Fate/Infinite Stratos   作:ぬっく~

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だいぶお久しぶりです。

超スランプ気味だった為、結構時間がかかってしましました。
ごめんなさい。


第38話

一夏はアーチャーの指示に従い、一旦下がり職員用の通路に入った。

 

「一夏! 無事だったんだね」

 

前からシャルロットとラウラに鉢合わせし、一夏は必要な情報だけを教える。

 

「あっちの方は大丈夫みたいだし、僕たちも脱出しよう」

 

「ああ」

 

そして、脱出の為に出口に向かおうとした瞬間だった。

 

「! 待て」

 

先頭のラウラが足を止める。

 

コツコツと前から足音が聞こえる。

足音が止むと同時に目の前で通路が吹き飛んだ。

 

「ぐっ!」

 

辛うじてISの展開によるシールドを張ったものの、体制を崩す一夏たち。

そして、そこに一直線に突っ込んでくる機影があった。

 

 

    ◇

 

 

「ふふ、さすがはバーサーカーね」

 

サングラス越しに襲撃者―――バーサーカーの戦闘を見ながら、その女性は楽しそうに目を細めた。

 

「しかし、暴走気味なのはいけないわねぇ。もう少し頑張ってほしいのだけど」

 

ふう、とため息を漏らす女性の背中に、声がかけられた。

 

「あら、聖杯戦争中に参加しておいて、その言いぐさはあまりじゃないかしら」

 

女性は振り向かない。

その声の主ならもうわかっている。―――更識楯無、IS学園生徒会長にして、生徒の身でありながら自由国籍権を持つ天才。現在はロシア代表であり、候補生ではない。

 

「『亡国機業』、狙いはなにかしら?」

 

「あら、言うと思うかしら?」

 

「無理矢理にでも聞き出すわ」

 

「それができるかしら? 更識楯無さん」

 

「やると言ったわ、『土砂降り(スコール)』」

 

楯無は四連装ガトリング・ガンを内蔵した大型ランスを呼び出す。

しかし、スコールは何もしない。

 

「舐めているのかしら」

 

「いいえ。あなたの相手は……もういるわ」

 

楯無は直ぐにその意味がわかった。

背後から僅かに感じた気配に反応し、ランスをガードにまわす。

 

「くっ!!」

 

「ちっ」

 

そこにいたのは青の和服と赤のジャケットを着た女性がナイフで斬りかかっていた。

しかし、楯無はそんな彼女に寒気を感じる。

 

「紹介するわ。私のサーヴァント、アサシンよ」

 

「サーヴァント、アサシン。……挨拶ってこれでいいのか? ヘンな決まりだな、まったく……。勝手は違うけど、適当に暴れてやるよ」

 

楯無は予想外の戦力に覚悟を決める。

 

 

    ◇

 

 

「……『サイレント・ゼフィルス』!!」

 

それはすなわちマドカの強襲を告げていた。

 

「ぬるい……!」

 

銃剣(バヨネット)のついたロング・ライフルでシャルロットとラウラを切り払い、瞬時加速(イグニッション・ブースト)によって一夏に詰め寄る。

 

「私の狙いは貴様だ、織斑一夏!」

 

タックルで弾き飛ばされた一夏だったが、すぐさま姿勢を立て直し、マドカと同じタイミングで瞬時加速(イグニッション・ブースト)に入った。

 

「ふん、少しは成長しているようだな」

 

「おかげさまでな!」

 

剣戟を交わしながら、二つの流星が空を走り抜ける。

ラウラ、シャルロットも騎襲のダメージが予想以上に大きく、二人を追うには余りにも時間を浪費してしまった。

それでも、一夏の身を案じて、飛び立とうする二人。

その前に、ふわりと躍りでる影があった。

 

「用済みの役者には退場願おうかしら?」

 

冷たい声が頭の中を通り過ぎる。

その声の主は、黒い鎧を付けた白髪の女性だった。

 

