異世界お気楽旅行の片道切符   作:のりとりあ

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青い空に白い雲、そして屋上。昼食を食べる女子高生。側から見たら青春マンガの一ページにでもありそうな空間だ。

 

「樹ーギルイベの調子どうよ。あと3日で終わるじゃん。」

「今は中堅ギルドでまったりやってるからぼちぼちかなぁ。お前らは?っていってもギルド所属は俺だけか...」

「ソロメインのプレイヤーにギルイベなんて期待しないでくれって。」

「私は店経営がメインだしね。ランキング系のイベントはやる時間が足りないから無理無理。」

「紗香の店は結局何の店なのさ。」

「動植物ならなんでも置く予定だけど?薬草から召喚獣までなんでもござれってね。」

 

青春を絵に描いたような場所であろうともネットゲーマーにとっては二次元のレアアイテムの方がよっぽど価値が高い。広大な空を眺めるよりも自宅のパソコンの画面を見る方がよっぽど楽しい。青春真っ盛りであろうともネトゲに時間を費やす。そんな俗に言うネトゲ廃の女子高生瀬名樹、結城紗香、福田知秋の3人組が屋上を占拠していた。

 

「んで?イベントの報酬アイテムは何に必要なんだっけ?」

「はいはい私〜。そろそろ武器強化したくってさ。龍の眼玉が足りなくって。」

 

まるで本物、生きているような世界観が売りである最近流行りのMMORPG。戦闘職はもちろん生産職や芸能業まで幅広く役職が存在し、数多の種族からアバターを作れ、人間国、獣人国、龍神国、亜人国、魔人国と5つに別れた世界で戦争をしたり貿易をしたりとより発展を目指していく自由度の高いゲームだ。それぞれの国に確執があったりするものの夢のような、ファンタジーな世界でプレイができると評判で男女問わず人気が出ている。

樹は”釧夜”として中堅ギルドのプレイヤーとしてレイド戦に勤しみ、紗香は”黎々”として動植物を扱う店を経営、知秋は”和玖”としてソロプレイで日々を過ごし、楽しみ方は違えどゲームでの協力は惜しまない。たかりたかられ生きて行く、現実だろうとゲームだろうとそこに大差はないのだ。プレイスタイルが違えば交友関係も違ってくる。それまでも最大限活用しながら上位プレイヤーにのし上がり、ゲーム内での知名度が上がったもののそろそろ飽きが見え始めた3人は新しいプレイスタイルを模索している途中だった。

 

お弁当を食べ終えひと段落つく。

「んー退屈!暇だ!暇暇!」

知秋が屋上の縁に寄りかかると地上に見えたのは比較的親しい部活の顧問。

「あっ!せんせーい!こんちはー!」

「知秋!危ない、そんな体勢落ちるって!普通に手を振れ!」

「背中から寄りかかって手を振らないの!ここの校舎4階建てなんだからね!落ちたら死ぬよ!」

「大丈夫大丈夫!次のイベントの上位報酬がメイン武器だからこんなところで死んでられないよ!ってなんだあれ?」

 

見えたのは空中に浮かぶ赤く光る文字。今までに見たことのないような文字が何列もそして六芒星で形成された円が3つ重なっている。地上から5mくらいの高さですごい速さで形作られている。真ん中に黒く光を吸収させるものを渦巻かせながら膨張を続けていた。魔法陣から伸びる無数の手。それに掴まれた知秋は屋上から放り出される。

 

「なにこいつ!?気色悪!離せって!」

「知秋!なにそれ!」

「こっちにも手が来てるよ!他の人いないの!?さっきの先生は!?」

 

闇のように光を吸収する手に掴まれた3人は抗うすべもなく、意識を失いながら魔法陣の中に強い光とともに吸い込まれていった。

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