Fate/Infinite Stratos   作:ぬっく~

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第12話

「はぁ……」

 

一夏は疲れきって寮に戻って来る。

クラス対抗戦がもう直あると言うことで、本格的な訓練を始めたまでは良かったのだが……。

 

「マジで生きていることが奇跡としか、思えねぇ……」

 

セシリアと箒の二体一の一方的な訓練になり、一夏は撃沈したのだ。

その後、一夏と箒が同じ部屋だと言うことが、鈴にバレて鈴が押しかけてくる。

鈴が昔の約束を掘り起こして、一夏はそれがきっかけに喧嘩になってしまった。

その次の日、その喧嘩は更に増してしまい結果、鈴を完全に怒らせてしまう。

そのおかげで一夏の練習量が増え、こうなった訳だ。

 

「本当ですよ」

 

「アーチャーか……」

 

ベッドに倒れている一夏の横にきょとんとアーチャーが座っていた。

相変わらず紅い外装に腹が出た黒いアーマーに肩まである水色の髪、狐の面の彼女が座っている。

 

「なあ……アーチャー」

 

「何でしょう?」

 

「アーチャーの世界には、ISはあったか?」

 

「ええ、ありましたよ」

 

「じゃあさ……」

 

「教えてくれ、ですか?」

 

「ああ」

 

仮面で表情は分からないが、仕草で何となく分かる。

今、アーチャーは多分、微笑んでいると。

 

「実戦訓練は出来ないでしょうが、座学なら教えましょう」

 

「おう。つうか、最初から頼ればよかったぜ……」

 

一夏は少しばかり、遠回りをしてしまったことを悔やむが、クラス対抗戦当日までアーチャーから可能な限りのIS知識と技を教え込まれた。

 

 

    ◇

 

 

クラス対抗戦当日。一夏の初戦は二組のクラス代表……鈴だった。

 

「逃げないで来たのね。今謝れば少しは痛めつけるレベルを下げてあげるわ」

 

「手加減なんていらねえよ。真剣勝負だ……全力で来い!」

 

鈴と一夏は開放回線で言葉を交わす。

 

「どうあっても気は変わらないって事ね。なら微塵も容赦はしない……この甲龍で叩きのめしてあげるわ」

 

『それでは両者……試合』

 

お互いに獲物を構える。

 

『開始!!』

 

ブザーが鳴ると同時に幕が切られた。

 

 

    ◇

 

 

第二アリーナで行なわれている一夏と鈴の試合を眺める者が天井にいた。

紅の外装……アーチャーだ。

 

「今日はあの子はロシアにいるから、ゆっくりと観戦できるね♪」

 

アーチャーは、この学園の生徒会長がISの関係でロシアに行っていることをいいことに、アリーナの天井で座って一夏たちの試合を観戦していたのだ。

一夏の戦いは激戦を繰り広げていた。

セシリアから教わった三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)をうまくこなし、鈴を正面に捉える。

 

「うんうん。ちゃんと出来ているね」

 

アーチャーはセシリアの説明のついでに、この三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)が上手くできる説明を一夏に教えていた。

結果、一夏は三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)を取得には数日で出来てしまったのだ。

他にもアーチャーは色々と教えてあるが、一夏に使うのは控えるように言ってある。

戦いにおいて、情報は凶器になるのだ。

情報を隠しとけば、初心者である一夏でも候補生程度なら勝つことができる。

そして、先に仕掛けて来たのは……鈴だった。

 

「無駄だよ……今のマスターは、あなたの想像を遥かに超えているから」

 

鈴のIS、甲龍(シェンロン)の武装……『龍砲』が放たれるが、一夏はそれをすらりと避けた。

さすがの鈴もそれには驚きを隠せなかったようだ。

砲弾が見えないはずの攻撃を一夏は全て避けて見せてしまった。

 

「マスターの勝利を願わないサーヴァントはいないですもの」

 

アーチャーは微笑みながら、一夏の試合を楽しむ。

鈴の甲龍の情報を全て教えてあるため、この試合は一夏が勝つ可能性が高くなっていた。

そして、一夏には切り札がある。

 

「これで……っ!」

 

一夏が鈴に向かって突っ込んだ瞬間、アリーナ上空から何かが降って来たのだ。

アーチャーはそれを目視すると、怒りをわらわにする。

 

「やってくれるじゃない……クソ兎め」

 

二度も一夏の試合を邪魔され、アーチャーも怒りを隠せなかった。

 

 

    ◇

 

 

アリーナは大混乱に見舞われていた。

原因は鈴との試合の途中で現れた異形のIS。

そして一夏と鈴はそのISと対峙していた。そのISは細い胴体にその胴体よりも太い腕という、いかにもアンバランスな姿だった。

 

