私は今、寝込んでしまっている。どうやら訓練場で倒れてしまったみたい。
リニスが付きっ切りで、私の看病をしてくれている。
年齢相応以上のトレーニングを続けていたから、体に限界が来ていたんだろうな。
身体トレーニングと魔力トレーニングを交互にやることで、体への負担を減らしてきたつもりだったんだけど・・・。
自分が考えていた以上に、魔力トレーニングも体に負担を与えていたみたい。
倒れる前に、リニスから「トレーニングには適度な休養が必要です。それ以上のトレーニングは逆効果です」って言われていたんだけど、止められなかった。
リニスの言っている事は正論。
前世の私も、強くなることに焦っていたヴィヴィオに、同じ言葉を掛けていたし。
理屈は判っている。でも、私には時間がないの。
リニスとの別れまでの時間、ジュエルシードが海鳴市に出現するまでの時間。
いずれも長いようで短い。ボーっとしていたら、あっという間にタイムリミットが来てしまう。
「失敗したら、また挑戦すれば良い」などと、都合のいい言葉はない。
リニスを救うのも、母さんを救うのもチャンスは一度切り。
だからこそ、99%の成功はいらない。今の私は100%の成功が欲しい。
100%を手に出来るように、私は頑張るだけ。
勿論、100%の成功が、どれだけ難しい事かは分かっている。
世の中の出来事が、全て自分の思い通りにいかないことも、前世の経験で思い知っている。
現に私が前世の記憶を持って、この場にいるんだから、私の知らないイレギュラーだって発生するはず。
だから、イレギュラーが発生しても、排除できるように何でもしておきたい。
そう思って、無理してきたんだけど、結果的にリニスに迷惑を掛けちゃったな・・・。
何より、100%の成功が欲しいと言いつつ、100%リニスを助けられる手段を私は思いついていない。
今、思いついている手段としては、リニスとの別れ際に、私のありったけの魔力をリニスに込めて、海鳴市に転送すること。
こっちの世界では、海鳴市に行ったことはないけれど、前世と座標とかが同じならば転送できるはず。
前世でも、海鳴市には不思議なことがいっぱいあった。
海鳴市ならば、リニスを助けられる人がいるかもしれない。
何より、海鳴市には「なのは」がいる。
なのはが駄目でも、なのはの周りには特殊な人が多いから、何とかなるかもしれない。
僅かな確率かも知れない。けれど、成功する可能性があるならば挑戦したい。
何もしないで失いたくない。
今の私に出来ることは、少しでも長い時間リニスが体を維持できるように、魔力をたくさん渡せるよう、そして海鳴市に100%転送できよう、魔力コントロールの精度を高めること。
そう色々考えているけれど、今は体が動かないから何もできない。
今日は大人しく休んで、また明日から頑張ろう。
でも、リニスに迷惑を掛けないように、もっと自分の限界を知らないといけないね。
フェイト・テスタロッサ、海鳴市に希望を託します。