ガールズ&パンツァー 濃緑の翼   作:トムキン

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第1話

 

轟轟とエンジン音を響かせながら暗緑色の機体に日の丸を煌めかせた2機の戦闘機が編隊を組み飛行している。しかし2機の様子からはなんらかのトラブルが起こっていることが傍から見てもわかった

片方の戦闘機がエンジンからドス黒い黒煙を吐きだしているのだ

発動機の故障だろうか

 

 

「・・・・・」

俺は黒々と黒煙を吐いている横の戦闘機へと目をやる。操縦席に座っている若い搭乗員はなんとか機体を正常な状態に戻そうと必死に計器を操作している

俺は編隊から遅れつつある相手の機体の真横に自機を持っていくと翼をバンクさせ相手の注意をこちらに向かせる

顔を見ながら右手の人差し指を後ろに向ける。”戻れ”という手信号だ

相手は唇を悔しそうな表情で唇を噛むと横に首を振り俺から離れようとはしなかった。俺はもう一度手信号を送る。しかし相手も負けじと首を振り離れようとはしない

俺はまだ離れようとしない相手に見えるようにに拳を突き上げ発破をかける。

相手はそれを見て折れたのか小さくうなづくとから機体を横転させ、離れていく

「そうだそれでいいんだ・・・」

戦闘機が黒煙を吐きながら緩く降下し離れていくのを確認してから視線を戻す。すると電探からの報告どうり正面の上方から不気味な点がポツポツと近づいてくるのが見えた

シコルスキーの編隊だ。ざっと8機はいるだろう。飛行服越しに背中に嫌な汗が流れているのがわかる

俺は操縦桿を強く握りしめ、フットバーを踏む足に力を込める

シコルスキーの編隊の中に飛び込むようにまっすぐ飛行し、シコルスキー達のをぎりぎりまで引き付ける。1km程の距離になるとシコルスキー達の機銃が一斉に火を噴くのが見えた

俺は操縦桿とフットバーを同時にそれぞれ別方向に向ける。スーッと機体を横に滑らせせ弾をかわす。シコルスキーの放った曳光弾がヒューという音を出しながら俺の機の横を通り過ぎていくのがわかった。

俺は横滑りから素早く操縦桿を倒して降下させ相手の死角である正面下に潜りこみ機体を上昇させる

シコルスキー達は突然消えた俺に驚いたのか一瞬機動に無駄が生じるが直ぐにお互いの視界ををカバーしあうようにしながら緩く左に旋回する

俺は宙返りしながら編隊からやや遅れ気味なシコルスキーの後ろを取り、照準機の十字線に入れる。

発射レバーを引き、勢いよく発射された弾はシコルスキーに吸い込まれるように命中し左翼を根元から食いちぎる

左翼を捥がれバランスを失ったシコルスキーはくるくると錐もみしながら落ちていくが同時にこちらの位置に気付いた他のシコルスキー達の動きが変わる

シコルスキー達は射線を外しながらスーッと降下していくと、各自がばらばらに別の方向に曲がりながら旋回する。

俺は右に行ったシコルスキーを追う

円を描くように旋回するシコルスキーの後を追いながら、見越し角を取り照準器に入れる

発射レバーを再び握るとズダダッと機銃が火を噴き発射されたオレンジ色の曳光弾が命中する。ボッと火を噴きながらシコルスキーが降下していくのが見えた

 

そのとき後ろからガツン!と殴られたような衝撃が俺の機体を襲った。

右に旋回していたグラマン達が反転し、俺の後ろについて発砲してきたのだ。

俺は射軸をずらすため機体をひねりながら降下し回避を試みる。が、シコルスキーも負けじと追撃してくる。スロットルを最大限に開き緊急ブーストを焚くが相手も同じ判断を下したのかシコルスキーとの差は開かなかった

「振り切れないか・・・」

そう呟いた瞬間にシコルスキーの6門の機銃が一斉に火を噴く。

命中した弾が機体の部品を砕いていく音が聞こえた

 

…恐らく俺はここで死ぬのだろう。軍人として戦っている以上死は覚悟していた。後悔はない。だが俺の口は意志に反して動く

「あぁ・・・生きてえなぁ・・・」

 

 

俺の機は勢いよく海面に突っ込んだ

 

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ジリリリ・・・・

目覚まし時計が忌まわしい音を立てて朝の到来を告げる。カーテンの隙間からは外が朝であることを確証づけるまぶしい朝日が漏れていた

布団の中で団子になっていた少年”下田紅一(シモダコウイチ)”は墓から這い出すゾンビのような様子で布団から手だけを出し目覚まし時計の停止スイッチを押す

「・・・・」

朝起きるのは辛い。俺がいつも夜寝るのが遅いというのもあるが

強力な磁石のように離れようとしない瞼を気合いで開く

今日が休日であれば再び横になり二度寝をするという贅沢ができた。

だが残酷にもデジタルな目覚まし時計の表示する今日の曜日は月曜日であった

「そうか今日から学校か・・・」

俺はまだ温かなぬくもりを残している布団を断腸の思いで畳み立ち上がる

 

うんとのびをしながら部屋を見渡す

飾り気のない生活に必要最低限なものが置いてあるだけの部屋だ。

これがいつもの光景であったならば俺は無趣味なつまらない人間かと思われるかもしれないが、傍らに積まれた引っ越し屋のマスコットが描かれた無数の段ボールが俺を擁護してくれるだろう

