Fate/Infinite Stratos   作:ぬっく~

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「はわ、はわわ…こ、こんな屈辱は初めてですぅ……助けてご主人様……怒るのを通り越して泣きそうです、私……」


第34話

麻婆のこと言峰綺礼の昼飯を奢ってもらった一夏は屍のようになってから数時間が経った。

ようやく意識を取り戻し、本来の目的を聞く。

 

「言峰さんは、俺の……両親のことを知っているのか?」

 

「ああ。あの夫婦とは長い付き合いでね。拳で語り合った中だよ」

 

一夏の両親は一夏が小学校に上がる前に何も告げず失踪。

親戚もおらず、千冬が今まで養うことになり、色々と大変な人生を歩んできた。

 

「しかし……今こうして見ると、あの夫婦が君たちの前から姿を消した訳が良く分かるよ」

 

「? どう言うことですか?」

 

「おや? まさかだと思うが……気が付いていないのかね?」

 

綺礼は一夏を見て、何かに気付いてるようだが、一夏にはいまいちよく分からない。

 

「うむ。少年、聖杯については知っているはずだな?」

 

「ああ。今回の景品のことだよな」

 

「いかにも。しかし、実は聖杯は二つあるのだよ」

 

「!? どう言うことだ」

 

綺礼は一夏にも分かりやすいように説明する。

 

「大聖杯と小聖杯と呼ばれる二つの聖杯がこの街にあり、主に小聖杯が魔術師達とサーヴァントはこの聖杯を求めて戦っている。大聖杯は聖杯戦争の大本のシステムなのだよ」

 

意外な真実に一夏は真剣に綺礼の言葉を聞き、アーチャーにも確認をとる。

アーチャーも綺礼の言っている事は真実だと、頷く。

 

「そして、その小聖杯は少年……君の中にある」

 

その一言に一夏とアーチャーは固まる。

 

「今何って言った?」

 

「うむ。織斑一夏の中に小聖杯があるっと言ったのだが?」

 

アーチャーもその真実は知らなかったようだ。

当の本人である一夏も知らなかったことであり、完全に目を開きっている。

 

「少年の魔術は投影魔術だったな。なら、どうして()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

そう一夏は一度だけ、この世界にもう存在しない宝具を投影したのだ。

 

「君は聖杯とリンクすることで、英霊の全ての宝具の情報を手に入れているのだよ」

 

「まじかよ……」

 

「もちろん、封印を施しただろうけど、今の君からそれが全くと言って感じない」

 

その事に一夏は思い当たることがあった。

タッグマッチの時と臨海学校の時だ。

 

「流石は()()()()()()()の血筋だよ」

 

「!? アインツベルン!?」

 

その綺礼の一言にアーチャーが反応する。

一夏はそのアインツベルンと言うのが何なのかは知らなかった。

 

「聖杯は御三家……更識、遠坂、アインツベルンの三家によって敷設されたのよ」

 

「いかにも。だが、聖杯は誰も手に入れることが出来ず、とうとう200年と言う年月が経ってしまった」

 

「そして、遠坂家は嫁入りしてしまい、今は海外で静かに暮らしている。アインツベルンは娘が絶縁して、当時の当主がぽっくり逝ってしまったのよ」

 

「ああ。そして、その娘が少年……織斑一夏の母、織斑愛理……アイリスフィール・フォン・アインツベルンなのさ」

 

今明かされる真実に一夏は言葉を失う。

アーチャーも流石に一夏がアインツベルンの血筋だったことに関しては知らず、元名家の血筋としか知らなかったのだ。

 

「君たち姉弟の前から姿を消すことで、両親は君たちを守ったのことだけは覚えてほしい」

 

そう言い残して席を立ち、支払いを済ませる。

 

「待ってください!! 親父は……」

 

「ああ、言いそびれてしまったな。君の父の名は……織斑切嗣だ」

 

綺礼はそう言って、店を後にした。

 

「織斑切嗣……魔術師殺しの切嗣……とんでもない人が一夏くんの父親だったとはね……」

 

アーチャーも聖杯のことがあまりにも大きかったため、一夏の父親のことを知ったとしてもあまり驚かなかった。

一夏とアーチャーは一旦、頭の中を整理して、落ち着いた頃に店を出る。

 

「今日は色々と驚かされることだらけだったな……」

 

「そうね……」

 

両親の話は織斑家ではタブーだったため、一夏にとってはこれは大きな収穫でもあった。

そして、IS学園行の誰もいないホームに着くと。

 

「?」

 

銀髪の少女が立っていた。

地面すれすれまで伸びた、10人中10人が美女と言うだろう少女がそこにいたのだ。

そして、一夏たちを待っていたのか、一夏たちがホームに上がると不気味な笑みを浮かべる。

 

「あなた……何者」

 

真っ先に警戒心を出したのはアーチャーだった。

夏服から戦闘服へと変え、干将・莫耶を投影する。

 

「今日は挨拶をしに来たのよ」

 

そう言って、少女は不気味な笑みのまま一夏に近づく。

しかし、アーチャーは警告に干将をその少女の足元に投げる。

 

「これは警告よ。次は殺すわ」

 

「あらあら……。でも、それはあなたにはできない」

 

「っ!? それはどう言うことかしら?」

 

英霊以前にアーチャーは暗部の家系だった為、その手のことは熟知していた。

なので、今ここでその少女を殺すことは容易い。

なのに少女は平然としている。

 

「こんな生ぬるい聖杯戦争に喝を入れる事にしたわ」

 

少女は言葉を続けながら一夏に近寄る。

そして、アーチャーの警戒を無視したことにより、アーチャーは莫耶を振り下ろした。

真っ赤な血が飛び散る…………ことはなく、少女は一本の剣でそれを受け止める。

 

8()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

少女はアーチャーの莫耶を弾き、一夏の目の前に立つ。

 

()()()()()()()()

 

ジャンヌ・ダルクと名乗ったその少女は……まるで獲物を見つけた獣のような人物だった。

そして、アーチャーがそんなジャンヌの背後から干将を投げる。

 

()()()()()()()()()()

 

ジャンヌは正確に狙ってきた干将を、あろうことか正面から手のひらで受け止めた。

それと同時に一夏が悲鳴を上げる。

しかも、左手を押さえながら。

 

「あなた、一夏くんに何をしたぁ!!」

 

「いや、何も……」

 

()()に刺さった干将を抜く、ジャンヌ。

 

「私は何もしていない。したのはあなたさ」

 

「どういう……! まさか!?」

 

「あら、やっと気づいた?」

 

ジャンヌが受け止めたのは左手、そして一夏が押さえているのは左手。

 

「私と彼は繋がっている。しかも一方的にね」

 

死痛の隷属。

分かりやすく言えば、痛覚共有の呪い。

いつの間にそんな呪いを仕掛けたのはわからないが、アーチャーは苦虫を噛み締める。

 

「今日は挨拶だけだから、良かったわね」

 

サーヴァントとであるジャンヌの左手はすぐに元通りになり、何もなかったかのように振る舞う。

 

「また何処かで会いましょう」

 

そう言って、ジャンヌは霊体化して消えた。

 

「一夏くん!!」

 

アーチャーはすぐさま一夏の元に駆け寄る。

これは、始まりでしかなかった。

本当の聖杯戦争の始まり……本当の殺し合いが、今。開幕する。

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