異世界お気楽旅行の片道切符   作:のりとりあ

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「意味もわからないまま放り出されちゃったけど、これからどうするのよ?助けを呼ぼうにも…ねぇ?」

 

数分前まで屋上で眺めていた空と色は同じでも置かれている状況は全く違う。非日常的な体験なんてこれっぽっちも得たことがない3人には脳がショート寸前になるのは仕方ないことだ。

「そもそもさ、ここが何処かなのかも分からないのが難点だよね。位置さえ把握できれば突破口は見つかりやすくなるんじゃないかな。」

「とはいっても森ってことしかわからないよ…まって何かの足音が聞こえない?それも、たくさん…」

「人間みたいな足音だしいっぱい聞こえるよ!大人数でこっちに向かってるっぽいね!」

「助けを求めたほうが良さそうだな…痛って!!」

 

立とうとした釧夜の頬を掠めたのは骨と石で作られた矢だった。傷に気を取られた一瞬のうちに3人の周りを深緑色の皮膚をしたゴブリンが囲む。打製石器のような剣、槍をこちらへ向け、全員が敵意を目に浮かべこちらを睨みつけていた。

 

「これは…戦うしかないのか…?」

「戦おうっても人数差があるし何より武器もないよ!?どうするの!?」

「自分の装備確認してみな。最後に設定してあるメイン武器があるはずだよ。ほら。」

 

黎々が腰のホルスターから取り出したのは 細かい装飾が施された一丁の銃。現代日本ではお目にかかることのできない質量を持ったそれに息を呑む。探すと釧夜が倒れていた付近には大きな槍が、和玖の腰にはしなやかな鞭が当たり前のように存在していた。

 

「うわ本当にあった。けれども槍なんて使ったことないんだけど。いきなり実戦は無理があると思うなー。」

「つべこべ言わないの!私だって鞭なんか触ったこともないよ!黎々なんか現実で持ったら違法だからね!」

「取り敢えず私はガンナーだからある程度ゴブリンから距離をとりたいんだけど…2人ともいける?」

「なるべく頑張るけど期待はしないで!」

 

釧夜と和玖が各々の武器をぎこちない動きで構えると、槍には青い、鞭には赤いエフェクトが光り始めた。勢いのままゴブリンを薙ぎ払うと軌跡にそって氷と炎が走る。物理と魔法の双方の直撃を受けたゴブリンは緑の血しぶきを派手に上げピクリとも動かない。

それを間近で見たゴブリンたちが怯んだ一瞬の間に黎々が闇魔法を伴った射撃で1体ずつ撃ち抜いていく。斬撃だけでは致命傷にならなくても、武器に施された魔法がゴブリンらを容赦なく殺していく。3人の猛攻で、10体近くいたゴブリンはすぐに全員地に沈んだ。

 

「見様見真似で意外といけるものだね…。」

「ゲームだったら表現がソフトだったけどリアルで見るとなかなかグロテスクだな…。」

 

釧夜が呟くやいなや息絶えたゴブリンは塵のように分解され風に乗って掻き消えていく。30秒もすればそこには小さな宝玉が数個だけしか残されていなかった。

 

「ドロップ品まであるんだ。本当にゲームのまんまだね。」

「確か初期の錬金の素材でしょ?名前は忘れたけどあんまり価値はないな。どうせだったらもっとレアな物を落としてもらいたかったけれど。」

 

宝玉を拾い始めた和玖の耳に再びガサガサと茂みを掻き分ける音が飛び込んでくる。再びゴブリンが襲いに来たのかと急いで目を向けると、そこには武器を構えた男性がこちらに向かって歩いていた。

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