Fate/Infinite Stratos   作:ぬっく~

32 / 43
アーチャー「私と箒ちゃんとシャルロットちゃん、それと楯無さん。この中で、どなたが一番好みですか? 人格的な意味ではなく、身体的な意味で」


第32話

それは突然のことだった。

怪我の治療を終えて、食事を取っている時だった。急に痛みが走り、シャルロットは自分の右手の甲を押さえる。

 

「シャルロットさん? どうしました?」

 

セシリアは持っていた箸を落としたシャルロットに心配し、声をかけるが。

 

「だ、大丈夫だよ。ちょっとね」

 

「そ、そうですか」

 

何事もなかったようにふるまい。

セシリアは少し心配しながらも、新しい箸を手に持つ。

シャルロットは「あはは……」と笑うが、右手の甲にあった三画の痣が無くなっていたのだ。

 

 

    ◇

 

 

ざあ……。ざあ……。

 

一夏は近くの岩場に腰を下ろしながら、月を眺めている。

箒たちが食事を取っている時、一夏は旅館を抜け出して夜の海へと繰り出していた。

満月の今日は、真夜中であっても明るい。一夏は穏やかな波の音を聞きながらぼんやりと空の月を見上げる。

 

(そういえば、夕方になんか夢を見た気がするんだが……)

 

そのことを考えるが、何故かそこだけすっぽりと抜けていた。

 

「い、一夏……くん?」

 

突然名前を呼ばれ、一夏は振り向く。

月明かりに照らされて姿が浮かんだのは、紅い外装姿のアーチャーだった。

 

「刀奈……? どうしたんだ?」

 

「しっかり聞いて」

 

「?」

 

アーチャーは珍しく真剣な眼差しを一夏に見せていた。

いつもなら、からかうはずのアーチャーが今だけ、真剣だったのだ。

 

「ライダーが死んだわ」

 

「え……?」

 

それは突然のことだった。

シャルロットのサーヴァント。ライダーが死んだことだったのだ。

 

「どいうことだよ……」

 

「真相はわからないけど、シャルロットちゃんの令呪が完全に消えたことを確認したのよ」

 

令呪が消える。

それは、サーヴァントが死んだことを意味していた。

 

「一体……誰が……」

 

「可能性として……アサシンのサーヴァントが候補に上がっているけど」

 

アサシン。

マスター殺しのサーヴァントとして、隠密行動を得意とするクラスだ。

しかし、今回狙われたのはサーヴァントだった。

アーチャー、セイバーが疲労していたなかといえど、サーヴァントを暗殺するのはそうたやすくはない。

 

「今はそれしか、わからない」

 

「じゃあ、シャルは……」

 

「……………」

 

アーチャーは目を瞑る。

一夏は認めたくはなかった。

 

「なんでだよ……」

 

アーチャーも本当はこの真実は認めたくはなかった。

正々堂々と戦い……敗れたなら彼女も認めただろう。

しかし、それは叶うことなく、ライダーは死んだ。

 

「一夏!」

 

そんな一夏をアーチャーは抱き留める。

お互いに認めたくないという気持ちは決して消えることはない。

だからこそ。受け止めるしかないのだ。

 

「これは……聖杯戦争。暗殺なんて……認めたくはないけど、サーヴァントにとってはごく普通のことなのよ」

 

アーチャーの温もりを一夏は感じながら、涙を流す。

 

「……刀奈」

 

一夏は決心した。

 

「俺……聖杯を手に入れる」

 

もう、二度とこんな思いはしたくはない。

 

「聖杯を手に入れ……俺の願いを叶える!」

 

何でも叶う願望器。

それを手に入れば、一夏の願いは叶うだろう。

しかし、それは同時に茨の道でもあった。

 

「だから、力を貸してくれるか?」

 

アーチャーは一夏の決心を受け止め、その場に膝をつく。

その姿は騎士が主君に誓いを表す姿だった。

 

「仰せのままに。マイ、マスター」

 

 

    ◇

 

 

「無事にキャスターのサーヴァントとマスターは始末されたか」

 

とある協会で男性は今回の件の報告を聞いていた。

 

「情報操作はこちらでしておく。ああ、問題ない。報酬はいつもの所に振り込んでおく」

 

そう言って、電話を切る。

 

「キャスターとライダーが脱落か……」

 

男は少しあることに疑問を感じていた。

キャスターはセイバーによって倒されたが、ライダーは一体誰がやったのかがわからないのだ。

 

「アサシンが動いたのか? となると厄介な宝具を持っていることになる」

 

サーヴァントすら殺す程の宝具。

だが、男にはその宝具が全くと言って検討がつかない。

 

「現代か未来のサーヴァントと言う訳か。今宵の聖杯戦争はつまらないと言ったが取り消そう」

 

男……言峰綺礼は一人、協会内で笑い声を上げる。

 

「さあ、今宵の勝者は誰になるのやら」

 

前回の聖杯戦争に参加した言峰綺礼は勝者の名を口にする。

 

「君の息子が聖杯を手に入れるか、更識が手に入れるか、賭けようではないか……織斑切嗣よ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。