翌日、朝のSHR。あり得ないことが起きていた。
「はーい。という訳で……一年一組代表は織斑一夏くんに決定です! あ! 一繋がりでいい感じですね~」
「さんせ~い!」
山田先生は喜々として喋っている。そしてクラスの女子たちも大いに盛り上がっている。
「先生! 俺は負けたんですよ。なんでクラス代表に……」
「わたくしが辞退したからですわ!」
「えっ?」
がたんと立ち上がり、早速腰に手を当てるポーズをとるセシリア。
「まあ……確かにあなたは負けましたが。しかしそれは考えて見れば当然のこと。このセシリア・オルコットが相手だったのですから、それは仕方ないことですわ」
一夏は反論出来なかった。
セシリアの言っている事は事実だからだ。
一夏はあの試合でSEが0になり、負けてしまった。
「それで……まあわたくしも大人げなく怒ったことを反省しまして、一夏さんにクラス代表を譲ることにしましたわ。IS操縦には実戦が何よりの糧。代表ともなれば戦いには事欠きませんもの」
一夏は思った。
なんというありがた迷惑……と。
ともあれ、結局……クラス代表は一夏に決定してしまった。
◇
クラス代表が決まってから数日。
授業もISを使った授業が始まり、武器の展開から急降下と完全停止と、実戦で使われることを習わされた。
セシリアは候補生と言うことでそれらは簡単にできたが、一夏は全くと言ってできない。
まあ、初心者にいきなりやれと言われたところで、出来るはずもないことは一夏も分かっていた。
まあ、後は色々と問題があったが……。
そのISに関する知識はセシリアに教えてもらったから、多少は授業に付いていけるようになった。
そして、その夜。
「というわけでっ! 織斑くん。クラス代表決定おめでとう~!!」
クラス代表の就任パーティーが開かれた。
このパーティーは数時間に続き、一夏は改めて女子の持久力を思い知る。
流石にこの持久力に付いて行けなくなった一夏は屋上に上がり、夜風に当たる。
「ふう……」
「お疲れ、マスター」
いつの間にか現界したアーチャーが冷たい飲み物を持っていた。
アーチャーはそれを一夏に渡し、その隣に座る。
「なんだよ。見ていたのか」
「そりゃあ、護衛するのが私の仕事なんですもの」
アーチャーはくすくと笑うが、その表情は仮面で隠れていて良く分からなかった。
そして、アーチャーは自分の膝をポンポンと叩き、一夏の頭を乗せる。
俗にいう膝枕だ。
「なあ……なんでアーチャーは仮面をしているんだ?」
「……………」
アーチャーは出会ってからずっと仮面をしている。
一夏にはそれがずっと気になっていた。
「サーヴァントは英雄の霊であることはお話しましたよね?」
「ああ」
「私の場合、素顔を見られただけで直ぐに分かってしまうのです」
「そうなのか?」
「英霊は名前が分かる=弱点なんです」
アーチャーは一夏の髪を撫でながら、一夏の質問に答える。
「じゃあさ、アーチャー。約束してくれ」
「何でしょう」
一夏は身体を起こし、アーチャーの方に向き直る。
そして、真剣な眼差しで言った。
「いつかお前の口で本当の名前を教えてくれ」
「……はい。いつか必ず、私の真名をマスターに教えいたします」
仮面で隠れているが……今、アーチャーは涙をこぼしていた。
SAN値が低下していくぅぅぅ……