最強! 転生者が多すぎて四天王がヤバイ   作:GT(EW版)

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四天王×暴走族×ロケット団 最強ポケモントレーナー総進撃!

 

 北方にギャラドスの住処である「怒りの湖」があることで有名なチョウジタウンの地下には、泣く子も黙るポケモンマフィア「ロケット団」のアジトが構えられている。その事実は一般人には知られていない筈なのだが、近頃妙に侵入者の数が多いのが気になる。しかもその侵入者、誰も彼も下っ端団員では太刀打ち出来ないほど手強い相手だったことを思い出す。

 

 お陰で彼女ら「オリシュ十二幹部」の出勤が過多になっている始末だった。

 

 前首領サカキの長男が新首領となり、再編されたロケット団では三年前の「ヤマブキの悲劇」を繰り返さぬよう対策として、幹部の人数を大幅に増やしていた。構成員は彼女アテナを始めとする元四幹部に加えて、この三年間で新首領が直々にスカウトしてきた強力なポケモントレーナー達である。

 

 どこのポニータの骨かもわからないトレーナーを幹部にするなど……! とは、当時の元四幹部全員の談である。

 

 しかし実戦で目にした彼ら八人の実力は、どうあっても認めざるを得ないものだった。

 

 シリウス――銀色の長髪が特徴的な超絶イケメン青年。

 アルタイル――漆黒のフードに身を包んだ男。いつも独り言をブツブツ喋っている、残念なイケメン。

 ベガ――前首領サカキに並々ならぬ憧れを持った、アルビノ美少女。

 プロキオン――唯一の下っ端団員からの成り上がりで、「ヤマブキの悲劇」によって筋肉に目覚めた男。生身同士でレッドを倒すことを目標とし、日々プロテインを片手に筋トレに励んでいる。

 デネブ――マッチョな長身の男。何故か女装すると女にしか見えない。

 リゲル――エアームドの羽根製のナイフを研ぐことが趣味の、戦う時いつも相手に「殺す覚悟」が何たるかを説いている男。

 ドゥーベ――自称「関わりたくない男」。ロケット団に加入したのも働かなくても給料が貰えるという契約をしたからだと言うが、なんだかんだで前線に行くことが多いので役に立っている。

 

 そして、ミスター・クリステル・ミナキング。

 

 新加入の幹部の中でも異様なのがこの男である。プロキオンに負けず劣らずの筋肉質な全身を青いタイツで覆っており、額には伝説のポケモン「スイクン」を模した仮面を付けており、頭には同じくスイクンの髪を模した長いカツラを被っていた。

 ……はっきり言わなくても変態である。

 ロケット団は無法者の巣窟だ。その古くからの幹部であるアテナをしても、コレは無い、と言い切れる。しかもこの男、自分が気に入らない任務は「業が乗らん!」と拒否し、勝手が過ぎると言えば「聞く耳持たぬ」と清々しく無視してみせる。良くも悪くも個性的なメンツの中で、際立って扱い難い男だった。

 しかしそんな彼だが、今回の任務には誰よりも張り切って参加の意を表していた。

 

「なに!? 伝説のポケモンが現れただと!?」

 

 幹部達にもたらされた下っ端団員の報告に、クリステルが最も過剰に反応する。

 焼けた塔、鈴の塔と言った文化財があることで有名なエンジュシティに、伝説のポケモン「エンテイ」「ライコウ」「スイクン」が現れたという報告だった。それを聞くなり彼は首領の決定も待たず、勝手にアジトを飛び出していった。

 

「目当てはスイクンでしょうね……」

 

 溜息をつきながら、元四幹部の一柱――ランスが呟く。同じくアポロもラムダも彼のフリーダムさ加減にはいい加減うんざりしている様子だった。

 

「良いではないか」

 

 しかし、我らが首領はそんな彼の行動を肯定していた。エレガントに飾られた玉座に腰掛けながら、首領はあらゆる女性を虜にするような美しい微笑を浮かべている。

 前首領サカキの長男――スチール。短くまとめられた赤髪に、綺麗に整えられた柳眉。その容貌はいつになっても変わらず、まるでこの世の神が全精力を叩き込んで作り上げたような美貌であった。

