Fate/Infinite Stratos   作:ぬっく~

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第36話

『―――これより、第25回、IS学園学園祭を開催いたします!』

 

天井付近に設えられたスピーカーから実行委員長の宣言が響くと同時に拍手と歓声に包まれた。

9月23日、土曜日。IS学園の生徒が待ちに待った、学園祭の始まりである。

 

「うそ!? あの織斑くんの接客が受けられるの!?」

 

「しかも執事の燕尾服!」

 

「写真も撮ってくれるんだって! しかもツーショットよ、ツーショット!」

 

と言う訳で一年一組の『メイドカフェ☆AIESU』は盛況で、朝から大忙しだった。

 

「「じゃじゃn、楯無おねーさんズの登場です」」

 

「……………」

 

職場放棄人間と最強の弓兵 が 現れた!

 

コマンド

 

→逃げる

 逃げる

 逃げる

 令呪を使う

 

「だが、逃がさない!」

 

「だあっ! 一体何しにきたんだぁ!」

 

「まあまあ、そう言わずに」

 

「で?」

 

「あら、無抵抗」

 

「もう無駄だってわかっていますから」

 

「あら、おねーさんたちのことわかったつもり? まだまだダメよ、一年生くん」

 

つんと鼻先を押される。

 

「あはは。ほんと一夏くんってからかうと面白いわね」

 

「で、生徒会の出し物は?」

 

「演劇よ」

 

「演劇……?」

 

一夏は以外な出し物に普通に驚く。

 

「とにかく、おねーさんたちと一緒に来なさい。はい、決定」

 

楯無はびっと扇子を一夏に向け、威風堂々宣言をする。

 

「それで、演目は何なんですか?」

 

アーチャーと楯無はばっと扇子を開く。そこには『迫撃』の二文字が書かれていた。

 

「「妖精女王と傷有りよ」」

 

 

    ◇

 

 

第四アリーナの更衣室。普段はISスーツの着替え場所として使われるそこに、一夏はいた。

 

「さて、そろそろはじまるわよ」

 

「あのー、脚本とか台本とかないのか?」

 

「大丈夫、大丈夫。これは劇であって劇じゃないから」

 

「はい?」

 

ブザーが鳴り響き、照明が落ちる。

するとセット全体にかけられた幕が上がっていき、アリーナのライトが点灯した。

 

「むかしむかしあるところに、メアリという少女がいました」

 

普通の出だし。あの楯無の考えることだからとんでもない劇だとおもっていたのだが……と一夏は考えていた。

そして、そのメアリーと呼ばれる少女にライトが当たる。

メアリー役は……アーチャーだった。

一夏はそんなことを考えながら、進む。しかし、一夏はそこであることに気付く。

 

「しかし、彼女は……」

 

舞台がロンドンの街並みだったのだ。

そして、前から誰かがくる。

 

『メアリの処刑を邪魔する者は私たち“女王の盾符”がお相手します』

 

箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラ、その他生徒……計13人がISを展開していた。

 

「一夏はメアリの元にたどり着けるだろうか」

 

「はぁ……そう言うことか」

 

一夏は最初に楯無が言っていた“劇であって劇じゃない”の意味を理解した。

目の前にいる“女王のお盾符”の妨害を掻い潜りながらメアリと称するアーチャーを救い出すことがこの劇の目的。

 

「そんじゃ……」

 

一夏も白式を展開し、干将・莫耶を投影する。

 

「パーティーを始めようか」

 

 

    ◇

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ。ようやくここまれこれたか……」

 

心なしか“女王の盾符”の妨害は一対一の決闘形式だった。

一夏は全員を倒し、メアリの元にたどり着く。

そこで、一旦ライトが落ちる。

再びライトが付くとアリーナはロンドンの街並みから何処かの塔の上へと変わった。

中央に一本の剣が刺さっており、その向かい側にアーチャーがいる。

 

「残念だったな」

 

