射手の頂点に立つ   作:クロアブースト

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更新遅れました。就活で忙しいからこれから遅くなるかもしれません。


狼少女と無銘の暗殺者

時は少し遡る。遊真が0.6秒を出す前からハクアはいた。

 

『ふんふんふ~ん♪』

 

共也に内緒で隊員入隊届けを出していたのだ。出来たのは弟子である仙に強力してもらった経緯がある。そして白服のジャージ姿の中で一人だけ白のワンピースに裸足という異彩に他の新人達の好奇の目が向いているがハクアは気にしない。

 

 

遊真が0.6秒を出す。

 

『おお~凄いね~!』

 

彼女は感心する。とても始めてとは思えない動きだったからだ。周りは信じられずに中にはもう一回やり直せと言われるも遊真は更にタイムを縮める。

そしてハクアは遊真の次だった。周りはあれだけの高成績の後では見劣りしてしまうだろうと同情する。事実、画面で見てる諏訪隊の二人も同様だった位だ。

 

『5号室用意……始め!』

 

アナウンスが鳴るとハクアの身体がブレ……

 

トリオン兵が細切れにされた。

 

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

『1秒か~、流石にバラバラじゃ追い付けないかな?』

 

確かに遊真より遅いがハクアは急所だけでなく、硬いはずの装甲まで一瞬で切り裂いたのだ。これには周りも驚く。ハクアの手の甲にあるポイントは3800だった。

 

「まぐれだ!計測機器の故障だ!もう一回やり直せ!」

『あ、さっきの知ったかぶり一号だ!』

「知ったかぶり!?」

 

遊真にやり直させた遊真の前まで最高記録を出してたC級隊員が抗議したがハクアの言葉に驚く。

 

『だって嵐山隊が顔で選ばれたマスコット隊だって言ってたし……』

「やれやれ、無知な人間は踊らされ易いな」

「無理もない裏事情を知らないだろうからな」

「知らなくてもちゃんと見てれば見抜けるけどな」

 

彼と一緒にいた二人も擁護するように語り出す。

 

『そもそも弱い人を昇格させておいてやられでもしたらボーダーの信用ガタ落ちするんだから強い人の中から選ぶに決まってるじゃん』

『防衛組織は顔より戦力が重視されるのに信用問題に関わること却下されるに決まってるでしょ!』

『というかマスコットならB級で充分だし実力主義のA級に上げたりなんかしたら他の隊員の妬みを買って不和が起きたら組織の結束力が低下するんだからするわけないでしょ!』

「「「う……」」」

 

次々とハクアに正論を言われて言葉に詰まる三人。そもそも三人は無知故に踊らされており、明確な根拠が弱いからである。

 

『でも確かに故障かもしれないしもう一回出来るならもっと早く出来そうだし良いよ』

 

そう言って挑戦し今度は1秒を切って0.8を出す。

 

『あ、新記録!仙~!見てる~!』

 

ハクアは見学している仙に手を降る。

 

「おい、あれA級9位の鳴神隊の人だぞ!」

「9位って最下位だろ!」

「知らねーのか!?元A級1位部隊だぞ!」

「それは凄いが元だろ?」

「何時もは最下位だけど順位変動で鳴神隊が変わると必ず1位になってるんだよ!極端過ぎて最下位なのは順位競う時によくサボってるからじゃないかと噂されてるんだ」

「じゃあ実力はトップクラスって事じゃねえか!?」

 

周りのC級が騒ぐ。確かに彼らの言うとおり鳴神隊はA級部隊の順位戦をよくサボって最下位にいる。理由はまず順位が低くても固定給が貰えるので一位に拘る気がない。何故なら仙がトップレベルの攻撃手になったのと共也がガントレットによる近接をするダブルエースによる戦いはどちらかがフリーになると点を取ってしまうからだ。

更に回避能力がA級隊員の中でも図抜けているので複数で戦っても合流される前に倒せないからである。共也より劣る仙ですらタイマンで倒せるのはA級攻撃手だと二人しかいないので他の隊員が合流前にタイマンで遭遇なんかしたら目も当てられない結果になるだろう。

