射手の頂点に立つ   作:クロアブースト

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初めまして、拙い文章ですがよろしくお願いします。


原作前
射手の現状


ボーダー、三門市に現れた近界民(ネイバー)と呼ばれる侵略者達から市民を守るべく立ち上がった組織だ。ボーダーの戦闘員の方向性は大きく分けて5つ。近距離で斬り合う”攻撃手”、中距離で弾丸を撃ち合う”銃手”と”射手”、遠距離から狙撃する”狙撃手”、自身が直接戦うのではなく前線で仲間のサポートを行う”特殊工作兵”と”観測手”、情報支援を行う”オペレーター”の5つである。

そこから攻撃手と銃手の近・中距離をこなせる複合型の”万能手”も誕生した。

 

 

 

「銃手め……」

 

忌々しそうに呟くのはNo.2射手である鳴神(なるかみ)共也(きょうや)である。三門市に住む高校2年生だ。今は授業が終わり、放課後になったので机に突っ伏している。

 

別に銃型トリガーを嫌っているのではなく、寧ろ射程を伸ばし誰でも命中精度を向上させられるのは凄いと共也は関心している。だが問題はそれを使う一部の銃手である。

 

 

 

昨日個人ランク戦でポイント稼ぎしようとやって来た時にとあるB級隊員の銃手達の会話が偶然聞こえてしまったのだ。

 

『射手?撃ち合いなら銃手で十分でしょ』

『射程も速射も銃手が上回るし射手なんて下位互換だ』

 

これがトップクラスの銃手ならば共也もそういう考えがあるのだと気にしなかっただろう。しかし彼らのポイントは5000点台であり、一人前と認められる8000点(マスタークラス)ではなくB級昇格の4000点に近くB級隊員の個人ポイントとしては低い方である。これは実力者の言葉では無く弱者の嫌味の類だからこそ不愉快なのだ。

 

「(自分の弱さを棚上げして好き勝手言いやがって!少しこらしめてやる)」

 

そう思って殺気立った共也は銃手の元へ向かおうとしたのだが、同行していた幼馴染にキレてるのがばれて無理矢理引き離されたのである。

 

 

 

「まだ怒ってるのか?」

 

昨日の事を思い出してた共也に声がかけられる。

 

「仙が俺を止めた件は感情的になった俺に否があるし正しいから怒ってない」

「銃手は?」

「取り敢えず殺す」

「怒ってるな」

 

やれやれと溜め息をついたのは黒いストッキングを履いた白髪の女子で共也の幼馴染の槍水(やりずい)仙(せん)だ。同じクラスで小学生の頃からの付き合いである。

 

「今日は防衛任務だからランク戦は出られないぞ」

「分かってる。俺もポイント低い奴を態々探すつもりもない」

「それなら良い。じゃあ行こうか」

 

共也と仙は防衛任務先の警戒区域へ向かった。

 

 

『門発生、門発生』

 

アナウンスと共にモールモッドが3体出現する。

 

「作戦はどうする?」

「何時も通り、仙が斬り伏せて俺が援護する」

「了解」

 

仙がスコーピオンという軽量型ブレードを右手に取り出してモールモッドへ一直線に向かう。モールモッドはブレードのついた足を振り上げるが

 

「変化弾(バイパー)」

 

左手から出したトリオンキューブが分解して火力重視の四つの弾丸になり放たれる。足の付け根へ通過した途端、直角に軌道を曲げて足へ命中して仙へ向けられたブレードの攻撃を防ぐ。

 

「徹甲弾(ギムレット)」

 

右手から出した通常弾(アステロイド)を4×4×4で64個に分割し、二つずつ合成して32個の貫通性のある徹甲弾を瞬時に作り出して隣にいた二体目のモールモッドを容易く撃ち抜く。

 

3体目のモールモッドが共也に接近してくる。

 

「メテオラ」

 

トリオンキューブを篭手に吸収させてガシャン!と装填される音がする。モールモッドのブレード攻撃を掻い潜り共也はモールモッドを殴りつける。

 

ズドン!と重いものがぶつかる音と共にモールモッドは崩れ落ちる。身体には罅が入り、目のある部分には円柱型の風穴が開いていた。

 

「モールモッド3体撃破、回収班を頼む」

『了解』

 

オペレーターへ伝えると仙がこちらに歩いて来る。

 

「相変わらず凄い威力だな」

「要塞砲とまで呼ばれたしな」

 

共也は射手だが実家が伝承している殺人拳を身に着けているのでインファイトは得意分野だ。あまり知られて無いがトリガーを使わない生身の戦闘力では2TOPである筋肉パンチのレイジさんや太れる獅子ことゾエさんを完封してしまう程である。