アーチャーは顔を上げると、そう告げた。

そこにいたのはアーチャーではなく、楯無だったのだ。

 

「な!?」

 

「お帰り下さい。わたしが取りなしますから。どうかお帰り下さい」

 

棟の下の方にドレス姿のアーチャーが叫んでいた。

だが、一夏は―――

 

「嘘はやめようぜ。メアリ」

 

そう告げた。

 

「なにをいっているのです! メアリはわたしです」

 

「言い忘れたが―――メアリの方が少しばかり胸がデカいんだぞ?」

 

その言葉に観客及びその場にいた全員が絶句した。

瓜二つの顔。ゆいつ違うとしたら、顔にある一本の傷くらいだ。

しかし、一夏は何故か胸のデカさだけで判断した。

 

「傷跡以外に違いがあったとはな。メアリ、賭はお前の勝ちだ。5分やろう。最後の舞台を楽しむがいい」

 

完全に見破られたことに楯無は玉座に座り、猶予を与える。

 

「お前を連れ戻しに来た」

 

「いけません。いままでこの処刑のために多くの人が手を尽くして、死んだ人も、わたしが殺した人もいます。だから、わたしは、犠牲になる責任があるんです」

 

「それは間違っている。死んだ方がまし? はッ」

 

右手を持ち上げ、一夏はアーチャーにビッと指を突きつけた。

 

 

「この世に捨てていい命などない! そんなお前がまだそう言うなら俺が―――この世界を征服して、そのあり方を変えてやる!!」

 

 

一夏が言うと、アーチャーは数秒の間面食らったかのように目を白黒させた。

 

「でも、わたし、こんなにも傷だらけですよ」

 

「構わない」

 

「幾度も結婚と離婚を繰り返している不埒ものですよ」

 

「構わない」

 

「英国全土が敵に回るかも知れないのですよ」

 

「構わない! あなたのために誰が死のうと、あなたが死ぬ義務はない」

 

「ですけど……」

 

「くどい! お前が、いやだと抵抗しても、俺がお前を必ず奪っていく!」

 

アーチャーは顔を暗くする。

 

「でも、それじゃあ。なんでこの前チューしてくれなかったんですか!」

 

「え?」

 

一夏もこれには予想外だった。

 

「あのとき、チューしてくれなかったから、私、ふられたんだと思って。それなのに今になってこんなことを」

 

これって劇だよな?

なんでいきなりキスの話になるんだ?

 

『一夏さん。嘘でいいから、チューしなかった理由をいってください』

 

プライベート・チャンネルから虚さんの声が聞こえ、一夏も急遽考える。

 

「メアリ。口吸は、結婚の約束。だがら、うかつにはできないんだよ」

 

「あ。でも、それだと私と結婚したくなかったということでないですか!」

 

「あのときはまだ俺との結婚に適格かどうかわかってなかった」

 

「適格? 試験か何かですか?」

 

「まあ……そんなところだ」

 

アーチャーは一夏に抱き着き、一夏は少しばかり驚いたが、そっとアーチャーを抱きしめる。

 

「メアリ。舞台は終わりだ」

 

楯無がISを纏いながら降り立つ。

 

「人の世に降りた妖精は、もはや森には戻れない。人魚が泡と消えるように、すいれんの花をここでつみとらせてもらう」

 

「まあ、そうなるよな」

 

一夏は中央に刺さっている剣にアーチャーの手を乗せる。

 

「英国の守の剣に要求する。精霊より預けられ、しかし折れしエクスカリバーよ。その姿を精霊の空間、地脈の鞘より現せ!」

 

一夏は既にこの剣の秘密に気付いていた。

そして、一夏のその言葉に反応するかのように、一本の剣が輝き、抜ける。

 

「抜けただと!?」

 

「さて……聖剣・エクスカリバーが今抜けた。妖精女王エリザベス。戦いの準備は十分か?」

 

一夏とアーチャーはエクスカリバーを楯無に向け、宣戦布告を行なった。

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