訳が分からなかった。
母のおまじないを唱えた途端、俺の目の前に一人の少女が現れたのだ。
少女は赤い外套を纏い、肩位まで伸びた水色の髪、そして見た目に見合わない狐の面をしていた。
「なんだ、騒がしいな」
外にいた見張りの人たちが続々と中に入って来る。
「おいおい……なんで、部外者がいるんだよ」
「しらねぇよ……ていうか、結構上物じゃねぇ?」
男たちはけらけらと笑いながら、少女を見る。
「処分するのは、ちっと勿体ないが……」
と男Aが彼女の肩に触れた瞬間。
「
男はその場に倒れた。
誰もが目を疑う。
今、何が起こった? それが、全員の頭の中を駆け巡る。
少女の手には一本の短剣が握られていた。
「女……今、何を……した」
「害虫を駆除しただけよ」
少女はただそう答えた。
「は? 害虫d……」
男は口上の途中で、視界が下へと落ち、自分の身体が見えた。
(なんで、俺の身体があるんだよ……)
男の身体はその場に倒れ、全員が理解した。
この女は只者じゃないと、二人も殺して、平然としている。
「う、撃ってぇ!!」
男が叫ぶと、持っていた銃の引き金を引く。
銃声が10秒、20秒と続き、全ての弾を撃ち込んだ。
「し、死んだか……」
倉庫の中は砂煙によって視界が悪くなっており、数秒後……男たちは息を飲んだ。
「ありえねぇだろ……」
そこには無傷の少女と少年がいたのだ。
「化け物……」
その言葉を最後に男の命は消えた。
◇
「う、撃ってぇ!!」
男のその言葉で俺は死ぬことが分かってしまった。
だけど、少女はその場に立ったまま。
「
7枚の光の盾が花弁のように展開され、銃弾を弾く。
銃弾の雨が止むと、少女は黒と白の短剣を構え、男たちを次から次へと殺していった。
男たちの悲鳴が響きわたる。
数分した頃には誰の声もしなくなっていた。
静まり返った頃に、その少女が戻って来る。
返り血があちこちあり、その手に持っている短剣からも血が垂れていた。
「君は何なんだ……」
少女は何も答えず……霧のようにその場から姿を消した。
それと同時に一機のISが入って来る。
「一夏! 無事か!!」
「千冬姉!?」
白いISを纏って来たのは試合中の真っ最中であるはずの姉だった。
「良かった……」
遅れてから複数のISがこの倉庫の周りに集まる。
そして、最初に目撃したのは複数の死体の山だった。
しかし、生存者は一夏以外誰もおらず、その事件は闇に葬られた。