ダブルクロスThe 3rd EDITION リプレイ 朱き黄昏のカノン 作:久那月
日比谷 公汰郎 侵食率上昇
36%→44%
3日ほど前の事だ。薄暗い路地の中、黒のダッフルコートに身を包んだ長身の男はそこにいた。
「…………」
オレ、日比谷 公汰郎は、牛乳とあんぱんを食べながら路地の陰から少し開けた場所を見張っている。
そこには、獣がいた。
……いや、獣の『ようなもの』と表現するのが正しいのだろう。
4足歩行で、大型の狩猟犬と同程度の骨格とサイズ。それだけならば、普通の獣と言ってもいいだろうが、全く違う箇所がある。
色だ。
『返り血を浴びたような』という表現が生易しく聞こえる、血そのもののドス黒い紅。
ぶち撒けた血液をスライムのように固めたらあんな獣もどきのようになるのだろう。
加えて、獣もどきには体毛も感覚器官らしきものも見当たらず、全身がぬるりとしている。
……全く以って、レネゲイドウィルスというのは理解し難い。
「……さて、駆除を始めるか」
オレ残ったあんぱんを口に放り込み、牛乳で流し込んで獣もどきの前に出た。
そして、誰もこの場所に近寄らないように揺らめく炎を巻き上げて〔ワーディング〕を展開させる。
「__ッ!!バウッ、バウバウッ!!」
堂々と現れ、ワーディングを張ったオレに敵意を発するように、獣もどきは犬のように吠える。
「……弱い犬ほど良く吠える、そうだろう?」
判定:目標値15
技能:白兵 射撃 RC
日比谷 公汰郎〔RC判定〕
エフェクト〔マイナー〕
無し
エフェクト〔メジャー〕
C:エンジェルハィロゥLv2 C値-2
光の手Lv1 精神→感覚
氷神の悲しみLv3 ダイス+3
〔C値8〕8D+5→36
達成値36 成功!
侵食率
44%→51%
『ガゥアッ!!』
筋肉、いや神経系さえあるのかもわからない身体が、オレの喉笛目掛けて跳躍する。
そして、大きく開いた口から覗いた牙が……。
____氷柱に貫かれ、身体ごと凍りつく。
「冷徹なるオヴェリスク。どうだ?熱量差によって引き起こされる氷の槍は。……おっと、氷漬けじゃあものも言えないか」
陽炎となって揺れる右腕を収め、路地を通りかかる人に怪しまれないようにその辺の鉄パイプで獣もどきの身体をバラバラに砕いてトドメを刺す。
これで氷が自然に溶けても問題は無いだろう。
「……ふぅ」
日比谷 公汰郎 侵食率上昇
44%→51%
HP26→23
ワーディングを解いて路地から出てから、平常時に精神を落ち着かせる。
昨日から、こんな目撃事例が多い。
どうも臭いと睨んで、部下に集めさせた情報を基に張り込んだらこれだ。
……仕方が無い。
あいつに報告し、助力を求めるとしよう。
この事件は警察よりもUGNの管轄。
裏にはおそらくFHも関わっている、と見た。
「……もしもし、紅夜。オレだ。お前らの仕事……何?大体わかった?ならいい、
言うだけ言って、さっさと電話を切る。
契約会社が違うから長時間電話すると通話代が馬鹿にならない。
「やれやれ、まーた事件か。……気合い、入れ直すか」
何の因果か、この街には事件が起こりやすい何かがあるようだ。
事件が起こるたびに脳裏をよぎる血の記憶。
狩人が獲物を狩るように起こった、最悪の事件。
一人の男によって殺されたのは、自分も含めて41人。
「……やらせるものか」
生まれ育ったこの街で、もう二度と悲劇は起こさない。
警察官として、力を持つ者として、俺は誰かを護る為に戦い続ける。
そして、俺は『人』を殺さない。
キャラクター設定
日比谷 公汰郎(25♂)
朱鷺沢市警レネゲイド事件担当部署、通称R担に所属する警察官。階級は警部。殺すよりも護る戦いを信条としている。
現在は警察に身を置いているが、三年ほど前まではUGNのエージェントとして活動していた。
過去に『狩猟者』伊庭宗一に当時警察官だった父を殺害されており、自分も彼に殺された際、オーヴァードに覚醒した。殺人や暗殺者といった人の命を弄ぶ行為を心底憎んでいる為か、UGNのエージェントとして活動していた期間に、理性を失くしたジャーム以外は殺害しておらず、全て『捕縛』で留めている。
体格のいい長身で、職業柄か視線が鋭い。黒髪を短く整えたナイスガイ。
紅夜や愛からの愛称は『ハム』『ハムタロさん』