「あ~む、むぐむぐ・・・」
種子島(火縄銃)の量産化を成功した雑賀衆と根来衆は二つに別れて東西目指して種子島売りをしていた。
そして孫一は、その件を当主の妹から種子島の行商の事を頼まれて今、美濃の中央の街に居た。
が何故、堺に売らず美濃に居るのか。理由は二つ有る。
一つ、堺の商人の大半はケチで取引に応じない場合も有る。
堺は、南蛮受け入れも多い為に今、雑賀の里にも無い火薬等必要不可欠な物を手に入れる金の集金に必死に集めていることが原因である。
いくら海送の優れた土地の堺でも異国から唐突に買い入れると破産が目に見える、なので堺は赤字ギリギリであった。それが一つ。
二つ、これは極めて簡単。共同体の村々の軍事金の為である。最近一つ目の問題が終わりに来ていたのだが、流石に作りすぎた種子島を管理するのは難しいため、他国に売って資金調達をしている。そしてその他に必要な物は雑賀の現地で残りの必要な物を売る。それでも足りないのなら堺に呼び込みをするのだ。まぁ、その分、手間賃として火薬等を格安で買う事もできる。
しかし、
「どうするかなー。最近じゃ、種子島の事を鉄棍棒の類と考えてる大名が多いし。だからと言って落ちぶれ豪族などに売ったところじゃ、皮のなんとかだ・・・」
そう、種子島ならぬ火縄銃は当時、といっても活躍した場のなく伝来した物であまり知られていない時代で有った。
そして種子島には弱点が複数存在する。大きく目立つのは使用費用だ。
当時、火薬などは海外から輸入して来たものが多いゆえ。他に改良も施していない初期型で目立つ所も無かったし、弓とは違い、火力は高いが連射や距離に負けてる物が多きいのだ。あと重要なボルトも無いという話も有るのだが、雑賀衆はいち早く改良した為まがい物ではない。
「なんで・・・売れないのかなぁ、だからといって尾張の南蛮好きの織田に売るのは良いが小さき国だからなぁ」
孫一は湯をすすってはため息をつき、箱に詰められた四十丁の種子島を見る。
一つは堺の豪商に売れ、二つ目は自身の自衛用武器として背負っているのだ。
「だったら一つくれません?」
「あ?」
「どうも」
金柑の髪留め、大きなおでこ
しかし、美人の分類で綺麗な顔立ちをしている女の子が孫一の目の前に居た。
「・・・誰?」
「私は明智十兵衛光秀です」
「その、おでこさんは何故これ(種子島)を?」
「そうですね、しいて言えば・・・って、おでこォ!?」
「ん。あぁ、申し訳ない。ちょっと素が出てしまった」
「素!?そんな酷いですよ!」
「冗談だ」
「あ、冗談なんだ・・・」
「でも名前が覚えられないからオデコちゃんで」
「酷い!」
「まぁまぁ、落ち着け・・・」
「ま、隣に座りな」と孫一は横に有った箱を下ろし、ポンポンと席を叩く。
明智光秀は横に座り、孫一の種子島を見ているが孫一は色声で、褒め言葉を使い、店の女将に団子を注文している。
「さてオデコちゃん、君は何故欲しがるのかい?」
「明智です!
そうですね、まず戦(いくさ)で使うのには、まだ不便さが有ります」
「だろうね、維持費に整備費、火薬、生産、全ての面に対して不利だ」
「そう、その通りです。だから数で補います」
「・・・ほう」
「まず、二列式に並べて一列が撃ち、二列目が弾を込めて渡す
それを繰り返せば相手を殲滅可能です」
「・・・同じ案だな」
「同じ?」
「こちらの話だ、さて欠点を抜けば満点。欠点を言えば七十ぐらいかな。」
「その訳は?」
「撃ちと弾込めでは足りない、矢の援護も必要不可欠だ。
あと矢は火矢にしていけば火達磨になり、足止めもできる」
「なるほど、矢は必要だと思いましたが、それ(火矢)は考えつきませんでした。」
「で、種子島は何丁有りますか?」と明智に聞かれ、孫一は「四十丁」と簡単に答えながら女将が持ってきた新しい串に刺された団子の一本を取り、食う。
「四十ですか、少ないですね」
「くちゃ、くちゃ、ゴクン・・・いや大の大人が最大に持てるのは、それぐらいでしょう、普通は」
「ま、いいです。それ全部買います・・・」
「正気かい?身なりは侍だけど、金は?」
「私はこう見えて、とある方の小姓なのです」
「とある方?」
「聞いて驚くなですよ、斎藤道三様です」
「へぇ、美濃の蝮の」
「はい、って驚かないんですね」
「ま、信じていないからね。この御時世だ、驚くのも、信じるのも人の勝手さ」
「私は嘘をついてません」
「そうかい、なら証拠を見せてもらおうか?」
「・・・、分かりました。証拠ですね」
「ついてきてください」と明智は言うと立ち上がり、全部の団子を手に持つ
「・・・へいへい、分かったよ。おーい、勘定。」
「あいよ~」
孫一は団子代の十二文払った後、種子島が詰められた箱を背負い明智の後について行った。
「・・・嘘だろ。」
「いいえ、本当です。」
明智に連れられた、というより面白半分で来た孫一は正座をして美濃の当主、斎藤道三の目の前に居た。
「十兵衛。ワシを呼んだのはこの者に会わせる為か。」
「は、申し訳ありません。この者、武器商人らしく種子島を専門に売ってるのです。」
「ほう、種子島を・・・。で、この者を会わせたのか教えてもらおうかの」
「はい、実はこの者から種子島を買ってもらいたいのです。」
「十兵衛。お主が願いを頼むとは珍しい。明日は雨が降るかのう」
「唐突で申し訳ありません。」
明智は、正座した状態で道三に頭を下げて、詫びた。
それを見た道三は「うむ」と一言だけ言い、孫一に顔を向けた。
「まず、ワシの事はご存知だと思うが斎藤道三。美濃の蝮と呼ばれる男じゃ」
「ご丁寧に感謝いたします。私は孫一で堺から来た武器商人でございます。」
「ほう、堺から。遠路はるばる御疲れであろう。して何故、美濃に?」
「お恥ずかしながら、私はとある商人のドラ息子でして。親に勘当され、種子島を数十丁を貰いうけて諸国を旅しておりました。」
「ほう、それにしては鍛えておるが?」
「時世が時世なので。」
「なるほどのう・・・。で、お主に聞きたい事が有るのだが、一まとめで言うが良いか?」
「どうぞ」
「裏雑賀衆の頭領が何故、ワシの地に居(お)る?」
「・・・、はて?何のことで」
「誤魔化すな若造、雑賀の姫武将の雑賀孫市と武将雑賀孫一の脅威は美濃に届いておるわ
とくに、お主が背負ってるソレ(家紋)が証拠よ」
「・・・、どうやら誤魔化せないようだ。ご察しの通り、裏雑賀衆の頭領、雑賀孫一とはオレのこと
さて、どうするんだオレを?」
「そうだのう、ただ牢に入れるのもほしいし、・・・よし、それでは客将とならんか」
「は?」
孫一は大きく口を開いた
やっと書けた