アーチャーとランサーの戦いは激闘だった。
目にも留まらぬ速さでお互いは攻撃を防ぐ。
「これが……サーヴァント同士の戦い……」
一夏はアーチャーが戦う所はこれで二度目になる。
一度目はバーサーカーとの時、そして今日……この場で行なわれているランサーとの闘い。
人の領域を超えた闘いが繰り広げられていたのだ。
「いいぜ……この一撃をくれてやる!」
ランサーはアーチャーの一撃を受け、校舎の方へと一直線に飛ばされたのだ。
立ち上がるが、身体には掠り傷一つないが、どうやら逆鱗に触れてしまったらしい。
そして、真紅の槍を構える。
「っ!?」
一夏もあの槍から放たれる何かを感じたのだ。
あれは受けてはいけないと。
しかし。
「あ? 撤退だと!?」
ランサーがいきなり怒鳴り始めたのだ。
「ちっ! わかったよ、撤退する。つう訳だ、うちのマスターからの命令だから帰らせてもらうぜ」
アーチャーも戦意が無くなったランサーを見て、持っていた白と黒の双剣を消す。
ランサーもそれを確認して、校舎の上を飛び乗って行ってしまった。
「我々も行きましょう」
「ああ……それはいいんだが、これどうするんだ?」
一夏は校舎の方を見る。
そこらじゅうに壊した跡があるのだ。
「何とかなるでしょ」
「何とかなるって……」
「日本には素敵な言葉がありませんか。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」
「……………」
一夏は思った。こんな言葉を考えた奴は本当にすげぇな、と。
◇
翌日。予想通り、あの場所のことは大問題になった。
犯人は不明と色々と不可解な事件として扱われたが、調査が一向に進む気配がなく。
数日で修復を完了させて、事件は闇に葬られた。
生徒にはガスによる爆発と言うことで誤魔化したそうだ。
そして、あっという間に翌週の月曜日。セシリアとの対決の日になってしまった。
「なあ、箒……」
「なんだ、一夏」
「来ないな……」
そう、一夏のISがまだ来ていないのだ。
試合ももうじき始まろうとしているのに、まだ来ていない。
数日前に専用機が来ることは聞かされていたのだが、あっちの方でなにやらごたつていたらしい。
「……………」
「……………」
一夏と箒は共に沈黙。
「あっ、いました!!」
駆け足でやってきたのは山田先生だった。
「来ましたっ。織斑君の専用IS」
「へ?」
一夏は山田先生に押されて、ピットに向かう。
そして、そこには『白』が、いた。
◇
アーチャーは珍しく現界して、第三アリーナの天井に座っていた。
「そろそろかな……」
時間もあと少しで、一夏とセシリアの試合が始まる。
それを何故かアーチャーは観に来ていたのだ。
「来た来た♪」
まだ、初心者感を残したアーチャーのマスター、一夏が登場した。
そして、一夏とセシリアの試合が始まる。
「……………」
試合は数十分近く続く。
一夏はちょうど一次移行を終え、クライマックスを迎えようとしていた。
「試合ぐらい静かに観戦したいんだけどね」
ふう、とため息を漏らすアーチャーの背後に、声がかけられた。
「あら、不法侵入しておいて、その言いぐさはあんまりじゃないかしら」
アーチャーは振り向かない。
その声の主ならもうわかっている。―――このIS学園生徒会長にして、生徒の身でありながら自由国籍を持つ天才。更識楯無がいたのだ。
「本当に厳しいのね。更識楯無は」
「へぇ……私のことを知っているのね」
「それはそうよ。私は貴女の事は何でも知っているわよ。
「っ!?」
その瞬間、楯無に目掛けて、アーチャーは剣を投げる。
「それを何処で知ったのかしら?」
瞬間的にISを展開した楯無は、それを蛇腹剣《ラスティー・ネイル》で叩き落とす。
そしてそのまま、鞭のようにしなるそれでアーチャーを狙う。
「
もう一本、アーチャーは剣を投げ、それを爆破させる。
楯無は蛇腹剣を手放し、同時にランスを呼び出す。
四連装ガトリング・ガンを内蔵しているそれは、形成するなり一斉に火を噴いた。
ドドドドドドッ―――!!
「……………」
正確に相手を捉えた楯無だったが、その顔に余裕の色はない。
アーチャーの前には七枚の花弁状の障壁が展開されていて、弾丸は一発たりとも届いていなかった。
「やめましょう?」
「……………」
「今のあなたでは私に勝つことなどできない。わかる?」
「勝てないから、倒せないから、戦わない。それは賢い選択なのかもしれない―――けれど!」
楯無が水のヴェールを刃に変えて、一気に攻勢へと転じる。
「私は更識楯無。IS学園生徒会長、ならばそのように振る舞うだけ……!」
水のドリルを纏ったランスによる高速突撃する楯無にアーチャーはある物を投影する。
「え……」
楯無は目を疑った。
紅い外装の少女が手に持っている物は本来あり得ない物だったからだ。
そう。アーチャーが投影したのは……四連装ガトリング・ガンが内蔵されたランス、楯無が今持っているランスだった。
お互いに水のドリルを纏ったランスは弾かれ、それと同時にアーチャーはナイフを投じる。
「そんなもの!」
水の刃がナイフを切り裂く。しかし、その瞬間ナイフは大爆発を起こした。
「!?」
もうもうと黒煙が立ちこめる。
無論、ISにとってはこの程度の視界妨害など無いに等しいが、楯無のハイパーセンサーには紅い外装の少女は映っていなかった。
「何処へ行ったのよ……」
気配を探るが全くと言ってもいい。紅い外装の少女は何処にもいなかった。
「逃げられた……」
楯無は本当の悔しさをその日、味わった。
それと同時に一夏とセシリアの試合が終了するブザーが鳴る。
お気に入りの数は増えるんだが……感想の数が一向に増えない(涙)