射手の頂点に立つ   作:クロアブースト

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本部防衛戦

本部にエネドラが侵入する事態が発生。エネドラは近くにいた職員を攻撃しようとした瞬間、エネドラが壊した壁とは違う通信室の壁が破壊される。

 

「こちら鳴神隊、槍水。機械狼三体と共に人型近界民を惹き付けながら交戦します」

『まずはエンジニアを無事に逃がす事からだよ』

「了解。私達が足止めするから避難しろ!」

 

ハクアが操る機械狼が雄叫びを上げ、残り二体がガトリングで牽制する。

 

「ハァ!逃がすかよ!」

 

エネドラは液体を硬化したブレードで逃げる戦闘員の背中から刺そうとする。しかし…

 

「急に速くなっただと!?」

 

彼等の移動速度が上がりブレードは追い付かずに虚空を切った。

 

「さてどうするか」

 

仙の腕がぶれると鞭の様な物が伸びてエネドラを切り刻む。

 

「少しはやれる様だが聞かねーよ!」

 

斬られても平気なエネドラは仙に硬化ブレードを放つが簡単に避けられ下がられる。

 

『距離を保って逃げるよ!向こうはノロマだから近付かなければ楽勝だよ!』

「んだと!この雑魚共が!」

 

喋った機械狼に硬化ブレードを放っても同じく避けられて下がられ仙と共に逃げ出した。

 

「待ちやがれ猿共!」

『僕は猿じゃなくて狼だよ』

 

仙と機械狼は逃げながら銃口だけを背後に向けて掃射しながら牽制する。エネドラは追いかけるも向こうは速すぎてすぐに見失ってしまう。

 

「何処行きやがった!」

 

その時、真横上から弾丸が放たれる。撃ったのは先程キューブ化から解除された諏訪さん率いる諏訪隊だった。

 

そして彼らは仮想訓練室まで誘導する。

 

 

着いた先には仙と機械狼三体がいた。

 

「準備完了です」

『ここなら遠慮なくやれるよ』

 

エネドラが入った瞬間に仮想戦闘モードを起動してお互いにやられる事が無くなった。更に機械狼が雄叫びを上げるとエネドラ以外の全員の動きが機敏になり攻撃が掠りもしなくなった。エネドラは機械狼が原因だと判断して硬化ブレードで攻撃するが機械狼は容易く避けて一向に当たらない。焦れたエネドラは奥の手である気体ブレードを使うことにした。目視出来ない気体には反応出来ずに彼等は身体からブレードが喰い破ってきた。

 

『やっぱり気体化だったね。まあ次は当たらないけど』

 

風間がレーダーでエネドラの回りに広がっていくトリオン反応から気体と見破った話を聞いたハクアは呟く。広がった気体が仮想戦闘室の開閉パネルに当たって強制解除してしまうと自分達の身体を喰い破ってきたブレードも消える。

 

『空調全快~!後は身体にある弱点をカバーするケースごと削り倒すよ!』

 

機械狼は同じく雄叫びを上げて味方を加速させ、残りの二体が搭載されているガトリングでカバーケースをダミー諸とも全て消し去るべく掃射する。

 

「ちぃ、無駄だ猿共!」

 

気体化は空調で押し戻されるせいで使えずに硬化ブレードで戦うが速度の差で一向に当たらず、徐々に削られていく。ダミーも生成速度と互角でじり貧である……

 

そこへハクアの強化嗅覚で本体の場所を通信で教えられた笹森がカメレオンで姿を消して近づく。

しかし笹森がカメレオンで背後から奇襲するも見破られて硬化ブレードで斬られる。だがトリオン体が壊れると共に煙幕が噴き出す。そしてその隙を突くべく諏訪隊の散弾銃と機械狼のガトリングがエネドラへ向けて放たれようとした瞬間……

 

エネドラの供給器官を背後から放たれた弾丸が貫通する。

 

「!!?」

 

エネドラは驚き後ろを振り向くと壁に穴が開いており、幾つもの壁に開いた穴が重なって道を作っていた。

 

