誰もが困惑している中、アーチャーは何かを唱え始めた。
「
アーチャーから放たれた波動がアリーナ全体に衝撃を与えた。
「固有結界!?」
楯無、アルトリア、一夏、千冬はアーチャーが作り出した固有結界の中にいた。
無限に広がる荒野、無数に刺さる剣、夕日の空と歯車。
一夏はその風景を知っていた。
「なんで……更識先輩が……」
楯無と同様に困惑していた一夏にアーチャーは答える。
「理由は簡単よ。私は世界と契約したからよ」
それを聞いた楯無はぴくりと顔が揺れた。
「世界と契約した……だと?」
千冬もアーチャーの言っている意味が分からなかった。
「そう。現在、この日本でとあるゲームが開催されているわ」
アーチャーは自身が何故、二人いるかについて話し出す。
「聖杯戦争。七人のマスターと七騎のサーヴァントによるゲーム。そして、呼び出されるサーヴァントは過去、現代、未来の英雄の素質を持つ者が選ばれる。さらに、このゲームの勝利条件は一人のマスターとサーヴァントになるまで戦い続ける。最後の一人になった時、その者は願いを一つだけ叶えることができる。これが、聖杯戦争」
衝撃的な真実に誰もが声が出なかった。
「貴公は聖杯に何を願うのだ。そこまでして、願いたい願いとは……」
アルトリアは一つの疑問を覚えたのだ。
魔術師である楯無がなぜ、世界と契約していることに。
「あの時間を取り戻すためよ」
「あの時間……?」
アーチャーは一夏の後ろに立つ。
「私が唯一愛した彼との時間をもう一度、取り戻すためよ」
それは、その場にいた全員が驚く答えだった。
「あなたに一体……何があったのよ」
「戦争よ……それも過去最悪の戦争。第三次世界大戦が起きたのよ……ISとISによる殺し合いが」
アーチャーはあの日の出来事を騙り出した。
「ISの開発者、篠ノ之 束と亡国機業が火だねを起こし、世界は戦火に包まれたわ。同時に世界で織斑一夏の取り合いが起きたわ」
一夏は現在、国籍を剥奪されている。そのため、戦争を切っ掛けに世界は彼を手に入れようとしたのだ。
「もちろん、私のところにもそれは来たわ。だけど、私は拒否して彼と逃げる選択肢を選び……殺してしまったわ」
あの日のことはアーチャーにとっては忘れる事の出来ない記憶。
やっと手に入れた……恋を失ったあの日を。
「だから、今度こそは―――絶対にあの手を離さない。そして、絶対に間違えない。聖杯を手に入れて、もう一度やり直す。例え、それが私自身が相手でも」
アーチャーの叫びに誰も口が開けなかった。
知らざる未来の結末に、誰も言えなかったのだ。
「さて、これが私の全てよ」
そう言って荒野は解除され、元いたアリーナに変わっていた。
アーチャーはそれと同時に姿を眩ます。
千冬は詳しい状況を後で楯無から聞くこととして、以降の模擬戦を禁止を宣言して、解散になった。