射手の頂点に立つ   作:クロアブースト

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予定より早く書き上がったので投稿です。
これは原作開始一年前の話です。


近界(ネイバーフット)の世界事情

仮想戦闘室で10本勝負を終えた仙と俺は休憩室で休んでいる。

 

「なあ共也、私は近界だとどのくらい強いんだ?」

「うーん、バムスター位?」

「っな!?いくら何でもバムスターは無いだろ!モールモッドだって一人でも余裕で倒せるぞ!」

 

仙は怒ったのか立ち上がる。

 

「違う違う、近界でのトリガー使いレベルをトリオン兵に例えたらの話でバムスターと同じ強さと言ってるんじゃないよ」

「む、そうか……」

 

落ち着いたのでまた座る仙。正直俺もどう判断すべきか困ってるのだ。

 

「そもそも明確な物差しがあるわけじゃないから比べるのは難しい。あっちの世界じゃノーマルトリガーは黒トリガーに常に劣るわけじゃない」

「そうなのか?迅さんや天羽、共也のどのトリガーも凄いと思うんだが……」

「それは黒トリガー自体の性能は高い。けど使い手が桁違いだったり、黒トリガーを越えるノーマルトリガーだって存在した」

「共也は見たことがあるのか?」

「全然」

「無いのに何故自信満々に言うんだ!?」

 

仙が叫び周りの目がこちらに向く。からかってると思ってるのだろう。

 

「噂とか情報や映像とかで見せてもらったって話だ。その映像だって不鮮明だったり信憑性が低いやつが多かったし……」

「例えば何があるんだ?」

「そうだな例えば…」

 

思い出そうと目線を外すと他の奴等まで耳を傾けてるのに気付く。未知の世界である近界に行きたいと思ってる奴も多いんだろう。

 

「これは噂だが和服を着たノーマルトリガーの剣士である女性の事だが人助けが趣味らしく、道行く先々で遠征してくる強国の尖兵から小国を守ってたらしい」

「何故そんなボランティアみたいな事を?」

「確か子供好きのショタコンで運命の人を探してるとか……」

「何だその変態は……」

「そもそもトリオン自体が人間には不要の長物だからな。様々な弊害が起こることだって珍しくない。変態な思考になる天才とか、大人位の年なのに背が子供のまま身長が伸びないとかのケースは見掛けた事がある」

 

丁度ブースを出て話を聞いてたステルス戦闘の代名詞部隊の隊長が息を呑んだが気にせず話す。

 

「他にも性格が激変した奴とかトリオンを無理矢理増やしたせいで戦闘が出来るのに勉強が駄目な奴もいた」

 

餅を食ってた二刀流の人が目を見開くが貴方は違うと思う。トリオンで単位は減らないから……

 

「話を戻すがその剣士は黒トリガー使い5人を無傷で撃退したらしい」

「ノーマルトリガーでなのか!?」

「そう。どっちかというとトリガーより剣術が凄かったらしい。トリオン量も桁違いだけどな」

「そいつは楽しみだ。何処にいるんだ?」

「顔も見たことないし居場所は分からない。というか突然話に加わったな太刀川さん」

 

割りとボーダーは戦闘凶が多いし早く聞きたかったのか直接聞いてきた。

 

「別に良いだろう。他に強い剣士とかはいるか?」

「剣士は割りと近界でも多かった。スコーピオンみたいな奴より弧月みたいな固定ブレードが殆んどだけどね。忍田さん以上の剣士だって結構いたし、黒トリガーを単独で倒せる剣士も滅多にでは無いけど遭遇した事がある」

「ますます遠征が楽しみだな」

「その前に後ろにいる忍田さんをどうにかした方が良いと思う」

 

案の定太刀川さんは大学サボってランク戦してたらしく、忍田さんがいる本部長室に引きずられる形で連行されていった。

 

「剣士で強い奴は勉強が残念なのか?」

「そんな話は聞いたことがない」

 

脳筋だけでは組織は回せないからな。

 

「あ、あの……」

「ん?どうした」

 

C級の訓練生が俺に話しかけてきた。

 

「さっきトリオンで弊害が出るとか仰ってたんですけど身体には危険なんですか?」

 

その言葉に他のC級隊員達も顔を青ざめる。B級隊員達の中にも不安が顔に出てる奴もいた。流石にこのままにしたら士気低下の一因でお説教行きが確実なので正さないといけない。

 

「ああそれは大丈夫。生まれつきのトリオンならば問題ない。人工心臓みたいに本来無かったトリオンを無理矢理増やすと身体に異常を起こすという話だから成長で増えるのは大丈夫だ」

「そ、そうですか。良かった…」

 

安堵する聞いてきたC級隊員や聞いてた他の隊員も同じく安心したようだ。知識がない分、C級が不安なのは当然か……

今のところ深刻な弊害は強力なサイドエフェクト持ち位だし、彼らには関係ないだろう。

 

「トリガーだと凄いのは何だ?」

「これは実物で見たことあるから話せるな。と言っても師匠のトリガーだけど…」

「ん、共也の格闘技の師匠は両親だろう?」

「トリガーの使い方を教わっただけだし、戦闘方面じゃないよ」

「そうか、というかどんな人なんだ?」

「えーと…仙は有ったことあったかな?忍田さんと私服で買い物に出掛けてた所を沢村さんが目撃して卒倒させた忍田さんの幼馴染みだ」

「どんな人!?」

 

仙の言葉は一同の気持ちの代弁らしく、周りも同じ表情をしていた。何か色恋関係だからかわくわくしてる女性隊員が多いような気がする。

 