「フッ!」

 

女性は腰に着けていた黒剣を抜くと同時に炎が二人を襲う。

 

「ぐぅ!?」

 

「くぅ!」

 

最強と謳われたISが女性が出した炎を受けただけで残りのSE(シールドエネルギー)が一気に尽きる。

そして解除されると当時に衝撃が襲い、二人は壁に叩きつけられ、気を失う。

 

「私の目的を果たしますか……」

 

そう言い残し、彼女は空を見つめる。

そこには遥か遠くの空で戦う一夏がいた。

 

 

    ◇

 

 

「このおっ!」

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)の切れる瞬間を狙って、一夏がマドカに攻撃を仕掛ける。

しかし、それをいともたやすくいなすのが、織斑マドカの技量だった。

 

「そろそろ終わりにしてやる」

 

マドカがそう告げると、ビットが周囲を取り囲み、一夏の接近を拒む。

 

「見せてやる、私の新しい力を!」

 

その言葉が示すように、サイレント・ゼフィルスのカラーリングが変わっていく。

蝶を思わせる紫色が、漆黒へと染まっていくのを見て、一夏は嫌な予感がした。

 

「まさか、セカンド・シフトか!?」

 

ただでさえ手に負えないマドカの、更なる進化に一夏は文字通り震えた。

 

「ふ、はは! 力が溢れてくる! これが、私の為の力か! あはは! あははははっ!」

 

禍々しい鎧を思わせる『黒騎士』のフォルムは、それ自体が殺意と敵意を具現化したかのように刺々しい。

加えて、巨大化し変貌を遂げた一対のランサー・ビットが攻撃性の高さを表し、特徴的だったロング・ライフルは、甲殻類を思わせる節くれ立った大型バスター・ソードへと生まれ変わっていた。

ダークパープルのエネルギーを纏ったそのバスター・ソードが試し斬りと言わんばかりに一夏に振るわれる。

 

「くっ!」

 

投影した白と黒の雪片弐型で受け止める一夏だったが、その圧倒的なエネルギー質量に押し切られてしまう。

 

「ぐあっ!」

 

体勢を崩した一夏にマドカは追撃と、ランサー・ビットが一夏に向けて射出される。突撃を行いながら、そのビットは螺旋状に収束したエネルギー弾を放つ。

 

「そう簡単にやられるかよ!」

 

一夏は身の丈ほどの盾を投影する。

 

「『いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)』!!」

 

展開と同時に城が出現するが、連続で放たれるエネルギー弾はそれを貫通する。

一夏が今出せる最強の盾がいとも簡単に破られ、白式のSE(シールドエネルギー)が大幅に削り取られた。

 

「もらったぞ、織斑一夏!」

 

ランサー・ビットの突撃を避けたところに、バスター・ソードの一刀両断が襲いかかる。

 

「くそおおおお!」

 

雪片弐型で受けきろうとした一夏が、剣ごと斬り伏せられた。

 

「ははははっ!」

 

青空に、一夏の機影は落ちていく。

それを逃がさず、ランサー・ビットの放出射撃がIS学園の地上を焼き払う。

燃え上がる森林を見下ろすマドカの瞳は凶悦に浸っている。

そして、炎の中心で起き上がれずにいる一夏をマドカはその足で踏みつけた。

 

「がはっ!」

 

胸を急降下の勢いのまま押さえ付けられ、絶対防御を貫通したダメージが一夏の身体に響く。

マドカは愉悦の表情のまま、何度も何度も繰り返す。

 

その蹴りは装甲を歪め、一夏の生身にまでダメージを刻みつけていく。

 

「う……」

 

その容赦のない追撃は、一夏が意識を失うまで続いた。

 

「こんなものか……。それでは、その首と心臓をいただくとしよう」

 

低い唸り声を上げながら、バスター・ソードのエネルギー刃が出力を上げていく。

 

