Fate/Infinite Stratos   作:ぬっく~

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第18話

楯無と同盟を結んだ一夏は生徒会室を後にし、寮に戻ってきた。

 

「シャルル。ただいまー……あれ?」

 

と思ったが、すぐにシャワールームから響く水音に気付く。

 

「ああ。シャワーか。そういえば、ボディーソープが切れてたような……困っているかもしれないし、届けてやるか」

 

シャルルが前に言っていたことを思い出して、クローゼットから予備のボディーソープを取り出す。一夏は今日もてっきり自分が先に使うものだと思っていたので、補充をしていなかった。

 

「おーい、シャルル」

 

ちょうど一夏が入って来るのと同時に、シャワールームのドアが開いた。

 

「あ……」

 

「へっ……!?」

 

シャワールームから出てきたのは、見たことのない『女子』だった。

 

「いっ……いっ……いち……か……?」

 

「え? えっ……まさか、シャルル……!?」

 

その時だった。

シャルルの前から鎖の付いた杭が一夏目掛けて飛んできたのだ。

同時に一夏の前で金属同士がぶつかり合う音が響く。

 

「アーチャー!? ってそうじゃねぇ。今のって……」

 

間一髪、アーチャーが現界して杭を双剣で弾く。

弾かれた杭に一夏は見覚えがあった。

先程あったサーヴァントの襲撃に使われた杭だったのだ。

 

「ライダー! ストップ!!」

 

シャルルの前には、眼帯に黒を基調としたボディコン服を纏い、鎖のついた杭のような短剣を持った女性。つい先程、一夏を襲ったサーヴァントがいたのだ。

ライダーはシャルルの言葉に従い、警戒だけはやめず、その場にとどまる。

 

「アーチャーもストップだ!」

 

一夏もアーチャーが三枚に下ろすぞ、と言う雰囲気を出しているので、止めさせるがライダー同様の警戒だけは解かなかった。

結局、ライダーとアーチャーは二人の言葉に従うが、未だに睨み合っている。

シャルルがまだ裸と言うことに気付いた一夏は脱衣場を出た。

 

 

    ◇

 

 

「……………」

 

「……………」

 

かれこれ一時間。一夏とシャルルと思われる女子は、椅子に腰を掛けて向き合い、無言の時を過ぎしていた。その横で今にも襲いかかってきそな爆弾を抱えて。

 

「(気まずい……)」

 

らちがあかないので一夏から声をかける。

 

「とりあえず、お茶でも飲むか? 淹れるよ」

 

「あ……うん」

 

一夏はお茶を淹れようと席を立つが、二人の前にお茶が置かれた。アーチャーが先にお茶を淹れてくれたようだ。

だけど、シャルルのお茶は一夏のお茶に比べて、温度が違い過ぎていた。

ぐつぐつと音を立てているお茶。完全に飲める温度ではない。

 

「ライダー、止めてっ!」

 

「アーチャーもだぁ!」

 

アーチャーのいじめにカチンときたライダーはアーチャーとぶつかった。

部屋内で金属音が響き、二人はそれを止めさせる。

再び二人の横に立つライダーとアーチャー。

 

「それで……なんで男のフリなんてしてたんだ?」

 

「うん……それはね……デュノア社の社長……その人から直々の命令なんだ」

 

「(その人?)」

 

一夏はどうにも妙な違和感を感じていた。特に実家の話をし始めてから、シャルルの顔は徐々に曇りだしていった。

 

「命令って……親だろう? なんでそんな―――」

 

「僕はね……一夏。愛人の子なんだよ」

 

「愛人……」

 

一夏は絶句してしまった。

 

「二年前に母が他界した時に、初めて父のことを知ったんだ。僕の母が魔術師だったこととIS適正が高いとわかって、非公式だけど社のテストパイロットをやることになってね。」

 

シャルルは、おそらく言いたくはないだろう話をそれでも健気に喋ってくれた。

 

「……とはいえ、父に会ったのは2回ぐらい……最初は本邸に呼ばれた時……あの時はひどかったなぁ。いきなり本妻の人に殴られたよ。『この泥棒猫の娘が!』って……参るよね……」