 

ハクアは三バカに興味をもたず仙の元に向かう。そして三雲と風間が対戦する事になった時に仙と共に観戦する際に遊真と再開する。

 

『あ、君はさっきの瞬殺君!』

「俺は空閑 遊真だよ」

『そうなんだ、なら遊真ね。私はハクアって言うの』

「宜しくハクア」

『うん宜しくね』

 

握手を交わす。

 

『あれ?遊真も私と同じ生身じゃないトリオン体なの?』

「ん、同じって?」

『私は黒トリガーになった状態からキョウヤが蘇生させてくれたの!』

「!?」

 

それは遊真が最初の目的である黒トリガーを元に戻す方法の成功者だと言うことだ。

 

「でも何でトリオン体何だ?」

『キョウヤの話だと変換した時のエネルギーと灰になった元の身体分が黒トリガーから引かれてて足りなかった分をトリオン体で補ったんだって!』

「キョウヤは元に戻す方法を知ってるのか?」

『私を戻したのはキョウヤだけど教えてくれないんだよね』

 

遊真は嘘を見破るサイドエフェクトでハクアが嘘をついていない事を確認する。そして共也にあった時に確認しようと思ったが流石に会議中に聞き出すのはまずいと思い次に会ったときに聞こうと思ったのだった。

 

 

 

 

「つまりハクアが漏らしたのか……」

 

溜め息を吐く共也。

 

「教えて欲しいんだけど……」

「ああ、約束だったな。まず言っておくが知識はあるが俺には実用は無理だ」

「ハクアにはやったんじゃないの?」

「あれは苦肉の策だった。師匠の仲介でとある国家で黒トリガーを元に戻す研究していた所でやって貰ったんだ」

「それって何処の国?」

「乱星国家ソラリス、だがあの国は鎖国状態でまず引き受けないし師匠みたいな特別な奴以外に辿り着けない仕組みがある。それより先に死にかけてるお前の身体を治さないといけないだろう。お前のトリガーは保護した人間が先に死ぬと消滅するタイプだからな」

「空閑の身体を治せるんですか!?」

 

それに修は驚く。

 

「師匠が繋がりのある国の中に回復系でも上級の欠損部位を再生が可能な黒トリガー持ちがいる。もしお前達が実力で遠征部隊に上がれるならば師匠に掛け合ってやる。あの人は努力して認めて貰おうとする人間は好きだが同情でやってもらおうなんて狡い奴は大嫌いだ。悪いが実力で示せ」

 

遊真というより修に向けていう。他人の為なら自らを省みずに進める故の危なさから強行手段へ出ない様にだ。あの人は自由気ままだから本当に汚い手段をしたら確実に見捨てるだろう。それに実力で上がれないで遠征に行っても死ぬだけだ。仮に遊真が無断で行っても見つけようがないしな。

 

「ふむ。遠征に行く目的が増えたな」

「それは良いが黒トリガーをトリオン体に戻すのに一週間はかかる。死にかけのお前が剥き出しで外に放り出されれば間違いなく死ぬから自分はどうなっても良いとか思うなよ」

「むむ、失礼しました」

 

間違いなく思ってたなと思う。生きるも死ぬのも彼等の問題なので口は出すつもりはない。

 

遊真達と別れて共也は帰宅後アイスを食べてくつろいでいたハクアにお仕置きを決行した。

 

『くすぐりは拷問だよ!』

「不用意に話すな。黒トリガーの戻し方は未完成な上に欲しがる奴は多い」

 

大半は大切な人を無くしたケースが多いから蘇生を求める者が多くいるので余計な混乱を避ける為だ。

 

「それよりアフトクラトルが攻めてくる。久しぶりの実戦になるから覚悟しておけよ」

『分かってるよ。かつてボクとキョウヤとウルの三人で傭兵として近界を巡ったよね』

「ああ…」

「『生きるも死ぬも一緒だ』」

 

二人は出会った場所で約束を交わした言葉を確認する。キョウヤを守る為に黒トリガーになったハクアとウル達に……

 

 

 

 

 

