射手の頂点に立つ   作:クロアブースト

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三話で4巻の終わりまで突入。黒トリガー争奪戦に殆んど関わらないからだけどかなり早い気がする。過去編があるのでなるべく早めに大規模侵攻編に突入させる予定です。


少女と狼と師匠

仙がスコーピオンをしならせ鞭の様にしならせる。それを素手に張り付けたシールドで弾くワンピースの金髪ロング少女。

 

雪の降る熱帯林で対峙する。少女は森を裸足で縦横無尽に木々を駆け回りながら仙の死角に回ろうとする。勿論、仙も対処しているが機動力の差で後手に回る。そして遂に背後を取られ右腕から爪を伸ばし仙の首を切り裂いた。

 

「全く敵わないなハクアには……」

『アハハ、仙も強くなったよ』

 

大の字で倒れる仙に楽しそうに話すハクア。

 

ズガガガガ!

ドーン!

 

もう一方では弾丸と爆発音とも言える打撃戦を共也は繰り広げる。

 

ズン!

 

対峙するのは3mの巨体で身体に重火器を搭載した周囲が歪んで見える程の威圧を放つ機械狼(ウルフボーグ)。

 

「メテオラ」

 

ガシャンと籠手に装填して殴ろうとする共也、機械狼は足蹴りを放つ。爆発音が響き渡る打撃がぶつかり合った。

 

 

 

 

「全然勝てる気がしねぇ。強すぎだぜウル」

『そう作ったのは共也だ』

「だって普通の機械狼じゃウルの1割も引き出せないんだぜ。これだって3割りしか引き出せないし」

 

ウルの背中におぶられながら仙とハクアの元へ向かう。

 

「ボロ負けだ。笑いたきゃ笑え」

『アハハハハ!』

「ハクアてめえ!」

 

共也は飛び降りてハクアと追い掛けっこをする。

 

「本当に強いですねウルさんは……」

『二人共成長している。共也相手だとヒヤヒヤさせられる事もある』

「いやウルさんは天羽と渡り合える位強いじゃないですか」

『それはそうだ。私はアプリストスの王だったからな』

 

アプリストスに住むトリオンを使う狼達の王、狼王ウルである。今の仮初めの3割りだけでS級の天羽と渡り合える位強いのだ。そして捕まえた共也が戻って来た。

 

『本気のウルはとっても凄いんだよ』

「ああ、凄まじかったぞ」

『キョウヤそろそろ降ろして』

「許さん!」

『キャー』

 

お仕置きとして手で抑えずに肩車して遠心力をモロに受ける様に駆け回る。声を上げながらも楽しそうに笑うハクア。

 

「そういえば明日は入隊日だ」

「珍しいな共也は興味ないと思ってなかったんだが…」

「本部から対策会議の呼び出しを受けたからな」

 

間違いなく大事になるのだろう。

 

『大規模侵攻でも来るんじゃない?』

『ハクア、不謹慎だぞ』

『だって4年前から侵攻が消極的だし嵐の前の静けさってヤツだよ!』

「否定出来ないのが悲しいな……」

 

本当にあり得そうで困る。

 

「共也までそうだと不安になるんだが……」

『今の私のサイドエフェクトでも世界を跨いでだと分からないな』

「ウルのサイドエフェクトも充分反則だと思うがなぁ」

 

未来予知並みに反則性能だが本人にとってはそうでもないらしい。一抹の不安を抱えながら俺は向かう事になる。

 

 

 

 

「ハクアめ、予想的中だ。予知のサイドエフェクトでも目覚めたのか?」

「まさか言い当てられるとは思わなかったな」

 

入隊日当日。迅と会った俺は単刀直入に聞いたらまさかのドンピシャである。流石野生児だ。

 

「せめてこの世界に来てればウルが一発で分かるのに……」

「俺が言うのも何だけどかなり反則なサイドエフェクトだよな……」

 

未来予知に匹敵する程のランクS相当のサイドエフェクトは近界には確かに存在する。

 

「忘れてないか?トリオン器官は他の臓器と同じく使えば成長する。つまりトリオン器官の成長で生まれたサイドエフェクトも……

 

 

同様に成長するって事だ」

 

ウルの能力も同じくCランク相当の能力が成長したのだ。俺や迅にだって成長の余地がある。

 