本部から800m離れた先に異常に長い銃身の狙撃銃を構えていたハクアがいた。

 

『命中成功っと♪』

 

基地から離れた場所から仮想戦闘室の部屋へ壁抜き狙撃をしたのだ。敵の位置を操作している機械狼で目視し、局所をウルの強化嗅覚でかぎ分け、遠方から撃てる条件を揃えた。

 

かつて共也が傭兵として近界を旅していた頃に超人的な集中力と忍耐力で敵の感知範囲外から狙撃で一方的に仕留めていく『雪娘(スネグーラチカ)』と謳われた狙撃手だった。

 

『本当は機械狼の狙撃銃が良かったんだけど流石に本部にいる子じゃ気付かれただろうし、壁抜きには火力も必要だからねぇ』

 

普段は散らばった機械狼で狙撃をして何処から狙撃するかを混乱させるのだが今回は仙に同行させた数の少なさと感知範囲外から撃つ必要があったので今回は愛銃を持ち出す事になったのだ。

 

『じゃあ共也の援護に向かうから後はよろしくね~』

 

共也がいる場所へ一足先に向かった。

 

「とんでもない狙撃技術だなこりゃあ」

「共也曰くハクアは近界で『雪娘(スネグーラチカ)』と呼ばれて恐れられた程の狙撃手ですから」

「ハクアってつい最近攻撃手として入ったばかりの子じゃねえか!?狙撃も超一流って荒船みたいだな」

 

仙は諏訪隊の諏訪隊長や堤さんと共にエネドラが逃げられない様に近付く。

 

「せっかく待機してたのに僕らの出番を奪わないでよね」

「万が一の後詰め立ったんだから仕方ないさ」

 

ステルスで待機していた菊地原と歌川が姿を現す。

 

だが突如空間に穴が開いてワープ女のミラが出現する。そしてエネドラは救援だと思い手を伸ばす。

 

だがミラは腕を切り落として黒トリガーだけを回収した。

 

どうやらエネドラの黒トリガーを回収するのが目的で不要となったエネドラは始末する気だった。

そして黒い棘で止めを刺されてエネドラが殺された。

 

「気を抜くな!情報を渡さない為に死体を喰らう可能性もある!」

「ちょっと待ちなさい。さっきの槍使いといい私を何だと思ってるの……」

 

ミラは仙の言葉に突っ込む。先程ランバネインを回収した際にもミラが姿を現した途端に警戒されていた。それだけなら突然現れたから警戒してるだけだと判断してただろうが彼女が現れた瞬間に後退りして「ひぃ!?喰われる!」と叫んだ小鹿の様に震えた男や「今度は人喰い女か!?」と言ったロンゲの狙撃手、「次はアフトを震え上がらせる奴か」と言ったやる気満々の槍使いの言葉が脳裏をよぎる。何か玄界で自分がとんでもない風評被害が起きているのではないのかと……

 

「殺したのは食べる為とか恐ろしい女だな~」

「ちょ、違……」

「変身する前に倒すぞ!」

 

ミラの態度を無視して明らかに警戒する風間隊。

 

「おいおい、さっきの奴だってヤバかったのにもっとクレイジーな奴が相手かよ」

「油断しないで下さいね。また食べられますよ」

「ラービットと一緒にするな。今度はトリオン体でも関係なく死ぬぞ」

 

諏訪隊と仙が警戒する。背後には機械狼が唸り声を上げて同じく交戦態勢に入っている。人を何だと思ってるのと叫びたいミラだったがハイレインの指示を思いだし冷静になる。

 

「(落ち着きなさい私。今は任務を遂行する事を考えるのよ!)」

 

まずはこの場を離れる事が先決だったので空間を閉じた。

 

「あ、逃げ…いや見逃されたのか……」

 

悔しそうに言う仙の言葉がミラにとっては無視できない程に嫌な予感を感じさせた。




エネドラ撃破。しかしミラは余計玄界での風評被害が気になる模様。
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