気を張っていてな。原因は恐らく私やお母様に対して何か言われるのではと恐れているのではないかと思ってる。こっちはそんなつもりはないんだがな……」

 

 

「……そのことについてみほと話し合ったんですか?」

 

 

「いや。 話し合うどころかもう会話らしい会話をしたことがないよ」

 

 

「それはどうして?」

 

 

それはと言ってしばらく無言が続くとはあ~と息を吐くのが聞こえた

 

 

「みほが私を恐れているのと同じように私もまたみほを、いや正確にはみほと会話することを恐れているんだと思う」

 

 

「会話を、恐れて?」

 

 

「ああ。 私は西住流の後継者として、西住の教えに沿った考えで話すことが多い。 だがそのことであの子を傷つけることになったことも多かった。 ……だから怖いんだ。私の放った一言でまたあの子を傷つけてしまうのではないのかと」

 

 

「……隊長のお立場が複雑なものなのは重々承知しています。 その辺を理解した上で言わせて貰います。 一度そういった考え全て捨てて、ただ一人の姉としてあの子に接してあげてくれませんか?」

 

 

「一人の姉として、か」

 

 

「はい。 西住流の後継者でもなく、黒森峰の隊長でもない、ごく普通の姉として。 そうすればきっとあの子も向き合ってくれるはずです」

 

 

こんなにもあの子の事を思ってくれる人だ。 きっと大丈夫……

 

 

「……そうだな。 なんとか時間を作ってみほと話をしてみよう、ただの私に戻ってな」

 

 

妹の事よろしく頼むと私に伝えるとおやすみと言い隊長は電話を切った

 

 

「…………」

 

 

強い人だと思っていたけど隊長も苦しんでいたんだ……。 人は外見でしか見ていないっていうけど、まさか身をもって知ることになるなんてね……

 

 

「う、ううん? あ、あれ? 私寝ちゃってた?」

 

 

寝ていた子牛が目を覚ましたようだ

 

 

「ようやくお目覚めかしら? 子牛さん?」

 

 

「ふぇ? 子牛? ってもうこんな時間!? か、帰らないと門限が!?」

 

 

「大丈夫よ、隊長には連絡済みだから落ち着きなさい」

 

 

時計を見て慌ててカバンを掴み、帰ろうとするみほを呼び止めると眠っていた間の事を説明した。 もちろん隊長との会話の事については話してはいない

 

 

「ってことだけど分かった?」

 

 

「う、うん。 でも寝巻きはどうしよう? 」

 

 

「だったら私のを貸してあげるわよ」

 

 

「エリカさんの? ………」

 

 

「…また失礼なこと考えてたら擽りの刑セカンドシーズンよ?」

 

 

「ゴメンナサイ」

 

 

そうしている間に小梅がお風呂を沸かしてくれたので一人づつ入り、布団を川の字のように三枚敷き、三人はそれぞれ横になった

 

 

小梅がみほに貸した寝巻きを見ていやにニコニコしていた

 

 

「いや、それにしてもエリカさんがこんな白のフリフリのパジャマ持ってるなんて意外でしたね」

 

 

「な、なによ? べ、別にいいでしょ? 私がこんなの持ってたって」

 

 

「いえいえ。 エリカさんも女の子してるな~と思うと安心しまして」

 

 

「ア、アンタねえ~」

 

 

そんな私達のやり取りを見てみほは嬉しそうに微笑んでいた

 

 

「何よ、アンタもそう思うの?」

 

 

「ううん、そうじゃなくて。 こんな風に友達とお泊まり会とかしたこと一度もなかったから楽しくて」

 

 

「…大丈夫よ、これからこんなことがたくさんあるから覚悟しときなさい?」

 

 

「そうですよ。 あ、そうだ! 記念に三人で写メ撮りませんか?」

 

 

「写メ!? こんなの他所に漏れたら恥ずかしいわよ!?」

 

 

「じゃあ私達三人だけの秘密ってことで。 さあさあみほさんも寄って」

 

 

「え、ええ!? えええ!?」

 

 

「ハイ、チーズ♪」

 

 

カシャ!!……

 

 

 

……・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「エリカさん? 起きてますか? 急がないと朝練始まりますよ?」

 

 

「……分かってる。 もう出るわ」

 

 

制服を着て身なりを整えるとさっきまで見ていた携帯の画像を閉じるとそのまま持っていたカバンに入れ部屋を出た

 

 

今日もまた諦めにも似た希望を抱いて…・・・

 

 




色んなサイトにあるエリカやみほ、小梅、まほを見ていたらどんどん妄想が膨らみ書かずにはいられず勢いで書いてしまった(; ̄ー ̄A

こんなエリカ達はどうだったでしょうか?感想お待ちしてます
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