 

「しかし彼はスイクンだけしか眼中にありません。ライコウとエンテイを捕まえる為に、他の人員を連れて行く必要がありますね」

「……なら、俺が行く」

「シリウスか、しかし貴方はヤドンの井戸でひと仕事を終えてきたばかりでしょう?」

「構わない」

「私も行くよ。お目付け役は必要だろう、アポロ」

「では任務に参加するのはクリステル、シリウス、アテナですか。そこに数十人の下っ端を連れて行くので、よろしいですか? スチール様」

 

 オリシュ十二幹部きっての頭脳派であるアポロによって、エンジュシティに向かい、伝説のポケモンを捕獲しに行くメンバーが決められていく。

 他の幹部達もそれで異論は無いようだ。全員が四天王級かそれ以上の力を持っている彼らにとって、今更伝説のポケモンなど大して興味は無いのだろう。あまり乗り気な様子ではなかった。

 しかし、誠に意外なことに、彼女らの首領が玉座から腰を上げた。

 

「いや、私も行こう」

「スチール様自らがですか? そこまでする必要は無いと思いますが……」

「私はエンテイが好きなんだ。自分が欲しいと思ったポケモンは、自分で捕まえに行こう」

「……了解しました」

 

 首領自ら、今回の作戦に参加すると言うのだ。

 以前よりも遥かに充実した戦力を持っている新ロケット団では、大抵のことは幹部以下の者で対処出来てしまう。故に首領が直々に行動することは今までほとんどなかったのだが……これは中々、面白いことになりそうだとアテナは思った。

 

 

 

 

 

 

 知らない天井だ――と言うことを強いられているような気がしたが、そんなことはなかった。

 

 それがイツキが目覚めた際に頭に過ぎった、意味不明な感想である。

 あのポケモンカイザーという子供によって殺されたかと思ったが、どうやら自分は生きているらしい。清潔感のある部屋の中で、ベッドから目覚めたイツキはその部屋がポケモンセンターの一室であることを理解した。

 気絶した自分を運んでくれたのだろうか、ベッドの傍らには相棒のネイティオ――アスランの姿があった。

 

「今回は出来過ぎなぐらい上手く勝てたね」

「そうだね、まさかミルタンクの転がるを全部避けてくれるなんて思わなかったよ」

 

 部屋の外から、二人の子供の声が聴こえてきた。するとドアが開き、廊下からひと組のアベックもとい少年と少女が入室してきた。

 

「あっ、起きてました? おはようございます」

「君達は……もしかして、君達が僕をここに運んでくれたのかい?」

「ポケモンセンターの前に、ネイティオが貴方を連れてテレポートしてきたんです」

「ホント、あの時はびっくりしましたよ」

 

 コガネ弁ではなく標準語で話していることから、二人とも旅のポケモントレーナーなのだろう。年齢は十歳程度のようだが、イツキは二人が歳不相応にしっかりしている印象を受けた。

 

 彼らの話によると自分はあの後ネイティオにポケモンセンターの前まで送ってもらい、そして二人が中まで運んでくれたのだと言う。つまり、二人はイツキの命の恩人だということだ。

 イツキは深々と頭を下げた。

 

「それは申し訳ない。なんてお礼を言えば良いか……」

「い、いえ! 僕達は当たり前のことをしただけですから」

 

 ポケモントレーナーが旅をする理由は自己の鍛錬にあり、決して人助けなどではない。四天王の身でありながら二人に要らぬ手間を掛けさせてしまったことを、イツキは大いに恥じた。

 

「そうだ、お礼に技マシンをあげるよ。サイコキネシスって技なんだけど……」

「えっ、でもそんな!」

「子供が遠慮するものじゃないよ。ほら、君も」

「あ、ありがとうございます!」

 