 

「……………」

 

あははと、と愛想笑いを繋げるシャルルだったが、その声は乾いていてちっとも笑っていなかった。一夏も、さすがに愛想笑いは返せなかった。

 

「それから少し経って……デュノア社は経営危機に陥ったの」

 

「え? デュノア社って、量産機ISのシェアが第三位だろ?」

 

「結局リヴァイヴは第二世代型なんだよ。ISの開発はすごくお金がかかるんだ……殆どの企業は国からの支援で成り立っている」

 

一夏は第三世代型の開発に関して、セシリアがいくつか言っていたことを思い出す。

ISは現在第三世代型が主流だったため、第二世代型しか作れないフランスは『イグニッション・プラン』から除名されてしまったのだ。

そのため、フランスは第三世代型の開発は急務だった訳だが、圧倒的にデータも時間も不足していたため、形にすることができなかった。

そこで、フランスが最後の手に出たのだ。

 

シャルルの転校。

 

男装させたシャルルをIS学園に転校させることで、人目を引く広告塔と第三世代型のISデータの入手させようとしたのだ。

 

「何となくそれはわかった。だが……」

 

「ライダーのことでしょ……これは保険なの、聖杯戦争の勝者に与えられる聖杯を手に入れるために」

 

「……っ。だからと言って、一般人に手を出すのは……」

 

「僕が()()()()()()したくはなかったよ」

 

一夏はそこで疑問が生まれた。

シャルルはライダーを従えているのに、「マスターなら」と言ったのだ。

 

「どう言うことだ? シャルルがマスターではないのか?」

 

「本妻もね実は魔術師の家系だったんだよ……でもね。魔術師にとって、致命的なことがあったんだ。あの人は魔術回路を持っていなかったの。だから、魔術回路を持っている僕がライダーを召喚し、令呪をあの人に渡した……」

 

つまり、シャルルは本来のマスターなのだが、令呪をを本妻に奪われしまった。

そして、会社のため……聖杯戦争のためにシャルルを利用したのだ。

 

「じゃあ、この件は本妻の指示と言うことなのか?」

 

「そうだ」

 

ライダーの回答に、一夏は怒りを抑えられなかった。

 

「ふざけるなぁ!! 何が親の命令だ! 確かに親がいなけりゃ、子供は生まれない。だからって、親が子供になにしても言い訳じゃないどろう! 生き方を選ぶ権利は誰にだってあるはずだ! 親なんかに邪魔されるいわれなんてないはずだ!!」

 

「一夏……どうしたのそんな……」

 

「俺は―――俺と千冬姉は両親に捨てられたんだ」

 

「え……」

 

「俺にとっては家族は千冬姉だけだ。だからもし……親が現れて、同じように命令されたら、絶対許せないと思う……」

 

「……うん……そうだね……一夏の言う通りだよ。でも……僕にはなにも……」

 

「特記事項第21。本学園における生徒は、その在学中においてありとあらゆる国家、組織団体に帰属しない」

 

「えっ……」

 

つまり、シャルルにはこの学園にいる限り、大丈夫だということだった。

なら、その間に何か解決策を見つけるだけの時間が与えられたのだ。

 

「ここにいろよ、シャルル」

 

「一夏……」

 

シャルルは本当の笑顔を一夏に見せる。

一夏もそれを見て、ほっとした。

 

「マスターもお人よしなのですから……」

 

「仕方ないだろ。それが俺なんだから……」

 

アーチャーは一夏の後ろに立っており、先程まで出していた殺気が嘘のようになかった。

同じくライダーもシャルルの傍におり、殺気を感じられない。

 

「私はそんなあなたが好きなんですよ……一夏くん」

 

「ん? 何か言ったか?」

 

「いいえ」

 

アーチャーが何か言っていたようだが、一夏の耳には届いていなかったようだ。

今日は色々なことが起こりすぎた。肉体的にも精神的にも披露が溜まっていたのか、一夏は布団の中ですぐに眠りに落ちていった。

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