Fate/Infinite Stratos   作:ぬっく~

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第24話

一夏から淡い炎が放たれ、アリーナにいた生徒たちは目を閉じる。

そして、その目を開けた時、そこにあったのは無数の剣が刺さっていた。

 

「なんだこれは……」

 

「そうだ。白式の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)は零落白夜ではない。あれは雪片が作り上げた偽物の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)。白式の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)は無限の剣を内包する世界をつくること。それが白式にだけ許されたただ一つの単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)、《無限の剣製(アンリミテッドブレードワークス)》だ」

 

「だが、貴様のシールドエネルギーはあとわずかだ!」

 

六つのワイヤーブレードが一斉に射出、一夏に目掛けて突っ込んでくる。

しかし、一夏の周りにあった六本の剣がそれを弾いた。

 

「!?」

 

「驚くことではないだろう? ここは俺の世界だぜ?」

 

「まさか!? 空間に作用する単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)だと!?」

 

歴史上、空間に作用する単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)を使う操者は誰一人いなかった。

そもそも、単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)まで至った操者は数少なく、このようなパターンは稀にしかない。

しかし、一夏の白式の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)が零落白夜だと覚えていたラウラにとってはこれは予想外な出来事だった。

 

「行くぞ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。シールドエネルギーの残量は十分か?」

 

「死にぞこないがぁ!!」

 

つかさず大型カノンを放つ。

一夏は両手に引き抜いた剣を握り、砲弾を弾く。

この時、第二幕が始まった。

 

 

    ◇

 

 

「なんだあれは……」

 

教師だけが入ることを許されている観察室で、モニターに映し出される戦闘映像を眺めながら千冬は驚きを隠せていなかった。

 

「空間に作用する単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)……今までにない単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)です」

 

「作用? 違うあれは……書き換えだ」

 

「書き換え?」

 

「そうだ。あれは空間を書き換える単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)だ……」

 

千冬はあれを一度だけ、見た事があった。

しかし、千冬の見たものとは大きく違っていた。一夏のはグランドに無数の剣が刺さっているだけで、アーチャーのやつに比べて小さい。

アーチャーのやつに比べたら全然足元にも及ばなかった。

 

「この勝負……勝敗が見えなくなってきましたね」

 

「ああ……そうだな」

 

 

    ◇

 

 

「なぜだ……なぜ、堕ちないぃぃぃ!!」

 

ラウラの大型カノン、ワイヤーブレイド、AICがことごとく防がれる。

箒の方はシャルルの高速切替(ラピッド・スイッチ)でなんとかシャルルが勝利を納めた。

残るのはラウラ一人。

 

「ふざけるなぁ!!」

 

ラウラは怒りに我を忘れ、一夏に一気に距離を詰める。

 

「俺たちはタッグなんだぜ?」

 

その言葉に気付いた時には遅かった。

いつの間にか無数の剣がなくなっており、ラウラの懐にはシャルルがいたのだ。

 

「この距離なら外さない……!!」

 

盾の装甲がはじけ飛び、中からリボルバーと杭が融合した装備が露出する。六九口径パイルバンカー《灰色の鱗殻(グレー・スケール)》。通称―――

 

盾殺し(シールド・ピアース)……!!」

 

初めて、ラウラの表情に焦りが見えた。文字通り必死の形相だった。

 

「ぐっ!!」

 

ラウラの腹部に、パイルバンカーの一撃が叩き込まれる。ISのシールドエネルギーが集中して絶対防御を発動して防ぐものの、そのエネルギー残量をごっそりと奪われる。しかも相殺しきれなかった衝撃が深く身体を貫いたのだろう、ラウラの表情は苦悶に歪む。

 

「こんな……こんな所で負けるのか?」

 

確かにラウラは相手の力量を見誤った。それは間違えようのないミスだ。しかし、それでも―――

 

「嫌だ……負けれない……私……私は……」

 

―――だが次の瞬間、異変が起きた。

 

 

    ◆

 

 

「今日からお前はラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

人工合成された遺伝子から作られ、戦いの為だけに鍛えられた存在……私は優秀だった……世界最強の兵器、ISが現れるまでは……。

ISとの適合性向上の為……私は肉眼にナノマシンの移植手術が施された。『越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)』と呼ばれるそれは、脳への視覚伝達、動体反射能力を爆発的に向上させる筈だった。

しかし、私の身体は適応しきれず……最強だったはずの私は、いつしか出来損ないの烙印を押されていた……。

そんな時だった。彼女と出会ったのは。

彼女の名は織斑千冬。世界最強のISの使いて……。

教官は極めて優秀な指導者だった。教官の教えを忠実に取り入れる事で、私はたった一月で最強の座に返り咲いた。

教官の強さ、凛々しさ……そして、自らを信じる姿。その全てに憧れた……私もああなりたいと……。

 

「教官……どうしてそこまで強いのですか? どうすれば、強くなれますか……?」

 

ラウラはある日訊いてみた。

 

「……そうだな」

 

「(……えっ……)」

 

その時―――ああ、その時だ。あの人が、鬼のような厳しさを持つ教官が、わずかに優しい笑みを浮かべた。

ラウラは、その表情になぜかだか心がちくりとしたのを覚える。

 

「私には弟がいてな……あいつを見ているとわかる時がある。強さとはどういうものなのか……その先に何があるのか……」

 

優しい笑み、どこか気恥ずかしそうな表情―――

 

「いつか日本に来る事があれば……」

 

違う。

私が憧れるあなたは、強くて、凛々しくて、堂々としていて……それがあなたなのに。

許せない。あなたにそんな顔をさせる男が……!