「これで私は、織斑マドカになれる。これで、やっと、私は……」

 

一夏の首を撥ねるべく振り下ろされた刃、しかし、それは直前で食い止められた。

意識のない一夏の上を銀髪の女性が黒剣でバスター・ソードを受け止めている。

 

「なにっ!?」

 

圧倒的な力量差で押さえ付けている筈のマドカが、徐々に押し返されていく。

 

「なんだ、貴様は!?」

 

一旦、距離を取るマドカ。さの前で女性は一夏を肩に抱える。

 

「この子を今ここで殺される訳にはいかないのでね」

 

地面に届きそうまで伸びた白い髪。マドカと同じ漆黒の鎧を纏った彼女から放たれる覇気は恐ろしいものだった。

マドカは今までに感じたことのない殺気を目に前から感じている。その額に冷や汗が出る程に。

 

「……………」

 

女性はマドカに全く興味を失せたのか、その場を立ち去ろうと背を向けた。

 

「待ちやがれ!」

 

マドカは一夏を連れ帰ろうとする女性を止める。

 

「……まだ居たの?」

 

「っ! そいつは……私の得物だぁ!!」

 

マドカは彼女に向かってバスター・ソードを振り下ろす。

ISを纏っていない彼女があれ程の力を出せたかは知らない。しかし、目の前で獲物を奪われるのはマドカにとっては耐え切れなかった。ましてや、待ちに待った織斑一夏の首だったのだから。

 

「……『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』」

 

しかし、マドカのバスター・ソードは届くことはなかった。

女性の言葉と同時に炎がマドカを襲い、地中から現れた複数の槍が『黒騎士』の絶対防御を貫通し、生身の身体を貫く。

 

「ぐはぁ!? ふ……ざけ…るな。わ、わた…しは……」

 

マドカは手を伸ばすが届くことはなかった。それと同時にマドカの左手の甲にある令呪が消えた。

 

 

    ◇

 

 

「それでも私は、聖杯を取る」

 

セイバーは戦いの途中で何故か怯んだランスロットに剣を突き刺した。

 

「そうでなければ、私は何一つ、あなたに償えない」

 

「この期に及んで尚、そのような理由で剣をとるのですか?」

 

ランスロットは微笑む。

 

「困ったお方だ…」

 

それを言い残して消えてしまった。

 

「セイバー……」

 

アーチャーは悔やむセイバーの背を見つめることしか出来なかった。

 

「!!」

 

その時だった。

アーチャーの全身に電撃が走る。

 

「……………」

 

アーチャーは電撃と同時に感じ取った視線の方を向く。

そこにいたのは白髪の女性だった。

 

「ジャンヌ……ダルク」

 

数か月前にアーチャーの前に姿を現した八番目のサーヴァントがそこにいたのだ。

そして、ジャンヌの肩に担がれている者に視線が流れる。

 

「マスター!?」

 

気を失ったアーチャーのマスターである一夏だった。

 

「うふふ、アーチャー」

 

笑みを浮かべるジャンヌ。しかし、その瞳は笑っていない。

 

「この子はもらっていくわ」

 

「な!?」

 

ジャンヌの思わぬ発言にアーチャーは言葉を失った。

 

「頑張って生き残ってみなさい」

 

「ま、待ちなさい!!」

 

アーチャーは剣を投影と同時に飛ばすが、ジャンヌの霊体化が早く通り抜ける。

すぐさまアーチャーはマスターのリンクを確認し、居場所を探るが……。

 

「!? どう言うこと……リンクが切れている!?」

 

はっ、とアーチャーは先程の電撃がサーヴァントとのリンクが切れただと知ったのだ。

 

「っぁ……っ……一夏ー!! 一夏ー!! っうう……うわあああああああ!!! っああああああ!!!」

 

アーチャーの嘆きがその日、鳴り止むことはなかった。

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