クラス対抗戦は正体不明の黒いISの乱入により、中止となった。
一夏、鈴によって、その黒いISは
しかし、黒いISの損傷が激しく、その原型を留めておらず、情報を入手することはできなかった。
◇
更識楯無はロシアから戻って来ていなや、生徒会室で一枚の写真を眺めていた。
「今回も現れたか……」
一夏のクラス代表を決める試合の時に現れた紅い外装の少女の写真だった。
たまたま、甲龍のISの
「あなたの目的は一体なんなの……」
楯無は未だに彼女の目的が分からなかった……。
彼女がサーヴァントだと言うことぐらいで、真名すら分かっていないのだ。
「サーヴァントを使っての密偵は分かるけど、何故こんな人の多い日に……まさか!?」
楯無はある共通点を見つけたのだ。
そして、彼女が現れた日の日付を確認する。
「やっぱり……」
この紅い外装の少女は何故か織斑一夏の試合の日にしか現れないのだ。
あの日もそうだったように。
「鍵は織斑一夏にあるようだね……虚」
「はい。すぐさま、用意します」
楯無の専属メイドの虚はすぐさま、一夏に関する情報を集め始める。
「あなたのその仮面の下を見せてもらうわよ」
楯無はふふふ……と笑みを浮かべ、扇子を開く。
◇
「織斑君、篠ノ之さん。ちょっといいですかー?」
夜遅くに山田先生が訪ねてきた。
こんな時間にやってくるという事は何か特別な用事があるのだろう。
「山田先生、どうかしました?」
一夏はそう尋ねる。
すると山田先生は一呼吸おいて口を開けた。
「ええ……大変お待たせしましたが、ようやく調整がつきまして」
そう言えばそんなこともあったっけ、一夏はすっかり忘れていた。
「お二人は今日から同居せずに済みます。篠ノ之さん、女子の部屋にお引っ越しです」
「え!?」
箒はあまりの驚きに大声を出していた。
もう遅いのだから、周りの事を考えてほしいものだ。
「い……今からですか!?」
「ええ……急で申し訳ないんですが、荷造り私も手伝いますよ」
「いえ……先生は廊下で待っていっていて下さい」
「わかりました。準備ができたら来てくださいね」
山田先生はそう言うと部屋から退出した。
その後は箒が急に「来月の学年別トーナメントで、私が優勝したら……。つ……付き合ってもらう!!」と言い出したのだ。
◇
「大変なことになっちゃたね」
「はあ? どう言うことだ、アーチャー?」
一人部屋になったことにより、アーチャーは一夏の前に現界していた。
一夏は恋愛に対してだけはあきれるほどに異常な鈍感であるため、告白まがいなことをされても聞き逃したり、勘違いしたりで相手の好意に全く気が付かないのだ。
「そのままの意味ね」
そう言って、一夏のベッドに寝そべる。
その時、いつも着ていた紅い外装から軽装の私服へと変わっていた。
もちろん、お面だけは未だに装着したままで。
「あ……そうだ」
アーチャーは何かを思い出したようで、その場から起き上がり一夏の腕を握る。
「
「っ!」
一夏はアーチャーに掴まれた腕から妙な痛みを感じたのだ。
「……………」
アーチャーは無言のまま、その場から動かない。
一夏も腕に感じた痛みは徐々になくなり、全く感じなくなっていた。
「うん。問題ないね」
「アーチャー……これは」
「魔術回路の確認」
そう言って、またアーチャーはベッドに寝そべってしまった。
「……………」
アーチャーは何処から出したのかファッション誌を読み始めたのだ。
しかも完全にフリー状態で……足をぱたぱたさせながら。
「どうしたの? あ、もしかしてパンツ覗こうとしている?」
「あ、あのですねえ! スカートで足をぱたぱたしないでくださいよ! イヤでも見えちゃうじゃないですか!」
「ふ~ん。見えたんだ?」
「う!」
「問題です。私の下着の色は?」
「……ピンク色でした」
「あは。えっちぃ」
いつものアーチャーとは違い、今日は何故か一人のか弱い少女に一夏は思えた。
一夏が寝る準備が終わった頃にはアーチャーはいなく、一夏はそのまま熟睡する。
◇
女だらけの学園への入学。
幼馴染たちとの再会と大喧嘩。
そしてISでの実戦に……聖杯戦争。
波乱づくしだった学園生活にようやくささやかな平穏が訪れた……と思いきや。
「はーい皆さん。静かにして下さい! 今日から皆さんと一緒に勉強する。転校生のシャルル・デュノア君とラウラ・ボーデヴィッヒさんです!」
次の嵐は眼前に迫っていた。