「お前……何者だよ!」

 

「……………」

 

一夏はそのISに向けてそう言うが相手は何も答えない。

 

「一夏! 試合は中止よ! 今すぐピットに戻って!!」

 

鈴が脱出を促してくる。

 

「あいつ、アリーナの遮断シールドを力ずくで破壊したのよ。とんでもない火力を持ってる……攻撃されたらタダじゃすまないわ。あたしが時間を稼ぐから一夏は早く逃げて……!!」

 

確かに鈴が言う事は尤もだろう。

あのISはアリーナのシールドを小細工なしで破壊して侵入してきた。

それだけの相手と張り合うぐらいなら逃げた方が得策だろう。

だが……

 

「鈴……悪いがそれだけは出来ない!」

 

「何でよ!? 危ないって言ってるじゃない!」

 

鈴は一夏の言葉を聞き、そう聞き返す。

 

「別に最後までやりあう気はないわ。こんな異常事態……先生たちがすぐに収拾に来てくれる。だから、あんたは……」

 

鈴がそう言って一夏への説得を続けていると、向こうのISの腕が光り出していた。

 

「鈴!! あぶねぇ!!」

 

一夏は危険を感知し、鈴を抱きかかえてその退避する。

そして次の瞬間、その場を閃光が通り抜けた。

 

(危なかった。一瞬でも対応が遅れていたら……)

 

そう思うと、自然と冷や汗が流れる。

 

「鈴、大丈夫か!?」

 

一夏は鈴にそう聞く。

 

「ええ、大丈夫よ。それよりもいい加減下ろしなさいよ!」

 

鈴にそう言われ、俺は鈴を下ろす。

そして黒いISは更に追撃してくる。鈴と一夏は敵のISから放たれる攻撃の回避に専念する。

 

(今の光、それにアリーナのシールドを破壊したあの威力……)

 

一夏は回避しつつも今までの敵の攻撃から、敵の放つ光の正体を考える。

 

(レーザーにあれだけの威力は無い、とすればビームが妥当だな)

 

今までの特徴を総合したうえで結論を出す。

すると、鈴のISから山田先生の声が聞こえてきた。

どうやら鈴に通常回線で通信を掛けてきたようだ。

 

『凰さん、織斑君、聞こえてますか! 今すぐアリーナを脱出して下さい! すぐに先生達が制圧に行きます!!』

 

山田先生は一夏達に向かってそう言うが。

 

「……いや……先生たちが来るまで俺たちが食い止めます」

 

一夏はそう言って山田先生の言葉を撥ね退ける。

 

『だ……駄目ですよ!! あなたたちにもしものことがあったら……』

 

しかし黒いISの追撃によって通信どころでは無くなった。

敵から放たれる激しいビームの嵐をひたすら回避し続ける。

そうして一夏は機体の体勢を整え、雪片弐型を黒いISに向かって構えた。

 

「向こうはやる気だな……」

 

「みたいね」

 

「一夏。衝撃砲で援護するから突っ込みなさいよ。武器……それしかないんでしょ」

 

「ああ」

 

鈴もそう言って、双天牙月を構えなおす。

 

「じゃあ行くか」

 

そうして一夏達は黒いISに立ち向かった。

 

 

    ◇

 

 

黒いISと交戦してから既に10分は過ぎていたが未だに敵は健在である。

何故ならば、その巨体からは想像もつかない速度で攻撃を回避され、例えこちらの攻撃が当たったとしても、そこまでのダメージを与える事が出来ない。

おまけに凄まじい攻撃の嵐のせいで迂闊に近づくことさえできず有効打を与える事が出来ないからだ。

 

「いつになったら倒れるのよ、あいつ!」

 

いつまでたっても倒す事が出来ないイライラからか、鈴からそんな言葉が飛び出す。

そんな時だった。

黒いISに目掛けて何が撃たれたのだ。

それと同時に黒いISは爆発に飲まれた。

 

 

 

 

「今回だけだからね。今回は私の怒りを上乗せするから」

 

アーチャーはアリーナの屋根である物を投影する。

投影されたのは、漆黒の弓だった。

 

「―――I am the bone of my sword.(我が骨子は捻じれ狂う)

 

そして、左手にはドリルのように捩じれた刀身を持っていた。

 

「―――“偽・螺旋剣(カラドボルグ)”!」

 

アーチャーが放った矢はそのまま、無人機に跳んで行く。

そして、偽・螺旋剣(カラドボルグ)が刺さると同時にアーチャーはもう一つ唱える。

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

偽・螺旋剣(カラドボルグ)は爆発し、その衝撃で無人機も巻き込まれ沈黙した。

 

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