一夏は深い闇の中にいた。
光もない真っ暗な所にぽつんと立っている。
「ここは……」
だけど、一夏は何故かここを懐かしく感じていた。
一夏の知る限り、こんな所は一度も来た事はなかったはずだが、何故か知っている。
「ここは、聖杯の中」
不意に後ろから声が聞こえ、一夏は振り向くと誰かがいた。
姿が見えないが、声の高さからして女性だとわかる。
「この世界から出る方法を知っているのか?」
「愚問ね。でもこのまま、この世界から出てもあなたの寿命は持って数分程度だけど、この世界から出る?」
「なら、どうすればいい」
女性は何故かその時、笑っていた。
「なに、あたしと契約すればいいのよ。そうすれば、寿命と言う概念など必要なくなるわ」
そう言って、女性はコツコツと足を音を鳴らしながらこっちに歩いて来る。
一夏に近づくにつれて、その姿があらわになる。漆黒の鎧、真っ白に伸びた地面すれすれの長髪、旗を持った女性だった。
「うふふふ……」
その姿を見た瞬間。
一夏の意識は、急に電源を落とすようにぷっつりと途絶えた。
◇
「これは!?」
真耶は福音の監視の為にレーダーを常時監視していた。
そして、福音から300メートル前後のところに突如、正体不明の物体が現れたことに気付いたのだ。
「織斑先生! 大変です」
「何っ!」
そして、それと同時に福音に向かうIS反応を感知したのだ。
「まさか、あの子たちも!?」
流石に予想外の事態が重なり、事態が悪化するのだった。
◇
福音は胎児のようにうずくまっていると、不意に顔を上げる。
次の瞬間、超音速で砲弾が福音の頭部に直撃し、大爆発を起こした。
「初弾命中! 続けて砲撃を行う!!」
セシリアの狙撃、シャルロットの『高速切替』で福音に一切の隙を与えない。
「行ったよ!」
福音はその場から逃れようと無理矢理、セシリアとシャルロットの狙撃を振り切るが、その先に鈴が待ち構えていた。
「逃がすかああああああ!!」
しかし、ここに来て思いがけない邪魔が入る。
「! 一旦、後退しろ!!」
ラウラがいち早く気付き、全員その場から後退する。
後退宣言をした瞬間、タコの足のような巨大な何かが出現したのだ。
「何よ! あれ!!」
突如の出現に福音もその場に止まり、様子を窺う。
すると、前方からその生物の本体が姿を現した。
「……………」
専用機持ちは声が出なかった。
濃い霧に包まれたそれは、あまりにも想像を超えた存在であり、全員がこう着状態になる。
「
一筋の光がその生物を撃ち抜く。
それがきっかけで、専用機持ちは自我を取り戻す。
「何をやっているのよ! あなた達!!」
専用機持ちを見つけたのはアーチャーだった。
「楯無さん!? あれは一体……」
「説明は後よ! あなた達は避難……」
アーチャーが言いかけたところで、爆発光弾が降り注いでくる。
「!? 福音!?」
しかし、福音は専用機持ちを狙わず、大海魔の方を攻撃していた。
「どうやら、福音の敵として認識してしまったようね」
しかし、福音の爆発光弾を受けた大海魔の触手はすぐに再生する。
それを見た専用機持ちは息を飲んだ。
「楯無さん……」
「これは超機密事項にあたるから詳しくは言えないけど、人類の敵よ」
専用機持ちは何も言えなかった。
アーチャーも申し訳ないと心のそこから思い、その場から離れる。
「陸に上がる前に片付けるわよ」
そう言って、可能限りの宝具を投影する。
◇
そこには、狂笑を続ける一人の狂人がいた。
「ははははははははははははっはははあはははははははははははは!! 凄ェよ!! 旦那、アンタ本当にクールだよ! こんな凄ェもんがあるなんて俺、全然知らなかった! 何故か観客が全然いないのがさびしいけど、そんなこと大したことじゃない! 日常とか退屈なんか糞喰らえだ! 旦那のクールが、こっからは世界に漸く伝わるんだ!」
常人には理解できぬことを、両手をあげて吼える狂人。
しかし―――
ドゥキュウウウン……
銃声が鳴り響き、龍之介はその場に倒れる。
「なんだ……?」
腹に違和感を感じ、触れると真っ赤な血がついていた。
血は徐々に広がる。
「あははは……」
そして、2発目の銃声が鳴り、龍之介の頭が飛ぶ。
◇
アーチャーたちが相手していた大海魔がいきなり止まりだす。
「止まった……?」
その場にいた全員がそのことに驚くが、大海魔は再び動き出す。
しかも、先程より早く。
「ダメ……このままじゃ……」
岸はもうそこまで来ていた。
このまま、大海魔が上陸し、捕食を開始し始めてしまったら、彼女たちには何も残されていない。
「(ごめんなさい……一夏くん!!)」
アーチャーは何も出来なかった自分を悔やむ。
しかし、その彼女の背中を叩く者がいた。
「何諦めてんだよ。そんなお前を俺は見たくねぇよ」
「!? あ……あ、あっ……」
じわじわと目尻に涙が浮かぶ。
アーチャーのわずかに潤んだ視界に見えるのは、白式を纏った一夏だった。
◇
「キャスターのマスターらしき人物を始末したところだけど、どうやら当たりだったようだ」
切嗣は煙草に火を点し、一服する。
彼の横に狙撃に使われた銃があった。
「このまま、他のマスターも」
切嗣の横で待機していた舞弥が他のマスターの始末を推奨する。
「そうしたいのは山々だが、あの大海魔を先に処理しないと話にはならないね」
「しかし、あれ程の大きさになると……」
しかし、切嗣はこの大海魔がどうも邪魔であり、他のマスターの処理を後回しにした。
「対人、対軍宝具ではダメだ。一撃で消し飛ばせる対城宝具が必要になる。だが、運のいいことに、セイバーにはそれがある」
切嗣は煙草を海に捨て、大海魔を眺める。
◇
「い、一夏……くん」
ぐしぐしと目元をぬぐうアーチャーに、一夏は優しく頭を撫でてやる。
「心配かけたな。もう大丈夫だ」
一夏はアーチャーの手を握る。
「手を貸してくれるか?」
「う、うん!」
アーチャーは一夏の回答に頷く。
それを聞いた一夏はセイバーに呼びかける。
「セイバー!」
「一夏!? なぜ、そなたがそこに居られる!?」
流石のセイバーも一夏がここにいることには驚きを隠せなかった。
「説明は後だ。今はこいつを止めるぞ!」
「! 了解したが……」
「俺たちが時間を稼ぐから宝具の準備を!」
「!? わかった!」
セイバーは一夏の指示に従い、宝具の魔力を流す。
「さて、そんじゃあ、俺たちもやるか」
「お姉さんはいつでも準備万端よ!」
一夏とアーチャーはお互いにしっかりと手を繋ぎ。
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「ただ
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「ならば
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「この
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