共也は学校の屋上へ向かう。屋上には一人の高校生がいた。

 

「どうした共也話って?」

「もうすぐ大規模侵攻が起こる件だ」

 

共也は目の前にいる親友、黒鋼(くろがね) 白夜(びゃくや)に用件を伝える。

 

「言っただろう。俺はソロの隊員だし参加する気もない。ボーダーに入ったのは自衛のトリガーを公的に持つためだ」

「それは構わない。俺だって固定給が無ければやる気すら無いんだから。問題はお前が守りたい妹や彼女を襲撃予定日の間だけでも三門市から離すべきだと言っているんだ」

 

白夜はボーダーに入ってはいるが市民を守る使命なんて気にしちゃいないし防衛任務だって滅多にやらない。守りたいのは妹や彼女だけなのだ。

 

「俺も最初はそうすべきだと思った。どんなに強くたって大切な人が戦地に入れば流れ弾一つで呆気なく死ぬからな」

「それが分かっていて離れさせないのは大切な人の近親者まで守る気なのか?」

 

命さえ助かれば良いと言う奴は大概が大切な人を失ったことが無い奴だ。自分だけ助かって両親が目の前で死んで塞ぎ込む子供だっているし、恋人が死ねば後を追う様に自殺する奴だっている。本当に守りたいなら身体だけじゃなく心まで守る必要があるのだ。

 

「妹は連れていこうと思えば連れていける。肉親の父さんは単身赴任で三門市外だし、友達まで連れていきたいとか言わなければだが……」

「彼女の方は無理だな」

「ああ、流石に働いている親に証拠もなく休んで離れろなんて言えないし、やった後でマスコミとかが騒ぐ可能性があるからな」

「やったら下手に目立つから賢明だな」

 

連日マスコミに追いかけられたら苦渋でしかない。

 

「お前はどうするんだ?」

「俺の両親は何時でも離れられる準備はしてある。有事の際には仙の家族も守って貰う様に頼んでいるし」

「万全だな」

「出来ることは全てやってるだけさ」

 

白夜が出れば間違いなく被害は大幅に減らせるだろう。だがそれをしないのは……

 

「どのくらいの犠牲が出る?」

「市民は殆ど出ないがC級が拉致られる可能性がある」

「必要最小限だとしてもキツいな」

「一番苦しいのは迅さんだろう」

 

本部には話してないが未来を見れる迅さんや師匠経由で近界に詳しい俺は拉致被害を0にする事は出来ないと結論付けている。第一次大規模侵攻以来表向きに拉致被害が無くなっているのはボーダーの組織力が上がったというのもあるが一番の理由は他国に嘗められているからだ。脅威じゃないから拉致には来ても殲滅には来る事はまずない。

だが仮に大国が本腰を入れて拉致しに来たのに何の成果もなく撃退すれば脅威と判断されて戦争に発展するだろう。そうなれば一国の軍事力である近界の国家相手に所詮は民営組織規模でしかないボーダーの軍事力では滅ぼされるのがオチだ。俺が本格的に戦っても勝敗問わず三門市は壊滅的な被害を受けるだろう。

例えるなら核保有してる国に喧嘩を売りに行くのと同じなのだ。だから俺は本腰入れて戦わないし、迅さんも拉致被害0の最善の未来があったとしても絶対に選ばない。その後に本格的に侵攻されて滅ぼされる確実にヤバイ未来を招くからだ。

 

「どっちにしろ俺も妹や彼女が避難させるのに襲ってきたトリオン兵を相手にする必要があるだろうから市民は任せろ」

「ありがとう白夜」

「気にするな。俺やお前にとって互いは一番の理解者だからな」

 

小学生の頃からの付き合いだが互いが一番の親友である。何せ俺達は唯一無二の同類だからだ……




ハクアとウルは黒トリガー化してますが意識はあるので意思疏通が可能です。他にも秘密はありますが後から明らかになるでしょう。


黒鋼 白夜
…非公式だがS級や忍田さんに並ぶボーダー最強候補。ボーダーがチーム重視なので個人ランク戦で上位にいようが気付かれない弊害で注目を隠せている。
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