 

「何で攻撃手に共也はならなかったんだ?」

 

仙は疑問に思ってた事を聞く。攻撃手や万能手に間合いを詰められた射手はブレードに対抗する事が出来ないとされる。弾丸を撃つより斬る方が速く、シールドでは防ぎきれないからだ。しかし共也は近接戦闘経験ならボーダーでもトップクラスの反応速度を持ち、複数人の攻撃手相手でも時間切れまで余裕で躱し続けられる程である。にも関わらず中距離主体の射手に拘り続けている。

 

「別に深い意味はない。拳を使わないで済むポジションなら狙撃手でも良かったし、しいていえば連打を叩き込むイメージで弾丸を使ってただけさ」

「そう言えば最初の頃は攻撃手に近づいて弾丸を放ってたな……」

「このガントレットを作ったのはチームランク戦だと射手のままじゃ勝ちきれなくて対抗手段が欲しかったから作って貰っただけだし。ほぼ俺専用になってるけどな……」

 

B級ランク戦だと相手に研究されるのだが俺が攻撃手相手でも正面から打倒出来ると思われた途端に対戦相手が時間切れ狙いの逃げの一手をされるようになったからである。火力の低い弾丸だから全員両防御とかふざけた戦術をされて最下位に落とされた時には流石に拙いと思ってエンジニアと協力して新たなトリガー”ガントレット”を作ったのだ。

 

「拳を使うのが嫌なのにどうしてそんな物を作ったんだ」

「それは……」

 

言い淀んでしまった時に交代の諏訪隊が来た。そして仙は気付く、散弾銃で武装している諏訪さんと堤さんと弧月を抜刀している笹森の3人だが問題なのは……

 

「(あ、よりにもよって銃手が二人も……)」

 

昨日の件で銃手を敵視している共也なら即攻撃してもおかしくない状態である。

 

「よう、交代の時間だぜ鳴神隊」

「あ、交代お願いします諏訪さん」

「(あれ、おかしいな……)」

 

笑顔で言う共也に違和感を覚える仙。

 

「まだ時間もあるしランク戦行こうぜ仙」

「そうだな。じゃあ交代お願いします」

 

二人は諏訪隊に引継ぎをして立ち去った。そして本部へ向かう途中で仙は共也に訊ねる。攻撃するかもしれないと思ったのに何故しなかったのかと……

 

「俺が嫌いなのは努力せずに文句を言う奴だ。銃手として戦い方を確立してるしそもそも人柄も良い人達だから八つ当たりになるからな。」

「まあそうだな」

「(それにそんな気分じゃなくなったしな)」

 

共也は鳴神隊を結成しても当初は頑なに拳を使う事をしなかった。その気になればガントレットなど無くてもトリオン体なら壊せる程の体術があるにも関わらずだ。結成当初から順調に勝ち進んだのだが攻撃手でも倒せない共也対策で時間切れ狙いの逃げの一手を全試合でされたせいで鳴神隊は上位から最下位まで降格した経験がある。共也自体はメタを張られただけで実力的に大敗した訳では無いので別に気にしなかった。仙が自身に隠れて泣いている姿を見るまでは……

 

仙は責任感の強い子であり、ランク戦で共也相手に点が取れない以上他の隊員は必然的に仙を狙う形になった。幾ら素質があって共也の援護があっても集中的に狙われれば落とされるのは無理が無く結果的に先にやられる様になったのだ。自分のせいで負けていると思い詰めてしまう姿を見て拳を使わない現状に満足していた己を恥じた。

 

「(大好きな相手を追い詰めてまで貫く信念に意味があるのか……ってあの時は思ったな)」

 

共也は家にあった強化義手の設計図を持ってエンジニアにこれを作れないかと開発部に向かったのだ。結果的には完成し、A級まで昇格する事が出来た。

 

「さあ行こう仙、今日いる銃手からポイント毟り取ってC級に降格させようぜ!」

「そんな笑顔で物騒な事するな」

 

そう言いつつも仙は共也の隣を歩く。そして昨日ランク戦で射手を馬鹿にしていた銃手が地獄を見るはめになった。

 




ガントレット
…エスクード並の強度を持つ篭手を出現させるトリガー。近接が苦手な射手の防御手段の一つとして開発された。メテオラを薬莢代わりに装填する事で要塞砲と呼ばれる程の打撃を出せる。

鳴神(なるかみ)共也(きょうや)
…No.2射手である高校2年生。
槍水(やりずい)仙(せん)
…ヒロインで共也の幼馴染。ポジションは攻撃手で実はスコーピオンでは風間・影浦に次いで高い3位である。


基本的には二人の日常とボーダー活動を書く予定です。
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