「……………」
荒野に一人一夏は立っていた。
無数に刺さる剣。一夏にはそれが墓標に見える。
「くっ……」
突風に煽られ、一夏は目を瞑る。
再び目を開けるとそこは荒野ではなく、一夏がいた日本の風景だった。
「ここって……」
一夏はその場所を知っていた。
電車の高架下のラーメン屋台。一夏にとっては思いでのある店。
何故そんなとこにいるのは分からなかった。
「あははっ。私をラーメン屋台に誘ったのは君が初めてよ」
また、後頭部にモザイクがかかったように見えないIS学園の制服を着た女性と……IS学園の制服を着た
それには一夏も驚きを隠せなかった。
「これって……アーチャーの記憶だよな……」
前にアーチャーに聞かされたことがあった。
サーヴァントと契約すると、その人の過去を見ることがあると。
なら、何故そこに俺がいる。あのラーメン屋台を知っている人なんて限られている。俺がいつ、アーチャーをあのラーメン屋台に連れて行ったのか。全く覚えがなかったのだ。
「うっ……」
再び、突風に煽られる。
一夏は日の光に当てられて、起き上がった。
「俺は……前に、アーチャーに出会っているのか……?」
深まる疑問。
結局、その疑問を解消することは出来なかった。
◇
その日は特に大きな事件もなく、一日が終わった。
シャルルの件は学年別トーナメントが終わるまで内緒にすることになり、今はシャルル(男)でいる。
一夏はライダーの情報を楯無に報告しようと思っていたが。
「ねえ、ちょっと聞いた!?」
なにやら外が騒がしく、一夏たちは耳を傾ける。
「今、第三アリーナで代表候補生三人が模擬戦してるって!!」
その時、一夏は嫌な予感がした。
この学園に代表候補生はシャルルを含めて七人いる。
その内、二人は先輩であり、今戦っているといったら、鈴とセシリア、ラウラしかいなかったのだ。
一夏は慌てて、第三アリーナに向かう。
◇
一夏が第三アリーナに着いた頃には一夏の嫌な予感通りになっていた。
ラウラとセシリア、鈴が模擬戦をしていたのだ。しかし、二対一の状況でラウラが圧倒していたのだ。
そして、二人を弄ぶように徹底的に痛めつける。
「来い!! 白式!!」
一夏は怒りに身を任して、遮断シールドを破る。
「その手を離せえええ!!」
一夏の零落白夜のエネルギー刃が届くその寸前で、止まる。
まるで見えない腕に掴まれたかのように、身体の言うことを聞かない。
「なっ……」
「感情的で直線的……絵に描いたような愚図だな」
方の大型カノンが接続部から回転し、一夏へと砲口を向ける。
「この私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、有象無象の一つでしかない―――消えろ」
打ち出される瞬間、シュヴァルツェア・レーゲンに警告音が鳴り、ラウラは一夏の拘束を解き回避する。
ラウラが回避した瞬間、空から真紅の矢の雨が降り注ぐ。
「何者だ!」
ラウラが叫ぶが、その者は返事の一つも返さない。紅い外装に漆黒の弓を持った少女がアリーナの天井にいる。
一夏にはそれが誰なのか分かっていた。
「(アーチャー……)鈴! セシリア!! 大丈夫か!?」
ラウラの注意がアーチャーに向いている内に一夏は鈴とセシリアの元に駆け寄る。
「う……一夏……」
「無様なところを……お見せしましたわね……」
二人は何とか生きており、一夏は安心する。
「ふん。私の邪魔をすると言うことはどう言うことなのかわかっているな?」
ラウラは大型カノンをアーチャーに向けるが、アーチャーは既にそこにはおらず、気付いた時には既に遅かった。
「なっ!?」
アーチャーは既にラウラの懐におり、大型カノンの接続部に黒の剣を突き刺す。
「
アーチャーのその一言で剣は爆発を起こし、大型カノンを破壊する。
「この女狐がぁ!!」
ラウラはプラズマ手刀を展開し、アーチャーに振る。
しかし、アーチャーはそれをぎりぎりの領域で回避し、ラウラの腹部に一太刀入れた。
だが、ISの絶対防御でそれは軽減され、すぐに次の攻撃が迫ってくる。
「ちょこまかとっ!!」
ラウラの攻撃は一度も入ることなく、アーチャーはシュヴァルツェア・レーゲンのSEを削っていく。
ましてや、アーチャーはISなど使わず、ただの剣でISを相手しているのだ。
「―――
アーチャーはラウラの攻撃に合わせて、アーチャーは一本の剣を投影する。
その剣はラウラを動揺させるのには十分な物だった。
「な、なぜ……貴様がそれを持っている……」
アーチャーが持っている剣は、かつてある者を世界の王座へと導いた剣だった。
織斑千冬のIS、暮桜の唯一の武装……《雪片》だったのだ。