射手の頂点に立つ   作:クロアブースト

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時期的にはアフトクラトル襲撃前です。当初は過去編に載せる予定でしたが過去編入るのに時間がかかるのでこっちに載せます。


【閑話】巡り会う星

「忍田君にアイ・ラブ…」

『ブツッ!』

 

電話の切られる音がする。

 

「流石にからかいすぎたかな~?」

 

騎兵国家レオフィリオにいるカグヤはちょっと後悔する。

 

「まあ良いや、次会う時にはもっと遊ぼう」

「カグヤ様、準備が出来ました」

「ありがとう。でも君は国王なんだから畏まらなくても良いのに…」

「何を仰います!貴方様はレオフィリオの創始者にして歴代最強の当主!しかもレオフィリオの重大な危機の際には必ずやお力添えをして頂いた恩があるのです!」

「いやいや、自分で造った国だからピンチの時は助けなきゃと思ってるだけだよ。それに自分達で解決出来るレベルなら手を貸さずに任せるからね」

「はっ!我ら獅子王騎士団一同全力を尽くす所存です」

「期待が重いな~」

 

若干呆れるカグヤ。騎兵国家レオフィリオには幾つかの国があるのだが各当主の王達はカグヤを崇拝している。お伽噺話に『流星となって現れ、人々を襲う厄災を打ち払う救世主』として記載されてるのと有事の際に前線に立つのを目撃されており実績があるからだろう。

 

「じゃあ待っている他の騎士達に顔合わせに行こうか」

 

国王に案内させる。彼こそは最後のグランドトリガー使いにして原初のグランドトリガー使い、鳳城(ほうじょう)輝夜(がくや)。玉座の最後の文字は【流】、だがその文字はグランドトリガー使いが生まれてから一度も変わっていない。ただ一人の古参メンバーである。

 

目的はただ一つ、グランドトリガー使いの集結だ。それが近界(ネイバーフット)を巻き込む大戦争が勃発し、世界が滅ぶことになろうとも構わない。

 

流星は相手の都合など関係なく、好き勝手に被害を巻き起こすのだから……

 

「まあ今代のグランドトリガー使いの殆どが消極的だから分からないけどね」

「確かにまだ本格的に侵略を始める使い手はいませんね」

 

カグヤの言葉に同意する国王。戦争を引き起こす奴は我欲の強い者と正義感を振りかざす者だ。後者は特に質が悪く、無自覚に人それぞれの正義を踏みにじる。他者の正義は偽善でしかなく、偽善と正義は相容れないからだ。

 

「やっぱりグランドトリガー使いの半数が目覚めているのにも関わらずまだ平和的なのは彼女の影響かな?」

「確かサクラ殿でしたな、我々の国も救われた経緯があります」

 

世界を滅ぼす力を手に入れれば確実に私欲で使おうとする人間がいるのだが、彼らはまだそこまでではない。エフェクトキラーは確かに大小の惑星国家を滅ぼしてはいるがかつてのグランドトリガー使いならもっと過激だった位だ。それこそ、奴等が国に現れれば何時暴れるのか国にいる限り怯える日々を送らなくてはならない程である。殺す敵を特定し邪魔さえしなければ危害は加えないエフェクトキラーは市民にとっては遠い場所で殺人が起きている程度の噂話でしかないのだからまだ平和的なのだ。

 

「予想外だったのは死んじゃった事だよね。ノーマルトリガーで黒トリガー使い5人がかりを無傷で倒すんだよ。間違いなく歴代最強の使い手だったのにね」

「サクラ殿程の使い手はもう現れますまい、あの方が二人いるだけで近界中の国家は全面降伏しなければならなくなるでしょうな」

 

グランドトリガー使いは何れも化物だが彼女は別格だった。他の使い手ではまず真似できないだろう。

 

「それとも継承者の彼が成りうるのかな?」

 

彼女は愛弟子である彼をずっと探していた。それこそ彼が生まれる前からずっとである。何か生前以上の繋がりがあるのだろう。

 

「小狼殿ですか?確かに才能はありますがあの境地にはまだまだ程遠い」

「そうだね。私も彼女以上に長生きしてるのに全然届かないからね」

「いや、カグヤ様も凄さでは変わらないですよ!レオフィリオにある黒トリガーの半数はカグヤ様の戦利品です。しかも気取られない様にグランドトリガーを使わずノーマルトリガーで討伐しているのですから」

「一対一ならどうとでもなるのさ。この国にもそんな使い手はいるだろう?」

「確かにいますがノーマルトリガーで黒トリガー使い相手の武者修行なんて自殺行為をしたがる奴などおりませんし、死んでしまうでしょう」

 

カグヤは戦闘にグランドトリガーを一切使わない。倒したトリガー反応で気取られる可能性があるからだ。唯一使うのは近界の暗黒の海を渡る時の移動手段としてだけである。

 

「君には感謝してるよアイン」

「アイン?」

「僕の名前だよ」

 

王が首を傾げると虚空から別の声が聞こえて透明だった身体が露になる。顔は子供(江戸川風)、肉体は筋骨隆々の男が突然現れる。

 

「カグヤ様のお知り合いですか?」

「そうだよ今回のスケットで連れてきたんだ。ところでさっきの光学迷彩は?」

「三比子(みつひこ)を逃がさずに殺すための光学迷彩だよ」

「まだやってるのかい、麻酔型機関銃で充分だろ?」

「でもあれで蜜彦(みつひこ)君を撃ったら頭が蜂の巣だらけになって眠ったまま何時までたっても起きないんだよ」

「いや、それ永眠してるんじゃ…」

「呼吸が止まる程眠るなんて凄いよね~だから道端に置いて寝かせてあげたんだ」

「外道か!?」

「落ち着きたまえ、彼はミツヒコ以外は殺せない人畜無害なんだ」

「ミツヒコという存在にとっては危険極まりない存在ですが!?」

「じゃあ皆さんにミツヒコ殺しの極意を伝授してくるね~」

「貴様!そんな物をこの国に持ち込むんじゃない!」

 

走り去ってしまうアインと追い掛ける国王、アフトクラトルが襲撃してくるにも関わらず騒がしい奴等である。

 

「さてさて見物といきますか」

 

今はまだ傍観者としてカグヤは楽しむのであった。




黒幕はこいつだ。つまり元凶は愉快犯なコイツのせいなのである。彼自体が不老なわけではなく、秘密がありますが忍田さんの幼馴染みなのは本当です。
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