射手の頂点に立つ   作:クロアブースト

21 / 26
人は失ってから大切さに気付く。

かつて森は異界であり、狼(アプリストス)達の支配する楽園だった。人を拒むかの様に雪原が広がり、森には狼達がいる。拉致された俺の目が覚めると白銀世界だった……


~小学6年生の共也より~


第二次大規模侵攻編
開戦


「ん……来たか」

 

学校で昼食を仙や共也、涼風先輩と一緒に食べ終えて談笑している頃に近界民達がやって来た。空が曇り出すと同時に警戒区域に数十を越える門が出現した。

 

基地から離れる様に北・西・北西・東・南・南西の6方向にトリオン兵は進行中。その内S級だった天羽と元S級である俺と迅も一地区を担当する事になった。

 

 

 

 

 

ボーダー本部北部、俺の地区は町全体が凍り付いていた。そこへ進行しようとしていたトリオン兵が全部巻き込まれて凍結していた。

 

「凄い…」

 

仙がその光景に呟く。

 

「白亜の森が生まれた理由には関わってないがあの森に雪を降らし、雪狼を統べた支配者だったのが狼王ウルだ」

 

間違いなく俺が知りうる限り最強の一角である。但しこの世界にはまだ見ぬ化け物が存在するから上の存在がいるかもしれないが……

 

そう思ってると凍ったバムスターから兎の耳でも付いたような一体の新型トリオン兵が現れた。

 

「ウル、凍り加減が甘かったらしいぞ」

『わざとだ。中にトリオン兵が潜んでいたのを感知したから情報を得る為に凍らせなかった』

「一体だけをピンポイントで避けるって流石だな」

 

ラービットが襲い掛かって来たが共也は右腕に大きな狼の頭角が出来上がり、ラービットの腕を喰いちぎる。

 

「思ったより硬いぞ」

 

ちぎった腕を投げ捨て共也は言う。仙が正面に踏み込みスコーピオンで身体に十字の斬撃を刻む。だが切断には至らず腹が開いて仙を取り込もうとしたので仙はバックステップで距離を取る。

 

「新型ラービットだな」

「先程私を取り込もうとした辺り情報は合っているだろう」

「じゃあもう排除する」

 

ラービットの背後から機械狼が襲い掛かり鋭利な爪や牙で装甲を削っていく。ラービットも片腕を振るうも避けられ背中に搭載したレーザー砲でラービットの頭身を撃ち抜き破壊する。

 

「これが共也の黒トリガー……」

「機械狼を兵として生み出して群を創り戦う。ハクアやウルの雪狼達が集結して生み出された黒トリガー【要塞犬舎】だ」

 

そして壊れたラービットは白い光となって共也の身体に取り込まれる。それだけじゃなく、凍り付いたトリオン兵も同様に次々と共也に向かって吸い込まれていった。

 

「敵を倒す度にトリオンを取り込んで貯蓄する。敵がいる限り兵を産み出し続けられる大軍殲滅用トリガーだ」

 

機械狼を産み出すのには多量のトリオンが必要である。そしてこの黒トリガーは貯蓄機能と同時に黒トリガー化したハクアやウルなどの雪狼達のトリオン供給器官が内蔵されており、膨大なトリオンを保有することになる。

 

「こちら鳴神隊、鳴神。北部地区のトリオン兵を一掃しました」

『流石だな』

 

どうやら忍田さんが出てきたらしい。

 

「新型トリオン兵ラービットも確認し排除しました。ここにはウルを置いておきますので俺と仙は機械狼を引き連れてラービット狩りに行きます」

『分かった。先程各地でラービットの出現で防衛が遅れている。二人はラービットの相手を頼む』

「了解」

 

俺は通信を切る。

 

「ウルは引き続きここに向かってくるトリオン兵が来たら倒してくれ」

『心得た』

「俺と仙は別行動だ。ハクアは仙に着いていってくれ」

『分かったよ』

「了解」

 

俺と仙・ハクアに別れて北部以外の地区へ向かった。

 

 

機械狼を起動しながら戦う為にトリオン体の上にボーダーのトリオン体を換装する。これで万が一やられても機械狼に影響を与えずに済む。黒トリガーのトリオン体が破壊されると一斉に他の機械狼達もベイルアウトする仕組みなのでやられると今出している機械狼達が戦線離脱してしまうのだ。