「その話を詳しく!」

「いや、人柄なんて別に良いだろ。今は旅に出てるから何時逢えるか分からないし」

「何があったか気になるだろう!」

「お、おう」

 

やけにグイグイ来るな。何か他の女性隊員も逃がさないつもりかいなかったオペレーターも増えてるし、ボーダー公認で知られてる沢村さんの片想いが気になるといったところだろう。当の本人である忍田さんは知らないけど……

 

「時期は第一次大規模侵攻の2年後つまり去年だな。そこで久しぶりに帰ってきた師匠が買い物したいらしく、幼馴染みの忍田さんの休みに合わせてショッピングに出掛けたんだ」

「え、でもどうして共也が現場を目撃する事になったんだ?二人っきりで出掛けたんだろう?」

「俺はその沢村さん卒倒事件の事後に師匠に呼び出されたんだ。居候先が弟子だった俺の家に勝手に泊まり込んで来たからな。大方荷物運びだったし……」

 

そこで師匠から事情を聞くと突然悲鳴が聞こえて振り向いたら知人である沢村さんだったらしく、ショッピングは中止して忍田さんが背負って自宅へ運んだらしい。そして俺は買った荷物を持ちをしたというわけである。

 

「自宅って忍田さんのか!?」

「そうだけど……」

 

キャーと歓声が上がる。こいつら気付いてないのか、まだ付き合ってすらいないんだぞ。

 

「それでどうなったんだ」

「師匠が忍田さんに連絡入れて大丈夫か確認したら目が覚めた後に慌てた沢村さんを無事に帰したそうだ」

「え、それだけ?」

「熱を確認して額を近付けたら顔が真っ赤だったとか泊まってくかと聞いたら慌てて帰ったとかを忍田さんから聞いて師匠が笑ってたな。師匠も恋バナを楽しむ人だしもう少し積極性がないと鈍感な幼馴染みは堕ちないぞって言ってた」

「何か聞いてると複雑な三角関係だな…」

「沢村さんが告白すればすぐ終わる話なのにな」

 

共也は無自覚に言うのだが後日、修羅と化した沢村さんに呼び出されて説教されるのは余談である。

 

「それで師匠のノーマルトリガーは斬った相手のトリオン体から能力を学習する能力だ」

「それは反則だろう!」

「そうでもない。学習した能力は剣を形状変化させて行うんだがトリオンの消費量が多い上に回数制限もある。中には再現出来ない能力だって存在したからな」

「それは黒トリガーか?」

「いや、例えば全身が物理無効化する気体化とか剣以外に効果を及ぼす系全般だな。単純に炎を出すとかなら剣に纏って使ってたし攻撃なら一部だけど黒トリガーを再現出来てた」

「そんなノーマルトリガーがあるのか…」

「勿論、使いこなすには相応の技量が必要だ。不慣れな奴が使ってもやられるだけだし……」

「確かに私には無理そうだな……」

「戦闘系は基本例外だからな。生産とかになると凡庸性の高さから黒トリガーより便利なやつが多かった」

 

日常生活の作物に機械を使うようにトリガーを有効利用して生産率を上げてる国はかなり多い。トリオンは基本万能エネルギーだからな。

 

「ボーダーが戦いに使ってるから兵器だと思ってた」

「侵略する国は何時でも存在するから防衛するのにも戦力が必要だ。侵略目的で来てる奴に対話は通じないしな」

「成果無しで帰る事になるからか」

 

そんなお人好しの国家はとっくに滅びてる。今あるのは軍国主義ばかりの国だけだ。

 

「他には意外だと思うが戦闘系の黒トリガーより生産や回復とかの戦闘力に直結しない黒トリガーの方が重宝される」

「回復は分かるがどうしてだ?」

「黒トリガーは大体が一つの分野に特化してるタイプが多い。一つあるだけでその分野が一気に進んで国が豊かになる事だって珍しくない」

「何か財宝みたいだな…」

「そうだろうな。戦闘力なんて極端な話、トリオン兵やトリガー使い量産して増やせば充分だからな。中には食べるだけでトリオンを直接回復させる果実が出回ったとかがある位だ」

 

近界中でそれの出所を探してる国も多いが襲われない為に所有国は厳重に秘匿するので知らないだろう。俺はそんな幻想種を幾つか旅で見つけたが語る必要は無いだろう。

 

「大国だってまだ近界全てを把握してる国は存在して無かった。行ってみれば新しい物が見つかるだろう」

「共也は行きたくないのか?」

「俺は……」

 

未知は楽しい事もあるが危険だってある。運が悪ければ

死に直結する物も存在する。そして遠征をしてる連中はリターンが大きい成果ばかり持ち帰った連中だけだ。

ごく少数、砂浜に転がる一粒の小石位の低さだが存在するのだ。リターンが吹き飛び、文字通り存在すら消し去る位のリスクという厄災が……

 

「気が向いたら行くさ」

 

それでも行きたいと思う位、未知は楽しいのだから……

 




リターンとリスク→9:1

基本余計な事に首を突っ込まず欲張らなければ9.9まで上がる位安全です。但し、運が極端に悪い奴は止めた方が良い厄災は確かに存在するという話です。自分なら確実に行くだろうなぁ。0.1だとかなり低いし

共也は帰還中に見ただけでゾワリとする経験や死にかけた事もありますが生きてるから運は良い(多分)

暗黒大陸かグルメ界かどっちに例えれば良いんだろう?
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