「いやぁでも実力派エリートのサイドエフェクトが強化されちゃったら無敵じゃない?」

「副作用って事を忘れるなよ。人の域を越え始めるとデメリットが生じてくる。お前の予知が成長したら禿げるぞ」

「マジで!?」

「嘘だ」

「何だよ心配したじゃないか~」

「けど後遺症が生じるのは本当だから成長以外でそれ以上強くしようとするのは止めた方が良い」

「分かってるよ」

 

ハハハと笑う。俺の言葉を受け入れたのは未来が見えるからこそ苦しんだ事もあるからだろうな。

 

「(それに強くなりすぎればエフェクトキラーを呼び寄せるかもしれないしな……)」

 

近界を旅していた頃に聞いたサイドエフェクト持ちを殺して回る殺人者。各地のサイドエフェクト研究が即座に凍結する程の被害実績を上げているからこそ大国は恐れて止めたんだ。

 

「そういえば仙ちゃんは何処に?」

「仙は個人ランク戦に行ったよ。俺が会議が終わるのを待つつもりらしい」

「青春だね~」

「そうだな」

「もうちょっと惚れ気でも出しても良いんじゃない」

「仙の良いところも悪いところも全部受け入れた上で好きなんだ。それで充分だろう」

「これが恋人持ちの余裕って奴だな」

 

ポンポンと背中を叩かれる。セクハラさえ止めれば恋人位作れるだろうに難儀な人である。

 

そして対策会議の行う部屋に着く。メンバーは城戸さん、忍田さん、林道支部長、風間さんがいた。議題は近く起こるとされる大規模侵攻なのだが問題は情報が足りないのだ。

 

「正直情報不足です。俺が持ち帰った情報だとキオンとアフトクラトルの衛生軌道マップが入ってますが直接行ったことがあるのはキオンだけでアフトクラトルは侵攻された国の人づてに聞いただけなので戦力把握には少し足りないです」

「ならうちの遊真に聞くのが一番だな」

「確かにそうですね。つい最近まで旅してたなら情報も新しいと思いますし……」

 

そうして迅さんが遊真を迎えにいった。俺は待ってようと思ったが電話が鳴ったので席を離れる。どうやら場所も変えると伝えられたので合流場所を聞いてから離れて電話に出る。そして電話の着信側は師匠と表示されていた。

 

「もしもし」

『久しぶりだね共也君』

「お久しぶりです。師匠、今どこですか?」

『今は騎兵国家レオフィリオだよ。もうすぐ玄界に接触しそうな国の一つ』

 

頭が痛くなる。どうして只の電話が惑星間を越えて繋がるのか分からない。

 

「この電話師匠がくれたんですけど市販のじゃないですね?」

『そうだよ。前に私が旅した惑星で開発中の最新鋭の通信機器を貰っちゃってね。だけど一方通行だから共也君からは届かないよごめんね☆』

「いや、驚いただけなので別に良いです」

『そうそう。何かアフトクラトルが接近する国家全てに遠征挺向かわせるらしいよ』

「よく向かわせる余裕があるな。本国が手薄になるのに……いや、全ての接近する国家に仕掛ければ襲ってくる奴等もいないか」

『まあ私からすると乱星国家とかが狙ってきたらを考慮すると甘いと思うけどね。中には遠征挺無しに近接してるとか関係なく近界を渡れる者だっているのにね』

「そんなの師匠位ですよ。近接してないと飛距離がとんでもなくなるんですから」

『でも最近、近界を渡る時に一条の光となって渡ってる人を見かけたんだよね』

「近界は宇宙みたいな物だが世界を渡れるトリガーでもあるのか?」

『まあその話は置いといて恐らく来るのが確実なのはアフトクラトル。マザートリガーの人柱が数年後に死ぬのもあってかなり必死みたい。後は余裕的にはキオンかな?あそこなら防衛しながらでも他国を攻める余裕があるし』

「分かりました。他には何か?」

『じゃあ忍田君にアイ・ラブ……』

 

ブツッ!

 

俺は電話を切る。真面目な会議中にそんな事を伝えたら明らかに変人扱いされるからだ。今度会ったら充電切れたと言っておこう。情報入ったのは大きな収穫だ。俺は新たな対策会議の場所へ向かった。




残りの主要メンバーのハクアとウルが出ました。どちらも『』文字なのはボイス機を使っているからです。過去編だと彼女がヒロインだけど本編は仙がヒロインです。ウルの容姿は狼型のゾイドとでも思ってれば充分です。
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