 

「さて東部に……」

 

その時、本部へイルガーが自爆特攻をした。爆発するが本部は壊れずに済んだ。

 

「仙、ハクア。万が一敵が向かう可能性があるから本部付近へ向かいながら基地へ行ってくれ」

「『了解!』」

 

俺はまずラービットの出現が多い東部へ向かった。

 

 

 

東部で彷徨くトリオン兵を片付け序でに出てきたラービットを拳で粉砕しながらビルを飛び回った先に何故か黒い角付きの男がいた。

 

「何だてめぇ。また新しい雑魚が来たのか」

「誰お前」

 

そう言いながらも黒い角で先程風間隊が交戦して隊長がやられたという情報を思い出す。

 

「雑魚ってお前の方が弱そうなんだけどプルプルしてるし」

「なっ、クソガキが!」

 

怒るエネドラ。先程向かってきた奴等は楽勝で倒したから次に来た奴に嘗められるのが気に入らないからだ。

 

「アステロイド」

エネドラに当たるが実体がないかの様にすり抜ける。

 

「効かねーよ雑魚が!」

「ふむ、ハウンド」

 

今度は視線誘導である一ヵ所を重点的に狙う。

 

キキキキキーン!

 

今度は硬い何かにぶつかる音がする。弱点を明確に狙われた事に警戒するエネドラ。硬化が遅ければやられていたからだ。

 

「てめぇ」

「みーつけた!」

「!?」ゾアァ

 

共也から威圧感が押し寄せエネドラは思わず後退りする。慌ててダミーを生成する。

 

「そんな紛い物で隠せるとでも今右から二番目の奴だろう」

「!?」

 

ピンポイントで当てられた事で動揺するエネドラ。

 

「お前には向かい風だから此方には届かないし奥の手は通じないぜ」

「てめぇ!何故それを!?」

「教える必要あるの?今から殺されるのに?」

「!?」

 

左右にトリオンキューブを浮かせた上で更に両手から新たなトリオンキューブを作って合成する。

 

「ピンポイントなんてチャチな事せず全部爆破すれば良いじゃない。という事で『トマホーク』&『サラマンダー』」

 

左手からトマホークを、右手からサラマンダーを放ちエネドラめがけて爆撃する。

 

一ヵ所集中爆破が響き渡る。爆発で生じた土煙が晴れるとそこには何も無かった。

 

「あ、逃げられた…感情乱す為に少し脅し過ぎたか。まあ良いや取り敢えずC級の元へ行こうか」

 

敵の能力が割れたわけではない。サイドエフェクトでエネドラの感情を読み取っただけである。やられたら危険な急所は危ない所は意識するし、奥の手と言ったのは焦ったエネドラが風を確認して使えないと思ったから分かっただけである。風間隊の方に連絡を飛ばす。

 

「こちら鳴神隊隊長の鳴神です。風間さんがやられた黒トリガーと交戦、追い詰めるも敵が恐れて逃亡したので逃がしました」

『了解だ。何か分かった事はあるか?』

「向こうの液体化の供給器官や伝達脳を体内で移動させて絞らせない事と硬化でカバーしてます。後ピンチになったら風を気にして奥の手使おうとしたけど向かい風だと使えなくて困ってました。恐らく気体化して飛ばせる可能性があるので相手が向かい風で戦うと封じれます」

『分かった。情報提供感謝する』

 

風間さんに分かった情報を提供して共也は目的地へ向かう。既に戦闘は始まってるらしい。

 

手薄になっているC級隊員達の元へ向かった。




『トリオン同調体質』は相手の感情の変化から読み取ります。心を読むのではなく、端的な事が分かる程度です。例えば不意打ちなら【斜め後ろから攻撃】といった感じで方向と何かしてくるのが分かりますがそれが剣や射撃なのかは分かりません。影浦のサイドエフェクトに似ていますが共也はon/offが制御出来ます。
今回のエネドラの場合は【ここは壊されるとまずい】と【向かい風だから奥の手が使えない】とは読み取れました。それが供給器官や伝達脳の場所だとか気体ブレードだとは知りません。

割りと火力じゃなく特殊系タイプだと相手が嫌がる事が常に分かるから有利に立ち回れます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。