 

 

    ◆

 

 

「織斑一夏……教官の弟。教官の栄光に泥を塗った男……あいつを敗北させると決めたのだ。完膚無きまでに叩き伏せると!! 欲しい……今より強い力……比類無き最強の力が!!」

 

その時、ラウラの奥底で何かがうごめく。

 

「うあああっ!!」

 

突然、ラウラが身を引き裂かんばかりの絶叫を発する。

 

「な……なんだ!?」

 

一夏とシャルルは目を疑った。その視線の先では、ラウラが……シュヴァルツェア・レーゲンが変形していた。

 

「っ!? なんだ……急に身体に力が入らない……」

 

「これって……」

 

シャルルは観客席を見る。そこにいたデュノア社の本妻が笑っていた。

 

「魂喰い……早くしないと、皆が衰弱死してしてまう」

 

「くそ……そんなことを言っている暇はないぞ」

 

本妻が前々からライダーに仕掛けて置いた結界を発動させたせいで、耐性がない教師、生徒がその場に倒れている。

しかし、一夏の前には変形したシュヴァルツェア・レーゲンがいた。

 

『一夏くん? 聞こえる?』

 

「更識先輩……?」

 

一夏のプライベート・チャンネルに更識 楯無の声が入る。

 

『この結界はうちらの方で何とかするから、そっちの方をお願い』

 

「わかりました」

 

どうやら、楯無もこの結界のことに気付いたようで、その解除に向かう。

一夏はそれを聞いて目の前の事に集中するが……。

 

「一夏くんは、お休みよ♪」

 

アリーナに降り立って来たのは、アーチャーだった。

 

「アーチャー!?」

 

「シールドエネルギーのない今のマスター(一夏くん)を戦わせるサーヴァント(従者)が何処にいると思う?」

 

「うっ……」

 

痛いところを突かれる一夏。

そんな一夏を見て、アーチャーは微笑む。

 

「それに今日は嬉しかったから……私がコレの相手してあげる」

 

そう言って、アーチャーは青い扇子を取り出す。

 

「久しぶりの獲物よ……」

 

扇子に着いていた青と白のアクセサリーが輝く。

 

「サーヴァント、アーチャー。そして、IS『ミステリアス・ホワイト・ナイトガール(霧纏の白き女騎士)』よ。覚えておいてね」

 

アーチャーはにこりと微笑む。

ベースは更識先輩のISなんだろう。殆どが更識先輩のISと同じだったが、アーチャーの左右に浮遊するスラスターが白式のやつに似ていた。

 

投影開始(トレース・オン)!」

 

アーチャーは二本の剣を投影する。

投影したのは……白い雪片と黒い雪片だった。

 

「ふぅ……!」

 

二本の雪片から膨大なエネルギー刃が放出され、その推進力でアーチャーは黒いISに一気に近づく。

黒いISが刀を振り下ろす。しかし、アーチャーはそれを白の雪片で弾く。

そして、黒の雪片で横に真っ直ぐ相手を斬り上げる。

 

無銘勝利剣(ひみつかりばー)!!」

 

アーチャーのラッシュは止まらない、斬り上げた瞬間、追撃と言う連続斬りを決めたのだ。

 

「ぎ、ぎ……ガ……」

 

ジジッ……と紫電が走り、黒いISが完全に停止した。

それと同時に学園をおっていた結界が解かれる。

 

「終わったのか……」

 

そう言い残して、一夏は気を失った。

 

 

    ◇

 

 

「何よこれ……」

 

楯無は一夏にプライベート・チャンネルで結界を解くこと言った後のことだった。

魂喰いの結界を発動させたのは、デュノア社の本妻であり、楯無はその本妻がいる観客席に向かっていた。しかし、そこでとんでもない物を楯無は見てしまう。

 

「結界も解除されています」

 

サーヴァント、セイバー。アルトリアも結界が解除されていることに気付く。

なぜなら、()()()()()()()()()()()()()()()()

本妻の首が二回転し、楯無も完全に死んでいることを確認する。

 

「一体誰が……」

 

観客席までの道のりは一本のみ、楯無がここまで来るまでにすれ違った人物は誰もいない。

観客席にいた人たちは全員、気を失っている。

 

「後処理は協会に任せるわ」

 

そう言って、楯無とアルトリアは元来た道を戻る。

 

 

    ◇

 

 

「今回はあの夫妻から頼みだったからやったまでだからな……織斑一夏よ」

 

アリーナを立ち去る一人の男性。

胸元に金の十字架を掲げた男性はそのまま、何事もなかったようにIS学園から立ち去った。

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