 誠意は言葉だけでは表せない。そう思ったイツキは、感謝の思いを込めて懐からディスクケースを取り出した。あの攻撃で壊れてしまったかもしれないという危惧もあったが、中身を見てみるとそれは杞憂だったらしく、ディスクには傷一つ付いていなかった。

 安心してそれを二人に手渡すと、彼らは恐縮そうに受け取る。いい子達だな、とイツキは謙虚な二人の姿に思った。

 

「……でも、なんであんな怪我をしていたんですか?」

 

 やはり自分が何故怪我をしていたのか気になったのか、少女が問うてきた。ポケモンセンター驚異の医療技術によって今は何の痛みも感じていないが、話によれば自分は相当な大怪我だったらしい。

 あまり心配を掛けたくはないのだが、親身になって問うてくれる優しいこの二人に嘘を言うのも悪い。と言うことで、イツキはありのままに起こったことを正直に話すことにした。

 

 

 

 

「……ということがあったんだ」

「な」

「なんだってー!」

 

 自分は四天王のイツキで、アカネに「暴走族なんとかしてくれよ」と頼まれたことからなんとかしようとしたら、ポケモンカイザーとか言う奴の不意打ちを受けてやられてしまったんだよ!――という出来事を二人に話すと、二人はどこから驚けば良いのかわからなかったのかとりあえず驚いてくれた。

 しかし水色の髪の少女――クリスは何故か腹を抱えて蹲った。その様子を少年ゴールドが心配そうに眺めている。

 

「ポ…ポケモンカイザーって……くっ、やばいこんなので……」

「どうしたのクリス? お腹痛いの?」

「……笑いと胃痛の両方だよこんちきしょう……!」

 

 変わった子だな、とイツキはこの少女にそんな印象を抱いた。

 

 ――その時、屋外の方からやかましい騒音が聴こえてきた。

 

 パラリラパラリラと鳴り響くラッパのような音と、「ヒャッハー!」という例の奇声である。それを聞いた瞬間、イツキはいてもたっても居られなくなった。

 早急にベッドを離れ、イツキはこの部屋を立ち去ろうとする。

 

「ど、どうしたんですか?」

「まだ僕は仕事の続きだからね。あれを、なんとかしないと」

「でも身体は……」

「もう全快だよ。ジョーイさんに頼めば退院許可は下りるさ」

 

 外では暴走族が走り回っている。それをなんとかしてくれと頼まれたのだから、解決するまで逃げるわけにはいかない。しかしこの身はつい先まで気絶していた病み上がりの身である。そのことを心配に思ったのか、ゴールドもクリスも渋い顔をしていた。

 

「大丈夫……僕は大丈夫だから。今度会った時は、旅の話でも聞かせてくれ」

「イツキさん……」

「それなんて死亡フラグ」

 

 二人を安心させる為に芝居がかった口調で言ったのだが、逆に心配させてしまったようだ。

 だが、それでも行かなければならない。

 

 

 ――何故なら彼は「四天王」だからだ――。

 

 

 ポケモントレーナーの達人「ポケモンマスター」となり、この職に就いたその時から既に職に殉じる覚悟は出来ていた。

 イツキは颯爽と部屋を飛び出すと、相棒のネイティオと共に廊下を駆けていく。例えこの身が砕けても構わない。どんな「悪」とでも対峙してみせると言う、熱い勇気を持って。

 

 そしてそんな彼の勇気を、白衣の天使が受け止めた。

 

「退院したいんですけど」

「うふ、ダメです」

 

 ニッコリと笑うジョーイによって、彼の勇気は間も無く息を引き取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イツキがやられたようだな……」

「ファファファ、奴は四天王の中でも最弱……」

「暴走族如きに負けるとはポケモンマスターの面汚しよ……。っていうか何で休暇中のあたしらが手伝いに行かなくちゃいけないのー!?」

 

 一方、セキエイリーグでは重労働明けに貰えたせっかくの休暇をぶち壊しにされたことで、只今絶賛怒り心頭中の三人の姿があったとかなんとか。

 

 

 

 





 ここまででプロローグが終わった感じです。登場人物は多いですが、主要の人物はそこそこの数にしていきます。
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