ダブルクロスThe 3rd EDITION リプレイ 朱き黄昏のカノン 作:久那月
古月 愛 侵食率上昇
32%→36%
「そんでさぁ、ちゃんと補習受けてテストも受かって、なんとか単位貰って、奇跡の進級をキメた訳よ。どーだよ愛」
「それは良かった。そのおかげで僕は半額でバイキングが食べられるんだから」
午後13:30、授業が半ドンで終わった朱鷺沢市街は、暇な学生で溢れていた。
僕、古月愛は友人の葦原雪弥と共にバイキングレストランで遅めの昼食をとっていた。
本来大人一人二千円の食べ放題が、テスト勉強に付き合った報酬によって半額で食べられるのは学生にとっては大きい。
「俺の喜びは、お前にとっての食欲に劣るんですかねぇ……。うっわ、食うなお前……」
「食べ放題だからね、モトは取らなきゃ」
ふむ、確かに僕が食べている量は世間一般からすれば多い方だろう。
テーブルの上の皿には、和洋折衷様々な料理が並んだ皿が所狭しと置かれていたが、開始数分で既に半分が胃の中に消えた。
残念ながら、これでもまだ足りない。またすぐに調達しなくては。
もっ、もっ、ごきゅ、んぐ、もぐもぐ……。
「うげ……」
もう半分が皿の上から消えたのを見た雪弥は顔を引きつらせる。
ここ最近、また食べる量が増えたな。
……まぁ、仕方ないか。
「ふぅ。……そういえばさ、雪弥。キミ、最近痩せた?……いや、やつれた?」
丸顔の雪弥の顔が、いつもより萎んでいるように見える。
よく見れば目の下にクマもできているし、顔色も良くない。
「……ああ、いや、最近バイト始めてな。勉強しながらやってたからホンット両立が辛くてさぁ」
「いくら金欠だからって、そんな無茶しない方がいいよ。バイトしなくたって死ぬわけじゃ無し」
「……いや、俺がやらなきゃいけないことなんだ。悪いな、心配させて。ちゃんと食うから安心しろよ」
そう言うと、雪弥は苦手なはずのニラレバ炒めに箸を伸ばし始めた。
「そう。なら、あんまり心配しないようにするよ。ちょっと席を外すね。取りに行ってくる」
「おう」
席を離れて、トイレの個室の中。
ポケットの中で振動していたスマートフォンの起動すると、見慣れた番号から着信通知があった。
……やれやれ、またか。
いいよ、エネルギー補給したらすぐに行く。
一応、いつもの事を伝えるために電話を……。
いや、万一の事もあるだろう。
メールで要件を伝えておこう。
『GPS機能はONにしておくこと』
簡潔にそれだけ送信して、またホールに戻る。
「まだ、元を取るほど食べていないんだ。どうせ強いんだから、食べ終わるまで待っててよ、リーダー」
キャラクター設定
古月 愛(16♂)
UGN朱鷺沢支部所属のUGNエージェント。現在、市内の高校の一年生。一つ歳下の妹が一人いるが、親の顔は知らない。元FHチルドレンだが、実験動物扱いの生活に腹を立て、セルで研究されていたブーストアーマーを強奪してFHから妹と共に脱走。逃亡の途中にFHからの襲撃に遭いながらも、自慢の防御力で攻撃を防ぎ切って近隣のUGN支部に駆け込んだ。
その後、テレーズ・ブルムの執り成しで、身体の弱い妹に合わせた、自然豊かな地域で、子供二人でも生活できる場所という条件から、UGN朱鷺沢支部に所属する運びとなった。
茶髪と、左眼の横にある泣きぼくろが特徴。
長期間の実験の所為か、髪の色素が薄い。
また、鉄壁と言っていい防御力の裏には、のっぴきならない食事情がある。