この部屋に住むようになったのは2日前からだ。とある事情で前の転校することになり、転校先の学校の付くにあるこの学生寮に引っ越してきたのだ

 

洗面所に向かい身支度を整える。10分ほどかけて一通りの身支度を終え再び寝室に戻る

畳まれた布団をもう一度広げ横になりたい衝動をぐっと抑えながらクローゼットを開き一度試着をしただけでまだ糊がパリパリに残っている制服を取り出す

「県立大洗学園」今日から俺が通うことになる学校である

特にスポーツが優秀だとか教育がすばらしいとかでもない、よく言えば普通の学校。悪く言えば地味な学校である

着慣れないなぁと思いつつ冷蔵庫に手を伸ばす。中にあるラップをかけた昨日の残り物をボソボソとほおばりながら前の学校のことを思い出す

”あそこ”は今頃普通の生徒よりも早い朝礼とブリーフィングを行っているだろう

俺はそっと手を首に持っていく。健康な皮膚とは違うざらざらとした皮の感覚が手を通して伝わってくる。俺は静かに火傷跡を撫でる

”あの事故”の後、医者は跡が残らぬように努力してくれたようだがどうしても首や両手に火傷の跡は残ってしまった。

あの後”あそこ”の奴らとは顔を合わせていないがどうなったのだろうか。いや、もう関係のないことだ。忘れよう

 

朝飯を着終わると昨日あらかじめ準備しておいた学生鞄を持って玄関に向かい靴を履く

誰にでもなく段ボールの山に向かっていってきますと声を掛けてから部屋を出た

 

 

あらかじめ調べておいた通学路を通り登校する。職員室で手続きを終えてから担任となる先生に連れられて教室に入る。新入生ということで自己紹介をすることになったが、特に目ぼしいことのない自己紹介をしてから席に着く。

ホームルームが終わり担任が教室から出ていく。小説などでは転校生は質問攻めに合いちやほやされるものだが、声がかけづらいのか気味が悪いのか俺の元には誰も来なかった。

その後も特に目ぼしいこともなく授業を受け世間一般が知っている普通の学生を演じる。

授業をを適当に受け流していると

4時間目の終了を告げるベルが鳴る。教師は次は小テストをするぞと言ってそそくさと出て行った。

授業の静けさからうって変わり周りの生徒がわいわいと喋り出す。

机を動かし弁当を広げる生徒、購買や学食に行くために教室を後にする生徒。昼休みの雰囲気とはどの学校でも同じものだ

俺も例外ではなく鞄の中に入れておいたコンビニのサンドウィッチを取り出しボソボソと食べる。

まずくもなくうまくもないサンドウィッチを頬張っていると教室の前の扉を開け3人の女子生徒が入って来る。すると3人を見た教室が先ほどの騒がしさとはまた違った騒がしさになりざわざわとする

3人は人探しでもしているのか、手に持った紙を見てから教室を見渡している。まるで警察か何かなのだろうか

俺には関係ないかと飯の続きを頬張っていると背の低い赤毛の女子生徒と目が合う。

赤毛の女子生徒は俺から目を離すと隣にいる片眼鏡をかけた女子生徒と髪を後ろで括りなかなかなにいい乳をした女子生徒に何かを耳打ちする。すると3人はこちら側に向かって歩いてきた

なんだか嫌な予感がするが気のせいだろう。

恐らく隣の席で弁当を囲んで喋ってる男子に用があるのだ。きっとそうだ。そうであってくれ。そうしろ

俺の決死の念じも虚しく3人が足を止めたのは俺の前だった。

なんだこれは・・・まるで公安警察に囲まれる犯人じゃないか

片眼鏡をかけた女子生徒が声を出す

「下田紅一だな?」

「えぇ・・・」

「少々話がある廊下に来い」

そう言って俺はセーラー服警察(命名)達に連行される。廊下に出されると赤毛の女子生徒がこちらに振り向き唐突に声を上げた

「下田君さぁ~。必修選択科目なんだけど、戦闘機道とってね」

「は?」

俺は間の抜けた返事しかすることができなかった。”あの事故”で戦闘機道からはもう身を引こうかと思っていたのにここにきてまた戦闘機道をすることになるとは思ってもいなかったから当然である

「いや・・・この学校は戦闘機道ないんじゃないんですか?」

「今年から戦車道と一緒に復活させることになった」

「・・・・」

俺は片眼鏡の言葉を聞いて唖然として言葉が出なかった。戦闘機道から身を引いて静かに暮らそうとしていた矢先にこれである。開いた口が塞がらないという言葉があるがまさに今の状態の事を言うのではないだろうか

「そんじゃよろしく~」

一通り言いたいことを言い終えたのか3人は去っていった。俺は3人の姿を目で見送りながら首の火傷跡に手をやる

「・・・・」

面倒なことになってきたな。俺はそう思った

 

 

 

 

 

 




初めまして。トムキンです。
ガルパンを見ていてこの世界に戦闘機があったらなぁと思って書いてみることにしました。
慣れていないもので文章が変だったりするんですがそこは大目にみてやってください^^;
指摘等ありましたら遠慮なく書いてくださるとうれしいです
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